はじめてブログを書いてみます。株式会社アイキューブで新規事業開発や戦略コンサルなどを手がけています。他にもいろんな顔がありますが、全部ひっくるめて麹池です。よろしくお願いします。
今回はエストニアとヘルシンキに出張で来ています。先週行われたエストニアでのスタートアップイベント"Latitude59"に参加し、週末にヘルシンキに移動しました。
エストニアはSKYPEやTransferWiseなどを排出し、e-Estoniaという先進的なデジタルガバナンスの仕組みを導入しているユニークな国家です。イベントでは首相がKey Note Sessionを務めるほど、スタートアップ支援に力を入れています。
フィンランドはAngry BirdのRovioやSuper Cellなどのゲーム会社が有名ですが、LinuxやMySQLなど数多くのオープンソースソフトウェアを排出しています。企業支援イベント"SLUSH"が始まった地としても有名ですね。
今回の出張の目的は二つ。一つは今年4月にPrivate β版をリリースしたばかりのチャットボット作成サービス"QuaraQuli"のLatitude59への出展。もう一つは両国家のスタートアップ支援の取り組みについて現状を把握することでした。
Latitude 59への出展
会場はこの煙突の中でした!歴史のある建物で、今はイベント会場として使われているようです。
会場の中に入ると、すごい熱気です!前日の夜に全然用意が進んでいなかったので勝手にやきもきしていましたが、どうやら徹夜で仕上げたようですw
弊社の兄弟会社、株式会社bot dockのブースも出していただきました!QuaraQuliはプログラミングの知識がなくても簡単にチャットボットを作成し、ウェブサイトやLINE、Messanger、自社アプリなどに組み込むことのできるサービスです。
二日間で実に多くのスタートアップ創業者やアクセラレーターの方々などとお話しさせていただきましたが、驚いたのはその参加国の多さです。北欧に限らず、ヨーロッパ各国、インド、インドネシアなどの東南アジア、もちろん日本からも数多く参加されていました。
そして質問してくる内容がまた鋭い。エレベーターピッチの千本ノック状態です。初日は明確に回答できないことも多く、翌朝4時(時差が6時間あるので日本は朝10時)から日本にいる経営メンバーにslackで相談し、回答をまとめて二日目に臨みました。以下は競合との違いは何かを英語で明確かつシンプルに回答するために即席で作ったスライドです。このクイックネスと資料作成スキルは弊社の強みだと思います。
スライドも追加したおかげでだいぶ反応が変わり、いくつか具体的な引き合いをいただくことができました。例えばメンタルヘルス対策のチャットボットサービスを運営している創業者の方は、心理学者の方でした。多くのクライアントの悩みを解決するためにチャットボットサービスを始めたのに、今悩んでいるのはボット開発のリソース不足だと言います。本来はどのようなコーチングセッションを行うべきかというサービス設計、UX Designに時間をかけるべきですよね。こういった企業がQuaraQuliを使うことで、簡単に新しい顧客体験を生み出し、しかも弊社のマーケットプレイス上で企業向けに販売し、その従業員が利用できるようになるわけです。帰国後すぐにSKYPEミーティングを進めていくことが決まりました。
事業開発とは、顧客開発と同義です。顧客を開発しない限り事業は成り立ちません。
顧客を開発するとは、顧客のニーズを探索し、深い共感を持ってソリューションを組み立て、提示することです。今回、QuaraQuliのMVP(Minimum Viable Product)も持って行きましたが、この方には見せませんでした。それよりもコンセプトレベルで共有することの方が重要だと考えたからです。大企業のコンサルをしていると、コンセプトレベルで顧客に持っていくなんてありえない、開発中に営業を始めるなんて信じられない、という反応があります(本当によくあります)。でも今はそんな悠長にやっていたら他に顧客を持っていかれるのがオチです。MVPがなくても顧客開発は進められる、そう確信した一幕でした。
ちなみに、弊社社員の塚本がインタビューを受けていました。何が書いてあるかは、謎ですw
フィンランドのスタートアップ支援
フィンランドのスタートアップはほぼすべてヘルシンキ周辺に集積しているようです。ヘルシンキ都市圏で昼間人口140万人程度ということなので、福岡市より若干小さい程度でしょうか。人口の集積具合は同程度でも、スタートアップの集積度はだいぶ違いがあるように感じました(ちなみに麹池は福岡地域戦略推進協議会の事務局フェローです)。
NewCoというスタートアップ支援施設を訪問しました。アリンコの形の自転車置き場がカワイイ。
ここはスタートアップとそれ以外の起業を明確に区別しているのが面白かった。スタートアップのようにスケールを目指すものと、経験を活かしてウェブ制作やシステム開発で独立します、というものでは支援の形が明確に異なるから、というのが理由ですが、ホントその通り。
彼らはスタートアップの成長プロセスを以下のように定義していました。似たようなフレームはたくさんありますが、こういった一定の基準があると支援する側もされる側もわかりやすくていいですね。
私たちが立ち上げたQuaraQuliはちょうどレベル0に差し掛かったところと言えそうです。MVPはあるが、創業メンバーのコミットメントがまだ弱い。フルコミットのメンバーが決定してようやくゼロ地点ということですね。
しかしながら、MVPができていないIdeationやConceptingの段階でも顧客開発はできることがエストニアのイベントで実証できました。スタートアップに重要なのは日々行動して、次のアクションに活かしていく超高速PDCA、リーンスタートアップの考え方がやはり重要だと再認識しました。
以上、エストニア、フィンランドでの学びを簡単ですが共有させていただきました。冒頭でご紹介した通り弊社は新規事業開発や戦略コンサルティングを提供している独立系ファームですが、我々自身も最先端の学びを常に吸収し、自己革新を続けています。成長意欲があり、勉強熱心で、新しいことにオープンマインドで向き合える方の参画をお待ちしています。