カディンチェでは、松竹株式会社と共同で運営していた「代官山メタバーススタジオ」にてバーチャルプロダクション検証動画の制作をいくつか行なっております。
今回のnoteでは、その検証動画の中から社外公開が可能な時代劇「静中の動」についての紹介記事を執筆していきます!
この撮影の目的は、バーチャルプロダクションに関してある程度の技術的知見を得た上で
・「どのような映像を制作できるか」
・「映像制作におけるソフトウェアの使用方法、運営の仕方の確認」
・「その他技術的な検証」
を目的としています。
目次
- 【完成物】
- 【企画概要】
- 【撮影手法】
- 1. In-Camera VFX
- 2. グリーンバック撮影
- 【背景映像・セット制作】
- 1. 鍛錬のシーン
- 2. 決闘のシーン
- 【照明・ライティング】
- 【まとめ】
【完成物】
まずは完成物をぜひご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=y6C6DAaRcFc
【企画概要】
既存の映画タイトルのような映像作品がバーチャルプロダクションで再現可能か?という部分でいくつか撮影手法や検証などを進めておりましたが、社外の宣伝用に公開できるものでは無いので、完全な自主制作ということで時代劇風のバーチャルプロダクションのシナリオ「静中の動」というテーマで制作と撮影を続けていきました。
”静けさ”とその中のにある”動きの力強さ”に焦点を当てた、時代劇風の鍛錬および決闘シーンを描いています。
【撮影手法】
1. In-Camera VFX
近年、映画や映像制作でよく使用される技術で、LEDディスプレイにリアルタイムで背景やエフェクトを表示し、それを撮影することで特殊効果を直接映像に組み込む方法です。主な手法としてUnreal Engine等のゲームエンジンを活用し撮影の段階でLEDなどでエフェクトを表示しながら撮影することで、従来ではコストがかかったポストプロダクションを大幅に簡略化できます。
https://www.youtube.com/watch?v=XMHCsUtUhfA
今回の作品では横幅約7m、高さ約2.6mの大型LED Wallを使用して撮影しました。
横幅約7m、高さ約2.6mの大型LED Wall
2. グリーンバック撮影
被写体の背後にグリーンバックを設置して撮影し、その緑色部分を後処理で透明化して別の背景と合成するよく知られた手法です。
撮影の一部では、全身を映す必要がありましたが、弊社所有のLED Wallは1枚のみで、In-Camera VFXでは画面外が見切れてしまう問題がありました。
その課題を解決するために、部分的にグリーンバック撮影を採用し、全身を収めた映像制作が可能となりました。
ただし、小道具の金属部が背景の緑を反射してしまい、クロマキー合成の際に一緒に消えてしまう現象や、照明が天井からの白い照明のみになってしまうため照明演出ができません。そのため、一部ポストプロダクションの段階で調整する必要がありました。
グリーンバック撮影、刃物などにグリーンがなるべく反射しないように照明を工夫
ポストプロダクションでの調整をし、グリーンの反射などを無くす
【背景映像・セット制作】
背景映像は「Unreal Engine 5」を使用して作成し、弊社でも代理店を行なっている「Pixotope」を使用しLEDディスプレイに投影しています。
背景映像は、鍛錬のシーンと決闘のシーンの2種類を用意しました。
1. 鍛錬のシーン
道場風のアセットをベースに、全方位の作りこみを行い、青白いライティングを施して夜の静かな雰囲気を演出しています。
天井照明と合わせるために青白いライティング
2. 決闘のシーン
鍛錬のシーンと同じデータを複製し、炎のエフェクトや倒れた柱等を追加して室内が燃え広がっているような荒れた状態を表現しています。
単にUE内で炎のエフェクトを追加するだけでは現実のスタジオ内の証明と違和感が出てしまいます。そのため、「Point Light」を使用してシーン内の明るさや色味を調整しています。
Point Lightの配置
【照明・ライティング】
スタジオ内の照明は、四方に赤と黄色のチューブライトを配置し、点滅効果を加えることで、全方位から炎に照らされているような雰囲気を演出しています。当初、天井に吊るした照明をDMX信号で点滅させようとしましたが、単純なON/OFFのみになり無機質な印象になりました。そのため、床にT字に組んだ照明を設置し、明るさがフェードで変化するエフェクトを採用しました。
こうすることで、床から炎が不規則に揺らめくような効果を生み出しています。
In-camera VFXでは撮影の段階で照明を赤く照らすことで小道具へのリアルな反射を実現
小道具に使用している武器は、照明の光を反射しやすく、In-Camra VFXならではの光と影の見え方を活かしています。グリーンバック撮影では照明をフラットにしがちですが、刀や苦無の輝きと陰影のコントラストをより自然に表現できています。
これらの説明を踏まえて、改めて完成品をご覧ください!
https://www.youtube.com/watch?v=y6C6DAaRcFc
【まとめ】
既存の映画タイトルを再現した映像なども社内で共有されていますが、そちらも完成度と再現度がかなり高いのですが、さすがに外部に公開できないのが残念です…
しかし、カディンチェではこれらの検証を実施していくことでIn-Camera VFXでクオリティの高い映像を実現するコツやノウハウなどが確実に蓄積しているように思います。
他にもカディンチェで撮影協力した映像の一つにtofubeatsさんのMVなどもあります。
https://www.youtube.com/watch?v=Z3FXEjKp1oE
カディンチェでは今後もバーチャルプロダクションの検証を続けていきます!