3年半。
「組織文化が変わってきたな」と手応えを感じられるまでに、これだけの時間がかかりました。
2025年も終わりに近づく中、KOBIRAで7回目となるビジョンミーティング(全社集会)が開催されました。「第4創業期プロジェクト」を始めてから3年半。今回初めて「ああ、組織が本当に変わってきたんだな」と実感できる瞬間がいくつもありました。
振り返ってみると、今回のテーマは「委譲」だったのかなと。
経営ボードメンバー以外で、17人ものメンバーが全社員の前でプレゼンをしてくれた。
そして議論の中でも、自分から「それってこういうことじゃないですかね?」と図示しながら整理してくれたり、「正直、自分はこれがピンとこないです」という反対意見をストレートに出せたり。
3年半前、会議といえば「偉い人が話すのを全員黙って聞く」という状態だったKOBIRAからは、こんな光景は想像できませんでした。
KOBIRAの未来を描く責任(責任感)や熱量が、経営ボードからメンバーに、一段階委譲されたのかもしれない。そんな節目となる一日でした。

今回のビジョンミーティングの新しい試み。「分けつつも、バラバラにしない」
実は今回、初めての試みがありました。全社集会の実施単位を「エネルギー事業部」と「エネルギー事業部以外(IT、貿易、バックオフィス)」に分けたんです。
2026年の太陽ガスとの合併を控え、大きな業務統合が進行中のエネルギー事業部は、特有の内容で実施する必要がある。そのためこのような形を取りました。でも、グループ全体をバラバラにはしたくない。
今回はエネルギー事業部以外を対象とした会だったんですが、「エネルギーは自分たちとは別なんだね」という感覚にはしたくなかった。
そこで、自分と一緒に司会を任せる相手として白羽の矢を立てたのが、エネルギー事業部・都城営業所の所長、乙守さんでした。
50歳で初めての司会挑戦―乙守さんが見せた「楽しむ力」
「50歳を迎えて、人生で初めて司会をやったし、初めてGoogleスライドというものを作ってみましたよ(笑)」
乙守さんはそう笑いながら話してくれました。でも、その存在感は抜群でした。
「最初は軽い気持ちで引き受けたけど、実際台本とかを見たら想像以上に大変だと気付いた(笑)。最初はちゃんとやらなきゃと思っていたが、途中から諦めて『自分らしくやろう』と決めました」
その「自分らしさ」が、今回の場の空気をポジティブなものにしてくれました。50代で初めてのことに挑戦しながら、とてもパワフルで楽しそう。(筋トレマニアなので、物理的にもパワフルなんですが😆)
「仕事は楽しく」をモットーにして営業所経営をしている、乙守さんらしい司会でした。
エネルギー事業部も含めて、KOBIRAが「一つの会社」であることを示す象徴として、これ以上ない人選だったと思います。
(乙守所長の都城営業所は、サーベイで常にTOPクラスのエンゲージメントを示している素晴らしいチームなので、この辺は別の記事で詳しく共有したい!)


「矢面(やおもて)時間を作る」ことで生まれる成長
今回印象的だったのは、とにかくプレゼンターの多さでした。
各事業から役員と部長が新理念を発表。新入社員紹介や「Good & New!」のコーナーでも、DX事業部の若手から、ベテランの営業担当まで、普段は表に出ない様々なメンバーがマイクを握りました。





経営企画室の若手エース、久保君のプレゼンを聞く経営陣。
「AIをフル活用した引継ぎ」についてのプレゼンに、興味津々。社長からは「これ、売れるね」というコメントも。
以前のKOBIRAは、ほぼ全員が「私はプレゼンとか苦手で…」と言っていました。でも正直プレゼンの質って、一定程度までは「場数(矢面に立つ機会の数)」で決まると思ってるんですよね。回数を重ねているメンバーほど、レベルが上がってきているのを感じました。
その意味でも、今回の「KOBIRAのGood & New!」のコーナーは良かった。
「持ち時間3分で各事業部等の良い話を紹介してもらう」というコンテンツなんですが、短いプレゼンなので準備もハードじゃないし、本人の経験も積めるし、事業部間の相互理解も進む。これを読んでいる皆さんの会社でもやってみてほしい、オススメコンテンツです。
そして午後のメインテーマが「事業部ごとのオリジナルバリューの検討」だったこともあり、それぞれの事業部に分かれて、一人ひとりが自分の意見を表明する機会がたくさん生まれました。
超トップダウン文化からのシフト
社長のかんちゃんも「3年半かかって組織文化が変わってきた実感がある」と話していましたが、本当にその通りだと思います。
KOBIRAは先代まで、超トップダウンの文化でした。会議のスタイルも「偉い人が決めて、その話を聞く」という形。そのため、初期にビジョンミーティングを始めた頃は、抵抗も大きかったんです。
「こんな会場を借りて全員を集めることに、うちらが稼いだお金を使う必要があるのか?」
「付箋に書いて貼るって、何の意味があるの?」
「ビジョンミーティング、長すぎない?」
こんな声が上がっていました。
ある意味、「老舗企業あるある」の反応だったと思います。(企画推進する立場からすると、なかなかキツイんですが…(笑))
でも、経営陣が対話の重要性を信じて、半年ごとの振り返りやワークショップを根気強く続けてきました。そして7回も続けてくると、徐々にみんな慣れてくるんですよね。
元々「決められたことを、しっかり着実にやる」文化が土台にある組織です。意味と意義がだんだん感じられてくると、進みは早い。
付箋を書いて模造紙に貼るワークショップも、今では当たり前のように進んでいきます。


回を重ねるにつれ、メンバーからポロリポロリと良い意見が出るようになってくるのは、マネジャーとして嬉しい限り。実際、部長などの目線では見えにくい、日々の作業上での課題ってたくさんありますからね。
※ちなみに、KOBIRAは「超トップダウン」からは脱却を目指していますが、「トップダウンはだめ、ボトムアップがいい」と言いたいわけではないです!
環境によってはトップダウンで突破するのが最適解なケースもありますし、うちも10年スパンだと、「ミドルが強めのトップダウン」でいくつもりです。
運営のスムースさが物語る「チームの成熟」
また、今回印象的だったのは運営のスムースさでした。
実は今回、全体のプロマネである私(池田)が、直前に肺炎で1週間倒れるというトラブルに見舞われたんです(辛かった…)。39度超えの熱にうなされながら「ビジョンミーティング、大丈夫かな…」と不安に思っていました。
でも、人事アシスタント2名を中心とした運営チームが、見事に運営周りを成功に導いてくれました。むしろ今回はバリューアワードを中心に、過去一番といってもいいくらいストレスなく進行したんです。
ちなみに、中心となった人事アシスタントの2名は、今年契約開始したばかり。過去のビジョンミーティングには参加していません。それでも活躍できたのは、二人のイベント運営能力の高さはもちろん、過去の録画や準備資料を詳細に読み込んで準備してくれたからでした。
最近では生成AIが大きく進化しているので、過去のデータさえ残っていれば、探して加工して使うこともできる。実際、今回も過去の台本や進行表を分析・活用しながら進めてくれました。
こういう「記録を残す」「引き継ぐ」という文化も、実は組織の成熟を示すサインなんですよね。過去の運営担当者が丁寧に引き継ぎ資料を作ってくれたことも、今回の成功につながっています。
人事アシスタントのAさんが言ってくれた言葉が印象的でした。
「自分は初めてビジョンミーティングに関わるので、最初は『こんなことを聞いていいのかな…』と思っていた。でも本番が迫ってきて、途中からは『自分が的外れな質問をしてしまう怖さなんかより、会を良くすることの方がずっと大事だ』と思ったんです。そこからは何でも質問するようにした」
まさにKOBIRAのバリュー「ヒトではなくコトに向かう」を体現してくれた瞬間。私の肺炎というアクシデントがきっかけでしたが、運営チームの「委譲」と「成熟」が一気に進んだのは嬉しかったです。


「委譲」は終わりじゃなく、始まり
振り返ってみると、今回のビジョンミーティングは「委譲」がテーマでした。
でもこれは、単に経営層が「権限を手放す」と言えば成り立つというわけじゃない。受け取るメンバー側が、自立(自律)して考え、発言し、行動できるようになっていくことが同時に必要なんです。
50代のベテランが、新しいことに楽しそうに挑戦する姿。
20代の若手が、自ら手を挙げてグイグイ成長していく姿。
そして、17人ものメンバーが緊張しながらもプレゼンする姿。
これらすべてが、3年半かけて生まれた、新しい組織文化の一つの証です。
3年半前、反発を恐れて諦めていたら、今日この景色は見られなかった。対話を信じ、根気強く続けてきてよかった。
「これからの百年も、地域から安心と希望の火を熾(おこ)す」
KOBIRAの理念を実現するために、組織の進化は続きます。次回のビジョンミーティングでは、どんな景色が見られるのか。今から楽しみです。
これから組織文化づくりに挑む方へ
最後に、組織文化づくりに取り組んでいる経営者や人事の仲間に向けて、ポイントを3つほどまとめてみました。
1. 組織文化づくりの施策は、「数年スパンで続ける覚悟」を
新たな組織文化を作っていくためは、ある程度時間がかかるという覚悟が必要です。すぐには変わりません。私の感覚だと、3年で「やっと変わり始めた」という感じです。
ゼロから「この指とまれ!」で仲間を集めるスタートアップと異なり、アトツギ企業は「過去のやり方で(成功)体験を積んできたメンバー」が多く存在するところからのスタートだからです。
半年や1年で「効果が出なかった」と施策を諦めてしまう話も聞きますが、もったいない。KOBIRAの事例が、「経営陣がコミットして3年続けることで変われた、そんな事例があるんだよ」という希望になれば嬉しいです。
2. 「社外の伴走者」を持つことの価値
KOBIRAは、この3年半、musuhiという対話の専門ファームに伴走してもらってきました。
株式会社musuhi|対話を通して人・組織・社会・地球の進化に伴走するダイアログファーム
ビジョンミーティングの設計、役員合宿のファシリテーション、半年ごとの振り返りの場づくり。専門性と第三者性を持つパートナーがいることで、取り組みの質が格段に上がりました。
特に私のように、人事役員が複数の役割(副社長、AI推進室長等)を兼務している場合、日々の緊急度の高い業務に追われて、どうしても瞬間的には組織施策が後回しになりがちです。
外部パートナーがいることで、「一定のペースで推進していく」という強制力が働きますし、専門性と第三者性からのアドバイスで施策の質も上がります。投資する価値は、十分にあります。
3. 「遠心力と求心力」のバランス
来年の合併やカンパニー制への移行を控え、KOBIRAも今まさに試行錯誤の最中ではありますが…
委譲して事業部(カンパニー)ごとの独自性を出しつつ【遠心力】、グループ全体がバラバラにならないように束ねる【求心力】。このバランスは、本当に難しい。今回のビジョンミーティングで乙守さんに司会をお願いしたのも、その一つの試みでした。
正直、うちもすべての施策がうまくいっているわけではありませんが、
「ある時には遠心力寄りの施策を中心にする。」そして「ある時には求心力寄りの施策を中心にする。」という形で、常にどちらかに振りながらバランスを取っていく(動的平衡)、そんなスタンスが必要だと感じています。
これからも試行錯誤の結果を発信していくので、KOBIRAの取り組みが、同じ課題に向き合っている皆さんの参考になれば嬉しいです。
長々と書いてしまいましたが、次の半年、8回目のビジョンミーティングでは、どんな景色が見えるのだろう。それが今から楽しみです!
P.S. 今回のビジョンミーティングについて、感想やご意見があればぜひコメント欄で教えてください。組織変革に取り組んでいる他の企業の方とも、ぜひ対話したいと思っています!
池田亮平
小平株式会社 副社長取締役 CHRO / AI推進室長
生成AIが大好きで、「組織の力×AI推進で、最高のローカルアトツギ企業を創る!」をミッションに、
日々楽しみながら試行錯誤しています。よければフォローお願いします!!(^^)
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