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私たちは何のために一つの会社に集まるのか。コロナ禍で考えた新しい働き方

※この記事は2020年に公開されたものです。

「平時」そのものが変わった

インフォバーングループの事業戦略部門マネージャーの大川です。

昨年の今頃、2020年は「オリンピックイヤーだから、賑やかで、街に人があふれるんだろうなぁ」とぼんやり勝手に思っていました。・・・・・・が、それから半年経たずに状況は一変し、街からは人が消え、「賑やか」とは程遠い(ある意味では騒がしくはなりましたが)事態に。世界規模での新型コロナウイルス感染拡大によって、ビジネスはもちろん、私たちのライフスタイルそのものも大きく変容しました。しかもウイルス自体が消えてなくなるわけではない以上、以前と同じ環境に戻ることはないと言われています。

緊急事態宣言は解除されたものの、今もなお感染者は増え、油断できない状況が続いていますが、2020年7月を迎えるにあたって、インフォバーングループでは、今後私たちがどのような働き方を選択していくのか、という方針を出しました。

※リリースページはこちら:株式会社インフォバーン株式会社メディアジーン

なぜ、いまこの方針を出したのか。そこには、「平時」そのものの在り方やその捉え方が一変した以上、従来当たり前に行っていたことを見直そうという考えがあります。

方針リリースに際し、コロナ禍において私たち自身がどのような形で対応してきたのかを見返すことにしてみました。結論として、気づいたのは、働き方はもちろん、そもそも「会社」とは何か、ということでした。

大きな判断を迫られたイベント開催

※2月26日に開催した「TOA World Tour Tokyo 2020」。予定していた食事提供を廃止し、感染リスク低減に最大限の配慮をして実施しました

事業それぞれに局面がありましたが、私が携わる業務のなかで、最初に大きな判断を迫られたのは2020年2月のイベント開催の可否についてでした。

当時の他イベント(主にビジネスカンファレンス)の実施動向については、私が確認できた限り、1月は予定通り実施、2月は徐々に中止・延期が増加、3月以降については2月中に中止・延期を決めるところが多かったでしょうか。また、イベントへの生出演や参加は控えるように、と従業員に呼びかける会社が出てきたのも2月頃からだったと記憶しています。

私はグループの広報責任者であるとともに、イベント事業の運営を統括している立場にあるため、実施の判断について、日々変わる状況をもとに経営陣とは検討を重ねました。乱暴な言い方に聞こえてしまうかもしれませんが、「中止」という判断をしてしまうのが現場責任者としては最もシンプルです。事業という観点では大きな損失が発生してしまいますが、逆にいえば、金銭面の損失のみで済むのです。だからこそ、「どうすれば実施できるか」をあらゆる観点で検討しました。

結果として、2月に予定していたイベントは実施へと踏み切ったわけですが、その決断の根底にあったのが「今しか提供できない価値を届けたい」という想いがあったからに他なりません。これは、事業云々というより、メディア企業としての矜持からかもしれません。もし中止にした場合、再開には相応の根拠が必要になります。後回しにできるような普遍的な内容であれば良いのですが、今だからこそ届ける価値があるものなら、今やるしかないと考えました。

もちろん、現場での感染リスクの低減にも配慮し(食事の提供の廃止、マスク・手袋の着用、アルコール消毒液の設置など)、一方で、さまざまな考えを持つ企業や個人の方々もいらっしゃるので、キャンセル対応も行いました。その当時できることはやったつもりです。

※2月28日、公開収録というかたちに切り替えて実施した「MASHING UP SUMMIT 2020」。新しいチャレンジに踏み切ったことで、表現の幅も広がりました

先述のように、2020年1月であれば、他社でも開催したところが多かったようですが、2月以降は動きが大きく変わっていました。日本国内でも感染者が観測されているものの、企業が独自で判断するには材料も少ないという状況だったと認識しています。

その後は国内感染者の増加にともなって、会社としても対応レベルを引き上げていきました。それを経たうえで、「では当時の判断が正しかったかどうか」というのは、私たち自身が言うべき立場にありません。ただ、結果として感染拡大を起こさずに終えられて良かったとは思っています。

事態はさらに進み、完全在宅ワークへ

3月以降、国内での感染拡大は進み、会社も従業員の感染リスクを最小限にするために、在宅でのリモートワーク対応を段階的に進めました。ただ、私たちの主戦場がインターネット上であることもあり、リモートでの業務遂行自体は、他の業界に比べれば、導入しやすかったように思います。

そのなかで生まれた気づきや発見、もちろん課題も多くあります。オンライン会議の進め方、オンラインイベントの進め方、マネジメント、若手の教育、営業など挙げればキリがないほど・・・・・・。それでも、手探りながら、現場一人ひとりが前向きに取り組んでくれています。

※毎月開催していた全社会議もZOOMに移行しました

そこで出された働き方の方針

一つの場所にいなくても一緒に仕事はできる——オフィスでの就業を基本としていた会社にとって、この状況下での知見は大きな財産になります。

それとともに、同時に「なぜオフィスが必要なのか(そもそも必要なのか)」という問いが生まれました(少なくとも私のなかに)。それは、多様な働き方が受け入れ始めているなかで、「(フリーランスなどではなく)なぜ、一つの組織に所属するのか」という問いとも似たものを感じます。そこで少し問いを変えてみました。

「必要とされるオフィスとは何だろうか(オフィスに求めるものは何だろうか)」

「何があれば、一つの組織に所属することに価値が得られるだろう(与えられるだろう)」

「ZOOMで事足りている」という意見がある一方で、「刺激を受けられる」「雑談から生まれるアイデアがある」という声も。感じ方はそれぞれ。他には、個人ではなかなか用意できないシステムなどの「機能面」をメリットに挙げる人もいました。

「オフィスで得られるもの」「オフィス以外の場所で得られるもの」が相互に行き交い、溜まっていき、それをメンバー同士が享受できる。そして、オンライン・オフラインそれぞれに適したプラットフォームを選択する。この程度は言えるでしょうか。結局のところ、当然の結論ですが、そこにいる「人」が、「会社」であり「オフィス」なのかなと思いました。

社会も会社も、「関係性」によって構築されています。その主体が人であるなら、組織においても、メンバー自身が変化の「主体」、そして「触媒」になれるということなんだと痛感しました。

「Work From Anywhere」における「会社」の意味

先の問いに明確な答えは出せていません。というよりも、ずっと問い続けていくことだし、仮に今日出した答えも、明日には変わっているかもしれません。もちろん、会社や組織によっても異なるでしょう。たとえ答えが出なくても状況は変わり続けるわけだから、私たち自身も変わり続ける、もしくは、変わろうとし続けることが大事なのだと思います。

“Work From Anywhere”

方針に記載したこの言葉を同じように用いる企業は他にもあります。直訳は「どこにいても働ける」。このとき、Anywhereから戻ってくる、つまりはFromの先ってどこでしょうか。戻ってくるときに、みんなは何を持っているんでしょうか。そして、何を持ってまたAnywhereに出て行くんでしょうか。それ自体が会社に所属する価値であり、メリットでありたいし、あろうとすることが第一歩なんでしょう。

この方針の原案は代表の今田が考えたものですが、そこから私が方針文面に落とすうえで、考えたのはそういったことでした。

一人ひとりが主体的に動く。会社はそれをつなげ、ストックし、価値化を促進するための場。抽象的ですが、それは私たちインフォバーングループだけではなく、今変わろうとしている多くの企業がそう考えているはずです。

今後も、健康リスクについては、引き続き最大限配慮していく必要がありますし、方針をこのまま掲げ続けられるかも正直分からない情勢ではありますが、私たちはこの変化を糧に、そして次の変化と向き合うために、変わり続けていきます。

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