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単なるお馬鹿映画かもしれないしそうではなく深さがある気がしないでもないです ソー:ラブ&サンダー感想

こんにちは。映画を語るサロンのKKです。

最近梅雨に戻ったかのような気候で湿気にうんざりしています。


今月は7/8に劇場公開された『ソー:ラブ&サンダー』の感想について投稿したいと思います。


この感想は『アベンジャーズ エンドゲーム』まで鑑賞していることを前提にしているので、未視聴の方はネタバレにご注意下さい。


サノスとの決戦後、ソーはガーディアンズ・オブ・ギャラクシーのメンバーと宇宙で人助けに勤しんでいました。ある日、旧友であり同じアスガルド人であるシフから救難信号が送られ、怪我を負ったシフと合流すると神殺しが各地で神を殺していると言います。ソーがシフの治療のために地球へ戻ると、ニューアスガルドが謎の怪物に襲われている最中でした。その中に、自分と同じ姿がした女性がいて驚いていると、その正体は別れた彼女のジェーン・フォスターでした。
怪物にアスガルドの子供たちが攫われ、ソーたちはソーと同じパワーを得たジェーンたちとチームを組み子供たちの救出に向かいます。


MCUシリーズの29作目となる今作ですが、そもそもMCUというのはスーパーヒーロー映画を同じ世界で作っているシリーズです。

そのため、同じキャラクターが何年もかけて様々なマーベル映画に登場しているので、年月をかけてキャラクターの変化や成長を感じらることが特徴だと考えています。
ソーは2009年に初登場して今作が9作目の登場作品で、これまでに様々な経験をしてきて、また新たな一面が見られることができました。情けないシーンが多いソーですが、そもそもMCUでは全能な男性は実はろくでもないこと多いのであえてコメディ調のキャラクターとなって親しみやすさが今までより増えているように感じました。


今作の監督をしているタイカ・ワイティティはコメディ要素が多い映画を撮るのが特徴かと思います。前作の『マイティ・ソー バトルロイヤル』ではソーの故郷が滅びますが、そのような展開でもなぜか暗い雰囲気に完全にはならずにコメディとシリアスが上手く混ざった作品でした。また、『ジョジョ・ラビット』という映画でもナチスというテーマを取り扱いながら子供が主人公のコメディ映画となっています。
最初はその独特なテンションについていけずに困惑しましたが、慣れるとクセになりました。
今回はさらにコメディ要素の割合が増えており、軽いトーンで作られていますが、もちろん敵には重い過去があり、それが原因で宇宙中の神を殺すという行為を行なっています。それだけでなく、ジェーンもあることがきっかけでソーとなるのですが、彼女はその過酷な事実をどのように受け入れるのかも描かれており,この映画が何のテーマもないただのコメディ映画ではないかもしれないと考えられました。

ワイティティ監督はニュージーランドの先住民族であるマオリにルーツがあります。そのマイナリティの属性についてこの映画で示唆される箇所がいくつかありました。
一つ目はアスガルド人(アスガルドという星に住む宇宙人)です。彼らの故郷であるアスガルドは『マイティ・ソー バトルロイヤル』で滅んでしまい、『アベンジャーズ/エンドゲーム』で地球でニューアスガルドという小さな自治体を築いてしました。ニューアスガルドは海に近くアスガルド人は漁業で生計を立てているようでしたが、今作で観光地として地球人に人気の場所となっていました。
その描写がオーストラリアやニュージーランド周辺に住む実際の先住民のことを思わされました。オーストラリアやニュージーランドでは観光の一環として、アボリジニやマオリの伝統文化を体験できるなど観光の一つになっています。もちろん生活をするためにこういった活動が必要なかもしれないですが、彼らの存在をマジョリティの人間が同じ人間としてではなくアミューズメントとして消費しているのではないかと考えられます。
それと同じものをここのシーンに感じました。難民としてアスガルド人が地球で暮らしていくには自分達の文化を地球人に楽しんでもらうために娯楽として見せているように思えて、土地を追われた人たちの苦境に複雑な気持ちになりました。

ちなみにジェーンは「マイティ・ソー」というヒーロー名ですが、実はこれは『マイティ・ソー』、『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』、『マイティ・ソー バトルロイヤル』とソーシリーズの邦題に使われています。「ソー」という名前がホラー映画の『ソウ』シリーズと名前が似ているという理由でタイトルに「マイティ」を付けたそうです。そのためややこしくなっていますが、MCUでは「マイティ・ソー」は元祖の神ではなくジェーンを指します。
数年前に2人目の「ソー」が登場するという発表がされた際、「レディ・ソー」と呼ばれていましたが、ワイティティ監督が「レディ・ソー」という呼称を否定しました。これは男性であるソーには「レディ」という性別を表す呼称は使われず、女性であるジェーンがソーになると「レディ」という呼称が付くというのは男性中心的な考えが無意識にあると思えたので、彼女に正式に「マイティ・ソー」という呼び名となったのはそれを真っ向から否定している印象を持ってこの映画のとても好きな要素です。

これはコアなファン向け要素かと思いますが、今作ではカメオ出演が非常に多いです。特に主演のクリス・ヘムズワースの家族がたくさん出演しています。奥さんで女優のエルサ・パタキーや兄で同じく俳優のルーク・ヘムズワースだけでなく、彼の子供まで登場しています。他にも、有名な俳優が一瞬だけ映っているというのもあり、いろんなシーンをよく見ることでより楽しめる作りとなっています。

何年も前に『マイティ・ソー』がきっかけでこのMCUにハマったので、原点回帰と思える点がいくつもあって個人的にすごく好きポイントが多かったです。
何年も同じシリーズのファンをしていると色々なことをリアルタイムで経験できて、愛着が強く湧きます。またシリーズや自分自身も変化していくので、年月をかけて作品のテーマや自分の見る視点も変わっていくことを実感することができます。


新しいものに挑戦するのも、同じものを長年好きでいることも色々な経験になるということを改めて感じました。

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