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お客様やプロダクトに真摯に向き合う。経験から導き出したカスタマーサクセスの意義

ソフトウェアハウスやコンサルティングファームを経て、freeeへ入社した経歴を持つ増田 祐也。2022年1月現在、カスタマーサクセス部門の中で有人支援を担う部門の責任者を務めています。そんな増田のこれまでのキャリアでの学びと、それらを活かした今後の展望をご紹介します。

お客様に真摯に向き合うことを学んだ8年半

(▲ワークス時代、送別会にて)

大学は商学部に進学し、在学中はサークル活動やNPO法人での活動に打ち込んだ増田。2009年の大学卒業後、新卒で株式会社ワークスアプリケーションズ(以下、ワークス)に入社します。

入社後はコンサルティング部門に配属され、エンタープライズ向けHRシステムの保守業務の担当となりました。

増田 「ワークスにおいて保守とは、プロダクトの導入が終わって運用フェーズに入ったお客様に対する継続的な支援のこと。今でいうカスタマーサクセスの担当領域ですが、当時はそんな概念も用語も存在しておらず、運用を開始するまでを導入、それ以降は保守という区切りで、まとめてコンサルティング部門とされていました」

業務に取り組む中で顧客やプロダクトとの向き合い方に触れ、保守担当としての働き方を学んでいきました。

増田 「ワークスで仕事をする中で私が魅力を感じていたのは『コンサルが人柱(ひとばしら)になることはあってはならない』という考え方でした。『コンサルが好かれることで契約更新を勝ち取るのは二流だ』とも言われていました。

これは裏を返せば、『本質的にはプロダクトで解決しなければならない』ということを意味しています。プロダクトを強くすることこそが、ビジネスとして強くなることに繋がるからです。

そうなると、保守担当としては『何をプロダクト部門にフィードバックするか』が大切になってくる。それには日々お客様のさまざまな課題をヒアリングするなかで、自分なりの基準を持つことが重要でした」

増田は3年半の保守業務で、自分の軸になる考え方を身に付けていきました。

増田 「もちろんお客様には、企業サイズや担当者様の性質によって声の大小があります。また負担を感じながらも声を上げずに、自分たちで工夫を重ねて運用を続けて下さっているお客様もいます。

しかし私は声を上げたもの勝ちになる状況はよくないと考えていました。プロダクトを強く、どのお客様でも運用できるような形にしていくためには、声の大小や有無に惑わされてはいけません。

大切なのはどのお客様にもフェアな目線で、本質的な課題に向き合うこと。声を上げないなら、使いにくい部分はないかこちらから聞きにいくこと。時にはお客様の要望に対し、方針に照らして対応が難しいと考える場合は安易に対応を保留せず、その場で正直に伝えて別のアプローチを考えることもありました。

お客様に真摯に向き合うこと——、それは今でも自分が世の中と向き合うベースになる価値観となっています」

その後、増田は導入部門に異動して業務に励み、新規プロダクトの専任担当や開発会議に参加し、大規模案件のプロジェクトマネジメントなども担当。

2年半後には同部署のマネージャーとなり、さらに2年半の経験を積みました。

増田 「部署内にはHRの各領域ごとの担当コンサルタントがいて、1つの導入を複数名のコンサルタントで回していたので、そのオーガナイズや進捗管理を担当していました。

またマネージャーにはなりましたが、現場にもたくさん出てお客様対応なども行なっていました。

特にメインプロダクトの全面刷新があった際、規模の大きいお客様への導入プロジェクトを責任者として任せてもらい、チームとして見る範囲も数十人規模になりました。なかなかハードでしたが、アプローチを変えるチャレンジのど真ん中にいる感覚がありましたね」

増田は、自分がどんな立場の時も、プロダクトの機能とお客さんの業務を理解した上で最適な運用を提案する姿勢を貫いてきたのです。

自分でビジネスモデルを作る力をつけるために

(▲デロイトトーマツコンサルティング在籍中には、MBAを取得)

入社して約8年がたった増田は、充実した日々の中、転職を考え始めました。

増田 「30歳を目前にして、自分の状況を客観視する場面が徐々に増えていきました。自分に向き合えば向き合うほど、今の状況は『よくできたビジネスモデルに飯を食わせてもらっている』という感覚が湧いてきたんです。良くない意味での依存が生まれているんじゃないかと。

また、この頃には新卒社員が毎年500人も入ってきていたので、自分が大きく成長していないと感じる時期でも、相対的な立ち位置の変化で半ば勝手に立場が上がっていく感覚がありました。自分が思う成長度合いに対してギャップがあったんです。それが加速すると、今は楽しくともこの先環境を変えたくなったときに身動きが取れなくなってしまうと考え、転職を決意しました」

転職活動を開始した増田は、自身の考えをしっかり言語化します。

増田 「『よくできたビジネスモデルに飯を食わしてもらっている』ことを良くないことだと思うのであれば、『自分でビジネスモデルを作る力を身につける』必要があるなと感じました。

そこで様々な事業に触れられる環境で改めて一から力を付けたいと考え、コンサルティングファームに絞って転職活動を開始しました」

2018年1月、増田が入社を決めたのはデロイトトーマツコンサルティング合同会社でした。

増田 「他社も受けたのですが、どこの面接に行っても前職で経験したHRシステムの導入のコンサルティングを勧められていたんです。ですが、この先の長いキャリアを考えた時に、今ある経験貯金に多分に助けられるような状況に身を置くのはまだ早いと感じていました。

環境に依存しない力を身につけるためにも、また違った新たな経験を積みたい、と。

一方で、デロイトトーマツコンサルティングは経験してない領域にチャレンジしたいという私の思いを汲んでくださり、セールスやマーケティングの支援を行う部門でOKだと言ってくれました」

増田は、デロイトトーマツコンサルティングへの転職は大正解だったと言います。

増田 「上司に恵まれて、経験がなかった私でもどんどんチャレンジさせてもらえる環境でした。

担当した業務は、総合化学メーカーの中期経営計画の策定支援、タイヤメーカーのEC事業立ち上げ支援、プロサッカーチームの観戦体験設計など、多岐に渡っていました。

コンサルティングファームはお客様の意思決定を支える仕事なので、情報をまとめて、『誰が見ても客観的に正しい』と思える状態で経営陣やステークホルダーに提案しないといけません。

ハードルが高いなか、プロジェクト毎に必要な知識もチームのメンバーも違うので、キャッチアップやコミュニケーションは大変だったけれど、前向きな形でチャレンジできたことはすごくありがたく、自分の経験値となりました」

freeeに入社するなら今しかないと思った

(▲freeeの会議中)

freeeからのスカウトメールが届いたのは、増田がコンサルティングファームに入社して1年半が経過した頃でした。

増田 「過去に登録していたサイト経由でスカウトメールが届き、『話を聞くだけでよければ』とカジュアル面談に申し込みました。転職する気はなかったけれど、freeeは元々知っていて興味はあったんです。

カジュアル面談では、当時のカスタマーサクセスの責任者・山田 健児をはじめ、色々な人に会わせてもらい、事業内容やミッション『スモールビジネスを、世界の主役に。』のほか、今まさに取り組んでいることなどを説明してもらいました」

増田はそこでfreeeの魅力を感じ、しだいに気持ちが揺れ動きます。

増田 「もともとコンサルティングファームへの転職は、自分でビジネスを作る力を身につけるための期間と位置付け、5年は勤めようと決めていました。マネージャーとなって何千万円を動かすような企画書を書き、プロジェクトを回して、自分の付加価値がビジネスに繋がるようになるまで、最低限それくらいはかかると思ったんです。

力をつけた上で、将来的には事業会社への転職を考えていました。

一方で、freeeはかなり魅力的な環境でした。ミッションにも共感したし、ワークスアプリケーションズでの経験も無駄にならないし、思い切って転職してもいんじゃないかという気持ちも芽生えてきました」

ゆくゆくは事業会社にと考えていた増田は、前々職時代との違いを冷静に見つめました。

増田 「ワークスアプリケーションズで『ビジネスモデルに飯を食わせてもらっている』と感じた要因の一つは、ビジネスモデルが育ち切っていたことでした。

一方で、freeeはこれからどんどんビジネスを強くしていくフェーズの会社です。自分がカスタマーサクセスとして携わることでそんなfreeeに貢献できるのではないか、freeeのビジネスモデルを強くしていく過程に貢献できるチャンスがあるのではないかと可能性を感じました。

それに、計画通りあと3年勤めた上でfreeeに来たとしても、今よりfreeeのビジネスは成熟してしまっているだろうとも考えました。行くなら今、すぐにでも。後悔しないために、その気持ちを大事にすることにしました」

こうして2019年7月、増田はカスタマーサクセスとしてfreeeに入社することを決めたのです。

増田 「正直、デロイトトーマツコンサルティングに対しては、成長はさせてもらったけれど、貢献できたとは思えていませんでした。なので辞めるのには、申し訳なさも、後ろ髪を引かれる思いもありました。しかも自分の関わりたかった地方創生関連のプロジェクトが立ち上がる矢先だったので、あと1年いるだけでもかなり面白いチャレンジができたのではと思います。

そんな状態で辞める決断をしたのは、それだけfreeeの環境が魅力的だったからです」

広く、深く、freeeの価値を届け切るために

増田は入社後、カスタマーサクセス部門の中で継続支援を担うチームの立ち上げの責任者としてアサインされました。

増田 「私はチームを直接的な顧客支援を担う『リテンション』と、年契約の更新業務を担う『リニューアル』に分けて立ち上げ、全体的な施策を考えることになりました。

契約更新は、プロダクトの価値を見極めたお客様がこれからも使い続けるか否かという意思決定を行う瞬間なので、いかにそこに向き合うかがテーマ。freeeのプロダクトの価値を感じ続けていただくために、必要なタイミングで必要な支援が提供できるようにチームを整えていきました」

2年間、導入後のユーザー支援をするチームの責任者を全うした増田。

2021年7月になると、カスタマーサクセスのうち、有人支援を担う部門全体の責任者となりました。

増田 「カスタマーサクセスは、有人支援を担うハイタッチサクセス、自力で導入を進められるお客様向けの支援施策を企画するセルフサクセス、お客様からの問い合わせに対応するカスタマーサポートに分かれていて、私はハイタッチサクセスの責任者となりました。私が見る範囲としては、担当していたリテンション・リニューアルに加え、導入支援も追加されました。

ハイタッチサクセスはお客様との1対1の密度の高いコミュニケーションが軸となるので、我々の対応によってfreeeの印象が決まると言っても過言ではありません。そのためには一人ひとりがfreeeのフロントマンとして、責任を持って高水準の顧客体験を作っていかなければいけません。

また、当然ながら顧客体験はプロダクトからも生まれます。

ハイタッチサクセスとして、お客様と1対1のコミュニケーションを取っているからこそ見えてくる課題を、しっかり開発サイドにフィードバックし、プロダクトの進化を担う存在となることも求められています」

増田はワークスアプリケーションズ、デロイトトーマツコンサルティングを経て、freeeに来た経験を次のように総括します。

増田 「ワークスアプリケーションズでの経験は、事業のフェーズや顧客層は違えど、直接的にfreeeの業務にも役立っています。特にワークスで身に付いた『どのお客様にもフェアな目線で、本質的な課題に向き合うこと』という考え方は、今でも私の根幹を成しています。

デロイトトーマツコンサルティングでのお客様の意思決定を支える仕事の経験も、freeeのボトムアップカルチャーと親和性があります。freeeでは『マジ価値(=ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えること)を軸に、それぞれの役割の人が、それぞれの視点で事業に向き合っています。

そんな中で自らがオーナーシップを持って事業を推進していくためには、自身の意思を明確に持ちつつも、一方で決してひとりよがりな視点にならずに、様々な視点を持つ周囲も巻き込んでいけるだけの客観的な視点やクリアな説明力も求められます。これらはデロイトでお客様の意思決定に常に向き合い続ける中で培ってきた部分で、今も事業をドライブしていく上で大きなプラスになっています」

そんな増田が、今後の目標を語ります。

増田 「freeeがこれからも成長し、ビジネスを強くしていくためには、カスタマーサクセスが果たす役割はめちゃくちゃ大きいと思っています。

バックオフィスをはじめとしたfreeeの取り組む領域は、業務の複雑性の高さゆえ、プロダクト導入のハードルも高ければ、稼働さえすれば課題が解決するわけでもありません。

その前提を考えれば、本来的には一人ひとりのお客様にしっかりと時間をかけたい思いもある一方で、国内企業の9割を占めるスモールビジネスに広く価値を届け切るというfreeeのミッションも最短距離で実現しなければなりません。このある種のジレンマが、スモールビジネスに向き合うカスタマーサクセスの最大の難しさであり、この上ない楽しさだと感じています。

我々freeeのカスタマーサクセスは、顧客に価値を直接届ける役割と、本質的な課題解決に向けたプロダクトフィードバックの両方を担う存在だからこそ、このスモールビジネスに向き合う上で生じるジレンマにブレイクスルーを起こせると思っています」

一刻も早くミッションを実現したいと語る増田。freeeの成長と自身の成長を目指し、これからも挑戦の日々は続きます。

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