山岸が「成長の機会と価値・魅力の天秤を支える土台は哲学と矜持」という記事で今後の Gaji-Labo の方針をあらわす天秤の概念についてまとめました。
今回はその天秤の上部に絞った話を書きたいと思います。
価値や魅力・品質が犠牲になるとき
ビジネスに限らず社会活動のすべては価値の交換で成り立っています。そのため事業を営む上で提供する価値や魅力・品質が低下することは避けなければいけない事態です。
しかし実際には色々な場面で低下を免れない事態を多くの人が経験しています。たとえば。
- スケジュールを間に合わせるために
- 利益を残すために
- 未熟なプロセスによる歩留まりの低下
- 配置転換や退職による技能レベルの低下
- etc…
多くの場合、品質が低下するのは意図したものというよりも、何らかの不都合により生じた結果の場合が多いでしょう。
(もちろん全体のスループットを高めるために品質を一定程度下げる判断がくだされる場合もありますが、それは最終的に提供する価値を安定させるための対処なので少し話が違います。)
価値や魅力・品質を犠牲にする価値があることとは
前述したような、事故に近い形ではなく意図して品質の低下を受け入れる場面があるのか?というのを最近はずっと考えていました。
たしかに戦略や戦術として下記のような判断を下すことはよくあります。
- 利益率改善のための品質抑制
- プロセス平準化のため品質抑制
- → 誰でも出来る作業にするための簡略化
- 納期短縮のための品質抑制
どれも効率化と密接に関係のある基準です。しかし、効率化のために価値を損なうことを是とするようなメッセージには違和感を覚えます。決して、効率化が悪いという意味ではありません。効率化が価値という最も重要なものと同じ天秤に直接乗っていて良いのだろうかという疑問を持っていました。
せっかく一時的にでも価値を犠牲にするのであれば、その結果は回り回って価値を向上する結果につながるようなものであってほしいです。
効率化も価値を押し上げる結果につながるものですが、そう大きな変化が期待できるものとも思えません。
成長の機会こそが価値や魅力・品質を育てる
そうやって考えるうちに、今の Gaji-Labo は成長なくしてこれ以上の価値や魅力・品質を作り上げることは出来ないのではないかという考えに至りました。
メンバーの成長・チームの成長・事業の成長・会社の成長、これらから目を背けて効率化だけを進めても良い結果には至れません。
正しく成長できれば提供できる価値が大きく高まり、効率化も自然とついていきます。
そのために、 Gaji-Labo では「成長の機会」を天秤の反対側に乗せることにしました。
たとえ価値や魅力・品質が低下してしまうリスクが生じたとしても、その結果メンバーやチームが成長し次の機会では価値を大きく向上できるのであれば賭ける価値があります。
熟練のメンバーだけでプロジェクトを繰り返しても提供できる価値の総量は変化しません。しかし、成長機会を有効に活用することでメンバーの成長が促進されれば結果的に提供できる価値の総量は大きく増加するはずです。
天秤の左右を正しく交互に積み上げることができれば Gaji-Labo は今よりも世の中に大きな影響与えられる組織になれると信じています。
成長の機会をより大事にする会社に
これまでの Gaji-Labo は良い結果を出すために、熟練のメンバーに依存する形で再現性の高い手順で仕事を進めていました。これ自体は間違っていないと今も確信しています。しかし、メンバーの成長機会という考えは疎かになっていました。
これからは若手に限らずメンバー全員の成長機会の増加を意図的に増やす会社にしていきます。誰かが得意な作業は誰かが学ぶべき作業かもしれない。そういう視点を全員が持って日々の活動に取り組めればきっと強い組織になるはずです。
最後に、この話を「品質を犠牲にして成長する」と単純化してしまうと「顧客にリスクを負わせてスタッフ育成をするのか?」という疑問にたどり着く方も多いと思います。
当然の疑問ですが、それは意図していません。そうならないために天秤の土台部分「哲学・矜持」があります。次回はそのあたりを記事にしたいと思います。