創業の背景
カディンチェ株式会社は、2008年8月8日に青木崇行と内田和隆によって設立されました。二人はソニーの研究所で画像信号処理や映像技術に携わっていた専門家で、その豊富な経験を活かして新しいビジネスに挑戦することになりました。
今回は創業から17年続くカディンチェの歴史を紐解く際に「カディンチェは360度コンテンツから始まった」という言葉を頼りに少しずつ紐解いてみます。
目次
- 創業の背景
- 【3Dモデリングからの出発】
- 【転機:「PanoPlaza」の誕生】
- 【パノラマ動画の時代へ】
- 「PanoPlaza Movie」の開発
- 【多岐にわたる実績】
- スポーツ・エンタメ分野
- 企業・メディア分野
- まとめ
【3Dモデリングからの出発】
創業当初、カディンチェは室内空間の3Dモデリングサービスの事業化を目指していました。建物の写真を多数撮影し、レーザースキャナで得た3D形状と組み合わせて3D CGを作成するという、2008年当時としては画期的なアプローチでした。
https://www.youtube.com/watch?v=aRzOn4D3OwM
https://www.youtube.com/watch?v=ou73fUpe36o
不動産の物件案内などへの応用を想定していましたが、思わぬ壁にぶつかることになります。この3Dモデリング作業の自動化は7割に留まり、残りの3割は手作業が必要だったため、コストと時間がかかるという課題に直面しました。しかし、この挫折が次なる飛躍のきっかけとなりました。
【転機:「PanoPlaza」の誕生】
課題を克服するため、3D情報を排し、2次元写真のみで構成されるパノラマ写真を自動生成するソフトウェアへと開発の焦点を移しました。このサービスは「PanoPlaza」と名付けられ、当初は苦労もありましたが、生活雑貨店「MINIPLA」の銀座店でバーチャルショップとして採用されたことで大きな転機を迎えました。この成功を契機に、伊勢丹、東急、大丸、近鉄、西武などの百貨店やニッセンといった小売店へも「PanoPlaza」の導入が広がり、同社の技術が多様な分野で活用できることが証明されました。
東京・丸の内の書店「丸善」の中にある「松丸本舗」の店内のパノラマ写真~ https://markezine.jp/article/detail/14169 より
【パノラマ動画の時代へ】
2012年頃、「パノラマ動画の時代」が到来し、カディンチェはこの変化を好機と捉えました。ソニーで培った映像処理技術と大学で学んだネットワーク技術を最大限に活かし、パノラマ動画コンテンツの制作とウェブ配信プラットフォームの提供にいち早く対応しました。
「PanoPlaza Movie」の開発
その結果、2014年12月には360度パノラマ動画共有サービス「PanoPlaza Movie」を開発・運用開始しました。
立体動画を撮影する機材 ~ https://j-net21.smrj.go.jp/special/entrepreneur/19.html より
このサービスは、ユーザーが撮影・作成した360度全方位ビデオをクラウドにアップロードし、マウスやタッチ操作で自由に視点を変えて視聴・共有できる画期的なものでした。従来の動画サービスが抱えていたパノラマ動画の回転表示や容量制限といった問題を解決しています。
https://www.youtube.com/watch?v=XI2f4Aagz9c
【多岐にわたる実績】
カディンチェはこうした360度動画技術を基盤として、多岐にわたる分野で革新的なプロジェクトを手掛けてきました。主な事例をご紹介します。
スポーツ・エンタメ分野
- スポーツVR:為末大氏の協力を得て、アスリートの視点から競技を体験できるコンテンツを制作し、「VRクリエイティブアワード2015」で優秀賞を受賞。「ボブスレー」と「ビーチバレー」の撮影を実施しました。
VR CREATIVE AWARD 2015 ~ https://xrc.or.jp/html/archives/award/award2015.html より
- 東京マラソン2016の360度ライブ中継:ジョセフの東京マラソン2016にれウェアラブルカメラと独自の配信システムを組み合わせ、屋外からの360度パノラマライブストリーミングに協力しました。
https://www.youtube.com/watch?v=UqxfIc2yeDU
- 東京スカイツリーVR:ゴンドラからの清掃体験や、朝・夕・夜のタイムラプス映像をVRで体験できるアプリを開発しました。
https://www.youtube.com/watch?v=5aWH2VqfBfM
企業・メディア分野
- ジャガー・ランドローバーのバーチャルドライブ:錦織圭選手との同乗体験など、VRを用いた試乗体験コンテンツを制作しました
https://www.youtube.com/watch?v=h9sTXocvp7E
- NHK VR News:ニュースや番組のVRコンテンツ制作に協力し、ポータルサイトのリニューアルも担当しました。
- 「My 8K」On Demand:NHKエンタープライズ、アストロデザインと共同で、スマートフォンやタブレット向けに8Kの高精細映像をストリーミング配信するシステムを開発しました。
まとめ
カディンチェは3Dモデリングから始まり、パノラマ写真、そして360度動画へと事業の軸を広げ、常に革新的な空間表現技術とユーザー体験の追求に挑み続けています。創業から17年以上を経た現在も、XR技術の最前線で新しい価値創造に取り組み、様々な分野で「驚き」を提供し続けていくことを目標としていきます。