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「思いがあれば偶然のチャンスはやってくる」社長が語るインターゾーン創業ストーリー

群馬県のITベンチャー企業であるインターゾーン。現在は自動車整備業界を中心としたサービスを展開していますが、2000年の設立当初はまったく違う業界のビジネスから始まったといいます。

「人と同じことをやって競争してもつまらない。オリジナルのサービスを生み出して、ライバルのいない環境をつくるほうがずっと面白いですよ!」と話す鏡山健二社長に、インターゾーンの誕生秘話を聞きました。

はじまりは携帯ビジネス。ネットバブル崩壊でふくらんだ50億円の負債

──そもそもの起業のきっかけは何だったのですか?

ひとことで言うと、成り行きです(笑)。私は大学を卒業してから、出光興産という石油関連の企業で営業をしていました。5年間勤めたところで、取引先だったガソリンスタンドの社長である荻野さんに「一緒に会社をやらないか」と声をかけられたのです。

その時の私は27歳独身。何も背負っていない状態だったので、軽い気持ちで誘いに乗ったんです。1999年に荻野さんが立ち上げたのは「携帯電話の販売」を行う会社で、そこに私が1人目の社員(後に役員)として入社しました。

──どのような会社だったのでしょうか。

群馬県に本社を置いて、通信会社の総代理店をしていました。当時はいわゆるネットバブルだったので、これがものすごく売れたんです。最初は群馬、茨城、長野を担当エリアにしていたのが、そのうち東京、神奈川と関東圏を広く担当することになり、最終的には150店舗の販売店を運営していました。通信会社からの出向でどんどん新しい人が入ってきて、すごいスピードで会社が拡大して、自分でもわけがわからないような状況でした。

とはいえ所詮はバブルなので、2000年になってはじけてしまいます。メディアが手のひらを返したように通信会社を非難しだして、世間の風向きががらっと変わった。とたんに事業は赤字です。会社が大きかったぶん赤字もすぐにふくらんで、いつの間にか50億円くらいの借金ができていました。

──たった1年で、すさまじいですね……。

やくざな商売ですよ、若かったから飛び込めた(笑)。ただ当時、自分の中でまったく後悔はありませんでした。それまでの私はいわゆる「優等生」で、学生の時からずっと挫折を知らずに、勉強も仕事も要領よくやってきていました。だから出光興産という大企業を辞めて起業したのは、人生初めての「レールから外れる」体験だったのです。

毎日が忙しくてぐちゃぐちゃでしたが、IT黎明期だったからこそ知り合えた方もたくさんいて、何もかも楽しかったです。「自分で道をつくって歩く」という行為が、少しずつ当たり前のものになっていきました。

心機一転スタートした会社で続けた、新事業への試行錯誤

──借金がふくらんで、その後はどうされたのですか。

ネットバブルがはじけたとき、本来そのマイナスを背負うべきは通信会社でした。通信会社側の意向で私たちに押し付けられた50億円の借金だったので、「この借金は自分たちのものではない」という開き直りはありました。ただ、法的には倒産するリスクもあったし、そうなれば連帯保証をしている社長の荻野さんが自己破産になるという恐怖心はありました。

最終的には通信会社との交渉が整って、会社を売却することが決まりました。会社も借金も丸ごとリセットされたわけです。

その時点で、企業の会社員に戻るという選択肢もあったのかもしれません。しかし荻野さんと「明日からどうしようか」と話す中で出てきた答えは「新しい会社をつくる!」でした。それが今のインターゾーンです。



──設立当初はどんなビジネスをされていたのでしょうか。

ちょうど前の会社で新たな部署として「IT事業部」を立ち上げようとしていたところだったので、その事業内容をインターゾーンのビジネスにスライドしました。「お客様の携帯電話のメールアドレスを集めて、一斉に広告メールを配信する」というサービスです。

その時代は「メール配信事業」は存在していましたが、モバイル向けがメインのものはありませんでした。携帯電話が爆発的に普及している時期で、何より私たちが持っていた携帯ビジネスの知見やデータがそのまま生かせます。やるしかないと思いました。IT事業部に配属するはずだったメンバー3人と、荻野さんと私の5人で、2000年8月にインターゾーンの事業がスタートしました。

──新サービスを始めて、事業はうまくいったのですか。

いや、うまくいくわけがないんです(笑)。顧客も売り上げもない状態で5人のスタッフを抱えているのですから。広告主を得るために、群馬の商店街を片っ端から飛び込み営業してまわっていました。さらに、営業しながら新しいサービスのアイデアを出してはチャレンジして、またコストがかさんで……。設立してから2年間は赤字が続きました。

私にとってありがたかったのは、荻野さんの存在です。経営が軌道に乗らない中でも私のアイデアを全面的に信頼して、銀行借入の連帯保証をしてくれていました。荻野さんがいなければ途中で会社をたたむしかなかったでしょう。そして、ビジネスを続けているといろんな偶然が重なるものです。設立して2年目の時、チャンスがやってきました。

「オリジナルを作りたい」思いが出会いを引き寄せる

──インターゾーンにとっての転機は何だったのでしょうか。

新事業の展開です。今までのビジネスモデルには限界を感じていましたが、メールビジネスそのものを「運用」するノウハウは十分たまっている。そこで、企業とお客様がやりとりをするツールとしてメールを使い、その運用を私たちが代行するというサービスに切り替えました。

最初の顧客はゴルフ場でした。ゴルフクラブのお客様に向けて発送していたご案内のハガキをメールに変えないかとご提案しました。ハガキはコストがかかるので3カ月に1度しか送れなかったとしても、メールなら毎週でも送れます。私たちがメールの文章を書いて送信し、お客様からの返信にも対応する。そういった新しいシステムを構築したのです。

──現在のインターゾーンのBPO事業の土台ですね。

ここでまた偶然がやってきました。ちょうどその頃、出光興産の元先輩から「ガソリンスタンドがフルサービスからセルフに切り替えるにあたって、お客様とのコミュニケーションがとりにくくなって困っている」という相談を受けたのです。そこで私たちがサポートしてメールサービスを始めてみたら、あっという間に2000人以上のメール会員が集まった。ビジネス大成功です。ガソリンスタンド向けにサービスを展開して、3期目には黒字に転換しました。

それから会社の経営はどんどん上向きになっていきました。現在インターゾーンは8年連続で売上増加中で、年間の売上高は8億5千万円です。

──成功のポイントは何だったのでしょうか。

いきなり成功したのではなく、数多くのアイデアを実行してはことごとく失敗していて、その中の1つがたまたまうまくいったというだけです。また、一度成功したからといってそれだけをずっと続けているわけではありません。10年前には全体の売上の90%以上を占めていたメール事業の売上は、今では1%以下になりました。現在、車検業界をターゲットにしたコールセンターやウェブサイト制作など、その後新しく始めた事業がさらに大きく成長しています。

創業から今年で19年が経ちました。私自身の仕事に対するずっと変わらないスタンスは、「オリジナルを作る」ということ。私たちが提供するサービスはすべて、何かのマネをして作られたのではありません。「よその会社が儲かっているから同じことをする」のではなく、事業の始まりはクライアント様からのご相談がきっかけだったり、世の中の流れの変化から生まれたアイデアだったりする。現在の主力事業であるクラウドサービスの「gNOTE」がまさにそうで、こんなサービスは今までの車検業界にはありませんでした。



──社長の精神は、インターゾーンのメンバーの働き方にも影響していると思われますか。

インターゾーンでは仕事をする上で「こういう風にやりなさい」と上から細かく指示されることはほとんどありません。自分で決めて、自分で動かないといけない。これが私の影響なのかは正直わかりませんが、自然とそんなカルチャーになっていました。合う人もいれば苦労する人もいて、それでいいと思います。

他人と同じことをやって「勝った、負けた」と競い合うより、自分の力で新しいものを生んで「よくこんなものを作ったね!」と周りに言われるほうが、私にとってはずっと面白い。組織にしろ、働き方にしろ、提供するサービスにしろ、オリジナリティを持って世の中に価値あるものを届けたいという思いを持ち続けていたら、そのうち偶然の出会いが訪れてチャンスにつながります。だから結局全部は「成り行き」でいいのです。そういうものを今後も追い求めて、インターゾーンのメンバーと一緒に自分も成長を続けていきたいと考えています。

「チャンスは自分で作りたい」と思えるあなた、一緒に働きましょう!

自律性を持って働くメンバーが集まるインターゾーンでは、立場や肩書きにかかわらず、それぞれが自分なりの働き方の中で挑戦を続けています。現在、複数の職種にて共に働く仲間を募集中! 少しでも興味を持ってくださった方、まずは一度気軽にお話ししましょう!

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