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冗長率がおダシの決めて

言葉:吉田誠吾(@hi-seigo

2021年10月から、兵庫県豊岡市にインビジョン事業所を開設して兵庫⇆東京をうろちょろしている年末。戦略人事のマコちゃんから、コラムを依頼されるも、なかなか筆がすすまない。毎週火曜日16:00の鬼門委員会、「セイゴさん、コラムお願いします」と純粋な瞳でマコちゃんに言われる度に、罪悪感に押しつぶされそうになるが、押しつぶされることはまずない。


ただ、社内では「なにをやり切って、年越しするか?」をメンバーに宣言してもらっている手前、自分だけタスクをはずしまくっていたら、執行力というコトバが、ガラガラと崩れ落ちていく。さながら、日曜劇場「日本沈没」の最終話のように。自分は決して小栗旬でもなければ、杏、香川照之でもない。「は?そりゃそうだろ」、レモンサワー2杯めに突入したほろ酔いの自分が、心の中で突っ込んだ。

えっ?このコラムのタイトルって「冗長率がおダシの決めて」ですよね?ここまでの2段落っていります?無駄じゃないですか?(なんかベタで恐縮です)

冗長率とは無駄という意味なんです


この冗長率というコトバ、平田オリザさんの講談社現代新書「わかりあえないことから」の106ページに出てくるんですけど、「いや〜、面白い」と東海道新幹線の椅子を、思わず座り直した記憶があります。豊岡市に2021年4月新設された芸術文化観光専門職大学、先日、縁あってうかがう機会があり、その学長の平田オリザさんを知ろうとしたのがきっかけで、この本と出会いました。

戻ります。冗長率とは一つの文章や発話の中に、どれくらい意味伝達と関係のない無駄な言葉が含まれているか、を数値で表したものだ、と定義している。よく耳にするコトバでいうと、無駄、ノイズに近いニュアンス。

冗長率=無駄な動きが演技力の決め手


人間は何かの行為をするときに必ず無駄な動きがはいる。例えば、コップをつかもうとするときに、最初からコップを掴むのではなく、手前で躊躇したり、一呼吸置いたりといった行為が挿入されるんですって。この無駄な動きを、認知心理学の世界ではマイクロスリップと呼ぶそうです。

このわれらが人間のマイクロスリップ、ロボットで再現するのが難しいみたいなんです。マイクロスリップってなんか言いたくなっちゃうパワーワードだし、ロボットもでてくるくだり、個人的にはすごくロマンを感じちゃいます。

「あの俳優の演技がうまい、へた」と感じる要素の1つに、この無駄な動きの挿入の度合い(量とタイミング)があるみたいなんです。日曜劇場「日本沈没」の最終話も、小栗旬さん、杏さん、香川照之さんのマイクロスリップに注目してみちゃってました。

冗長率のコントロールがコミュニケーションのコツ


感動するレベルにコミュニケーションスキルのある人に稀に出会うけど、話す相手のレベル、状況に合わせて冗長率を短くしたり、長くしたり、コントロールをナチュラルにやってのける人なんだろうなと。平田オリザさんの本に出会って、コミュニケーションスキルの解像度をアップデートできました。

例をあげると、明らかに2軒目、お腹空いてる気配がなく、飲むモードのお客さんに、「今日のオススメです!」と、こちらの状況をうかがうこともなく、マニュアル通り説明して、ガッツリ食事をすすめてくる店員さんっていますよね。それよりも相手の状況(コンテクスト)を想像、察知できる人って素敵じゃないですか?

先日、出張先から帰宅途中、スーツケースをゴロゴロしながら、夜10時ごろ、中華料理屋さんでおそめの夕飯。お会計をしてお店を出ようとしたその時、「お疲れさまでした〜」と店主が声をかけてくれたんです。普段は「ありがとうございました!」のところを、スーツケースをみて、「出張いってきたんだろうなぁ〜」と自分のコンテクストを感じとってくれたんだと思います。

こういうことなんですよね、サービス業って。中華料理屋さんの店主から、心温まるおダシと学びを、いただきました。

おダシの宿敵は、ちゃんとしなさいバイアス


コラム冒頭、鬼門委員会というキーワード。なんじゃそりゃ?って感じだと思いますが、徳川家康は江戸の都市整備に風水を取り入れたといます。邪気が入ってこないように、鬼門には寛永寺を置き、裏鬼門には増上寺を置いています。インビジョンではこの邪気を義憤=狂育連鎖(ちゃんとしなさいバイアス)と捉えて、インビジョン世界観が入っていない、つまり冗長率ゼロのちゃんとしちゃっているコンテンツ、これをアク取りする委員会=鬼門委員会を設置しています。

ちなみに、出張のお供として自分が持ち歩いている御朱印帳は増上寺のものなんです。知らんけど。

冗長率がおダシの決めて


そろそろまとめに入りますね。インビジョンでは「おダシ求人原稿書き方セミナー」を定期的に開催、ご好評をいただいております。参加してくださる人事の皆さんが、求人手法=外側、よりも求人原稿=内側が大事だ、つまり、私たちの言葉でいうおダシの重要性に、ジワジワ気づきはじめているんだと、今のところ都合よく解釈しちゃっています。

鬼門委員会では、コンテンツにおダシが出ているか?出ていないか?の判断基準を「書き手のらしさが出ているか?出ていないか?」をど真ん中にドーーーンと置いています。繰り返しになりますが、冗長率=無駄がコンテンツに宿っているかをコストをかけてチェックしています。国語の勉強をちゃんとしてきた私たちは、無意識にちゃんとした文章をかこうとしちゃうんです。まっさらで純粋すぎるのは考えもので、多少、不純なところに人間味がもれダシちゃう、それが人間の右脳をぐらつかせるんです。ドラマ「北の国から」の純くんが徐々に大人になっていく、あの感じと一緒かもしれません。

ここで具体的な方法を一つご紹介します。一度動画を自撮りして、テロップを一字一句書いてみましょう。すると、自分の冗長率=おダシに気づき、らしさがつかめてくると思います。気心しれた友人、同僚と自然と会話している動画がおすすめです。求人広告は、ブランディングの大切な入り口、論理的な説明だけでチームの世界観は表現できません。カーナビで目的地まで一直線、というより、ときどきルートをはずれた方が、旅行がおもしろくなったりするじゃないですか?求人広告も同じですよね。

おダシ屋インビジョンとして、生きた情報、届けます


他にも、総合失調症の原因の1つになるダブルバインドというコトバにも触れたかったですが、これは次回以降のコラムで続きを書きます。多分。

冗長率がおダシの決めて。ひとりでも多くの方に、ちょっとでも変わるきっかけになれば幸いです。

#ご機嫌な人生を
#おのおの抜かりなく

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