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地域の課題を 固有の物語へ -取締役副社長 丸谷 篤史-

やりたいことと豊かな生活を両立する。“比較を超える”経営論

役割としてはるうふ.incの事業統括、全体のビジネスの戦略策定です。主にやっているのは古民家宿るうふのグループ展開に関する仕組み化と、加盟店さんなど対B to B向けの契約の対応です。

7年前、代表と同じ会社で働いていて代表の地元が限界集落ってのを聞いて、地域が元気になるようなことをしてみたいという思いと、古民家で“村おこし”をする企画を聞いて、そこから一緒にイベントを開催したり、携わるようになったのが参加するきっかけになりました。

世界を旅してわかった幸せそうな国とそうでない国

るうふ.incでは“小さな地域ビジネス”“生活文化財の再生”“ソーシャルのれん分けモデル”という3つをアイデンティティとしています。その中でなぜ古民家をやっているのか。そこには強い想いがあります。

僕は大学生のとき世界中をバックパッカーとして回っていたんですが、20ヵ国くらい旅していく中で、元気な国とそうじゃない国の違いに気づきました。結論から言うと、生活文化が残っている国は幸せそうなんです。当時で言えば、イスラム圏とかウイグル地区、インドとか。簡単に言うと都市化されてない地域ならではの文化が残っているところ。それはオシャレだとかそういうことではなくて、地域色が残っている土地に住む人たちは幸せそうだなっていうのを感じたんです。

経済の発展を最優先したがために、都市化されているところは同じ顔になってしまっている。それが顕著なのが日本です。東京だろうが九州だろうが東北だろうが、主要な都市は同じ顔なんですよ。でも地方に行くとその土地ならではの家が残ってたり、文化、風習が残っている。僕たちの世代や子供たちの世代に日本ならではの生活文化を伝えていくことによって、日本が元気になっていくんじゃないかなって思うんです。そういった原体験が“古民家”に繋がっています。地方が面白いと思うのはまだまだ、個性的な生活文化財が残っている部分です。地元の人はその魅力に気づいていないことが多く、山梨全体に言えるんですが、もったいないなと思いますね。独自のイイものがたくさんあるのに、都市の模倣、劣化版を作ってしまうのは悲しいです。ちょっとリブランディングしたり、見せ方を変えてあげるだけで、他にはないオリジナルのものを作り出せるのになあって。

旅に出た理由と社会問題に対するグローバルな視点

バックパッカーをした理由は、もともと僕が教育学部だったんですけど、教育実習で衝撃を受けたことですね。英語を喋れない先生が英語を教えていて、社会を知らない先生が社会を教えているのを目の当たりにしたんです。もともと日本の教育制度に対して懐疑的だったこともあるんですが。僕は歴史が好きで近現代史が専門だったので、世界を知ろうと思って旅に出ました。いかにも学生らしい発想ですよね(笑)。そのおかげで価値観はガラっと変わりましたし、いわゆる“先生”の定義も変わりました。旅をしていると面白い人にたくさん出会えます。上場企業の社長がいたりデザイナーがいたり、ヒッピーや宗教家に会ったり。その人それぞれの生き様を見ることができて、自分のやりたいことをやっていくことが究極、いちばんの教育だなってことに気づきましたね。

ただ旅をするだけでなくテーマを設けて、僕は“1ヵ国1ヶ月ボランティア”をやりながら世界を回っていました。孤児院、児童養護施設、エイズの末期患者の施設、死を待つ人の終末の家のような場所だったり、社会問題的な視点が旅の軸になってました。強烈な体験の連続でしたね。僕が携わっていた期間に、5人くらいの人の死を目撃しました。好きでそういう場所に行っているというよりは、理不尽なことに対して怒りが湧いてきてそれが原動力になるアンガーモチベーションタイプなんですよね。悲惨な世界を目の当たりにして、自分がめちゃくちゃ恵まれているなっていうのも実感しましたし、その経験から社会的な問題解決が自分のライフワークとして定まった気がします。

給料は申告制。スイミーのような組織をつくりたい

るうふ.incは自立した優しい個が集まる集団=スイミーみたいな組織がいいなと僕は考えています。ひとりひとり、個が独立しているけど組織としてビジョンに向かって一致団結するような組織です。そういった組織づくりをするためには、自発的に社員が動けるような独自の取り組みを行っています。

具体的にはまず、給与が申告制です。半年に1回給与交渉する時間を作り、給与を支払う側に社員がバリューを示して、双方で決めていくという仕組みです。それを重ねて給与設計をしていくようになっています。

というのも、一般的に組織が抱える問題は大きく分けて2つあります。それは「給与評価」と「人間関係」がほとんどです。これってすごくもったいない。どうせ悩むなら、社内のことじゃなく、対外的なことや会社のヴィジョンに対して悩みたいじゃないですか。そういった問題を解決するためのフェアな給与体系なんです。給与を申告するってことは自分を知って分析する必要が出てくるので、変な数字は出てこないはずです。自分がコミットして提案していることだから不満は出づらい。評価という不透明なものをディスカッションして、双方納得の上で決定します。

意外と支払う側も曖昧だったりするんですよ、評価制度は(笑)

賞与は例えばアミダくじや運動会とか、社員でアイデアを出し合って賞与資本を分配する方法を決めようと思っています。休暇も、サービス部門は閑散期があるので3週間とか長期休暇を取り入れたり、それも社員と話し合って決めていきたいですね。

農業と福祉のベンチャーで培った、ビジネスを立ち上げる力とスケールする力

先にお話しましたが、代表と同じ農業ベンチャーの企業に新卒で入って、新規事業の企画や泥臭いことをたくさんやりました。そのあとLOOFを立ち上げたんですが26歳くらいには、小さなビジネスを作ることができるっていう手応えがありました。旅でも痛感したんですが、事業を広げていく力がなければ社会問題は解決しないということも事実としてあります。世界中のNPO、NGOに携わりましたがミッション、ヴィジョンはめちゃくちゃ美しい。でも実現出来ているところはほとんどなかったんです。

社会問題を解決するために必要だと気づいたもの、それは“お金”“人脈”“影響力”“ビジネススキル”なんですね。それを20代で身に付けたいと考えていました。LOOFの『澤之家』を立ち上げたタイミングで交流があった経営者の方に、新規事業を立ち上げるので手伝ってほしいと声をかけてもらい、そこで発達障害の方の教育、就職支援をする会社にジョインしました。

そこに入った大きな理由は社会問題に関係している事業で、なおかつ代表の方が、32歳で自分の会社を上場させて、スケールの大きいビジネスをやっている方だったんですね。さらにフランチャイズビジネスに精通している人が関わっていて、自分とLOOFに必要な力が身につくと考えました。

僕が入ったときは新規ベンチャーだったんですが、5年で160店舗になり、自分が携わったブランドも45拠点になりました。LOOFの次のステップとなる、全国に展開していく力が身についたことを実感できました。修業をして帰ってきた感じですね。ここからは自分のやりたいことに注力していきたいと思っています。

10年で10業種100人を独立させたい。るうふ.incが提案する未来の働きかた

日本の働き方もこれからどんどん変わっていくと思います。好きなことができるっていうのはとても幸せなことだというのも僕は経験から感じてきました。中には好きなことを見つけられずに、明日のごはんを食べるために働かなきゃいけない人もたくさんいます。それも大事なことですが、家族を養っていくまでの給料を賄えない人がほとんどですよね。給与と幸福曲線というものがデータとしてあるんですけど、年収700万まではその曲線が比例するんですが、それ以上は反比例していくっていう面白い統計があります。

るうふ.incにおいて“比較を超える”っていうのをテーマとして掲げていますが①時間 ②場所 ③他人の3つの軸で比較を超える仕掛けを広めたい。

最初の「時間」は、過去の自分との比較、次に、海外 ⇄ 日本、都市⇄地方という場所での比較、そして自分以外の他人との比較。 「比較をする」ということは、「不幸」を生み出すけど、「幸福」は生み出しません。それらの3つの比較を超えることで、自分らしく生きる豊かな人を増やしたい。そんな思いでビジネスと経営をしていくということです。

さらに言えば、キャリア形成できなかったり給与が低い人たちが垣根を超えて、好きなことを楽しみながら、月給で50万円以上もらえるようなビジネスモデルをつくること。それが“ソーシャルのれん分けモデル”なんです。児童養護施設の出身者や障がい者の人たちを例に挙げるとめちゃくちゃ給与水準が低いんですね。だからこそそういった人たちに向けて、LOOFで提案するビジネスモデルを届けたいっていう思いがあります。

それらを実現していくのに重要なのは、地域で活躍できるチャレンジャーを育成することです。地方の可能性として、売り上げは小さくても利益率の高いビジネスを展開することができます。LOOFが作ろうとしている仕組みはそれなんです。家賃や固定費が都市ほどにかからないから、回転率を上げる必要がなく丁寧なサービスを提供でき、顧客の満足度も高くなる。生活文化財を救済し、再生していくことも重要なミッションです。古民家もあと10年放置してしまったら、取り壊されてしまう物件がめちゃくちゃあります。それをクリエイターの力でリブランディングをし、提供していきます。古民家だけでなく、古材を利用した商品開発も行っていく予定です。宿に付随した飲食事業も展開していきたいです。


仕組みとやりたいことを両立させるモデルをいっぱい作っていきたいと思っています。具体的には古民家再生を3年で50棟作るのを目標に、それをのれん分けして宿だけでなくいろんな企業や職種とタイアップして、10年で10業種100人独立させたいと思っています。

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