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J・GripのデザイナーT氏が、新人デザイナーの教育係として人材育成を語る

J・Gripの新人デザイナー育成を担当しているクリエイティブ事業部のT氏。

J・Gripには実務経験のない状態で入社して活躍しているデザイナーが多く在籍しており、彼女自身も入社当初は彼らと同様であった。T氏は、前回インタビューしたW氏をはじめとする、先輩デザイナーによって育成され、一人前に成長した。

経験ゼロからデザイナー人生をスタートさせたT氏が、今では人材育成を務めるまでに至ったのは、先輩方の支えや、T氏自身が努力した結果である。加えて、J・Grip自体の「努力が報われる評価制度」も、理由に挙げられる。

世の中には、どれだけ努力しても、どれだけ成果を上げても、正しく評価されずに歯がゆい思いをしているデザイナーもいるだろう。実際、正当な評価をしない会社にいることに辟易として転職を決意したプランニング部のY氏は、J・Gripに入社してたったの数年で部署のサブリーダーを務めるまでに至っている。

J・Gripで成長したT氏が、「デザイナーが一人前になるために必要だと感じること」とは、いったい何だろう?

成長を期待できる新人の特徴や、部署が部員の成長をサポートするために実施していることなど、T氏にインタビューした内容を記録していく。

成長を期待できる新人の特徴

Q.突然ですが、「この子は伸びる!」と、今後の成長に期待できる新人には、どのような特徴がありますか?

『基本的なことさえできていれば、その人の努力次第でいくらでも伸びると思っています。私自身もまっさらな状態でスタートしましたので、入社直後の彼らの実力が足りていないことや、それに対する彼らの不安な気持ちもよく分かります。分かるからこそ、デザインが好きなら自力でもとことん突き詰められるはず、と思っているんです。』

――

「好き」という気持ちがスキルアップのために非常に大切だということは、前回のインタビューでW氏も強く述べていた。

Q.“基本的なこと”とは何でしょうか。

『デザインの業務に限らず、伝えられたことや指示しされたことをちゃんと理解して、その通り実践できることですね。一度では理解できなかったとしても、私や上長などに質問して、疑問を解消できる力があれば問題ないと思っています。そしてデザインを好きな気持ちさえあれば、きっとデザイナーとしてぐんぐん伸びていきますよ。』

――

実力・経験が足りていない状態で実務につくというのは、デザイナーに限らず、ほぼすべての人間が体験していることである。しかし、中には人間が、自分が“ゼロ”だった頃を忘れ、棚に上げてしまう人もいる。

T氏は自分自身が、先輩デザイナーに指導されてきた過去を決して忘れていないからこそ、このように述べたのだろう。

「好き」という気持ちと、「基本的なこと」ができていれば、J・Gripは努力次第で自分をどんどん伸ばしていける場所なのである。

新人の成長をサポートすることの難しさ

Q.人材育成において難しいと感じることを教えてください。

『一言で言うと、伝え方ですね。

スキルや経験によって理解力のレベルは違って当然ですので、例えばAさんに対しては全体の2割を伝えれば十分なところを、B君に対しては1から10まで正確に伝えなければいけない場面があります。

相手の理解度に合わせて伝えることが、人材育成において大切かつ難しいことだと実感していますので、デザイナーがターゲットの目線に立ってデザインをするのと同様に、新人育成においても、それぞれの目線に立って伝えることを心がけています。』

Q.新人デザイナーにおける理解力の差を如実に感じるのはどのような時ですか?

『新人デザイナーの作るデザインを見た時ですね。

私たちは日頃から「ターゲット目線に立ち、根拠のあるデザインをする」ことを徹底するように指導しています。しかし、新人デザイナーの作るデザインを見ると、その意味の理解度・理解力に差があるなぁと感じます。』

Q.「根拠のあるデザインをする」とは?

『フォントの種類や配色などすべての処理について、「ターゲットのペルソナが〇〇だからここの処理は△△にした」など、理由を説明できるデザインであるか?ということです。

理由がなければ、クライアントからデザインについて質問されたときに答えられませんし、納得してもらうこともできませんよね。

最初は、根拠となるペルソナが間違っていても、アウトプットしたデザインがペルソナに対して成立していなくても構いません。大事なのは、その思考回路を身につけることです。

どれほど早く身に付けられるかが、理解力によって差が出るところと感じています。

「ターゲット目線に立ち、根拠のあるデザインをする」という言葉を理解して、最初からその通りにデザインを進めることのできる新人Aさんもいれば、「なんとなくこれがかっこいいと思ったから」、「こっちが好みだから」など、主観や感覚でデザインをしてしまう新人B君もいます。感覚に頼っていては、根拠のないデザインになってしまうでしょう。』



Q.「根拠のないデザイン」は、なぜよくないのでしょう?

『失敗を繰り返すから、成功を再現できないから、という2つの理由からです。

たとえ、AさんとB君のデザインがどちらも結果的に失敗していたとしても、その失敗から得られるものは、雲泥の差があります。

なぜなら、Aさんは根拠があるので失敗の理由が分かり、繰り返さないようにすることが出来ますが、B君は根拠がないので失敗の理由が分からず、同じ失敗を繰り返す可能性が高くなるからです。

逆もあって、そのデザインが成功した場合、Aさんは根拠があるため次も同じように成功する可能性が高いですが、B君のように根拠がない場合、次も成功できるとは言い難いでしょう。』

クリエイティブ事業部の定例MTG「デザインディスカッション」について

クリエイティブ事業部では定期的に「デザインディスカッション」というミーティングが実施されている。何を目的に、どのようなディスカッションを行っているのだろう。

Q.デザインディスカッションの内容を教えてください。

『お題に沿ったクリエイティブ(バナーやLP)を1点選び、選んだ理由を言葉にして説明してメンバーと共有するディスカッションです。』

※LP…Landing Pageの略。検索結果や広告をクリックすることでユーザーが最初にアクセスするページのこと(Landing=着地)。

Q.具体的に、どのようなディスカッションをされているんですか?

『例えば、お題として「化粧品LP」というカテゴリが指定されたとします。私たちは数ある化粧品LPをリサーチして、各自で定めたペルソナに対してデザインが成立しているLPを1点選びます。そして、なぜ成立していると思ったのか、という根拠を言葉で説明する練習をしています。』

Q.つまりディスカッションの目的とは、デザインの根拠を説明する技術を身につける、ということでしょうか。

『おっしゃる通りですね。様々なデザインをインプットすることももちろん目的の一つですが、デザインの根拠を言語化することが一番の目的です。理由は、クライアントにデザインの根拠を説明するため。そして、「根拠のないデザイン」をなくすためです。』

新人育成におけるデザインディスカッションの重要性

Q.デザインディスカッションは、新人育成のために続けていきたいですか?

『ぜひ続けていきたいと思いますね。

実務経験のない人は特に、デザインに意味を持たせたり理由を言語化したりすることに慣れていません。日々の業務に早く慣れてもらうためにも、ディスカッションの時間は重要だと思います。

また、カテゴリを指定されることで、自分の苦手分野に踏み込む機会を与えられるので、自分のキャパシティをどんどん広げていけるチャンスです。

私自身、以前は明朝体やギラギラした色合いの「ザ・LP」というような典型的なLPは苦手で、均衡のとれたすっきりとしたデザインが好きでした。しかし、デザインディスカッションを重ねるうちに、そのような苦手な部類のLPにも抵抗がなくなって、かえって「面白い」と感じることも増えていき、クライアントの要望やターゲットのペルソナに合わせて対応できるようになりました。

このように、デザインディスカッションの恩恵を一番受けたといっても過言ではない私が言うので、このディスカッションがとても有意義なことは間違いないです。新人の皆さんには、ぜひデザインディスカッションに真剣に参加していただきたいです。もちろん、ディスカッションの時間以外でも、自主的にいろんなデザインを見て根拠の仮説を文字で書き起こすなど、言語化する練習をしてみてほしいと思いますね。』

デザインディスカッションがキャリアに及ぼす影響とは

前項でT氏は「デザインディスカッションの恩恵を一番受けたといっても過言ではない」と述べたが、キャリアパスにおいても影響があったのだろうか。

Q.デザインディスカッションはご自身のデザイナーとしてのキャリアにどのように影響していますか?

『新人や外注先のデザイナー等に対するディレクションが、以前より伝わりやすくなったと[J4] 自分でも感じています。デザインにおける根拠をたくさんインプットして、なおかつそれを言葉としてアウトプットする練習を繰り返したことで、以前よりも具体的で明確な指示をできるようになったと思います。

今後はディレクションをする機会もますます増えていくと予想しています。これからもデザインディスカッションの経験が役に立つと思いますね。』[J5]

新人デザイナー、入社後の最優先ToDoとは

Q入社後、新人デザイナーに努力してほしいことは何でしょう?

『インプットとアウトプットの繰り返しですね。オンライン上のクリエイティブだけでなく、雑誌、看板、ポスターなど街中にあふれるデザインを見て、デザインにおける根拠をしっかりインプットしてほしいです。そしてインプットしたものを実際にデザインとしてアウトプットしてみる、ということを繰り返すことで、根拠をもとにデザインするという思考を身に着けてほしいですね。

バナー一つにおいても、色んなデザインを見て自分なりに根拠を考えがら作ったのか、なんとなくかっこよく見えるからと感覚的に作ったのか、出来上がったものを見れば一目瞭然です。

クライアントを納得させられるのは、当然ながら前者です。

入社したことだけに満足せず、インプットとアウトプットを繰り返し、スキのないデザイナーとして成長してほしいと思っています。』

ーー

今回はクリエイティブ事業部の部長W氏と、新人育成を担うT氏に2回に分けてインタビューした。

なぜデザインを始めたのか、それは「好きだから」だったに違いない。J・GripのデザイナーであるW氏もT氏も、ただそれを忘れてほしくないのだ。

しかし、J・Gripのデザイナーとして働くのであれば、仕事としてデザインをするという自覚が必要である。クライアントが存在し、そのターゲットに刺さるクリエイティブを作らなければならない。ただ自分がかっこいいと思うものを作るのであれば、それは仕事ではなく趣味だろう。

そして、デザインを趣味から仕事へ昇華するために大切なのが「根拠」なのだ。

T氏が今回のインタビューで何度も述べ、J・Grip田浦社長のインタビューにおいても核となっている「根拠を伴う行動」こそが、仕事の質を高めるのである。

好きだから極める。そうやって得た技術やアイデアの引き出しは、やみくもに使うのではなく、人を納得させられる根拠を持って活用する。

この行動と思考のプロセスが最も重要であることが改めて分かった、今回のインタビューであった。

「実務経験はないがデザイナーになりたい。」

「今の仕事ではデザイナーとして満足できない。」

そんな風に思っているデザイナーは、ぜひJ・Gripに応募してほしい。

自分の努力次第で、デザイナーとしてのキャパシティと市場価値を何倍にも増幅させられる環境が、J・Gripにはあるのだ。

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