私が好きな漫画の一つが「3月のライオン」という将棋プロの漫画です。
映画も大ヒットしている同作ですが、これが非常に面白い。
何が面白いって、勝負の真剣さです。
将棋の世界は超シビアで、全国の神童・天才と呼ばれる将棋が超絶上手い一握りの子供だけが「奨励会」という将棋プロの下部組織に入れます。
そしてその奨励会から実際のプロになれるのは20%もいないのです。
負ければ、己の存在が全て否定される将棋の世界。
自らの全てを注ぎ込み、それでも負ける勝負の世界。
そんな世界だと、挑戦するのが圧倒的に怖くなります。
なるべく、安全なものに縋りたくなる。
定石にすがりたくなる。
そんな中で、主人公達は何度も勝負を仕掛けていきます。
これは、ビジネスにも通じるところがあると思います。
効率を求めるのなら、自分の知見の及ぶ範囲で仕事をすればいい。
でも、効率の悪い、自分が全然知らない仕事に手を突っ込むと、よく分からない事だらけで、超絶失敗します。
たくさん失敗したり、恥かいたり、バカにされたりします。
でも、それを続けると、徐々に、少しづつ出来るようになってきます。
それまでとは全く違う景色が見えてきます。
そうすると、次のステップとして、周りを巻き込めるようになってきます。
周りを巻き込めるようになると、人材としての価値は一気に上がります。
周りを巻き込むのは怖い
自分1人で完結する仕事と違って、周りを巻き込む仕事は大変です。
何しろ、プロジェクトに対して責任を持たないと行けない。
自分が上手く仕事を進められないと、プロジェクトが全く進みません。
こんな中で、自分の知らない分野でプロジェクトを立ち上げたり、手を挙げるなんて、正気の沙汰ではありません。
しかし、チームで成し遂げる成果は一人でやる仕事とは全く次元が違います。
そしてチームで成果が出せると、組織が全く違うものになります。
それぐらい、チームの仕事にはインパクトがあるのです。
どうやったら未分野の仕事でチームを成功させられるか?
しかし世の中にはヒョイヒョイと自分が知らない分野でプロジェクトを成功させてしまう人がいます。
一体何故でしょう?
私が見る限り、そのような人には次のような特徴があるような気がします。
1.自分がまずやってみる
「こんなアイデアはどうだろう?」と言ったところで、誰も動こうとはしません。
まず、自分で手を動かして、プロジェクトを前に進めようとする必要があります。
何でもいいのです。
商品のラフスケッチを描くのでも、実験をして実際に商品を作るのにかかる時間を計算するのでも、競合を調べるのでも、実際に商品を作るのでも、何でもいいからやってみるのです。
まず自分のリソースを投入することで「この人本気なんだ」という事が周りに伝わります。
2.良く勉強する
とにかく彼らは勉強をします。
その分野の本を3~5冊程度、まず読んでみます。
「知識は力」とは良く言ったもので、知らなくてはそもそも何をすればいいのか分からない事は沢山あります。
ビジネス漫画の金字塔である「サラリーマン金太郎」にも、金太郎が初めて挑戦するトンネル工事で事故が起きたときの対応について、下記のようなシーンが出てきます。
勉強だけでは何も物事は進みませんが、物事を進めながらする勉強は大事です。
何より、今すぐその知識が必要なので、吸収スピードがハンパではありません。
3.誰よりも熱心にそのプロジェクトの意義を見出し、その熱を周囲に伝える
当事者が、常軌を逸してプロジェクトに本気であれば、周りにもその熱が伝染していきます。
プロジェクトの意義、その先に実現する世界を熱狂的に周りに伝播させることが出来れば、プロジェクトのスピードは一気に早くなります。
4.メンバーの為に行動する
プロジェクトを助けてくれるのはメンバーです。
メンバーの助けがなければ、プロジェクトの進むスピードは全く遅くなります。
プロジェクトに力を貸してくれるメンバーの為に、心を配って行動する必要があります。
先ほどのサラリーマン金太郎の話では、工事の途中で事故が起こります。
事故が起きた瞬間に、真っ先に金太郎は現場に駆けつけました。
金太郎はあくまで漫画ですので、ここまでドラマチックな事は起きません。
ただ掃除でも差し入れでもなんでも良いので、メンバーが気持ち良く働ける為に心を配る必要があります。
スタートアップには挑戦の場所がいっぱい
この文章のタイトルはリクルートの有名な社訓「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」をもじったものです。
リクルートも昔はドベンチャー企業でした(いまでもベンチャースピリットが根付いている凄まじい会社です)。
リクルートの様に、ベンチャー、スタートアップほど、この言葉は実現しやすくなります。
何故ならスタートアップ企業ほど、「誰もやったことがないプロジェクト」が多いからです。
言うなれば、スタートアップは楽器の演奏が凄まじく上手いバンドの様なもの。
新しい曲やジャンルに挑戦しようとするとき、その曲を指揮したことがある人はいないので、あなたが指揮してしまえばいいのです。
メンバーは超一流。最初はあなたの指揮に興味を示してくれないかもしれませんが(他の曲を演奏していて忙しいのです)、あなたが本気で曲を研究し、率先して指揮棒を振り、時には楽器を弾けば、最強のメンバーが演奏してくれます。
大企業の場合、いつも同じ曲を演奏していたり、その曲を演奏したことがある人に任せるケースが多いのが難点です。
率先して手を上げ、その後に努力をすれば、面白いプロジェクトを担当出来る。
それがスタートアップ、ベンチャー企業の醍醐味だと思います。