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高校生の時に働いていたレストランの店長からとある本を勧められたことをきっかけに、ホテルマンを目指し、最終的には静岡にある旅館の女将になったという異色の経歴を持つ代表の西。
この記事ではそんな西が、オーランを創業することになったきっかけを取材しました。
プロフィール
西 ゆきの
代表取締役。静岡県出身。
ホテルマンとしての考え方が全ての起点に
ーオーランでは「らしく、もてなせ」というスローガンを掲げていますが「おもてなし」を意識するようになったきっかけは何ですか?
アルバイトがきっかけです。私の両親は「義務教育過程が終了したら、資金的な援助はしない」という方針を立てていたため、高校生の頃からどうやって稼ぐか、自立するかということを考えていました。その影響で大学入学を見据え、高校2年生の時に部活を中退し、アルバイトを始める決意をしました。
当時は、自分で選択できることを面白がって過ごしていましたが、今振り返ると、両親は自立のための選択を委ねてくれていたんだなと思います。そのおかげで、レストランのスタッフとして働く過程で自分の仕事が評価されたり、お客様から感謝されることに喜びを覚え、接客業にどんどんのめり込んでいきました。
その様子を見ていた店長がリッツ・カールトン・ホテルで働くホテルマンの方が書いた本を紹介してくれて、その影響でホテルマンに対して強い憧れを抱きました。専門学校への進学も考えましたが、専門学校からホテルに就職すると現場を経験した後のキャリアの選択肢が限られると感じ、ホテルマンになると決めたまま大学へ進学しました。
大学では接客業以外のバイトもしながら、常に4〜5つのバイトを掛け持ちしていました。そのうちのひとつに外資系ホテルがあり、日本企業にはない個としてのホテルマンの価値を重視し、それぞれの個人主義がぶつかり合う環境に衝撃を受けました。いざ自分が入ってみると、一人一人「ホテルマンとして必要なものは何なのか、どうやって自分の価値を高めるか」という考えをもとにホテルマンとしてのプライドを持って働いていることがわかり、その考え方に深く共感していきました。
ここなら自分が考える「おもてなし」を追求できると感じ、大学卒業後もその外資系ホテルでキャリアを積み重ねていきたいと考えました。
ー今のオーランの事業からは想像できない経歴ですが、何かターニングポイントがあったのですか?
外資系ホテルで働いている最中、とある旅館経営者が語った「旅館にしかできないホスピタリティ」の想いや実現に共感し、外資系ホテルからその旅館へ移ることを決意しました。旅館にはホテル以上に、仲居としてどうお客様に喜んでいただけるかを自由に考えて実行できる環境があり、結果的にその旅館の女将になるほど仕事に没頭していきました。
また、お客様を最大限もてなすという女将の仕事にやりがいを感じる一方で、新しく入ってきた仲居たちが、2〜3年経つと体力面や将来への不安から退職してしまう状況に頭を抱えていました。旅館だとホテルで分業していた全ての工程を網羅したおもてなしが求められる分、数年が経つと一定のやりきった感が生まれます。そうすると、別の業界で活躍したいという気持ちがより強くなります。当時は、ホテルと旅館の繋がりしか持っていなかったので、他の選択肢を用意できない自分に限界を感じました。
SESは個人の可能性を広げる絶好の仕組み
ーその経験は今のオーランにどのように繋がっていくのですか?
辞めてしまった元社員たちにしばらく経ってから連絡をして、何をしているのかと聞いたらほとんどがIT業界で働いていることがわかりました。旅館で働いていた元社員たちは自分たちのコミュニケーション能力を活かしつつ、プログラミングやデザインなどのスキルを身に付け新しいフィールドで活躍していました。私自身そこで初めて、SESという仕組みを知りました。
これをきっかけに私はIT業界に勤めるお客様に会うたびにSESについて質問し、SESという仕組みは個人のスキルやライフステージに合わせてキャリアを選択できる良い仕組みなのではないかと考えるようになりました。当時の私はホテルマンとして生きてきたので仲居たちに選択肢を提供することができなかったけれど、SESのようなビジネスモデルがあれば元社員たちに別の選択肢を用意することができたのではないか。また、SESは年齢が高くなるにつれてキャリアの選択肢が狭まると聞いて、年齢が高くなっても活躍の場がある旅館と繋げれば社員の人生をトータルサポートできるのではないかとまで思いました。
ーホテル業界とSESは全く異なる業種ですが、どのように繋がりを作っていったのですか?
若い人が集まりそうな恵比寿でSESのスタートアップ企業を探して、検索で一番上に出てきた会社に行きました。そこで代表に会い、提示された営業目標を自ら1億円まで引き上げ「1年間で達成したら会社を作りたい」と伝え、右も左もわからないまま走り出しました。
それまでホテルマンとしての社会人経験しかなかったため、名刺交換のやり方を調べるところからスタートしました。わからないことはアポに行った先でその都度調べたり、相手の話し方をメモに取ってそれをカンペにして自分も同じ流れで説明をしたりと、現場で必要なことを学び少しずつスキルと経験を積んでいきました。また、今までコミュニケーションを得意とする人に囲まれていたため、エンジニアの方の働き方や佇まいも新鮮で、こんなに面白い人たちがいるのかと世界が広がったように感じました。
ありがたいことに採用からパートナーの選定まで本当に好きなようにやらせていただき、結果的に1年で売上を立てることができ、分社化してオーランを立ち上げることができました。
おわりに
西に訊く①では、ホテルマンとしてキャリアをスタートした西がオーランを設立するまでのエピソードをお話いただきました。
次回の西に訊く②では、オーランという社名の由来からオーランがMVVの(ミッション・ビジョン・バリュー)の策定に至るまでのターニングポイントについて取材しました。
オーランの創業時の様子や変化がわかる内容になっているので、ぜひ楽しみにしていてください。