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【入社前のミヤマエ日記⑥】ろう者について考える 後編

ドラマ『星降る夜に』を見て、聴覚障害をもつ人についてもっと知りたいと思った私は、最近足しげく通っている図書館で本を借りました。

『ろう者の祈り』という本です。

 

その本には、知らなかったことがたくさん書かれていました。

 

ろう者とは生まれつき耳が聞こえない方、または、幼い頃の病気などで聞こえなくなった方のこと。手話が母語のろう者にとって、日本語は第二言語だということ。ろう者にとって日本語を勉強するということは、私たちが外国語を勉強するのと同じで、そのうえヒアリングという勉強手段が使えないということ。

手話と日本語は文法や語順だけでなく、語彙も違うこと。手話の語彙が約8千語なのに対して、日本語の語彙は8万から10万語といわれていること。そのため一つの手話単語がいくつもの日本語の意味を兼ねているケースがたくさんあり、基本的に尊敬語、謙譲語、丁寧語といった区別がなく、まわりくどい表現もないので、文章を書いたときに周りの聴者(聞こえる人)に失礼だと言われたり、日本人なのにわからないのか、バカじゃないかと思われたりしてしまうこと。

 

また、ろう者の孤独について。

「おおぜいのなかで、一人ぼっちでいること。一人しかいない部屋の中で、一人ぼっちでいること。どちらの方が孤独なのかといえば、前者なんだ」

と書かれている文章があり、聴者が知らないうちにろう者はいつもその孤独を感じているということ。

誰しもが、大勢のなかで一人ぽつんといることに対する孤独感を味わったことが一度はあるのではないでしょうか。ろう者にとってはその孤独感や苦しみが一度だけ、その瞬間だけではなく、ずっと続いていると考えると胸が詰まります。

 

ろう者の方々が今まで経験してきた苦しみ、悲しみ、孤独についてのエピソードを読んでいると、疑いたくなるような、胸が締め付けられるような思いをしました。そして、話を聞いたり読んだりして理解したつもりでも、それは自分の想像力のなかだけの話で、本当はもっともっとつらくて、悲しくて、孤独で、悔しいものなのではないかと思います。

 

 

なかには、職場で辛い思いをしていたろう者が、社長の働きかけによって次第に苦しみから解放されていったエピソードもありました。

 

職場の人が仕事中に「ありがとう」「お願いできますか?」といった手話をしてくれる。

忙しくて目が回りそうになったとき、肩をトントンとたたかれ、振り向くと同僚が笑顔で「大丈夫?」という手話をしてくれた。

廊下ですれ違うときに「お疲れ様」という手話をしてくれる。

仕事も、命令されてする仕事ではなく、自分で考えなくてはいけない、やりがいのある仕事を任せてくれる。

 

といった、聴者の間では当たり前に行われるコミュニケーションが、ろう者からするとすべて「~してくれる」になることに気づき、そのくらい今までしてもらえなかったことなのだと思いました。

 

ドラマや本でろう者のことが取り上げられるようになり、聴覚障害をもつ人のことが以前より世間に広まったり、手話を習う人が増えたりしているのかもしれないと考えていましたが、聴覚障害をもつ人からすると、きっとまだまだなのだと、この本を読んで思いました。

 

本を読む前、ドラマを見て少し分かった気になっていた自分が恥ずかしいです。しかし、ドラマを見ていなかったらこの本に出会えていなかったかもしれないし、この本を読んだおかげで、分かった気になっていた自分に気づくことができてよかったです。

 

相手の立場や気持ちを理解しようと努め、そしてそれを自らの行動につなげる大切さを再認識しました。また、自分の当たり前が他人の当たり前だと思ってはいけないと改めて気づきました。これらのことは、今までも学んだことがあるはずだったにも関わらず、対象が違ったり、時間が経ったりすることで忘れていってしまうのかと悔しく思ったので、最近、心に残ったことや自分のなかでの気づきを書くノートを作りました。これからは、そのノートやこのようにWantedlyで書かせていただいているストーリーを定期的に見返すようにし、その時々の自分に当てはめて「今、私は同じことを繰り返していないかな?」と自問自答していきたいです。



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