労働力不足や人的資本経営への関心が高まる中、企業における健康管理のあり方は大きな転換期を迎えています。“攻めの健康経営”が求められる時代です。
今回は、現在メディフォンの取締役COOとしてmediment事業を統括する山口喬志さんに、プロダクトの現在地と成長戦略、そして今後の展望について聞きました。
ー改めて、medimentについて説明してください。
medimentは、健康診断やストレスチェック、勤怠、面談記録といった健康関連データを一元管理し、企業の健康管理業務の効率化と、従業員の不調・リスクの可視化を両立するクラウド型健康管理システムです。人事労務担当者、従業員、産業医といった各ステークホルダーが、それぞれの立場で使いやすい設計になっている点が特徴です。
健康管理システムは法令対応の性質上、機能が類似しやすい領域ですが、medimentは複数データを横断的に分析できるため、ハイリスク者の特定精度に優れている点が強みです。
加えて、受診勧奨の一括配信や報告書作成、e-Gov申請など、労務実務に直結する機能まで網羅しているプロダクトは多くありません。ストレスチェック単体からスモールスタートし、段階的に高度な運用へ拡張できる料金設計も、導入のしやすさにつながっています。
▲medimentの画面
ー山口さんが入社してからのこれまでの歩みと、現在medimentにおいてどのような役割を担っているか教えてください。
2024年9月に入社しました。当時のmedimentは、導入企業数でいうと300社に届くかどうかというフェーズでした。当社は10月末決算ですが、期末を経て次の成長フェーズに入るタイミングで、事業責任者として参画しています。
入社後まず着手したのは、事業計画と現場オペレーションの整合性の見直しです。SaaSとして持続的に価値提供を行う以上、適切な単価設計と収益構造の確立は不可欠です。一方で当時は、無料キャンペーンや大幅なディスカウントも行われており、長期的な成長に向けては再設計が必要な状態でした。
そこで、価格競争に依存するのではなく、提供価値に見合った形でMRRを積み上げる方針へ転換しました。導入社数やID数の拡大だけでなく、「価値提供の質」を起点にした成長を重視した結果、2025年は前年比約2倍の成長を実現しています。
また、この1年で販路の多様化も進めました。従来は直販中心でしたが、再現性のある成長モデルを構築するため、アライアンスおよびパートナー戦略をゼロから立ち上げ、現在では10社以上のパートナー企業と連携しています。
競争の激しい市場環境の中で、当時のmedimentは機能の柔軟性という強みがある一方、その価値が十分に伝わっていない課題もありました。この1年は、プロダクトの本質的な価値を再定義し、継続的に成長できる事業基盤を構築してきたフェーズだったと捉えています。
▲山口さんインタビュー中の様子
ー競合サービスも多い中で、medimentが選ばれる「決定的な違い」は何ですか?
機能面では、ストレスチェックやプロダクト全体の英語を含む多言語対応が挙げられます。これはもちろん祖業である医療通訳事業の実績を基盤にした機能です。実際に、外国籍人材を多く抱える企業にとっては、これらの対応力が導入の決め手になるケースも少なくありません。多様な人材が共存する環境において、この価値は今後さらに重要になると考えています。
一方で、本質的な差別化は機能単体ではありません。健康管理システムは法令対応の性質上、各社の機能が似通いやすく、近年はサポート体制などプロダクト外の価値で差別化する動きも見られます。
その中で私たちは、あくまでプロダクトそのものの競争力を高めることにこだわっています。企業ごとに課題は大きく異なるため、営業やカスタマーサクセスが取得した現場の課題を開発へ確実に接続し、機能として実装していく。このサイクルを高速で回し続けることで、単なる法令対応ツールではなく、実効性のある健康経営基盤へと進化させています。
直近ではエンタープライズ企業の導入もかなり増えていますが、企業規模が大きくなるほど運用課題は複雑化します。そうした個別要件に応えながらプロダクトを磨き続けられる点は、開発を事業の中核に据えているmedimentの強みです。SaaSでありながら、解像度の高い課題解決を実現できることが競争優位につながっています。
▲キックオフで話す様子
また前提として、私たちは自社の領域を「医療企業」ではなく「テック企業」と位置づけているんですよ。医療・健康という複雑な領域に対して、テクノロジーでどう構造的に解決していくか。その思想に基づき、周辺サービスではなくプロダクトそのものの進化で価値提供を行っている点が、medimentの特徴です。
さらに私たちは、これからの医療には「個人が主体的に関わること」が不可欠だと考えています。従来は医療従事者からの一方向のコミュニケーションになりがちでしたが、健康データをもとに個人が自ら状態を把握し、発信し、適切なアクションを選択できる状態をつくることで、医療との関わり方そのものが変わっていきます。
データによって個人がエンパワーされることで、より質の高い医療の実現や、健康意識の向上による予防的な行動の促進にもつながると考えていて、medimentは、その基盤となる仕組みを担うプロダクトです。
ーどのようなときにmedimentのプロダクト価値を感じていただけていると感じますか?
まずは機能の網羅性と実用性に対する評価が挙げられます。加えて、顧客からの要望に対して迅速かつ的確に対応できている点も、価値として受け取られていると感じています。単に機能を提供するだけでなく、現場に寄り添いながら課題解決に踏み込んでいる点が評価されているのではないでしょうか。もちろんまだまだ道半ばではありますが。
企業を取り巻く課題は年々複雑化しており、ハラスメント対応や休職・離職マネジメントなど、これまで以上に高度な対応が求められています。一方で、人事労務部門は少人数で広範な業務を担っているケースが多く、運用負荷の高さは大きな課題です。
その中で、営業担当者がお客様ごとの現場課題を適切に吸い上げ、エンジニアに接続し、プロダクトへ反映していく体制が機能している点は、medimentの強みです。単なる要望対応にとどまらず、現場の課題がプロダクトに還元されていく実感を持っていただけたときに、価値を感じていただけていると認識しています。
▲営業担当やエンジニアと打ち合わせする様子
ー一方で、medimentの成長において山口さんが今感じている「壁」や「課題」は何ですか?
現時点で最も大きな課題は組織面です。私が入社して以降、人数は緩やかな増加にとどまっている一方で事業は急速に拡大しており、その成長スピードに組織が十分に追随できていない状況があります。
もちろん人数が増えればよいということではなく、特に課題として認識しているのは、ミドルマネジメント層の強化です。求めるマネジメントレベルと現状にはギャップがあり、今期は事業推進と並行して、組織づくりにより重点を置いていく必要があると考えています。
将来的に300名規模の組織を見据える中で、現在の管理職層の成長は不可欠です。適切な組織基盤があってこそ、継続的に高品質なプロダクト提供が可能になります。IPOも視野に入れる中で、事業成長に見合う組織の厚みを構築することは避けて通れません。現在は、次の成長フェーズに向けた組織基盤の構築が最重要テーマだと捉えています。
ーそれでは、今メディフォンに参加することの面白さはどこにありますか?また、どんな方と一緒に働きたいですか?
メディフォンは、事業・組織ともに成長過程にあるスタートアップであり、個人の意思と行動次第で役割を拡張できる余地が大きいフェーズです。既存のポジションに適応するだけでなく、自ら課題を定義し、必要であればポジションそのものを創出できる。この自由度の高さは大きな魅力だと考えています。
そのため、与えられた役割を遂行するだけでなく、自律的に事業や組織へ影響を与えたいと考える方にとっては、非常に挑戦しがいのある環境です。
求める人物像としては、実現したい目標や野心を持ち、それを具体的な行動に落とし込める方です。発言だけでなく、自ら動き、機会を創出できるかどうかを重視しています。バックグラウンドよりも、仕事を前に進めるスタンスを重視しています。
また、社内には学習意欲の高いメンバーが多く、そうした環境に適応できる方がフィットしやすいと感じています。私自身は顧客起点の思考を重視しているため、クライアントの価値創出に向き合う姿勢は前提としたい。そのうえで、顧客と対等な関係を築き、期待値を超える価値を提供しようと一緒に挑戦できる方に来ていただけると心強いです!