2019年から福島県矢祭町で地域おこし協力隊の受け入れ体制構築・採用支援と、着任後の研修や伴走支援に関わらせていただいています。
こちらの記事では、2024年1月23日から25日で実施した「地域おこし協力隊インターン」の様子をレポートしていきます。
矢祭町では2年前から「本を通じた町づくりコーディネーター」として地域おこし協力隊が着任し、活動をしています。これまで隊員たちが積み重ねてきた取り組みがたくさんあり、それらをベースに新たに活動を行う仲間を募集しました。
▼募集がこちら
こちらの募集に興味を持ってくださった方を対象にインターンを実施しました。
矢祭町で起きている「本を通じた町づくり」の取り組みを体感しながら町のことを知り、協力隊活動のイメージが湧くプログラムを企画しました。
まずはオリエンテーション
まずはオリエンテーションです。
このインターンシップの目的や、地域おこし協力隊制度についてのインプットを行いました。
そして先輩隊員も交えて、LEGO®SERIOUS PLAY®メソッドを活用しながら自己紹介をしたり、読書の町のイメージを膨らまして自分の考えを共有し合いました。
そしていよいよ、まちに出て取材を行います。
まずは活動拠点のひとつの「矢祭もったいな図書館」の見学です。
「矢祭もったいない図書館」は、全国からの寄贈図書により開館したユニークな図書館です。
平成19年の開館以来「矢祭子ども司書講座」や「手づくり絵本コンクール」などの取り組みを通じて、多くの町民に利用されてきました。
しかし近年は少しずつ利用者も減り始め、新しいチャレンジが必要だと感じるようになっていました。
そういった背景もあり、2021年(令和3年)に地域おこし協力隊が着任して「地域住民と共に考える図書館のロゴデザインプロジェクト」や「地域の事業者と連携した本のコラボワークショップ」、「中学校の部活動として”としょ部”の新設」など多くの新しい挑戦を生み出してきました。
ここからは、「本のコラボワークショップ」をはじめ、協力隊と連携して活動をしているみなさんの取材です。
おひとりめは町のみなさんに親しまれて、こだわりの珈琲を淹れてくださる珈琲香坊の長谷川さんにお話を伺いました。
もったいない図書館と珈琲香坊のコラボ企画として「本を片手に珈琲旅行」というテーマでイベントを行いました。
矢祭町の喫茶店、珈琲香坊の店主・長谷川さんの世界各国のコーヒー豆産地を巡った旅行記を伺いながら、旅先で出会ったコーヒーを味わいます。試飲した感想や味わいをレビューして、自分だけの珈琲パスポートを作りましょう!
最後は特製ケーキと共にスペシャルブレンドを飲みながらコーヒーにまつわる本を紹介します。
instagram投稿より
長谷川さんご自身のことをはじめ、イベントや町についてなど。珈琲をいただきながらお話を伺いました。
次に、矢祭小学校に移動して「としょ部」の皆さんのお話を伺いました。
としょ部の皆さん
”としょ部”は、本や読書を通じて、まちに対する「もっとこうなったらいいのにな」を形にしていく活動をしています。
協力隊の大羽さんが担当して、毎週金曜日に活動しています。
「近くのTSUTAYAがつぶれてしまって、本屋へ行くとすると、白河や棚倉に出ないといけないんです」
部員のひとりがそう言いました。本が大好きな部員たちが、本を通じて自分たちが欲しいまちをつくるために日々活動しています。
▼活動の一部がこちら
夜には矢祭町の初代・地域おこし協力隊が任期を終えて独立してつくった「あつまり処 あおちゃんち」で懇親会をして、1日目が終了です。
2日目も矢祭町で起きている「本を通じたまちづくり」の軌跡をたどっていきます。
今まさに協力隊たちが、町ぐるみで取り組んでいるのが「本の交換スタンド」です。設置してある場所を巡っていきました。
▼本の交換スタンドとは
矢祭町で本の物々交換ができるスタンド、町内11ヶ所からはじまります。
9月より町内外どなたでも、自由に読み終えた本の交換ができるスタンドが始まります。
ご自宅で読み終えた本を持ってきたり、スタンドから気になる本を持ち帰ったりしてOK。
(中略)
これまで町内のイベント限定で出展していたスタンドですが、
お子さんの読まなくなった本をお持ちいただいたり、
気になる新作の小説をお持ち帰りいただいて、
また別の機会に持ってきていただいたりなど、
それぞれの楽しみ方でご利用いただいてきました。
これからはいつでも、どこでも、町内でご利用いただけます。
設置スポットにお立ち寄りの際はぜひご利用ください。
instagramより「本の交換スタンド」の紹介を抜粋
町内11ヶ所の協力を得て、行なっている本の交換スタンド。まずはホームショップ「そうだ商店」で見せていただきました。
お酒などを売っているなかで、お店の真ん中に設置されています。
本は木箱に入っています。これは協力隊員のこだわりの、りんご箱だそうです。
設置している場所によって入っているものに違いがあるので、それを見つけるのも楽しみ方の一つです。
なんと、白河信用金庫にも設置されています!
信用金庫には多様な町民の方々が来るので、なかなか図書館に足を運ばない人の目にも触れる機会になっているそうです。
こちらは木箱ではなく、周りの本棚に合わせたラックになって場に溶け込んでいます。
そして「丸安魚店」へ。お魚屋さんと飲食店をされているお店なので、タイトルに食べ物やお酒が入ってる本を中心に置いてありました。
そこから人の手に渡り、巡り巡ってオリジナルなブックスタンドになっています。
お魚を捌いているのを待つ時間に、ちょっと手に取ってみるお客さんもいらっしゃって「本当に持って行っちゃって良いの?」と驚かれるそうです。そこで持って帰られて、後日、新しい本を持ってきて……と、どんどん循環していきます。
本の交換スタンドの本は、人とのつながりを感じることができるという声もあるそうです。
自分が読みたい本と、自分が誰かに読んで欲しい本の交換。これらが矢祭町の至る所で行われ、ゆるやかでやさしいつながりを生んでいます。
丸安魚店さんには取材もさせていただきました。
町にはスーパーもあるなかで、お魚を買うためにお店に来てもらうには少なからずハードルがあります。町民のみなさんに身近に感じてもらい、足を運びたいと思ってもらえるお店にするには?を日々考え、さまざまな実践をされています。
その一つのアクションとして、協力隊とのコラボ企画を実施。中学生を対象にして、レシピ本とお魚を題材にしたワークショップを行いました。
図書館で料理の本からレシピを探し、自分たちなりにアレンジした新メニューを考え、場所をうつして調理・試食まで行うという内容です。丸安魚店さんにはカツオのお話やレシピのアドバイスをもらい、さらにカツオ丸ごと一匹を目の前で捌いていただいたそうです。
お互いの得意なことを活かした、持続可能なコラボレーション。
丸安魚店さんにとっては、図書館を利用しているけれど丸安魚店を利用していない人もいるので、これまで出会っていない人とつながれる機会だと思った、とのことです。
そしてまた、場所を図書館にうつします。
子どもから高齢者までに読み聞かせのボランティアをしている「手のひらの会」の郡司さんのお話を伺いました。
最初に絵本を読んでいただき、その表現と迫力にみんな引き込まれていきました。
これまでの活動の経緯のお話や、活動を通じて起きた変化を中心にお話を伺いました。
そして、矢祭中学校へ。
矢祭中学校での新しい取り組み「家読キャラバンカー」の第一回目に立ち会うことができました。
お家で家族で読む本の貸し出しを、図書館が中学校の体育館に赴いて行います。台の上に、図書館のみなさんが選んだ本の表紙が並びます。
台によってテーマが違うものが集められています。
いつもと違う、本当の出会い方。
中学生たちみんな笑顔で、とても楽しそうに本を選んでいました。
図書館の皆さんの、本を身近に感じてもらう工夫や取り組みの数の多さを体感する時間となりました。
そして、「はるかぜ農園」へ。こちらは地域おこし協力隊の卒業生が独立してつくった葡萄畑です。
協力隊としての経験や、独立にいたるまでの現場感満載のお話を伺いました。
現役の協力隊の隊員たちからお話を伺います。
JR東館駅の駅舎を活用してつくった場「ヒガシダテ待会室」にて座談会。
本を通じた町づくり以外では「場づくり」「特産品開発」「文化財振興」「スポーツ」など、さまざまなミッションを担っています。
参加者の方々は暮らしのこと、活動のことなど。気になることをどんどん聞いていきました。話が止まりません。
「実際に暮らしのイメージが湧いて安心した」、「先輩がいて心強い」、などのコメントもありました。
最後に、これまで話を聞いてきたこと、町て体感してきたことをもとに、自分が矢祭町で本を通じた町づくりコーディネーターとして活動するとしたらを考えて、活動計画を立てていきます。
翌日も考える時間をつくり、執行部へ発表を行います。
2泊3日で実施したインターンシップ。矢祭町で起きている「本を通じた町づくり」の取り組みを体感しながら町のことを知り、協力隊活動をイメージしてもらう時間となりました。
▼参考記事
地域おこし協力隊募集・伴走支援地域おこし協力隊は平成21年度に開始され、令和4年度の取組団体数(受入自治体数)は1,118団体。合計で6,447名の隊員irodori-group.jp
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