この記事はグリー新卒採用サイトからの転載です
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2018年4月、グリーはバーチャルYouTuber(アバターを用いて情報発信をする人々、以下VTuber)市場に参入することを発表し、ライブエンターテインメント事業を担う100%出資子会社の株式会社Wright Flyer Live Entertainmentを設立しました。グリーが第3の柱として注力しているその新規事業の戦略や可能性、事業にかける思いについて、社長に就任した荒木 英士とアライアンスチームを率いる水谷 誠也にうかがいました!
荒木 英士(写真右)
グリー株式会社 取締役 上級執行役員。株式会社WFSおよび株式会社Wright Flyer Live Entertainment 代表取締役。PC向けGREE、モバイル事業、ソーシャルゲーム事業、スマートフォン向けGREEの立ち上げを主導した後、2011年、米国法人の設立に参画。2013年9月に日本に帰国してグリー取締役に就任した後、2014年にゲームスタジオであるWright Flyer Studiosを立ち上げる。2018年4月からはグリーの事業の第3の柱であるライブエンターテインメント事業の立ち上げに従事。
水谷 誠也(写真左)
株式会社Wright Flyer Live Entertainment 事業開発部 アライアンスチーム マネージャー。株式会社RK Musicおよび株式会社REALITY Factory代表取締役。2011年より株式会社テレビ朝日にてアニメ等のコンテンツ事業に携わりながら、2014年に株式会社サイバーエージェントへ出向。ゲーム事業等に従事した後、2016年よりAbemaTVアニメジャンルの立ち上げに参画。2018年に中国企業に転職しバーチャルキャラクターのプロデュースを経て、同年7月Wright Flyer Live Entertainmentに入社。
“つくり出したコンテンツと社会の接点を広げる。”
ーーまず、ライブエンターテインメントの事業について教えてください。
荒木:
今回立ち上げたライブエンターテインメント事業のグリーグループ全体における役割は、「新たなIPを生み出す」「生み出した作品と社会との接点を広げる」ことです。たとえば、ゲームは「つくって届けて遊んでもらう」という一連がパッケージになっていますが、その後さらにライブやファンイベントなど、その名の通りライブなエンターテインメントを創出し、いろいろな形で接してもらうことができればと考えています。グリーがやってきたゲームとのシナジーがある新規事業です。
ーー具体的にはどのようなことを行っているのですか。
荒木:
VTuber関連の事業です。事業は大きく分けると、プロダクション事業、VTuber専用ライブ配信プラットフォームを運営するプラットフォーム事業、Vtuberを社会に広げるIP展開事業の3つ。プロダクション事業では、VTuberを発掘・育成・マネジメントし、動画番組やライブ配信を行い、IP展開事業で彼ら彼女らの音楽制作、グッズ販売などを企画・制作・配信したりして、彼らの活躍の場を広げていきます。プラットフォーム事業では、いろいろなVTuberが面白い配信をしたり、ファンと交流したりするサービスを運営し収益化できるようにしていきます。
ーーその中で、水谷さんは、IP展開事業を担うアライアンスチームを率いているのですね。
水谷:
はい。VTuber の活躍の場を広げるため、自社で事業を開発したり、他社と連携させていただいたりしています。他社との連携ではキングレコードさんとVTuber 特化型の音楽レーベルを立ち上げました。自社だけではなくさまざまなところで活躍していらっしゃるVTuberの方の音楽制作、CDの配信などの商品化、ライブなどの企画・運営といった事業を拡大していこうという動きをしています。
“キャラクターとのインタラクションを事業に。”
ーーVTuberは急激に拡大していますが、その魅力とは何なのでしょうか。
荒木:
キャラクタービジネスは昔からあり、アニメ産業は今や約2兆円にも及びます。でも、それらはすべて一方向。VTuberはインタラクションがあって、生きています。これまではつくられたものを一方的に見て好きだと思っていたものが、触れ合うこともできるし、自分の関与によってつくられる映像や会話が変わっていく場合もあるわけです。VTuberは会話できるキャラクターであり、自分が参加できるコンテンツであることが新しいと思いますね。インタラクションは人間の本能的欲求であり、キャラクターという新しいものとのインタラクションを事業にしたいという思いがそもそもにありました。
ーー水谷さんはWright Flyer Live Entertainmentの設立とともにグリーのメンバーになられたそうですが、やはりVTuber関連事業に携わりたいという思いは強かったのでしょうか。
水谷:
はい、その通りです。前職でバーチャルキャラクターのプロデュースに携わった時から、VTuberは絶対に大きくなると感じていて、グリーはそこに本腰を入れるということで転職を決めました。僕はこれまでアニメを中心にさまざまなキャラクタービジネスに携わってきましたが、日本のキャラクターファンは3Dモデルのキャラクターに対して違和感を持っている人が多いということを感じていました。そこにまったく違う文脈でVTuberという魂を感じるキャラクターが現れたことよって、ファンの受け取り方が変わったと感じています。これまでなら拒否反応を起こしたであろうアニメファンの方々が、割とすんなり受け入れられる土壌になり始めていて。キャラクターの表現方法がひとつ転換したのかなと思います。VTuberの表現方法がユーザーに受け入れられることによって、さらに日本のコンテンツの表現の幅は広がります。日本のコンテンツの可能性を広げていく役割としてもVTuberはとても魅力的です。
ーー8月7日から提供を開始した世界初のVTuber専用ライブ視聴アプリ「REALITY」は、のべ利用者数が提供開始から2週間で10万人を突破するなど大きな反響があります。その要因は何でしょうか。
荒木:
コアなコミュニティから大きな反響はありましたね。
水谷:
熱量はとても高かったです。
荒木:
いきなり広く薄くではなく、ターゲットを絞り、そこから評価されることは大事だと思っています。そのターゲットコミュニティを広げていくタイプのものだと考えています。
ーーVTuberが広がっていくと、どんなことが可能になるのでしょうか。
荒木:
僕たちがやらなくても1~2年以内に必ず誰かがやると思っているのは、全世界同時ライブです。演者(=VTuber)はスタジオの中にいて、ライブ会場はたとえば東京、上海、ロンドン、ニューヨークなど世界各地にあって、ステージももちろん3D。それぞれの会場にはカメラがついていて、スタジオでそれを見ることができる。会場に行って仲間と盛り上がるのもいいし、VRのヘッドセットをつければ最前列で3Dで観ることもできます。会場にも行けず、VRのヘッドセットもない人は、スマホやPCの動画で観る。リアルロケーションやバーチャル空間、平面スクリーンといったさまざまな形で、かつ場所を問わず参加できる。でもそこにはちゃんと一体感があって、すばらしいステージパフォーマンスが行われている。まさにライブエンターテインメントですが、そういうものがつくれるといいですね。これは、仕掛けさえすれば実現可能です。ただそういったレベルの大きな仕掛けをきちんと商業的に成り立たせるといった部分で、試行錯誤しているところです。
“ 誰もが物理的な制約から解放されるアバターをもつ時代に。”
ーー先日、スマートフォンのみで誰でも簡単にオリジナルアバターがつくれて、VTuberとしてライブ配信ができる「REALITY Avatar(※)」α版も公開になりましたね。
荒木:
そうなんです。これで誰でもVTuberになることができます。さらに、今後はVR版やAR版で、パフォーマンスを目の前で見ることができる、ということもやっていきたいと思っています。
ーーさらに長期的に見据えていること、その先にある可能性は何でしょうか。
荒木:
オンライン上でのコミュニケーションはすでに当たり前になっていますが、ポストスマホ世代に突入し、VRやARをみんなが使えるようになると、誰もが3Dのアバターを身にまとって人とコミュニケーションしたり自己表現したりするようになると思います。そういう未来が訪れるのは間違いないと思っているのですが、それを実現する時期を早めたい、そしてそれを自分たちの手でつくりたいと考えています。
ーーVTuberはその世界のはじまりだ、と。
荒木;
そうです。今、誰もがメールアドレスを持っているように、みんなアバターを持っている世界になると思いますね。誰もが3Dのアバターを持つようになると、肉体に縛られる必要がなくなります。TPOに合わせて服装を変えるように、TPOに合わせて姿、形を変えることができる。あるいは姿形が変われば人格も変わるので、複数の人格を持つようになるのではないかと考えています。SNSも最初に出たときには、「なぜ自分の日常を全世界に公開するの?」といったことを言われましたよね。でも、そこでコミュニケーションしたり、友だちの日常を垣間見たり、自分の日常に対して誰かがコメントしてくれるということが人間の本質的な何かに響いたからこそ広がっているわけです。好きな見た目をまとって活動したりコミュニケーションしたりすることは、それと同じぐらい本質的な欲求に答えるものだと思っています。
水谷:
VR空間がもっと広がればいいと考えていて、今回のVTuberの盛り上がりは、その先駆けだと思っています。今はまだ技術的な制約はありますが、今後VRが普及してできることが増えていけば、全員が当たり前のようにアバターを持つ世界になると考えています。そうなるとVRの中で成立させられることが多くなり、物理的な移動は必要なくなってきますし、そういう世界が広がることによって、そのなかでできることが更に増えます。例えばエンタメの部分だけでも、これまでは映像はスクリーンで観るだけのものだったのが、そのなかに入って体験できるストーリーに変わるかもしれないし、ゲームならそのなかに入ってプレイすることもできる。そうすると、VRでは現実よりもより多くの、そしてリッチな体験ができる世界が生まれると思います。
ーーグリーでは今後1~2年で100億円規模の投資を実施するそうですね。
荒木:
プラットフォームにおいては、先ほど話したような未来を実現するために本腰を入れて長期的に投資しようと考えています。一方、コンテンツとしては、今後バーチャルは当たり前になっていくと思っています。今、映画では特撮、CG、アニメがあって、それぞれの特長を生かして成り立ち、混ざっていても表現の仕方として当然だと捉えられていますよね。同じようにライブやテレビ、映画において、生身の人間とバーチャルキャラクターが混ざり合う状態は、今後当たり前になっていくと思います。芸能界も今は生身の人間しか存在していませんが、今後は「バーチャルキャラクター芸能界」というものが生まれると思っていますし、それはとても大きな市場になりえます。ですから、技術的、ビジネス的なさまざまな仕掛けを統合すべく、自社コンテンツや自社システムの開発にどんどん投資していくと同時に、VTuber のプロダクション各社、VTuber を成立させるテクノロジーの養成技術にも投資していきます。
※現在「REALITY Avatar」は「REALITY」に統合
VTuber専用ライブ配信プラットフォーム「REALITY」
“ グリーが培ってきた経験や知識が生きる”
ーーこれまでグリーが培ってきたものがあるからこそ、今回のVTuberへの参入があるのでしょうか。
荒木:
そうですね。まず、3Dのキャラクターをつくり、魅力的に表現することはVR事業でやってきたことであり、そこで培われた技術やノウハウがそのままいきています。また、ゲーム事業を展開するなか、IPホルダーやエンタメ産業のさまざまなプレイヤーとの取引や協力関係を築いてきました。ですから、今回のキングレコードさんとの合弁会社が好例ですが、VTuber 事業を立ち上げるにあたり、さまざまな優良企業とのアライアンスが早期に実現したということもあります。さらに、ファンコミュニティをつくっていくという観点では、オリジナルゲームをつくり、長い時間をかけて育てていくということで培ってきたノウハウ、あるいは時間もお金もかかるという覚悟を含めていきていると思いますね。
水谷:
この領域で事業開発をやりたいと思ったとき、グリーが持っている経験や知識を考えると、ここでやらせていただくのが一番いいと思い入社に至りました。
“ 描いた未来に共感できる人材を”
ーーまったく新しい領域、未来を拓いているわけで、やりがいも大きいと思います。
荒木:
今、すごく面白いですよ。きっと昔インターネットを始めた人たち、ビジネスとして広めた人たちもそうだったのだと思います。初めてモザイクというインターネットブラウザに触れ、世界中のホームページにワンクリックだけでアクセスできたとき、「なんだこれは?すごい!」と思った人たちが、今のインターネット産業の社長や起業家なわけですよ。それと同じように、VR空間でアバターでのコミュニケーションを経験し、それをすごいと思った一部の人たちが、いかにそれを広められるか、多くの人が使えてみんなの生活が豊かなるにはどうしたらいいか、ということを考えながらやっています。昔、インターネットを広めようとがんばってきた人たちのように、このワクワクと衝撃をみんなに伝えたいんです。
水谷:
僕はこれまで、アニメのビジネスを中心に歩んできましたが、アニメの今のビジネスの仕方に限界を感じているところがありました。そんなとき、日本のアニメが培ってきたものを生かして世界と戦えるコンテンツを新しく作れる可能性があるのがこの仕事だと思ったんです。これまではなかなか実現できなかったクリエーター側への還元を組み込みながら、この市場を広げていくことができればと思っています。
ーー描く未来へ邁進するライブエンターテインメント事業の方々はどのような人なのでしょうか?
水谷:
クリエーター気質な方やコンテンツ好きの方が多いです。今のメンバーと働くのはとても面白いですね。そして、みんなひとつ秀でた何かを持っている。いろいろな人がいて、なおかつみんないい人で、転職したばかりですが、とても入り込みやすかったです。
荒木:
あと、若手が活躍していますよね。新卒の社員が、事業を引っ張ってくれています。今うちで一番人気と言われて伸びているVTuberのプロデューサーも、プラットフォームの「REALITY」担当のプロダクトマネージャーも2018年に入社したばかりの新卒社員です。
水谷:
それぞれ裁量のあるポジションで働いているので、自分も何かやらなくちゃという気持ちになりますし、刺激になりますね。
荒木:
先ほどからお伝えしているように未来に懸けていますので、それに共感してくれて、「そんな世界をつくりたい!」、「こうなったら面白い!」と心の底から夢中になれる人と、今後も夢を実現していきたいですね。