デザイナーとして「本当に作りたいサービス」を探し求め、たどり着いたのがLeafeaの福利厚生サービスだったという美曽作 孝裕さん。いつか、蛇口をひねれば出てくる水のように当たり前の存在になれるサービスを目指して奮闘する日々を伺いました。
目次
自分が作りたいサービスを探して
いい人ばかりで不安になるくらい?
必死ながらも楽しめる日々
「性善説」で成り立つ会社
蛇口をひねれば出てくるように当たり前になれたら
自分が作りたいサービスを探して
— 東京モード学園でデザインの基礎を学び、音楽チャンネルMTVにインターンとして参加していたデザイナーの美曽作さん。ちょうどYouTubeが流行り出し、有料のチャンネル登録をしなくても音楽配信を見られるようになっていく時代の流れを感じていた頃だった。
美曽作さん(以下、美曽作)「当時、アメリカの24時間ミュージックビデオ専門番組の雲行きが怪しくなっていて、その影響で日本にいたディレクター6人のうち4人が目の前でクビになるのを見たりして、Webの破壊力みたいなものを目の当たりにしたんです。その頃から、映像志望ではなくWebサービスを作る仕事がしたいと思うようになりました」
— その後10年ほど、アパレル業界のECサイト制作に携わる。次第にネットで服を販売することが当たり前の時代となり、ある程度売上が作れるようになってくると、他のことがしたいと思うようになった美曽作さんは、ネットで物を売るのではなく、サービスを売る事業に携わるようになる。
美曽作 「アパレル業界の次は、”くらしのマーケット”というサービスを運営する”みんなのマーケット”という会社で、ネットでサービスを売る事業に携わりました。デザイナーは私一人で、ベンチャー企業が成長していく過程で必要な仕事一通りを手がけていました。Webサービスの制作はもちろん、ロゴやCMまで、何でもやっていました。
そこで9年ほどインターネットでサービスを売ることに携わっていたのですが、サービスが大きくなって新機能が減ってくると、「私じゃなくてもいいのでは」と思うようになったんです。そんな時、エアコンクリーニングなどのサービスをネット予約する際の、事業者さんの業務管理アプリを作る子会社が立ち上がり、面白そうだったので志願してアプリを作っていました。
そこで1年ちょっと、スタートアップでゼロイチをやってみて、自分の中で大きな気づきがあったんです。そもそも、そのサービスを自分が作りたいのか。モチベーションがないのにここに来てしまったのではないかと思うようになって、一旦退職をしました。そして、自分が作りたいアプリは何だろうと探していた時に”Leafea”にたどり着きました」
— 転職サイトに登録し、スカウトが届くたびに「自分は本当にそのアプリを作りたいのか」と真剣に考える日々。そんな中で、Leafeaの「福利厚生」という事業内容を聞いた瞬間、ビビッときた。それは地元に帰省した時の体験が原点にあるという。
美曽作 「Uber Eatsが出た時、すごく便利なアプリだと思って自分でもよく使っていました。青森県出身なんですが、帰省した時に地元の友達や親に『Uber使ってる? すごい便利だよ』と話しても、何が便利なのか理解してもらえなかったんです。
実際に青森でUber Eatsを使おうとしても、全く使えませんでした。その時から、こういう自分が育った村にも届くサービスを作りたいとずっと思っていたんです。Leafeaの福利厚生サービスを拡大していけば、絶対に地元の友達や親にまで届くサービスになると思い、ここを選びました。
Uber Eatsって、すでに便利な場所に住んでいる人が、もっと便利になるサービスですよね。もちろんそれはそれで価値があると思うんですが、Leafeaのサイトにあった、『報われない人が報われるようにしたい。一人ひとりの支えになりたい』という部分が、地元の友達や親に重なって、そういう人たちにサービスを届けたいと、強く共感できました」
いい人ばかりで不安になるくらい?
— 美曽作さんがLeafeaに入社しようと思った決め手は、メンバーの人柄にもあった。反面、いい人たちばかりの環境に、最初は少し不安も感じたという。
美曽作 「最初のカジュアル面談ではプロダクトマネージャーと話をしました。こんなふうに言うとちょっと偉そうですが、めっちゃいい人だと思ったんです。まっすぐにいいサービスを届けようとしていることが伝わってきました。社内政治とかもなさそうですごくいい印象を受けて、その後代表とも話しをして、本当にいい人しかいないなと思いました。この人たちの仲間になりたいと思ったんです。
反面、「これで本当に大丈夫なのか?」とも思いました(笑)。自分たちが儲けることができないんじゃないかと不安になるくらいみんないい人ばかりだったんですが、入社してみると、みんなギラギラした部分もちゃんと持っていたので成功するイメージを持てました。ただ一番の決め手は、「そのサービスをつくりたいか?」 という点が大きいです。」
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— 自分が本当に作りたいサービスかどうかを、 携わる前から判断するのは難しい。自分が作りたいものに出会えるかどうか以前に、自分でもそれが何なのか分かっていないかもしれない。さまざまなサービスを手がけてきた美曽作さんだからこそ、そこを決め手にできたのでは ないだろうか。美曽作さんは、どこでそう思えたのだろうか?
美曽作 「地元にも届くようなサービスをつくりたかった、というのもありますし、もともと仕事は『つくりたいか?』という視点で選んでいたのもあります。頭で選ぶというよりも心で会社を選んでいるところがあります。自分の中では”見つけた”という感覚でした」
— 美曽作さんの業務内容は主に、福利厚生サービスの機能が増えたり、パートナー企業との取引が増えたりした際の、コミュニケーションに関わるデザイン全般。
例えば、リリースする機能の資料作成や、伝える相手に合わせた資料の最適化、ユーザー向けのプッシュ通知やQ&Aページの内容を考えたり、操作マニュアルの動画作成など多岐に渡る。役割としてはプロダクトマネージャーに近い。また、どういう機能を具体的にどうやって作るかというアプリのデザインや、UI/UXの作成も手がける。
フルリモートで働く美曽作さんは、全員が出社してミーティングが増える時間帯を避け、朝8時頃から作業を開始する。入社してまだ2ヶ月ほどだが、最初からさまざまな依頼がきて、一気にこなしてきたという。これまでにも全てを一人でこなしてきた経験のある美曽作さんだが、当初は不安もあったそう。
美曽作 「転職自体が10年ぶりだったので、甘く見ていました。思っていたより業界の知識が自分には足りていなかったんです。ドメイン知識が不足していました。キャッチアップは、一つ一つの仕事をするたびに学ばないと作れないような状況で、最初は必死でした。
とにかく相談をして、分からないことは聞く、ということを徹底しました。デザインは会社や目的によって求められるテイストが全く違うので、そのニュアンスを一番掴んでいそうな代表を呼びまくって、多い日は1日に3回ぐらいミーティングをお願いして、自分では判断できない部分や、どうしてこうする必要があるのか、といったことを聞いていました」
必死ながらも楽しめる日々
— デザイナーとしての経験は豊富でも、美曽作さんにとって福利厚生は初めて手がけるサービスだ。商品そのものに魅力があり、比較的コントロールしやすかったアパレル時代とは違い、サービスを扱うことは圧倒的に難しいという。これまでの商品と異なる点や、大切にしていることはあるのだろうか?
美曽作 「サービスを作るという点ではまだそこまで深く関われてはいないんです。コミュニケーションデザインがメインなので、その意味では金融関係の方とのコミュニケーションが初めてでした。まだまだ紙の文化が残っている方たちにアプリ機能の説明や魅力をどう伝えるか、銀行員の方の本を読んで、どういう思想で動いているのか、どんな人なのかみたいなところを研究しました。
それでも、何かを説明する時の言葉一つ取っても、適切な表現や何が相手に刺さるのかは、まだ全く掴めていません。今でも代表に、”HOW”ではなく、”WHY”=なぜやるのか、を聞くようにしています。」
— 転職にあたり、「自分が本当に作りたいもの」に携われることを重視していた美曽作さん。Leafeaのクライアントは、直接やりとりをする銀行・金融機関だけでなく、その先には福利厚生サービスを利用する従業員がいる。デザイナーには、金融機関に受け入れてもえるわかりやすい案内も必要とされるし、サービスを使う人の使いやすさも求められる。さらに、Leafeaの理想にも近づけたい。そこで自分の作りたいものを実現できるのか? そこにせめぎ合いやジレンマは生じたりしないのだろうか?
美曽作 「デザイナーとして私がこうしたいというものは正直持っていないんです。私が思うデザイナーの役割は、例えばLeafeaが伝えたいことと、パートナーである銀行が求めているもののギャップをまず正確に理解して無くすことが仕事というイメージでやっています。
今はまだ、その先のユーザーと福利厚生アプリの間で起きているギャップに時間を割けていないのですが、現状は銀行とLeafeaとのギャップをなるべく正確に理解しようとしている段階です。」
— とはいえ、まだ入社して7ヶ月ほど。会社のことをよく知らなければ難しい部分もあるだろう。そこをどう克服されているのだろう?
美曽作 「私が所属しているプロダクトチームは、これからメンバーが増えていく段階です。今はまだ人数が少ないため、どうしても属人的なタスクが多くなります。それを少しずつ人から切り離し、仕組みにしていくことに、同じタイミングで入社したメンバーと取り組んでいるところです。
今は正直、Leafeaをあまり組織として見ていないんです。いい意味で会社だと思っていないんです。そこはこれから自分たちで構築していかなきゃいけないフェーズだと理解しています。今は私より前にいたメンバーから、どう情報を取るかを意識しつつ「これから会社にしていくぞ」というイメージで接しています。難しさもありますが、ほぼ同じフェーズだった前職と比べると、売れる状況が驚くほどの速度で進んでいるのでやりがいがあります。」
— そんな急成長中の会社でデザイナーとして働くうえで、必要な人材、向いている人材はどんな人なのだろう?
美曽作 「私と全く同じポジションでいうと、自分で情報を取りに行ける人が向いているかもしれません。急成長してきているためこれからデータ基盤などを整備する必要があります。その中で、必要な情報が何かを自分で判断し、集められる能力が必要だと思います。」
— 入社以来、毎日が必死だったという美曽作さんだが、必死ながらも楽しんで仕事に取り組めているという。それはすぐ側で見ている家族の言葉が証明している。
美曽作 「毎日必死で一つずつを精一杯こなしているんですが、入社して1ヶ月半ぐらい経った時、朝起きたら妻に、「起きた時の顔がすごく明るくなった」と言われたんです。楽しそうだって。自分としては深刻な意味じゃなくて必死だったので、そんな日々の中でも自然と自分が楽しめていたんだと、そう言われたことで自覚しました。
今、39歳なんですが、前の会社は規模が大きかったのでほぼ管理職というか、自分で手を動かす部分はかなり減っていたんです。年齢的には普通のことですし、それが出世というか大人になるということだと思うんですが、どうしても自分で作りたい、手を動かしたいという気持ちが湧いてきて転職を決意しました。Leafeaも大きくなればそうなるかもしれませんが、現状は自分で必死に手を動かすしかない状況です。自分で何かを作ること自体が好きなので忙しくてもシンプルに楽しいと思っています。」
「性善説」で成り立つ会社
— 美曽作さんから見た Leafeaは「性善説」で成り立っている会社だという。会社や組織の性格は、社長の性格そのものだと美曽作さんは語る。これまで経験してきた会社はほぼ、「社長の言うことは絶対」だった。一方で、Leafea代表の森田さんは、人を信頼した上で仕事を依頼し、会社の仕組みをつくってと感じるのだという。
美曽作 「細かく管理されることもないですし、いろんな部分で人を信じていると感じます。そうすると私自身もそれに対して精一杯応えたくなります。例えば何かを決める時の代表の伝え方は、『こうしてください』ではなく、『どうでしょうか』と、決定はお任せしますというふうにあくまで選択肢として提案してくれるんです。」
— 福利利厚生サービスを提供する会社だからこそ、まずは自社の働きやすい環境を整えることが重視されるのか。それとも自然とそうなっているのか。他の人に話を聞いても、整った環境があるからこそ自信を持って進められ、売れるサービスだという。それはフラットな会社の雰囲気にも現れている。
美曽作 「バックオフィスの方が代表のことを”森田くん”と呼ぶんです。僕はまだ森田くんと呼べるほどの人間関係は築けてないんですが、そのフラットさは結構衝撃的でいいと思いました。当然、社長としての責任感や動きは感じるんですが、”社長を出そう”みたいな印象は1ミリも感じないところが好きです。
これまでは社長が黒といえば黒だったんで、今までの癖で社長に言われたら絶対やらなくちゃと思ってしまうんですが、この会社はそうではなく、社長が言っていようがこっちの方がいいとなればそうなる部分に自分はまだちょっと適応できてないです。」
— フラットな雰囲気はともすれば緩くもなりうる。「正直、緩くなっていると感じる時もあるし、代表がそこを指摘しているのを見たこともあります」と美曽作さん。しかし、前の会社であればルールが追加されるような場面でも、Leafeaの代表は、「こうして欲しい」と信頼が前提のコミュニケーションを取る。そこが新しい世代の経営者のイメージだという。
蛇口をひねれば出てくるように当たり前になれたら
— 福利厚生サービスの現状は、一般的には導入する企業もサービスを使う側の就業者も積極的に使うものとはまだ言えない。しかし、サービスを導入することでそれぞれにメリットがあり、生活の質も向上する。そのギャップをデザインの力でどう埋めて、どう広げていけるのだろう?
美曽作 「ざっくり言うと割引や、何かを貰えるような「特典」を利用することも含めて、全てが体験だと思っていて、アプリの中だけでは完結しないと思っています。じゃあ、田舎でお店が少ない場所に住んでいる人でも使えるのかと言われると、利用できる店舗を増やさなきゃいけない。だとしたら利用できる店舗がどこにあるのか探しやすくしなきゃいけない。そうやっていると、アプリの画面だけを見ていても体験は向上できないので、リアルな世界にはどんな情報が必要なのかを考え、体験する時の摩擦を減らしていきたいと思っています。」
—美曽作さんが考える理想の福利厚生サービスとはどんなものだろう?
美曽作 「Leafeaのビジネスモデルとしては、”Leafea”という名前が有名になることではないと思うんです。OEMなのでパートナーさんごとにパッケージは違います。例えば、蛇口をひねれば出てくる水のように当たり前になれたらと思うんです。私たちはどこから水を引っ張ってきているかも知らないし、水道局の人にありがとうともあまり思っていないくらい当たり前ですよね。そんなふうに、地方に住む人でも福利厚生を使う経験をしていて、Leafeaありがとうと思われていなくてもちょっとしたハッピーを届けられたらいいなと思うんです。」
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— 美曽作さんは、Leafeaの働く環境を「仕事のための仕事、のような余計なものを意識することなく安心して頑張れる環境が整っている」という。思い切り気持ちよく頑張りたい人にはお勧めだとも。「自分じゃなくてもいいのでは?」という思いが転職のきっかけにもなった。今の会社ではどうだろう?
美曽作 「今のところは全く感じていないです。代表が『こうしてください』という方ではないので、自分が決めないと進まなかったり、自分がつくって一旦見せないと進まなかったりするものがほとんどです。今は僕じゃないとダメだと思ってやっています」
— Leafeaとの出会いを”見つけた”という感覚だったという美曽作さん。今まさに転職しようと考えている人は、これからさまざまな会社の中から自分に合う会社を選択していくわけだが、美曽作さんはたとえその選択が間違っていたとしてもいいのだと言う。
美曽作 「おじさんになったから分かるんですけど(笑)、自信があるわけでも先見の明があるわけでもないんですが、その選択が合っているかどうかは多分気にしていなくて、やりたいと思ってやっていれば間違っていても別にそれでいいという覚悟だけはあるという感じです。」
自分で選んで自分の振れた方にまず動いてみることが大事なのだろう。美曽作さんに話を聞いていると、その選択にとても満足しているように思えた。