エンジニアとして豊富な経験を持つ古賀さん。
入社3か月でスタッフの指導にあたり、更なる成長意欲から今後の展望にも目を向けています。
Azureの知識にも精通した彼は、今回のインタビューで船井総研デジタル/クラウドソリューション事業本部の現状や今後について、深く考察してくれました。
ープロフィールー
株式会社船井総研デジタル
クラウドソリューション事業本部
ソリューション事業部
エンジニアリンググループ デベロップメントチーム
古賀 秀明
2023年4月株式会社船井総研デジタルに中途入社。前職ではネットワークを中心としたインフラ領域を担当するAzure専業のエンジニア。2015年からAzureに携わっているため今年で8年目になり、日経クロステックなどの専門誌への執筆も経験。現在はグループ内、外問わずAzure、AWS問わず要件定義から設計、構築、納品、保守などITサービスのすべてのフェーズに関わる業務と人材育成を行っている。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――拠点と拠点が繋がった瞬間、何ものにも代え難い、喜びに繋がった!みたいな感動をすごく感じられる―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―まずご入社が今年4月で、現在ちょうど3か月だと思いますが、前職でどういったことをされていたのか教えていただけますか?
前職でも7年半ほどずっとAzureを触っておりまして、Azureのインフラ周りをずっと担当しておりました。
仮想ネットワークや、仮想マシンを構築したり、VPNや専用線をはったりしていました。
あとは、PaaS(パース)サービスもですね。
―ずっとインフラエンジニアとして働かれていたんですか?
高校卒業して4年ぐらいは、アルバイトをしていました。
そこで、たまたまなんですが、郵便局で配達のアルバイトをやっていた時など、オフコンが壊れたら、なぜか私にお声がけをいただいて修理にいったり、そんなことをしていました。
ですので、ひょっとしたら、既に適性があったのかもしれないです。
もともと数学の成績が良かったので、全然関係ない仕事をしながらも、そうやって、なんとなくITに関わりながら仕事をしていました。
そんな中、22歳で入った会社がIT系の営業の会社でした。
IT系でといっても、電話機などのOA機器を売っている会社だったんですね。
当時は、IP電話とかがバーっと売れる時代で、音声を司っているルーターがあるんですけど、そういうのを販売しているうちに、技術に興味が出てきて、エンジニアに転職しようということで、
3年半ぐらい働いてからかな?25、6歳のぐらいの頃にエンジニアに入って転職してからは、ずっとインフラエンジニアです。
―インフラエンジニアとしての面白みってどういうところだと思います?
私は、ネットワークと密に関わってきた人間なんで、拠点と拠点が繋がった瞬間、やっぱり一番嬉しいですね。何ものにも代え難い、喜びに繋がった!みたいな感動をすごく感じられる瞬間ですね。
それから時代が進み、今度はすべての通信を通すのではなくて、必要な通信だけ通そうみたいになりました。
それまでルーターだったものが、ファイアウォールに切り替わってきて、ファイアウォールで通したいものを通す、通しちゃあかんものを決める。これができて、喜びが二重になったみたいなところですね。 やっていけばいくほど、セキュリティの世界であれば、いたちごっこですね。笑
技術が、良くも悪くもどんどん進展はしていくので、そこについていく面白さっていうのはやっぱりあります。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――全部巻き取って船井総研デジタルの1つのブランドとして提供できるなら、エンジニア冥利に尽きるなと―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―いろんな会社が同じように、システムの開発だったりだとか、インフラの構築をできるエンジニアを求めていると思うんですけれども、その中から船井総研デジタルの選考を受けてみようと思われたきっかけを教えてもらえますか?
やっぱり関西で船井総研と言われると、「おっ!」という…
私自身も、いろんなところでお話は聞いていたのと、船井総研デジタルは中小企業中心のコンサル会社っていうところは、イメージとして持っていたので。
あとは、私の父が中小企業を経営していたこともあり、中小企業に寄り添ったコンサルタント会社が本気を出して、デジタルでITを使って、業務効率化して、売上を上げていく、ということを考えたときに、「ここはぜひ、私の持てる力を役に立てられるのであれば、使ってもらいたい」というのが、まず一番はじめに思いました。
―船井総研グループに対する、エンジニア、システム開発、インフラ周りの仕事に関して、どんな印象をお持ちでしたか?
コンサルタントをやるだけやって、構築そのものは別の外部に流しているみたいなイメージでした。
それだと、絵を書くだけ書いて、動くか動かないかわからんものを、外部に丸投げするのってよくないよねってエンジニアとして思っていたんですよね。実際はどうだったか、僕には分からないんですけども。
ただ、面接時に「提案から動くものを作って、納品までして、そこから保守まで対応する体制ができる」というのを聞き、上から下までお客様のシステムが生まれてから死ぬまでの間、ずっと面倒みれるって、エンジニア冥利に尽きると、私は思ったんです。
長く保守をやっていると、「構築して、はいおしまい」みたいなことが多くあるんですが、お客さんから、「ここが使いやすいよ。ここはやっぱり入れてよかったよ。もっと、こうして欲しい」みたいな意見もでてくると思うんですね。
それも全部巻き取って船井総研デジタルの1つのブランドとして提供できるのであれば、エンジニア冥利に尽きるなと思いました。ですので、是非やりたいと思ったんです。
―なるほど。実際、良い話も悪い話も、入社した後にギャップとして出てくるところもあると思うんです。入社してからはどう感じましたか?
そうですね。Azureに詳しいエンジニアが多いよみたいなイメージできいていて、私も関西で7年半~8年近くAzureを触ってたので、私より詳しい人間でいっぱいなのかなと思ったんですけど…
インフラ部分でいうと、アプリのエンジニアの人が多かったので、アプリの人はすごいなと、もう何言ってるのかわからないんですけど、インフラエンジニアの方はそんなに多くなかったので、逆に私の価値を発揮はできるとは思いました。
ただ、例えば私が病気になってしまった時に、変わりを探すのは大変だなと思うので、そこは新しい人や、同期の若い方など、喋っているとインフラの適正あるかたも結構いてはるので、そういった方に伝えていければと思っています。良くも悪くも自分が楽はできるように。笑
あとは、チームワークを強化していくのと同時に、仕事をとっていくという部分以外でも、人を外へだしていくということでも、自分の力を出していければいいなと思っています。
―インフラの適性がある人ってどういう人なんですか?
そうですね。私もそうなんですけど、自宅にサーバーを自費で設備してたり、買ったら10~20万するようなルーターをポンポン買って、自分の家を検証環境にしているような人達は、インフラの適正があるんじゃないかと私は思っています。
―最近ガチャガチャでましたよね。
速攻で買いに行きましたが、なかなか手に入らなくて、見つからないですね。笑
―なるほど。あれの実物が家にあるぐらいの人とか、専用の部屋があるという人の方が向いていると?
万人に求めるわけではないんですけど、実際に「検証しよう!」とかユーザーさんに「こんなことできますか?」って言われたときに、動くか動かないかっていうのは実機じゃないとわからない部分があって、検証できると話が早いんですよね。
普通の人は「なんで個人で買わなあかんのかな」って、疑問に思うはずなんですけど、
そこを躊躇なく買えるっていうのは、多分こっち側の人間かなっていう気はしています。
―これだけクラウドに変わってきている中でも、やっぱり物理のサーバーとかネットワークみたいなところもある程度は理解してないと難しいですか?
難しいと思いますね。それまでは冗長構成だったものが、クラウド化されたからなんです。
まず、ルーターが2台あっても、ユーザーさんからみたら1台に見えている状態。
これを冗長構成と言うんですけど、これを組まなくてよくなったんですよね。クラウド上では概念化、抽象化されているので。
ただ、いざトラブルが起こった時に、この冗長構成のラインってどうやって動いてたんだっけ?というのがわからないと、メインで見て障害が起きてバックアップに切り替わらなかったのが原因なのか、それともメインもバックアップも両方死んでいたのか?そういった切り分けができなくなってしまいますっていうのがまず1点。
2点目としてあるのは、最終的にユーザーさんの環境とクラウド環境をつなぐところで絶対ネットワークは必要なんですよね。
つながないユーザーさんも中にはいらっしゃるんですが、日本のユーザーさんは圧倒的につなぐので、このラストワンマイル埋める部分の、希少価値の高い技術を得ようと思うと、ものを持ってる方が話は早い。というところですね。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――チャレンジすることに対して、オープンな気質があるっていうのは大きい―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―ありがとうございます。古賀さんが入社された後に、エンジニアの人数も増えたかと思いますが、勢いですとか、拡大スピードみたいなところはどう感じでいますか?
勢いはすごく感じますね。人はどんどん増えていきますしね。
今年の4月入社でまた3か月試用期間があけたところで、後輩っていないようなイメージだったんです。
ですが、実際はいて、その方たちに「Azureのインフラってこうなんです。」とかって、僕が教えたり、こんなお仕事ってできますか?って、そのアプリのエンジニアの方にお話を聞いてみたりとかっていう部分で、たくさんお仕事がたくさんあるので、成長スピードがめちゃくちゃ速いと思います。
ーみんな共通して持っている志などはありますか?
Azureがはじめましての人や、詳しくない方もいる中で、それでもなんとか技術についていこうという人が多いです。
転職したての人は、ある程度テンション高くいるというのもありますが、それを差っ引いても新しい技術をキャッチアップしていこうという意識は凄く高いと思います。
ある程度知識があっても、エンジニアはずっと技術を追いかけ続けないといけないんですよね。
その中で、また新しいことを勉強するって、私も正直しんどいと思うことはあります。
でも、そこの志向性があっていると、みんなしんどくても、勝手に勉強して技術がついていくと思うんです。なので、新しい技術でやってくれって言われた時に、レスポンス早く「できます。やります」って言える人材がそろっています。
―土耕して肥料を入れて水までしなくても、勝手に少しずつ育ってくるような環境があるわけですね。
なるほど。会社の制度とか、文化からそういう風になっている側面もあると思いますか?
そうですね。チャレンジすることに対して、オープンな気質があるっていうのは大きいと思います。
「話が早い」ということだけを考えると、Azureできる人を雇った方が良いわけじゃないですか。
あえて、Azureを初めて触るエンジニアの人を一定数いれるということは、綱引きのような、教えて育つという意図があると思うので、その人員構成はうまく配備できていると思います。
それ以外にも、資格取得の制度もしっかりしているので、うまく回っていくんじゃないかと思います。
―これからどんな会社になっていきそうだな、というふうに見ていらっしゃいますか?
外部発信でのQiitaの記事とかですね。我々はいろいろやっていますけども、新しく入った方でQiitaを1回も書いたことない人に、この記事書いてって依頼しています。
そういった外に発信していくところ、これってエンジニアリングの会社で結構弱い組織が多いかなと私は思っているんです。
外部発信の土壌を強くしながら、実績を積み重ねていけば、もっといい会社になっていくんじゃないかなと思ってます。
―その中で、古賀さんが担っていきたい役割や業務って何かお考えですか?
今まで経験してきたインフラ部分ですね。もともとのネットワークだったりとか、いわゆるレガシーっていわれているような技術って、正直これからなくなっていくかもしれないんです。
ですので、キャッチアップもすることも難しくなっていくと思うので、私の持っている技術を伝えていって、人材の育成というところと、今までの経験を活かして、先頭に立って新規の案件を取っていくっていうところ、この2点は注力してやっていきたいです。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――浮彫になった問題点をどうやって埋めましょうか?って具体案を出すのは、我々エンジニアの仕事―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―まだ3か月なので、始まったばかりだと思いますが、現在どういう案件に携わっているんですか?
時期的にwindows server 2012のEOS(End Of Support:サポート終了)を迎えるんですが、やっぱりリプレース案件が一番多いかな。思いっきりどインフラですね。
あとは、昨今、話題になっているChatGPTですね。
それを使って「どういったことを社内でできるんだろうか」とか、「デモ環境を取りあえず作ってみたいんだけど」といった内容でご紹介いただいたりしているので、EOSに引っ張られるようなレガシーの技術と、ChatGPTを活用した新しい技術と両方の案件に着手しているような状態です。
―ChatGPTは、これからどんどん進化していくと思いますが、そことインフラ周りの関係性というのは、どのように進化していくとお考えですか?
ChatGPTは新しい技術ではあるんですけど、もともとトレーニングされたAIというのを、ユーザーさんが自然言語で使えるようになっていることが、目玉の1つだと思うんです。
ただ、やっぱり気になる点は情報漏洩ですね…
ChatGPT3でも、情報をOpenAI側に見られてしまうことがあるので、それをいかにクローズドにして、ユーザーさん以外から、中の情報を見られないようにする。その為には、どういう風にしたらいいんだろうと、これも思いっきりインフラなんですよ。
セキュリティ+インフラの部分になってくるので。
こちらの技術構成に関しても、今まで経験してきたPaaS技術を組み合わせて、セキュアにパケット情報をいかにインターネットに流れない環境を構築するのかというところは、特に日本の企業さんは注目されているはずです。
それでも中にあるアプリケーションは、最新のAIが搭載されているので、そのインフラ部分はレガシーの技術というか、過去から培われてきているネットワークの技術で守っているということですね。
こちらは帳尻合わせている会社が、あんまりいないかなという気はしているので、そこは商売の起点になるのではと思っています。
―これは最初の話と繋がってきますが、中堅中小企業の経営者の人たちって、情報セキュリティに対するリテラシーとか、理解度が甘い部分って、どうしてもあると思うんです。
で、そこの危険性を伝える為に、どのように注意喚起をしていくのがいいとお考えですか?
社内の情報が漏れると、いかに自身の会社や、ユーザーさんが影響を受けるのか?そして、会社だけにとどまらず、取引先や、エンドユーザー、一般顧客いうところにも影響してくる話っていうのは、仮にリテラシーが低かったとしても、経営者として把握されているはずですよね。
で、その抽象的な被害の内容と、具体的にこのシステムの保護の情報が漏れたらダメですよねっていうところは、ユーザーさんに入り込んでいってお話していく中で浮彫にさせていく、そこは私の仕事だと思っています。
そして、浮彫になった問題点をどうやって埋めましょうか?って、具体案を出すのは、我々エンジニアの仕事だと思っているので、今後も積極的に関わっていこうと考えています。
もちろん、コンサルタントの方とも協力しながら、経営者の方にどう理解していただくか、というところはヒアリングを重ねて、丁寧にやっていこうと思います。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――少なくとも、エバンジェリストの候補に名前を挙げてもらいたい―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
―なるほど。コンサルタントもエンジニアもいるっていう強みがそこでいきてくるんですね。
古賀さん自身は、これからどんなキャリアをお考えですか?
Microsoftさんの中で、社員以外の方でも「エバンジェリスト」と言われる、伝道者のような立ち位置にでる人が何人かいるんですが、私の知る限り関西には今エバンジェリストっていないんですよ。
で、大阪地盤の会社でエバンジェリストと言われる人を輩出できれば、会社の注目度が上がってくるかなというふうに思っています。
外部に対する情報発信という部分も評価されるようになってきていて、そこを私自身強化していきながら、まずはエバンジェリストに、少なくとも候補に名前を挙げてもらいたいです。
この先は、社内外でインプットアプトプットをバランス良く行いつつ、かつ案件もこなしていくことを、自分自身が目指していって、若い方たちにもそれを啓蒙していきたいというふうに考えています。
左:古賀 秀明 右:山本 翼
編集後記
冷静で端的にお話しくださった古賀さん。
その目には、仕事におけるエンジニアとしての情熱だけでなく、自身の好きなことに対するパッションがありました。
入社わずかながらも、自身のキャリアだけでなく、船井総研デジタルとしての展望も視野に入れている彼は、プロフェッショナルだと感じました。
古賀さんの知識や技術を引き継いで、より勢いを加速させていくクラウドソリューション事業本部の今後が楽しみです!
インタビュアー:山本 翼/撮影:小池 俊二/記事:石毛 彩