– 物理主義、心身二元論、自由意志、哲学的ゾンビ、機械の中の幽霊、心の再現、チューリングテスト、行動心理学 –
I don’t see that human intelligence is something that humans can never understand.(1)
~ John McCarthy March 1989
GMOリサーチ株式会社 グローバルシステム本部 CTO室の廣橋と申します。
今回は、私の前回ブログ「AIの未解決問題を調べてみた」(2022.09.22)(2)の続編になります。
前回ブログの約2ヶ月後に公開された生成型AI「ChatGPT」は、圧倒的なスピードで世界中に広がり、既にAGIが完成されたのではないかという噂もあるようです。そこで、「AIによる心の再現」について調べてみたので、それについて書きます。
エピグラフは、前回と同じくMcCarthy先生の、”I don’t see that human intelligence is something that humans can never understand.”を引用させていただきました。
目次
1. 自己紹介
2. 今回の内容・調べてみたわけ
3. AIによる心の再現
3.1. 物理主義
3.2. 心身二元論
3.3. 自由意志
3.4. 哲学的ゾンビ
3.5. 機械の中の幽霊
3.6. 心の再現
3.7. チューリングテスト
3.8. 行動心理学
4. あとがき
1. 自己紹介
2014年後半にGMOリサーチ株式会社に入社し、インフラチーム、情報セキュリティチームを経て、現在は、CTO室で、主にAI関連技術を担当しています。仕事とは別に、Kaggle(3)のコンペに参加したりもしています。
2.今回の内容・調べてみたわけ
ChatGPTを始めとするLLMが世界中に広がり、openAI社(4)は、”Our mission is to ensure that artificial general intelligence benefits all of humanity.”として、AGI(5)を彼らのミッションとして掲げています。これだけ、AI技術が進歩してくると、気になるのは、「AIに人間の心は、再現できるのか?」あるいは、「再現できたとして、それは本当の心なのか」ということです。
心については、哲学者、心理学者、神経学者などが議論を重ねているにもかかわらず、未だ答えは出ていない状況だと思いますが、その中で気になる以下について調べてみました。
- 物理主義
- 心身二元論
- 自由意志
- 哲学的ゾンビ
- 機械の中の幽霊
- 心の再現
- チューリングテスト
- 行動心理学
基本的な考え方は、「心は脳の活動が作り出したもの」であるという物理主義と、「体とは別に心は存在する」という心身二元論になると思います。
3.AIによる心の再現
3-1.物理主義
物理主義(6)とは、あらゆるものが物理的なものであると考えるもので、科学万能論と言っても良いかもしれません。したがって、心についても、脳内のシナプスの働きによって実現されるということになります。最近では、例えば、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)(7)を用いることで、脳の活動をリアルタイムで記録・分析することができ、脳の特定の領域の活動が、特定の感情や認知と関連していることが明らかにされています。
例えば、「海馬」は「記憶」と深く関わっており、「前頭前野」は「考える」「記憶する」「アイデアを出す」「感情をコントロールする」「判断する」「応用する」などと関わっているようです。AIで海馬を再現した(8)という話もあります。
心が脳の働きでできている点に関しては、多分その通りだと思いますが、それで全てが説明できるかは疑問です。
物理主義に基けば、AGIまたは、AGIの先には心があることになります。人間の心を機械で再現できるとなると、その心を情報として電子的に保存することも可能だろうし、光瀬龍の「百億の昼と千億の夜」(9)に出てくる人間を1枚のカード情報として保存し、その人間が半永久的に生きる?ことも可能になりそうです。
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【https://gmor-sys.com/2024/03/01/post-4082/】