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小田急電鉄さまへwebコネクト導入、立役者インタビュー 〜エンジニア編~

こんにちは。経営企画室の伊藤です。

先日、小田急電鉄株式会社さまの「箱根旅行の予約システム」リリースの立役者として営業サイドの声をお届けしましたが、今回は開発サイドの声をお届けします!


社員プロフィール

旅行プラットフォーム部 エンジニア担当
長峰 駿介 (ナガミネ・シュンスケ)/2017年新卒入社

新卒でフォルシアに入社し、大手航空系会社の検索システムの開発・運用保守、旅行会社向け検索システムの開発、機械学習を用いたダイナミックプライシングシステムの開発等を経験し、現在は主力プロダクト「webコネクト」の開発に従事。
過去のインタビュー記事はこちら
船舶ツアー開発の裏側に迫る!船舶ツアー誕生ヒストリー ~ベテランエンジニア編~

新たな外部接続先とwebコネクトがつながる ~webコネクトの可能性を広げるエンジニア~

小田急電鉄さまサイトへのwebコネクト導入にあたって、どのような業務を担当されていたのでしょうか?

検索分野におけるリードエンジニアとして、会議に参加してお客様の要望を汲み取り、それを満たす機能を新規開発したり、既にある機能を使った解決策を提案していました。また、タスク量や各工程の期日を鑑み、ユニット内にタスクを割り振るという社内の調整面もリードエンジニアの役割です。

今回のプロジェクトは2年前くらいから始動していて、当時自分は昨年ブログでも取り上げてもらった「船舶ツアー開発」に携わっていたので、今回のプロジェクトに参画したのはここ1年くらいです。自分が入ったときにはすでにつくるものの大枠は決まっている状態だったので開発が中心となりつつ、実際につくった画面をお客様に見ていただくと、もっとこうしたいという要望が挙がってくるので、それをどう実現させていくかを検討・提案することもありました。webコネクトはSaaSプロダクトなので、お客様の要望を全部そのまま汲むことが難しい場面もありますが、その中でもどうすればお客様の要望を叶えることができるかを考え、つくりあげていきました。

― お客様との会議ではビジネスサイドの方へ向けて提案する機会も多いかと思いますが、その際に気を付けている点はありますか?

専門用語を使わないことや、実装方法等に踏み込まずに「画面上どのように見えるか」という部分に焦点を当てて話すようにしていました。操作方法とそれに応じた画面表示の説明・提案が中心で、実装の中身についてはお客様が気にされたら簡単に話しますが、そこには深く踏み込まないようにと意識していました。実装の中身について話始めるとどうしても専門用語が多く出てきてしまいその説明に時間がかかったり、お客様にとって本質的ではないことに時間を割いてしまうことになるのでその点は注意していましたね。

これまでwebコネクトでは様々な旅行会社のダイナミックパッケージ(DP)販売に貢献してきましたが、今回ならではの画期的なポイントはどういう点でしょうか?

小田急電鉄さまのデータ基盤である「MaaS Japan(マース ジャパン)」 との接続を実現させたことだと思います。webコネクト はこれまでも航空やJRなど様々なシステムと接続してDPの検索を実現させてきましたが、今回新たに MaaS Japan と接続したことで、ロマンスカーの列車や座席の検索ができるようになりました。

また、素材登録・検索・予約・電子クーポンなどwebコネクトファミリーのサブシステムをフルパッケージで導入いただいたという点も画期的なポイントだと思います。

≪tips:MaaS Japanとは?≫
「MaaS Japan」とは、小田急電鉄がヴァル研究所の支援のもと開発しているMaaS の実現に必要なデータ基盤のことで、鉄道やバス、タクシーなどの交通データや各種フリーパス・商業施設での割引優待をはじめとした電子チケットの検索・予約・決済などの機能を提供するものです。(引用:小田急電鉄さまプレスリリース「共通データ基盤「MaaS Japan」と海外MaaSアプリが連携 ~国内の自治体・交通関連サービス事業者との連携もさらに拡大~」(2019年10月30日発表))


webコネクトは、必要な機能を必要なだけ提供するクラウド型のサービスでありつつ、各社の状況にあわせたカスタマイズがなされているという認識です。個社対応する部分と共通化する部分とはどのように整理しているのでしょうか?

今回のプロジェクトにおいて、検索分野では主に「MaaS Japan との接続」という外部接続先の追加と、「箱根フリーパス・往復乗車票という着地素材」の販売が小田急電鉄さま向けの個社対応でした。

MaaS Japan との接続はロマンスカーの検索を実現させるために必要だったので、今回新たに実装する必要がありました。

一方、交通のAPIを叩いて情報を取得し、その結果を画面に描画するという流れはロマンスカーに限らずあらゆる交通手段で必要な対応なので、そこは共通処理として整理しています。

着地素材については、小田急電鉄さまの主力商品の「箱根フリーパス・往復乗車票」を従来の着地素材と違った見せ方にするという個社対応を行いました。もともとwebコネクトには、現地での観光施設の入場券を販売するための導線とレンタカーを予約するための導線とが用意されていて、着地素材の販売の有無でその機能を使う/使わないを選択できるのですが、今回は「一部の商材を特別な着地素材として取り扱う」という新しい取り組みでした。

一方、今回小田急電鉄さまが「箱根フリーパス・往復乗車票」への販売導線をわかりやすく明示したいと要望されたように、他社でも何か特別に販売していきたい商材があるケースも考えられるので、用途を限定せず各利用会社が各々の目的に合わせて自由に登録できるような項目を共通機能として開発しました。技術マネージャーや素材登録システムを担当するチームのメンバーとも議論し、他社展開や汎用性を見据えて、抽象度を1つ上げたということです。

― 目の前に小田急電鉄さまのプロジェクトがある中で、まだ見ぬ未来のお客様に向けての展開まで意識するのは大変じゃないですか...?

webコネクトでは常に他社展開・汎用性ということを意識した開発が行われており、「1社でしか使えない機能は絶対につくらない」という気持ちでやっています。

実は表に見えない部分ではありますが、この共通機能とした部分は今回のプロジェクトにおいてすでに別の用途でも活用されており、汎用性を持たせたことでの効果を出しています。

(↑ 主力商品「箱根フリーパス・往復乗車票」を選択しやすい画面)

今回のプロジェクトならではの大変だったポイントや工夫・学びについて教えてください。

まず、取り扱う商材の種類が多かったことですね。

小田急電鉄さまは、DP、ツアー、宿泊単品、着地単品を商材として扱っており、さらに一次交通のないツアー(現地集合のツアー)、宿泊を伴わないツアーなど、ツアー一つとってもバリエーションに富んでいたので、その分提供するシステムも考慮するロジックも多かったことが大変でした。

また、商材の多さゆえ、一気に全範囲をテストするよりも段階的にテストをすることで効率よく進めていこうとしたのですが、今回の開発の中で一番難関だったMaaS Japan との接続と、すでに開発が終わった商材のテストフェーズが被ってしまった時期はタスク量が膨大になってしまうということも。開発とテストと、性質の違う対応を同時に行うということには苦戦しました。

― タスク量が多いタイミングでの業務の進め方の工夫はありますか?

工夫と言って良いのかわかりませんが、「チーム」で対応するということですね。それまでの開発はほぼ1人で対応していたのですが、テストフェーズに入ってからは1人で抱え込まずにチームを巻き込んでいきました。テストで不具合を見つけたときの対応フローをまとめてくれる人が出てきたり、課題解消にあたってくれる人が出てきたりと、自分がMaaS Japan との接続部分の開発に注力できる環境ができてきて、チームで対応しているという実感がすごくわきました。

実は昨年の「船舶ツアー開発」のときにも似たような状況に直面していて、そのときは不健全に1人で抱え込んでしまったんです。その経験から、前広にアラートをあげていくことや体制を築いていく必要性を学んだので、経験を活かしたアクションができたと感じています。

「汎用交通」の汎用性を証明!昨年手掛けた開発が花開いたロマンスカー検索

今回のプロジェクトにおいて、長峰さんが特に強いこだわりをもって対応した部分はどういうところでしょうか?

ロマンスカー検索の部分に特に強いこだわりをもって開発をしました。

というのも、今回小田急電鉄さまに提供したロマンスカー検索の部分は、先ほどから何度も話題に出ている「船舶ツアー」の際に開発した「汎用交通」の仕組みを応用することで実現させています。

≪「船舶ツアー」・「汎用交通」とは?≫

昨年リリースされた船舶ツアー、そして船舶だけでなく汎用性を持たせたものとしてリリースした「汎用交通」については、こちらの長峰さんインタビュー記事をご覧ください♪

船舶ツアー開発の裏側に迫る!船舶ツアー誕生ヒストリー ~ベテランエンジニア編~

昨年のビッグホリデーさまでの船舶ツアー導入の際、当時は「船舶」への対応だけで良かったにも関わらず、汎用性を持たせて色々な交通手段での検索を実現させるべく「汎用交通」という名を掲げて開発を行っていました。ただ、船舶としては上手くいっているもののそれが汎用的に上手くいくものなのかは実際にはわからないという状態でした。

なので、ロマンスカー検索にあたって「汎用交通」で挑むというのは一種のチャレンジでしたが、汎用交通として開発してきたことが他の交通手段でも通用すると証明できる良い機会だと思い、自ら手を挙げて今回のプロジェクトに臨みました。この証明は自分のミッションだと思っていたので、今回の案件は絶対にやり切らねばならないという強い想いとこだわりがありました。

結果として、大部分のロジックを船舶と共有することで、1から作るよりも非常にコストを抑えた開発が出来たと思いますし、何より汎用交通の仕組みが船舶以外にも通用したこと、そして外部システム(MaaS Japan)との接続にも耐え得るつくりであったことに手ごたえを感じています。

― 並々ならぬ想いを持って臨み、見事やり遂げたのですね!船舶、私鉄特急列車ときて、ほかにこの「汎用交通」の世界に組み入れたいと野望を抱く交通手段はありますか...?

やはり汎用と名乗る以上、色々な交通手段に対応したいですね。例えば、LCCやバス、離島へのツアーなどで登場するヘリコプターなど...これが実現できたら本当に汎用的であると証明できるのではないかと思います。

長峰さんの思う、チームプレーのおもしろさ

昨年のインタビュー記事や先ほどのお話の中でも、フォルシアの開発はチームプレーという印象を持ったのですが、チームで開発を行うことのおもしろさはどのようなところでしょうか?

それぞれが得意分野を持っていて、それに特化することで1人で成し遂げられないことができる点だと思います。

特定の分野に強みを持つ人、ひたすらタスクと向き合い淡々とこなすのが得意な人、課題を細分化するのが得意な人、体制や連絡フローなどを臨機応変に考えてプロジェクトを回すのが得意な人などなど色々な人がいるからこそ、ただ仕事を分配してこなすだけではない相乗効果が得られ、1人では成し遂げられないような大規模で難しいプロジェクトが完遂できたのだと思います。

最後に、今後の展望をお聞かせください!

お客様(顧客)のビジネスへの理解度を深めて、そのうえでの提案をできるようになっていきたいと考えています。

いまは、お客様からこういうものをつくってほしい、こういうことがしたいと要望をいただいて、それをフォルシアの技術・プロダクトでどう実現させるか考えるケースが多く、こちらからの提案ベースというよりも、お客様の要望ベースになっています。

自分から提案していくにはお客様の業務フロー等への深い理解が必要で、例えば、旅行商品が予約された後にオペレーターさんはどういう対応をしているのか、一連のフローの中でどこに人手がかかっているのか等わかっていなければならない。単に検索画面がちゃんと動いているというだけでは、お客様のビジネスにとって本当にプラスとなっているのかはわかりません。自分に見えている狭い世界の中だけでの提案になってしまわぬよう、業務フローやお客様のビジネス環境を加味した提案ができるように、理解を深め、寄り添っていけるようになりたいです。

インタビュー後記

昨年6月に船舶ツアー販売機能 開発の立役者としてFORCIA CUBEにご登場いただいた長峰さん。今回は奇しくも船舶ツアー開発で携わった「汎用交通」の第二弾となりましたが、当時先を見据えて考え抜いたものが今回のプロジェクトにおいてその力を発揮したと話される表情には達成感があふれていました。

今回のインタビューを通して、こだわりを持って働くこと、チームで働くことについて改めて考えさせられました。お話を聞かせていただきありがとうございました!

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