「すべてのサービスとプロダクトに『手ざわりのいいUI』を」——2023年3月現在、Gaji-Laboが掲げているミッションです。私たちは、新規事業やサービス開発/プロダクト開発に取り組むチームをサポートし、それぞれのチームの考える「手ざわりのよさ」を一緒に捉え、事業の成長にコミットする会社であろうとしています。
この「手ざわりのいいUI」という言葉には、どんな意味が込められているのか。なぜGaji-Laboは、それを目指しているのか。
今回はその背景をみなさまにお伝えすべく、共同創業者である原田直貴と山岸ひとみの2人が、Gaji-Labo創業時からこれまでの歩みを振り返ってみることにしました。
「システムを考える会社になる」創業メンバーが目指したこと
「株式会社Gaji-Labo」は2010年10月、3人のメンバーにより設立された会社です。独立するにあたり、設立メンバーの胸の内にはさまざまな想いがありました。「せっかく自分たちで事業をやるなら、こんなことができたらいいよね」と語り合っていたのが、「しくみを考える会社になる」こと。
原田「僕はもともとフロントエンドエンジニアだったのですが、ものをつくれるようになるだけではなく、いずれはものごとがうまくいく仕組みを考えるところから、クライアントに対する価値を提供できるようになりたいと思っていました」
山岸「12年経った今も、根本にある想いは当時と変わっていません。現在のミッションも、それを叶えるための道の途中にあるものです」
メンバーそれぞれのバックグラウンドを活かし、Gaji-Laboの事業はWebシステム開発からスタート。「しくみを考える会社」を目指すための最初のマイルストーンとして掲げたのは、「システムを考える会社」になるというビジョンでした。
機械的なシステムではなく、生態系のような「しくみ」の狭間で
「システム」という言葉を耳にしたとき、おそらく多くの方が、開発対象となる機械的な仕組み、すなわち業務システムなどを思い浮かべることでしょう。
しかし「システムを考える会社」を目指し、一歩を踏み出したGaji-Laboが念頭においていた「システム」とは、一般的な解釈とはかなり異なるものでした。
山岸「私たちは言葉通りの物理的な仕組みのことを指して、『システム』という言葉を使っていたわけではありませんでした。思い描いていたのは、むしろもっと有機的で複雑な生態系のようなもの。
決して直線的に答えにたどり着けるようなものではなく、常にうねりやねじれが生じているその狭間を捉えながら、うまく機能していける何かになりたい、そんな何かを生み出したいと考えていました」
多くの生命は、生態系という“システム”の中で有機的な変化を繰り返しながら、シームレスに進化を遂げていくものです。使い古され、捨てられる前提ではなく、世代を超えて引き継がれるような“しくみ”を、メンバーはイメージしていました。
結果的にこのビジョンが起点となり、Gaji-Laboのアイデンティティは少しずつ固まっていくことになります。
原田「もしあのときこの言葉にたどり着いていなかったら、今のGaji-Laboの形はまた違うものになっていたんだろうな、と思いますね」
Webシステム開発に加え、チームやビジネスの支援へと手を伸ばす
創業からしばらくは、コツコツとWeb開発事業に取り組んでいたGaji-Labo。しかし「システムを考える会社」を目指す過程で、考えるべきことのレイヤーは少しずつ上がっていきました。
プロジェクトチームの運営サポートや、ビジネスそのものの支援。それらは当時のGaji-Laboにとって、はしごのずっと上にあるような仕事でした。そこで山岸はUIデザイナーとしての仕事から一時的に離れ、新たな道を切り拓くための活動に力を注ぐことにします。
それから数年がたった、2019年頃。社内にもビジネス支援のスピリットが徐々にインストールされ、UIデザイナーの採用も実現。さらには「フロントエンド開発」「UIデザイン」「プロセス支援」という3つの事業の柱が明確になったため、次はそれらを、周囲に対してしっかりと伝えていくフェーズに足を踏み入れます。
そこで共同創業者の2人が必要性を感じるようになったのが、クライアントをはじめとする関係者にも届きやすい、中期的なミッションの存在です。
山岸「当時はまだ、Gaji-Laboはどんなことができるのか、十分に説明できていませんでした。自分たちが役に立ちたい、役に立てる人たちにアプローチしていくためにも、自分たちがどんな価値を提供できる会社なのか、具体的に描く必要があると感じていました」
そこで生まれたのが、「すべてのサービスとプロダクトに『手ざわりのいいUI』を」というミッションでした。
会社が次のステップへ進むキーワード、「手ざわりのあるUI」
本質的な「しくみを考える会社」「システムを考える会社」であろうとしたとき、自然と生まれたのが「手ざわりのいいUI」という表現でした。
原田「この言葉を選んだ背景には、当時業界の主流を占めていた“かっこいいUIデザイン”と、それが『売上増につながる』というような打ち出し方への疑問が少なからずありました。UIデザインというものは本来、プロダクトやサービスのボトルネックになることはあっても、簡単に成果につながる要素ではありませんから」
ただ、決してGaji-Labo側が「手ざわりのいいUIとはこういうものです」と、明確な答えを定義し、それを一律でクライアントに提供したいわけではありません。
Gaji-Laboがイメージする「手ざわりのいいUI」とは、そのサービスやプロダクトを使おうと思っている人にとって、その瞬間の目的とコンテキストに合った“ちょうどいい機能” と、“ちょうどいい感性”を、“ちょうどよい状態”で提供できること。
山岸「“手ざわりのよさ”の定義はあくまでも、クライアントやサービスによって異なるものであり、本来はそうあるべきだと考えています。そのサービスやプロダクトを利用する人が、着心地のいいセーターを着たときのような感覚を味わえる。そんなUIデザインを目指したいと思っていました」
クライアントと共に、それぞれが理想とする「手ざわりのいいUI」を実現していく。Gaji-Laboが提供できる価値に、新たな表現が加わりました。
「手ざわりのいいUI」、その先へ
それからさらに月日を過ごす中で、Gaji-Laboはさまざまな試行錯誤を重ねながら、また少しずつ進化を遂げてきました。
原田「そろそろ会社として、次のフェーズを意識すべきときがきていると感じています」
Gaji-Laboが次に目指そうとしているのは、「オーダーのあったものをつくる」仕事の、さらに前段階への挑戦です。クライアントと共に新しいプロダクトを生み出す「受託プロダクトチーム」として、プロダクトマネジメントの領域に足を踏み入れようとしています。
フロントエンド開発とUIデザイン、そしてチームとプロセスの支援。原田と山岸が長年にわたって育ててきた事業の両輪が、いずれ「受託プロダクトチーム」の機能を担う重要なキーになるはずです。
まだまだ課題は多く、道のりは決してやさしいものではありません。それでもGaji-Laboが創業時に目指していた一つの到達点が、そこにあると考えています。