「見えない暴力」は、なぜ見えないのか。
―ジェンダーに基づく暴力は許さない
「ジェンダーに基づく暴力(Gender-based Violence)」は、「女性はこうあるべき」「男性はこうあるべき」といった社会的につくられた性別、規範を理由に向けられる暴力(身体的、精神的、性的暴力)です。被害者に深い傷を残し、命を奪うことがあるにもかかわらず、さまざまな要因により表面化しにくいことから、「見えない暴力」ともいわれます。
紛争や迫害で避難を強いられている人々を守るUNHCRの援助活動の中で、ジェンダーに基づく暴力の防止や被害者の保護は、核となる取り組みのひとつです。暴力は紛争や避難といった緊急事態下で起きやすく、とりわけ女性や女児への被害が多数を占めます
暴力の防止に努め、リスクのある人々を守り、被害を受けた人々に十分なケアを行っていくことは、命を守る活動にほかなりません。こうしたUNHCRの活動は、世界各地の現場で効果を発揮してきました。ところが、2020年に多くの国でジェンダーに基づく暴力が増加する事態が起きました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行です。
新型コロナウイルス感染症の世界的な流行に端を発し、2020年から多くの国で親密なパートナーによる女性と女児に対する暴力や性的マイノリティの方々が受ける暴力のリスクが急増しました。
今、人々を保護する上で必要とされているのは、リモートでの対応やコミュニティに備わっている支援体制の有効活用など、次のような支援の強化です。
- リモートでの支援 (例:365日24時間対応のホットラインなど被害者の通報手段の拡大、リモートでのケースマネジメントの強化など)
- 暴力の防止やリスクの軽減策、被害者への対応
- (例:暴力の被害者やリスクにさらされている人々を守る現金の給付支援策など)
- 暴力の予防や被害者のケアにおける難民の女性との協働
- (例:心理的応急処置に対応する訓練を受けた女性のアウトリーチボランティアの活動など)
南スーダン難民のマリ―さんは、自身も暴力を受けた経験から、避難先のケニアでジェンダーに基づく暴力をなくす活動に従事。野菜の栽培は女性たちの生計手段の創出だけでなく、栄養状態の改善にもつながる
難民や国内避難民等への性的搾取・虐待との闘いは、UNHCRの最優先事項です。UNHCRは女性や少女たちに対する暴力の予防・対処の取り組みを強化しています。それには、性的暴力や虐待、児童結婚、女性器切除といった国際的に大きく取り出さされている問題への対策のみならず、生理をめぐる迷信や悪質な慣習の解消、大規模な注意喚起セッションや訪問キャンペーン、といった地域社会(コミュニティ)レベルでの働きかけも含まれます。
女性たちの命と尊厳を守るため、UNHCRの援助活動にご協力ください。
ルワンダの学校にある、女子生徒のための安全な部屋で過ごす生徒たち。この場所は少女たちがジェンダーに基づく暴力に関する知識を得る場所としても機能している。UNHCRとパートナー団体は政府と協働し、同国の15の学校に女子生徒のための部屋を整備した
UNHCRは、一般市民、そして学校や病院といった公共施設は攻撃の標的ではないことを改めて訴え、現地で救援活動を続行していきます。どうぞ、今すぐ、この危機に耐える人々の苦しみを少しでも軽減するため、UNHCRの救援活動にご協力ください。
UNHCRユーエヌエイチシーアール(国連難民高等弁務官事務所)とは?
1950年に設立された国連の難民支援機関です。紛争や迫害により故郷を追われた難民・国内避難民を国際的に保護・支援し、水や食料・毛布などの物資の配布や、難民キャンプなどの避難場所の提供、保護者を失った子どもの保護や心のケアなど、最前線で援助活動に尽力しています。1991~2000年の間、緒方貞子さんが第8代国連難民高等弁務官を務めました。
この国連の難民支援活動を支えるため、広報・募金活動を行う日本の公式支援窓口が、国連UNHCR協会です。
国際情勢が激しく揺れ動く時代、今、私たちにできること
フィリッポ・グランディ国連難民高等弁務官は「私たちは国際情勢が激しく揺れ動く時代を生きています。現代の紛争は、人々に深刻な苦しみをもたらし、脆弱かつ悲惨な状況を生み出しています」と訴えます。
日本から届ける支援は、避難を強いられた人々を援助するUNHCRにとって、なくてはならない支援です。継続的な支援を続けていただくことにより、迅速な緊急援助、水・食料の安定した供給や、長期の資金計画が必要な学校教育や難民への職業訓練や自立支援などを進めることが可能となるのです。故郷を追われ難民となった人たちは、極限の状況下で支援を待っています。
ひとりでも多くの難民となった人たちに寄付という形で支えていけるよう、私たちは今日も街頭で一人ひとりに声をかけています。
「今日、ここで、あなたと会えたから一歩踏み出すきっかけになった」。新たに国連難民サポーターに参加くださる方からのお言葉です。
ひとつひとつの積み重ねが大きな力となって、難民の命を救うことができる。
日本から届ける難民支援。私たちと一緒に難民支援の輪を広げていきませんか?
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