大阪府の高槻中学校・高等学校は、Welio英会話を活用してくださっている学校のひとつです。高槻中学校・高等学校が掲げるスクールミッションは「グローバルマインドをもった次世代リーダーの育成」。中学生・高校生がグローバルな視点で物事をとらえ、世界と向き合って考える力を培うための、先進的な英語教育と探究学習を実践しています。
今回は高槻中学校・高等学校の校長・工藤剛先生に、中高生のグローバルマインドを育てるための独自の取り組みと、その学習プログラムの中でオンライン英会話が果たしている役割について、お話をうかがってきました。
高槻中学校・高等学校 工藤剛校長
― 高槻中学校・高等学校は、どんな学校ですか?
本校は昨年創立80周年を迎えました。2010年から学校改革に着手し、“Developing Future Leaders With A Global Mindset”(グローバルマインドをもった次世代リーダーの育成)というスクールミッションのもと、英語教育改革と国際教育・探究型教育の導入に力を入れている学校です。おかげさまで本校の教育方針に賛同してくださる方がとても多く、ここ数年、大阪府下の私立中学校では志願者数トップをキープしています。
― 御校は2016年からオンライン英会話を授業に導入されています。当時はオンライン英会話を実施している学校はまだ少数でした。どのような背景があったのでしょうか?
「これからの国際人を育成する」という目的で、まず2012年から中学校の全学年で外国人講師による英会話の授業を開始しました。語学の習熟は個人差が大きいため、同じクラスで同じ先生に授業を受けていても、中学3年生あたりで英語の運用力に大きな差がついてきます。この「差」を解消したいと思っていたのが大きな理由のひとつです。
― 数あるサービスからWeblio英会話を選んでくださった決め手はなんでしょうか?
本校は英語教育改革として、独自の学習カリキュラムを数多く実施しています。そのカリキュラムの中で、高槻中学のニーズに合わせたオンライン英会話レッスンを、英語の正式な授業として運用したいという希望がありました。その希望を吸い上げていただけたのが決め手です。
本校の通常の英会話の授業では、一人の外国人講師が20名の生徒を見るため、それぞれのレベルに合わせて授業を進めるのが難しい面があります。オンライン英会話では生徒が自分のペースで学ぶことができるため、生徒がひとり一人のレベルで達成感を得られることが大きな利点です。
Weblio英会話の受講風景
― 高槻中学・高校ではオンライン英会話をどのように活用されていますか?
本校では英語を使ったプロジェクトを多数実施しているので、そのために英語の運用能力を高めることを目的として、活用しています。
本校はグローバル教育と生命科学(先端的な理科教育)を2軸として、中高一貫でカリキュラムを組んでいます。文部科学省よりスーパーサイエンスハイスクール(SSH)及びスーパーグローバルハイスクール(SGH)ネットワーク参加校としての指定を受けており、国のプロジェクトとリンクして探究授業を実施します。それまでに英語との滞空時間をしっかり確保して英語の足腰を強くしておいて、プロジェクトをしっかり回せるようにしておきたい。そのためにオンライン英会話は非常に有効な手段のひとつです。
― プロジェクトの中で、英語はどのような形で必要になりますか?
例えば、グローバルヘルスをテーマに1年かけてグループで探究活動をし、高1の年度末には国立台湾大学等に訪問し、教授陣にグローバルヘルスに関する発表をします。他にスタンフォード大学と本校が単独で連携したオンライン講座もあります。8回に渡るオンライン授業のアサインメントや大学とのやりとりなど、すべて生徒自身が英語で行います。もちろん間違うこともあるし、ぎこちなくてもいいんです。大切なのはこれらの活動を自信をもってやれること。
ですので、英語の足腰を鍛えておくことが重要で、それにはオンライン英会話が非常に役にたっています。レッスンでは毎回先生が変わるので、新しい先生の言葉を自分の力で聞き取って話すというコミュニケーションになります。これで生徒が鍛えられていきます。また、やるからにはauthentic(本物)なものを入れていくというのは本校の方針です。
高槻中学校の生徒さんがオンライン英会話レッスンを受講する様子
― オンライン英会話を受けて、生徒さんにはどのような変化がありましたか?
もっとも大きい変化は、「もっと外国の人と話したい」「自分の考えを言語や文化が異なる人と共有できるようになりたい」と、英語の学習に強い意欲と動機を持てるようになったことです。体験する前には、「難しそう」「先生や友達の助けを借りられない」と不安や緊張を感じる生徒もいました。実際にレッスンを受けてみると、自分のペースで学べますし、講師からその場でアドバイスをもらえるので、自分の英語力が伸びるのを実感する。苦手が減って自信がつくから、学習がますます楽しくなる、という循環が起きています。
英語との距離が縮まるだけでなく、フィリピン人講師を通じて海外の文化を知り視野が広くなるなど、生徒に様々な良い変化が起きています。こういう機会を子どもたちに提供して、頑張りたい生徒を応援し、能力をどんどん伸ばしてあげたいですね。
― 御校のスクールミッションにある「グローバルマインドをもった次世代リーダー」とは、どのような人物でしょうか。
「こうすればグローバルマインドを持ったリーダーになれる」という簡単な道はありません。本校で過ごす6年の間には、英語を使って行う様々な学習機会があります。
例えば、高槻高校に海外の方をお招きしてグローバルセミナーを開催することもあります。そこではアメリカやイギリスなど英語を母国語とする国だけではなく、途上国やラテンアメリカ、中東、アフリカの国の方もどんどん来ていただく。セミナーの終わりにQ&Aセッションをしますが、そこで上級生が英語で質問をする姿を見て「すごいなあ、ぼくらもできるようになりたいなあ」という下級生への動機づけになります。
また、英語圏以外の人が英語で話す機会に触れることで、「英語には色んな英語があるんだ」という気づきを得られます。アフガニスタンの人の英語は難しかったけど、ケニアの人のは聞き取りやすかったね、と子どもたちが気づいて話すようになる。英語はアメリカやイギリスだけのものではなくて、世界の人が色々な英語を話し、色々な考えを持っていることを知る。そういう機会が子どもたちのものの見方や考え方に影響を及ぼし、グローバルマインドを醸成するきっかけとなると考えています。国際的なものの見方や考え方は、外国に行かなくても身につけられます。
去年は行けませんでしたが、高校2年ではパラオでのフィールドワークも実施しています。現地でNPO法人の方や、パラオ政府の教育省や保健省にいって、大臣級の人に質問をする。それは外交の最前線でもあるし、パラオで起きている問題(温暖化により海面上昇のため、海水に耐性のあるタロイモへの品種改良)を現地の人に説明をしてもらい、自分たちの目で見て感じて確かめる機会でもある。そこで得た学びを高槻高校の生徒が「提言書」としてまとめ、駐日パラオ大使に提出する機会も作りました。
学校でそういった機会を子どもたちに提供すると、子どもたちは色んな考えに触れて影響を受け、もがいていくことを1年ずつ積み重ねていきます。中学高校で得たそれらの学びを大学で、そして社会に出てから生かして欲しい。
― グローバルマインドとは、英語を話せることや、外国の人と接するというだけのことではないのですね。
その通りです。まず世界を知る。世界の考え方、ものの見方を知って、世界で何が起きているのかを知る。そうすることで、地球単位で自分に何ができるのか、世界で自分はどう生きていくのかと自分ごとにすることができます。高校生の学びであってもリアルワールドに影響を与えることができます。そのために必要なのがグローバルマインドです。それに気づくきっかけをいかに生徒に与えられるか。それを得るための土台となるのが英語であり、その土台を築くための手段のひとつがオンライン英会話です。
企業は利益を追求する一方で、社会にどんな貢献ができるのかということが会社の存在意義でもあります。GRASグループの方と話していると、会社のサービスを通して世の中に貢献したいということを強く感じます。本校が目指しているものとGRASグループの経営方針は方向性が完全に一致していますので、パートナーとして、これからも一緒に国際教育を推進していくことに大きな意味があると考えています。
― GIGAスクール構想として学校にタブレットの配布などが進んでいます。高槻中学校・高校ではどのような取り組みをされていますか?
2010年から教育改革を行い、単なる進学校から脱却し、国の発展に寄与できる人を作ろうという動きが始まりました。当時はインターネットの急速な発展があり、ICTとは切っても切り離せません。学校の目標を実現する手段のひとつとしてICT化を進めてきました。今後進めていく教育活動が回るように5年かけて校舎の改築もしました。理科の実験室を7つ作りましたし、Wi-Fiも完備しています。
― 学習環境の整備にも力を入れられていますね。GIGAスクール構想の一歩先を行かれていると感じました。
タブレットを配布するだけではICT化は実現できません。本校は環境を整備していたので、昨年新型コロナウイルス発生したときも、緊急事態宣言発令の4日後にはZoomでのオンライン授業をスタートさせることができました。学びの保障は非常に大切です。
オンデマンドでの学習は、中学1年生にはまだ難しい。きちんと時間割を決め、Zoomで同時双方向での授業をやりました。配信しっぱなしにならないようにホットラインを作り、先生がカメラにうつらないとか、声が聞こえないなどのフィードバックもできるようにしています。オンライン授業に合わせて授業時間も40分に短縮しました。画面を50分間見続けるのがきついので。基盤を作っていたので、学習機会を逸することなく、迅速に対応することができました。
― これから高槻中学校・高校が英語を通じてやっていきたいことはありますか?
現在多くの生徒が国公立大学に進学していますが、それだけでは十分ではありません。海外にもたくさん大学があり、必ずしも日本の大学に進学する必要はありません。本校では帰国子女や英語型入学で入学する生徒も増えています。日本の大学に飽き足らず、海外の大学に直接入りたい生徒も増えてくると思うので、そのルートの確立を目指したい。関西では進学校であってもそこから海外の大学に直接進学するというケースはまだ多くありません。
本校では、日本では2校しか導入されていないケンブリッジ大学出版の「ベター・ラーニング・パートナー」指定校として、中学・高校での英語教育のやり方を変化させています。その出口として日本以外での大学でも勝負できるようにして、卒業生がグローバルマインドを持った次世代リーダーとして活躍するための選択肢を広げていきたいですね。
― 生徒さんの可能性を広げる教育のパートナーであることを嬉しく思います。これからもよろしくお願いいたします。
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