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スタートアップにおけるプラットフォーム開発と、自律型組織のエンジニアリングマネジメント

こちらの記事は カケハシ Advent Calendar 2022 の5日目の記事になります。
https://adventar.org/calendars/7444

はじめまして、薬局・薬剤師向けSaaS「Musubi」を手がける株式会社カケハシのプラットフォーム部門で働いている窪野です。入社(2022年7月)してまだ半年のエンジニアリングマネージャです。この記事ではそんな僕の事を少しだけ書かせていただこうと思います。

僕は 20 年以上 WEB/IT 業界でソフトウェアエンジニアとして働いています。メガベンチャーや GAFA と言われるような大きめの企業から IPO 前のスタートアップまで、複数の企業やシステムに関わる仕事をしてきました。

そのなかでソフトウェアエンジニアとして強く思うことは「良いプロダクトを産み出すには、良いチームが必要」「技術の観点からビジネスに貢献して、多くの人に使われる仕組みを作りたい」という点です。

複数社を渡るうちに感じたこれらのポイントを踏まえ、次なるチャレンジ先として選んだカケハシ。今回は「カケハシでモノ作りをしている人はどんな人?」「カケハシにおけるプラットフォームとは?」という点を少しでも知ってもらえたら幸いです。

カケハシにおいてエンジニアリングマネージャの役割とは何か?

僕が入社する前のプラットフォーム部門には、エンジニアリングマネージャという役割が存在しておらず、マネージャがすべき仕事の定義や共通認識がありませんでした。

ですので、入社後の僕はまず「カケハシにおいてエンジニアリングマネージャの役割とは何か?」という問いをクリアにするところから始めました。

カケハシの組織は、徹底した自律志向であることが特徴です。ソフトウェアエンジニアの間でどっちが上でどっちが下という概念はありません。それは、マネージャでも同様なので必然的にサーバント(召使)型のリーダーシップが求められます。

マネージャが決定してチームに指示を出すのではなく、あくまでチームが機能するようにサポートするのがマネージャの役割という意味です。この考えは私自身が持っている「良いプロダクトを産みだすには、良いチームが必要」という考えと非常にマッチしていました。

ただし、この考え方も僕からの一方的な押しつけではチームとして機能することは難しくなります。そこで、手始めに現在のチームの役割分担と課題をヒアリングするところから始めました。

チームには「PdM(プロダクトマネージャ)」「開発ディレクター(=スクラムマスター)」「ソフトウェアエンジニア」「CTO」が関わっており、それぞれが分担して仕事をしていました。一概にPdMやスクラムマスターと言っても、会社やチームによってその役割は結構な違いがある場合が多いので、まずは一人一人にヒアリングしてまわり、そのなかから誰も拾っていないボールや、マネージャが行ったほうが良いタスクを探して、僕がやるべき仕事を探すところから始めました。

プラットフォームのコンセプト作りと初めてのキックオフ

また、その際に気づいた課題があります。それは「カケハシにおける“プラットフォーム”とは?」という定義が曖昧であること、「なぜプラットフォームという独立した組織が存在しているのか?」という疑問を多くの関係者が持っていることでした。

これも僕のなかではスタートアップならではだなと感じた部分です。より大きな規模の企業と比較すると、スタートアップでは拡張性や将来性よりも目先のスピードが優先されます。まずはビジネスを立ち上げることが最優先課題だからです。

もちろん我々のプロダクトは医療に関わっているので、サービス提供する上で必要な安全性やセキュリティはちゃんと確保しています。ただ組織においては特にスピードが重視される傾向を感じています。

正直なところ、前述の役割の定義や、組織のコンセプトがなくても普段の業務に支障はありません。ただ、それぞれ考え方も性格も異なる複数の人間が働いており、今後組織をスケールさせていくには、何かしらの共通認識が必要だと判断し、プラットフォーム組織の関係者が目指す方向を共有するためのものとしてプラットフォームのコンセプトをまとめることも行いました。

関係者にヒアリングを行い、複数のメンバーの意見を取り入れて作り上げたコンセプトは、初開催となるプラットフォーム組織のキックオフを行い、そこで発表。こういった、ゼロから課題を見つけて解決に向けて動ける点はスタートアップの醍醐味だと思いますし、それが誰かから指示されたわけでもなく、自分の判断で進められるのがカケハシで仕事をする楽しさだと感じています。

サーバントリーダーシップならではの課題

入社してからすべてのことが順調に進んでいるかというとそうではありません。他社にはないカケハシならではの難しさも感じています。

特に感じているのは、サーバントリーダーシップであるが故の意思決定の難しさです。もし、ヒエラルキーが強く存在する組織であれば、上司が物事を決定し部下が実行するという役割分担ができており、迷うことはありません。

一方、カケハシのマネージャはサーバント型です。時として意思決定を誰がするのかが曖昧になったり、物事を決定するための確信が得られず、検討や調査に時間がかかるという危険性も含まれています。

実を言うと僕も含めサーバントリーダーはこの罠にハマりがちです。人間関係やチームメンバーの意見を尊重するあまり、物事を進めるスピードが遅くなる場合があります。これはスタートアップとしては致命的です。

カケハシには「情報対称性」というバリューがあり、HRT(謙虚・尊敬・信頼)を重んじる組織カルチャーがありますが、だからといってすべてのことを多数決で進めていては物事が進みません。オーナーシップを発揮しつつ(もちろん、それがマネージャである必要はありません)、関係者を巻き込んで物事を進めなければいけない場合の方が多いです。

もちろん、関係者の意見を無視して良いというわけではなく、強い意志や意見を持った者が周りのメンバーの意見を聞き、最適な解を探しつつ根気強くプロジェクトを前に進めることが大切なのだと思っています。この点に関しては正直自分自身もまだまだだなと思っているので、今後より成長に向けて意識を高めていきたいと思っています。

ビジネスに貢献するためのプラットフォームとは?

また、僕が働くなかで感じている、カケハシにおけるプラットフォームの役割に関してもお伝えしたいと思います。

まず一つ目の役割として、効率化や最適化に関するものです。みなさんもプラットフォームという言葉にこういったイメージをお持ちかと思います。認証に関するシステムの基盤であったり、社内共通のデータ収集基盤のようなものです。

二つ目は、社内の取りまとめの役割です。たとえば、利用規約の更新フローであったり、エンジニアのオンコール体制に関することも含まれています。

僕はカケハシのプラットフォームにもう一つの役割を加えたいと思っています。それは、新規事業を含めたカケハシのビジネスをスケールするためのプラットフォームという役割です。これは冒頭で説明した「技術の観点からビジネスに貢献して、多くの人に使われる仕組みを作りたい」という僕の考えと一致しています。

この記事を読んでいる方のなかには、システムの共通基盤みたいなものとビジネスに関することをひとまとめにすることに違和感をもつ方もいらっしゃるかもしれません。でも、僕はエンジニアにとって非常に重要な観点だと思っています。

一例を挙げると、世の中に AWS のようなクラウドの仕組みが出てきて、スタートアップの開発スピードは一気に上がりました。それどころか、今までは優秀なエンジニアを雇わないと実現できなかったような最新の機能が数クリックで誰でも使えるようになりました。

僕は、これと同じようなことがカケハシの内部でも実現できると考えています。たとえばプロダクトの利用データが、社内の誰もが扱いやすい状態になっていたらどうでしょうか。そういったものが社内で簡単に利用できる仕組みがあったら、薬局に関するビジネスを立ち上げるスピードは一気に上るんじゃないかと思っています。

良いプロダクトを作るには、いかに早いスピードでトライアンドエラーができるかが重要だと僕は考えています。そういった意味で、システムの基盤でありつつも、新規ビジネスを加速させるような仕組みや組織作りをしたい、というのが今の僕の目標です。

プラットフォームの先にあるもの

日本はこの先、少子高齢化が更に進み労働人口がどんどん減っていきます。これは僕たちよりも上の世代でも下の世代でも非常に重要な課題です。医療に従事する方々の献身的な努力によってのみ守られる医療体験ではなく、テクノロジーで、日本の医療を安心安全で快適なものに変えていく。カケハシでそんなことが実現できたらと思っています。

ここまで私の拙い文章を読んでいただいてありがとうございます。
もし、この記事を読んで今までよりカケハシに興味をもっていただけたら嬉しいです。
一度話を聞いてみたいなと思っていただけたら、お気軽にご連絡ください。


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