前回、仕事で伸びる人は、
「過去に自分を伸ばした経験がある人」
なんじゃないか、という話を書きました。
努力する。
やり切る。
成長する。
その成功体験が、成長意欲や責任感、素直さにつながっていく。
わたしはそう思っています。
ただ、一方で、
努力すれば誰でも何にでもなれる
とは思っていません。
むしろ、そこはかなり冷静に考えています。
目次
人には、変えにくい部分がある
人には、生まれ持ったものがあります。
明るい。
慎重。
話すのが好き。
一人で考えるのが好き。
数字が得意。
絵を描くのが得意。
細かい作業が得意。
人を巻き込むのが得意。
コツコツ続けるのが得意。
こういうものは、本人の努力だけで決まったものではないと思っています。
生まれ持った性格や能力もある。
親から受けた教育もある。
子どもの頃にどんな環境で育ったのかもある。
わたしの感覚では、
人間の素質の7割くらいは、生まれ持ったものや、子どもの頃までの環境でできているんじゃないか
くらいに思っています。
もちろん、これは研究データの話ではありません。
20年以上会社をやって、いろいろな人を見てきた中での、あくまでわたし自身の感覚です。
大人になってから努力して変えられる部分もあります。
でも、全部を変えるのは難しい。
だからこそ、わたしは、
自分に合った生きる場所を探すことが大事
だと思っています。
苦手を全部直そうとしなくていい
会社にいると、どうしても人の短所が目につきます。
営業なのに数字が苦手。
管理職なのに細かい作業が苦手。
仕事が速いけど雑。
丁寧だけど時間がかかる。
誰にでもあります。
そして本人も、
「ここを直さないと」
と思います。
もちろん、仕事に支障が出る短所は直した方がいいです。
お客様に迷惑がかかる。
仲間に迷惑がかかる。
仕事が進まない。
そこは最低限改善しないといけません。
でも、
短所を全部なくそうとしなくてもいい。
と思っています。
そもそも、そんなことはかなり難しい。
それよりも、
短所はそこそこ。長所を圧倒的に伸ばす。
こっちの方がいい。
人は、長所で評価される
例えば、
ものすごく営業がうまい人がいる。
でも、事務処理は少し苦手。
もちろん最低限はできないと困ります。
でも、その人が一日の大半を使って、
「事務処理を完璧にする」
ことに努力するのが本当に正しいのか。
わたしは違うと思っています。
営業が得意なら、
もっとお客様に会う。
もっと提案力を上げる。
もっと人脈を作る。
もっと売る。
そっちに時間を使った方が、その人自身も会社も伸びる。
デザインが圧倒的に得意な人なら、デザインを伸ばせばいい。
数字が得意なら数字で戦えばいい。
人と人をつなぐのが得意なら、つなぐ力を使えばいい。
一つ一つは本人にとって当たり前でも、
他の人から見ると、
「なんでそんなことができるの?」
ということがあります。
そこが長所です。
苦手な場所で戦い続ける必要はない
これは仕事だけではないと思っています。
魚に木登りをさせても、なかなか勝てない。
逆に、水の中に入れれば強い。
人間も同じです。
営業が苦手な人に、
「もっと営業頑張れ」
と言い続ける。
数字が苦手な人に、
「もっと数字に強くなれ」
と言い続ける。
もちろん、成長のために苦手なことをやる時期も必要です。
ただ、
ずっと自分の短所だけで勝負する必要はない。
と思っています。
自分が苦手なフィールドでは、普通にやっても強い人に勝てません。
でも、自分の得意なフィールドに行けば、景色が変わることがあります。
だから、
「自分は何が苦手か」
だけではなく、
「自分は何なら人より自然にできるのか」
をもっと考えた方がいい。
長所も、伸ばさないと武器にはならない
ただし、
「長所で戦えばいい」
というのは、
「得意なことだけやって楽をすればいい」
という意味ではありません。
ここは大事です。
長所も、放っておけば長所のままです。
武器にはならない。
話すのが得意なら、もっと話す力を磨く。
デザインが得意なら、もっとデザインを見る。
数字が得意なら、もっと数字を勉強する。
人を巻き込むのが得意なら、もっと多くの人を巻き込めるようになる。
長所こそ、努力して伸ばす。
ここです。
短所を40点から60点にする努力も必要ですが、
長所を70点から90点、100点にする努力の方が、人生や仕事を大きく変えることがあると思っています。
自分の長所が生きる場所を探す
会社も同じです。
一人ひとり全員を、同じタイプの人間にする必要はありません。
営業が強い人。
デザインが強い人。
段取りが強い人。
数字が強い人。
アイデアが強い人。
お客様との関係づくりが強い人。
いろんな人がいた方がいい。
全員が同じ能力だったら、会社としてはむしろ弱い。
大切なのは、
その人の長所が生きる場所に、その人がいるか。
だと思います。
本人も会社も、
短所ばかりを見て、
「あれができない」
「これが弱い」
と言うのではなく、
「この人は、どこなら一番力を発揮できるんだろう」
と考える。
これは、人材育成でもかなり大事だと思っています。
何でもできる人になる必要はない
わたし自身、人は何にでもなれるとは思っていません。
得意不得意はある。
向き不向きもある。
変えにくい性格もある。
だから、全部を克服しようとしなくていい。
ただし、
自分が持っているものを伸ばすことはできる。
そして、
自分が持っているものが評価される場所を選ぶこともできる。
ここは自分で変えられます。
短所は、仕事に困らない程度まで。
長所は、徹底的に伸ばす。
そして、その長所で勝てる場所を探す。
結局、人が成長するというのは、
別の人間になることではなく、
自分が元々持っているものを、どこまで伸ばせるか
なのかもしれません。
何でもできる人になる必要はありません。
自分の武器を知って、その武器が生きる場所で戦う。
わたしは、その方がいいと思っています。