KAKEHASHIの薬歴システム「Musubi」。その真価が発揮されるよう、お客さまに対し業務支援を行っているのが、カスタマーサクセスのチームです。カスタマーサクセス組織を立ち上げ推進する執行役員の友杉崇が、KAKEHASHIならではの「カスタマーサクセスのありかた」についてご紹介します。
営業の役割は「ファン作り」、カスタマーサクセスの役割は「問題解決」
昨今のITサービスではSaaS(Software as a Service)という提供形態が増えてきています。それにともない、カスタマーサクセスの考え方が、従来にも増して重要性をおびてくるようになりました。
SaaSは継続的に利用し続けてもらうことが利益向上につながります。そのため、常に顧客が有効にサービスを活用できるよう、課題を解決しサポートしていく必要が高まってきたのです。カスタマーサポートに似ている言葉ですが、より積極的に“顧客の成功”を支援していく役割があるといえるでしょう。
ただ、SaaSのカスタマーサクセスというと、単なる解約防止策の文脈で語られていることもすくなくありません。もちろん、解約をおさえて顧客を累積していくことは大切です。いくら新規契約数を伸ばしても解約率が高ければ、穴のあいたバケツで水を汲むようなものですから、ビジネスの根幹にかかわります。
しかし、KAKEHASHIのカスタマーサクセスは、解約防止を主眼において取り組んでいるかというと、そうではありません。そもそも薬局において薬歴システムは業務の基盤であり、いちど導入したら、よほど使い勝手の悪いものでなければ、そう簡単に解約されることはなく3年、5年単位でご利用いただけます。
ですから、月々の解約率の数字に振り回される必要はありません。私たちのミッションである「薬歴システム「Musubi」を通じて、薬局での患者さんの医療体験を変え、価値を提供する」を薬局のみなさまと実現するために必要なことは何かを考え、支援していくのが、KAKEHASHIのカスタマーサクセスです。私のイメージでは、コンサルティングとコーチングを合わせたような職種ですね。
KAKEHASHIのなかでは、営業セクションであるファーマシストパートナーの役割はKAKEHASHIとMusubiの「ファン作り」、カスタマーサクセスの役割は「問題解決」だと考えています。Musubiを通じて、お客さまが業務をどのように改善し、患者さんに価値を提供していきたいのか――その思いを共有しながら、Musubiの使い方を提案し、実践のサポートをしています。
どれほど良いプロダクトでも、適切な支援なくしては使ってもらえない
KAKEHASHIでは営業・開発と同等に重要視し、注力しているカスタマーサクセス。このような体制になったのは、じつはサービスイン当初、手痛い失敗を経験したからなのです。
2017年3月末、「Musubi」は5店舗の薬局さんのトライアルでスタートしました。当時はカスタマーサクセスを意識することもなく、同年4月に入社した私も、営業としてCEOの中尾とともに新規契約を獲得していくつもりでした。
しかし、2ヵ月ほど経ってお客さまの利用状況を調べてみたところ、5店舗のうち「Musubi」を使っているのはたった1店舗、ほかの4店舗ではほとんど触っていないことが判明したのです。
慌ててお客さまに話を聞きに行ったところ、理由はごくシンプル。「使いたいと思ってはいるけれど、日々の業務が忙しくて、既存のシステムからなかなか切り替えられなかった」というものでした。
私たちはそれまで、「良いサービスを作って納入すれば、みなさん自然に使ってくださるだろう」と考えていたのです。甘い考えでした。
薬歴システムは薬局業務の根幹システムであるからこそ、新しいシステムに切り替えるには相当なエネルギーが必要です。しっかりした後押しがなければ、いくら良いシステムを作ったとしても、使いはじめていただくこと自体に高い壁があります。
「Musubi」を利用してくださっているお客さまは、単純に他社サービスとの機能比較ではなく、私たちKAKEHASHIの理念に心から共感して導入してくださっている方が多いです。それでも日々の業務に追われると、薬局さん主導でシステムを切り替え、業務の流れを変えていくことは難しいものがあります。
一歩を踏み出す後押しは、じつはお客さまのニーズとしては大きいものです。そこに気づくことができた私たちは、それ以来はお客さまに伴走して「一緒に走っていきましょう!」という気持ちで、カスタマーサクセスの役割をしっかり果たしていくことにしたのです。