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2020年10月freeeに入社した木村は、2023年現在、『freee工数管理(旧freeeプロジェクト管理)』のカスタマーサクセス責任者とPdM、『freee販売』のPdMを兼務しています。この記事では木村の入社以前の経験から、freeeでやってきたことまで綴ります。
世の中を進化させることに携わりたい
大学卒業後、半導体の製造装置を製造する会社に入社した木村。その理由を語ります。
木村「将来自分が何をやりたいか考えたときに、世の中を進化させることに携わりたいという気持ちが湧いてきました。そんな業界に入って、大きなインパクトを残したいと。
学生時代はナノレベルの流体力学に興味を持ち学んでいたので、それが活かせるような業界を調べ、辿り着いたのが半導体業界でした。それから『半導体って何?』って調べ始め、世の中のあらゆるものに入ってるし、半導体の進歩=世の中の進歩と言っても過言ではないことに気がついたんです。そのインパクトの大きさに驚きました。
また半導体開発のシェアを調べてみると、米国・台湾・韓国などに先をこされていましたが、半導体の製造装置業界では世界トップクラスのシェアを持つ会社が日本にあるとわかりました。私はグローバルに働きたいからこそ日系企業に入りたいという気持ちがあったので、入社を決めたんです」
研修では実際に製造装置が使われている現場で、エンジニアとして保守や改造に携わり、2年目以降は台湾担当のセールスを担当しました。
入社して3年が経ち、木村は転職を考え始めます。
木村「会社や半導体業界自体が世の中の最先端を走っているという仮説はまさにその通りで、あらゆるものに半導体が導入されていくのを目の当たりにしました。ただ、その中で自分ができることがあまりにも小さくて、会社としては世の中を動かしているけれど、自分個人の影響ってあるのかないのか、わからなかったのです。
それなら、もっと個人の裁量が大きく、会社の業績に与えるインパクトも大きいところで働いてみたいと考えるようになりました。とりあえず小さい会社でも良いから、自分で0から10までやらせてもらえるところを探そうと考え始めたんです。その中でも、なるべくいろんな業界の人と話せる職種が良いなと」
木村が2社目に選んだのは、広告系のスタートアップでした。2年間、セールスとして様々な経験をしたあと、さらにステップアップのために転職します。
木村「入社時に二つのことを約束しました。
一つは、セールスとして入社するからには数字上の目標を達成し、ノウハウを仕組み化して再現できる状態を作り上げること。もう一つは、それをやりきった後は、できれば新規事業に挑戦するか、会社との方向性が違うようであれば転職や独立を考えることを認めてほしいということでした。
2年間のセールスの経験では、転職時の目論見通り、いろんな会社の人と会うことができました。その中でIoT事業に取り組んでいる社長と話す機会があり、非常に面白く、可能性を感じたんです。まだ世の中的にはIoT黎明期でした」
イノベーションを生み出す側で働きたい
(▲家での一枚)
スマートホームに関わりたいと考え、転職活動を始めた木村。見事にマッチングし、住宅のリノベーション会社に入社し、5年間働きます。
木村「新規事業を任され、いかにリノベーションにスマートホーム系の家電を組み込むかを考えていました。組み込むことができたら、住宅ローンに含まれるし、後付けするよりも良い暮らしになるだろうなと。
またセールスを手伝って欲しいと言われ、営業企画・営業マネージャの経験を活かして、受注率を倍加させることにも尽力したこともありました。リノベーション事業そのもののBPRを行い、営業活動を効率化する社内ツールの開発や、CRMの導入などを担当しました」
しかしスマートホームの新規事業は、ある事件によって、計画の変更を余儀なくされてしまいます。
木村「AmazonがAlexaを発表したんです。直感で『勝てない』とわかり、方針転換を経営陣に提案しました。Alexaを活用した住宅を作る方向にピボットしたほうが勝機があると考えたんです」
事業変更したあと、すぐに動き始めました。この経験が木村のキャリアの中で大きなものとなっていきます。
木村「日本でのAlexaの発売はまだでしたが、『家に組み込んで売りたいからAlexaを活用した住まいを一緒に打ち出していきたい』とAmaozn側に働きかけました。当時Alexaの用途としてスマートホームはあまり認知されておらず、Amazonの担当者も懐疑的でしたが、実際にショールームでデモをしたり、例えばこんな機能があれば住まいの体験がどんなふうによくなるか、といったプレゼンをして協業できることになったんです。
当初はどのデザイナーもスマートホームがどんなものなのかよくわからず全然提案されませんでしたが、紆余曲折を経て、スマートホームを提案していただきたいと働きかけなくても勝手にスマートホーム仕様の案件が創出されていき、提案するのが当たり前状態になっていった。こうして事業の『0→1』を作った経験は、世の中が変わり始める最初の石を投げることができたという自信にも繋がりました」
新卒の時に抱いた「世の中を良い方向に進化させることに携わり、インパクトを残したい」という気持ち、転職時に感じた「裁量を増やして、自分の責任と可能性を広げていきたい」という気持ち、どちらの目標も達成した木村。
その時、ある想いが沸々と湧いてきました。
木村「願わくば『そのときのAmazonに居たかった!』と思ったんです。イノベーションをうまく活用する方法を見つけて社会の進化に携わることはできたので、これからはイノベーションを生み出す側で働きたいと」
こうして3度目の転職を決意します。
木村は自身のやりたいことを実現する機会を得るため、転職エージェント経由でスカウトを受けた会社は全て話を聞いてみることにしました。
freeeと出会ったのはそんな時でした。
PMM、マーケティングを経て、カスタマーサクセス・PdMの兼務へ
(▲PMM時代、左が木村)
PMMとしてのスカウトを受けた木村。面接を通して、freeeへの入社を決めた理由を語ります。
木村「履歴書には業務改革、営業組織の立ち上げ・立て直し、営業マネージャーなどの経歴を綴っていたので、PMMでのスカウトが届いたのだと思います。『PMMとはなんぞや!?』と調べると、自分がやってきたことに近いなと思いました。
面接で印象に残ったのは、頻繁に『マジ価値』や『アウトプット→思考』といった具体的な言葉が出てきたことでした。ミッションを掲げ、それを達成するためにビジョンやバリューを定めている会社はたくさんあると思うのですが、freeeはその浸透度が限りなく高く、実際に仕事の中でもその思考を体現できているのだろうなと感じました。経営陣も従業員もそんな姿勢で働いているなら、ミッションの達成確度も上がるだろうと」
こうして2020年10月、木村はfreeeに入社し、PMMとして業務を始めます。木村がPMMの役割について語ります。
木村「簡単に言うと、プロダクトをどういうふうに伝えるとお客さんに伝わりやすいんだろうとか、どういう人たちに刺さって市場規模はどれぐらいあるんだろうみたいなことを考えています。
マーケティングの担当ではない、セールスの担当でもない、でも必要で、誰かがやらないといけないことを丸っと全部やっている感じでした」
PMMとして担当することになったのは、『freee工数管理(旧freeeプロジェクト管理)』と『freee福利厚生』の販売支援でした。
しばらくするとPMMで感じた課題から『freee工数管理(旧freeeプロジェクト管理)』のマーケティング、カスタマーサクセスと役割を変えていきます。
木村「現在はプロダクトごとにPMMがついていますが、当時はPMMチームがあり、『freee工数管理(旧freeeプロジェクト管理)』『freee福利厚生』のチーム外にいながら状況を把握しなければいけませんでした。定例会議に出るだけで1週間の半分ぐらいは埋まってしまい、なかなか成果が出なかったんです。
そこでプロダクトを1個に絞ることと、一番課題が大きかったマーケティングに注力させてもらうように相談し、役割変更をしてもらいました。セールスとカスタマーサクセスには専任者がいたけれど、マーケティングは『freee会計』のマーケティング担当者が兼任でやっていて、注力できていなかったんです。ここで『freee工数管理(旧freeeプロジェクト管理)』のWEBマーケティングの土台づくりを行いました。
さらにカスタマーサクセスが属人的なやり方になってしまっていたので、明文化・仕組み化に着手しました。どうなるとサクセスしたと言えるのか、導入支援プランはいくらなのかなど、全て定義していきました」
カスタマーサクセスでの経験が、2023年現在担当しているPdM(プロダクトマネージャー)への布石となりました。
木村は『freee工数管理(旧freeeプロジェクト管理)』のカスタマーサクセス責任者とPdM、『freee販売』のPdMを兼務しています。
木村「PdMとしての兼務を打診されたのは、カスタマーサクセスの経験からお客様の業務や課題に対する解像度が高かったからだと思います。『こんな機能があったら良いな〜』と言う声を聞いて、PdMから許可をもらって仕様書を書き、そのまま開発することになったこともあったので。そのまま私に任せてみようという話になったのかもしれません」
多くのプロダクトを提供することで『スモールビジネスを、世界の主役に。』の実現を目指す
(▲freeeのメンバーと。左が木村)
PdMとして最初に取り組んだのは、『旧freeeプロジェクト管理』から『freee工数管理』への名称変更を含んだリブランディングでした。
木村「お客様の業務や抱えている課題を把握した上で、どういうふうに『freeeプロジェクト管理』を使っているのか、何十件も見ると用途のほとんどが工数管理だったんです。それなら名称を変更した方が良いのでは、と考え動き始めました。
事情を説明すると、社内での合意形成をすることはでき、プロジェクトの収支管理ツールではなく工数管理ツールにフォーカスしてリブランディングすることになりました。同時にプラン改定や機能削減も同時に行うことになり、頭を悩ませたのは社内外のどこにどのような影響が出るかわからないことでした。特に技術的な影響については、綿密にエンジニアと協議を重ねました」
さらに『freee販売』における工数管理連携機能の企画や、販売上位プランのリリースも行いました。
木村は『freee工数管理』『freee販売』を担当することの大変さとやりがいを語ります。
木村「『freee会計』『freee人事労務』など、freeeの売上の大部分を占め、社内に関わる人数も多いプロダクトと比較すると、『freee工数管理』『freee販売』はリリースしてからの期間も短く、売上規模もまだ小さいです。
大変な部分は、Salesforceやマルケトのデータ構造、社内の仕組み、分析チームやSEOなどの社内の組織が『freee会計』や『freee人事労務』を扱う前提で作られているところがあり、それを理解して対応する必要があることが挙げられます。ただ、これらも3か月ごとにどんどん改善され、格段に生産性が上がってきていますね。
PdMとしてのやりがいは、困ってたお客さんの課題を解決できたことがデータやインタビューなどで見えたときに、今までなかった価値を生み出せたと実感できることですね」
木村は、freeeでは、PdMとして求められる仮説立案・検証方法の設計と実行・結果の考察および施策の立案などを回すサイクルのスピードが非常に早いと言います。
その理由を語ります。
木村「まずは『freee会計』『freee人事労務』の40万事業所を超える既存ユーザーがいるおかげですね。最初の顧客を得るのが容易なうえに、お客様から課題解決のための意見を言ってくださることも多いです。特に『freee会計』に課金してくださっているユーザーに声をかければ、興味を持った人がどんどん手を挙げてくれるので、プロダクトの使い方から見込み客をある程度絞ることもできます。
次に、新規事業に挑戦することへの身軽さと、大きな組織のリソースの良いとこ取りができていることが挙げられます。『freee販売』『freee工数管理』チームは、『freee会計』『freee人事労務』のチームとは別組織になっていて、戦略等を自分たちで考えて、検証して、振り返って、修正するといった動きを、よりスピーディに取ることが可能です。『freee販売』『freee工数管理』チームと会社との関係が、投資家とスタートアップみたいな関係になっていると感じることもありますね。
最後にエンジニアとデザイナーが在籍する開発チームが優秀だからです。顧客業務や課題の理解があるので、こちらが言ったものを言われたとおりに作るのではなく『ここってなんでなの? だとしたら、こういう実装のほうが効率が良いですよ』など、提案してくれます。また皆がフロントエンド・バックエンドのどちらも触れるので、何かあったときに人を待たずに素早く対応してくれますね」
freeeにとって新規プロダクトをリリースしていく意義と、今後の展望を語ります。
木村「freeeのミッション『スモールビジネスを、世界の主役に。』を実現するためには、メインプロダクト『freee会計』『freee人事労務』の充実はもちろん、それだけでは足りないと考えています。お客様と話していると、CRM・BI・在庫管理・生産管理・タスク管理などなど、一生かかっても作りきれないんじゃないかと思うくらいの要望をいただくので、優先順位を決めながら一つ一つ形にしていきたいですね。
またfreeeは、会社として将来的にもスモールビジネスに特化していく、と謳っています。だからこそ、少数のプロダクトではなく、多くのプロダクトを提供することで『スモールビジネスを営む上では、freeeを使っておけばとりあえず大丈夫』という世界を作りたいと思っています。それがお客様の安心感を醸成するためにも重要だし、必須ですね」
最後に、入社後さまざまな職種を経験をしてきた木村が、これからfreeeに入社する人に向けて、freeeにおけるキャリアパスの多様性について語ります。
木村「私の場合は、その時その時で、『自分のスキル × 職場のニーズ』をベースに、自分の出せるインパクトが最も大きくなりそうな選択をしてきました。職場に足りていないピースを探して、その中で自分が一番得意そうなものを見つけてきたつもりです。基本的に困ってるところにアサインされることが多かったので、割と大胆なことにも挑戦させてもらえましたね。
freeeではマーケティング・セールス・カスタマーサクセスからPdM、PdMから他のキャリアに異動したメンバーもよく見かけるほか、経理や労務といった管理部門からPdMになった例も割とあります。前例主義じゃないので、ちゃんとバリューを出せる見込みが立つなら冒険をさせてくれるし、メンバーもリスクを取ることを厭わないので、入社前は予想もしなかった経験ができると思います」