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「役に立つ新しいもの」を創出するために――社会に貢献するために自己成長する人が集う場所

こんにちは。Eirene University(アイリーニ・ユニバーシティ)採用担当です。今回は、当社の創業者でCEOを務める柏野尊徳のインタビューを、2回にわたってお届けします。

柏野は、留学や起業、大学院の非常勤講師を経て、慶應義塾大学SFCの学部生時代に、デザイン思考研究会を発足。研究会を前身として、アイリーニ・ユニバーシティを立ち上げ、CEOに就任しました。

第2回のインタビューでは、仕事へのスタンスや今後の展望などについて、話を聞きました。また、候補者の方に向けたメッセージもお伝えします。

“こだわりのコーヒー屋さんから “コーヒーも飲めるスターバックス” へ

――アイリーニ・ユニバーシティの今後の展望を教えてください

短期の展望で言うと、現在の事業コアであるデザイン思考を土台にして、イノベーションに特化した研究・教育事業を拡張していきたいと考えています。イメージで言うと、「美味しいコーヒーが売りのコーヒー屋さんから、コーヒーも紅茶も軽食も提供するスターバックスになる」方向性です。商品だけの価値ではなく、素晴らしい商品群を提供するスペースや組織自体に価値がある状態ですね。

もう少し具体的に言うと「美味しいコーヒーが飲めると聞いて来ました。ところでお店の名前はなんでしたっけ?」という認識から「スターバックスだから来ました。何を飲むか、今から考えます」という認識への転換ですね。商品が先にくるのでなく、組織が先に来てその後に商品が選ばれる流れです。これは、単に1つの商品がいいだけでは成り立ちません。どの商品を選んでも大丈夫だと認識される必要があります。これからは、学習プログラムを何個か立たせることでスクールが立ち、そのスクールに集まった人が粒ぞろいのプログラムを選んでいく状態にしたいんです。

そのためには、新しいプログラム開発はもちろん、スクールの有用性と独自性をPRするマーケティングが必要です。デザイン思考に限らず、イノベーションを加速化させる知識/技術を学べるプログラムをもっと増やしたいですね。

――では、収益化のための具体的な施策はありますか?

大きく2つのことを考えています。オンライン講座の開設による学習機会の拡大と、エグゼクティブ教育の充実による教育スタンダードの向上です。この2つは「機会の増大:効率」と「品質の向上:効果」という矛盾しやすい取り組みを同時追求するものであり、面白い挑戦になると思っています。というのも、教育事業は一般的に労働集約型の取り組みとなるため、(1) 講師の待機時間を減らして稼働時間(クラスで講義をしている時間)を増やすか、(2) プログラム品質の向上と同時に受講費も上げて利益率を上げるか、(3) もしくはその両方を混ぜることによって効率的な収益化が可能です。

 ただ、これらの考えはあくまで財務視点のみで教育事業を考えた場合の発想です。講師の待機時間を減らすということは、講義前のクラスの準備時間や、講義後の学生フォローの時間を減らすことになります。もしくは、単価が上がるということは、教育を受けられる人の数が今より減っていくことを意味します。もちろん、どちらも程度の問題であり、うまくやることはできると思います。しかし、やりすぎると前者は教育品質が犠牲になり、後者は社会的な学習機会を奪うことになります。

 このように考えると「いかに教育品質を高めつつ、学習機会も増やしていくか」というのがアイリーニにおける教育事業の基本的命題になります。プログラムの品質向上のためには研究や調査といった投資が不可欠である一方、誰もが組織のトップになるわけではないため、トップ・マネジメントに関する高度なプログラムが必要な人の数は限られています。すると、母数が少ない以上、プログラム単価を上げないと投資回収ができません。スクール全体として世界レベルなプログラム提供を目指すのであれば、単価の上昇を1つの制約条件として組織運営する必要がでてきます。

 一方で、学習機会をうまく増やせれば、学習人口を増やせることになるので、プログラム単価は低くても投資回収が可能です。ただ、規模拡大に成功すると「一部の学習者が熱狂的に支持するプログラム」よりも「誰からも文句を言われない普通のプログラム」を提供するインセンティブが働きはじめます。もちろん、そうならないケースもあるでしょうが、基本的には何らかの制約をスクールとして設定しないと「今日よりも高いスタンダードで、明日のプログラムを提供しよう」という気概が薄れると考えています。

 そういった意味で、世界のどこにいても本人の望む時間に低価格で学習できるオンライン講座は提供していきたいですし、スタンフォードやウォートン・スクールの講師とコラボレーションしながら世界レベルのプログラム開発もしていきたいと思っています。まとめると、学習機会の拡張に貢献できる手頃な金額での公開型プログラムと、高い品質を示すことで社会の知識レベル向上に貢献するエグゼクティブ・プログラム。この2つの施策を同時進行でやっていきたいと思っています。

――一方で、ケンブリッジ大学に留学予定と聞きましたが

元々、トップ大学に留学してPh.D(博士号)を取得したいとずっと思っていました。ただ、かなり競争的な環境となっていて、例えば留学候補先の1つには「世界中から応募があるが、採用するのは年に1人だけ」というプログラムもあります。当然、事前準備がかなり必要です。既に日本でマスター(修士号)を取っており、査読付きの国際学会で何度か発表もしていますが、世界トップのPh.Dプログラムが要求する知的水準や経験には全く届いていません。よって、狙うべきは海外のマスターをとった上でのPh.Dプログラム申し込みです。ただ、仮にトップ大学のマスター・プログラムに運良く入れたとしても、ついていくのが精一杯で、優れた研究結果は出せないだろうと思いました。色々考えた結果、ケンブリッジ大学が2020年から提供を始めた、世界トップスクールでマスターを取りたい人を対象にした準備プログラム(Pre-master's)へまずは1年行くことにしました。その後、1年かけてマスターをとり、それからPh.Dにチャレンジする予定です。

とはいえ、「会社の方はどうするの?」という話ですよね。留学しても大丈夫だと思えるマネージャーがいるのは大きいですね。また、オンライン講座のインフラが整えば、留学先での研究や学習を土台にプログラム開発/提供ができます。課題も色々ありますが、チャンスもあるという考えです。

また、20歳で起業したときからですが「元々0から始めるのだから、仮に潰れても0に戻るだけ」とずっと思っています。今のメンバーにもそれは伝えていて。いまはアイリーニ自体が小さな規模の組織なので、どこまでビジョン実現に向けて大きくできるか、そういったことに関わりたい人たちが集まって挑戦する場所になればいいと思っています。もし、うまくいかなくてもまたゼロからやり直せばいいだけの話なので。

「存在」「認識」「価値」「方法」という4つの行動規範

――アイリーニにおける仕事のスタンスを教えてください

アイリーニでは、実用主義(プラグマティズム:pragmatism)の発想が土台にあります。人や社会の役に立つ仕事をしているのか、そうでないのかが物事の判断基準です。アイリーニが提供する公開プログラムを例にとれば、受講者の役に立つ内容だったかどうかが全てです。仮に講師が「受講生は満足していないけれど、私は寝ないでクラスの準備したんです。一生懸命やりました」と言っても、そんな自己中心的な感情は受講生にとって何の利益にもなりません。相手のためになっていないことを正当化したところで、社会の害悪になるだけです。もちろん、常に完璧な仕事をこなすことは不可能ですし、人間なので失敗することはもちろんあります。アイリーニに仕事を頼んだ人全員が、100%満足することは永遠にないと思います。だからこそ、失敗から学んで常に自己成長し、今日よりも高いスタンダードで人や社会に貢献し続けることをアイリーニは求めます。

このような考え方をより具体的に整理したものとして、アイリーニ・プロフェッショナル・バリュー(行動規範)があります。このバリュー全部で12個あり、アイリーニにおける正しい行動・評価される行動について規定しています。そして、12個の内容は大きく「存在論」「認識論」「価値論」「方法論」という4つの単語でカテゴライズされています。本来の哲学的・科学的な用語として意味する内容とは厳密に違う部分もありますが、アイリーニのバリューを段階的・立体的に理解してもらうために有益な分類だと考えています。

存在論:アイリーニでは「私たちの存在意義は、プロフェッショナルとして社会に価値提供することにある」と考えます。世の中の役に立たない仕事をしている人は、アイリーニでは存在意義がない、という発想ですね。誤解のないように説明しておくと、仕事以外の領域であるプライベートや、それらをすべて含めた生き方そのものについて、仕事ができるかどうかで価値を判断するわけではありません。あくまで、私たちの生活の一部である「働く」という場面に限定したときに、「人の役に立つ仕事ができない人は、アイリーニにいる意味がない」ということです。

認識論:2つ目は、「プロフェッショナルとして必要な知識や考え方を、どうやって手に入れるか」という点です。例えば、アイリーニでは社会的価値を起点に仕事の中身を考えることで、プロフェッショナルとして適切な知識や考え方が身につくと考えています。少し具体的な流れを言うと、まず社会の理想像を考え、そこから顧客の課題を意識し、その上でアイリーニ全体として何をすべきか、一人のプロフェッショナルとして何ができるか、となります。社会が第1、顧客が第2、組織が第3で個人は最後です。自分の利益のみを最優先で考え行動する人は論外ですが、顧客の行動や発言のみを土台に仕事に取り組むことも、アイリーニではプロフェッショナルとして不十分とみなされます。自分たちが認識している物事の全体像には、常に見落としが含まれると自覚した上で、長期的な視点と広い視野を持ちながら仕事に取り組むことが奨励されています。

価値論:3つ目は、プロフェッショナルとして仕事をする上で、どんな行動に価値をおくのか」という点です。ときには、自分の弱みを補完しながら平均的な成果を出すことがあるかもしれません。そのような行為はアイリーニでは評価の対象外です。いかに自己の強みに焦点を当てて学習・成長できたか、その上でどのような圧倒的成果を出したのか、という点が評価されます。そのためには、いきなり大きなことに挑戦してハイリスク・ハイリターンを狙うのでなく、自分がコントロール可能な範囲で小さなリスクをとって、時に失敗しながらその失敗から大きく学ぶことが求められます。

方法論:最後は、「組織のスタンダードを上げ続けるために、どんなことに取り組んでいるのか」です。仕事の効果・効率が高まる仕組みをつくったり、象徴的な行動を取ることでアイリーニのバリューを強化したりすることに該当します。この考えの前提には、明文化したり形式化してコピーが可能な構造的要素と、日々のコミュニケーションを通じて無自覚に合意が形成される文化的要素の2つが、組織を動かす大きな力であるという発想があります。例えば、どれだけチャレンジを促す素晴らしい仕組みやシステムがあったとしても、そこで仕事をする人たちのほとんどが事なかれ主義であれば、組織は構造的に機能しません。一方で、チャレンジングな人たちが集まっていたとしても、意味のない古い規則やルールが幅を効かせていれば、組織全体の文化は衰退していくでしょう。仕組みと文化の両方の視点から、組織のスタンダードを高め続ける人をアイリーニでは模範的人材と考えます。

このような「存在論」「認識論」「価値論」「方法論」の4つの説明を聞いて、面白いと思った人はアイリーニ・ユニバーシティの風土に合っていると思います。

――ちなみに、事業におけるハイクオリティの概念とは何でしょうか?

「人や社会の役に立つ新しい知識を、いかに効果的に提示しているか」です。私たちは、知識には役に立つものとそうでないものがあり、役に立つ知識であってもその価値をうまく伝えなければ世の中に広がらない、という考え方をしています。私たちのプログラムの土台となるのは、既存の知識では実現できなかった理想像を形にできたり、未解決のまま残っていた問題をうまく解決できるような新しい知識です。研究によって導き出された理論的な知識もあれば、日々の実践によって研ぎ澄まされた経験的な知識もあります。アイリーニのミッションは、世の中の役に立つ新しい知識を生み出し、広げていくことです。

テクノロジーが発達して、様々な関係者とのコラボレーションがあらゆる場所で可能になりつつある21世紀では、お互いに持っている知識を共有し合いながら行動し、新しい世界を一緒につくりだしていくことが社会の大きな目標になると考えています。そういった社会目標や社会の課題解決に貢献するために、「役に立つ新しい知識」をどんどん提供していきたいと考えています。

インプットとアウトプット、両軸のバランスが取れた人が理想的

――アイリーニ・ユニバーシティにおける仕事の魅力を教えてください

小さい規模ながら、スタンフォード大学やケンブリッジ大学と一緒に仕事をしたり、世界トップレベルの先生と一緒に仕事ができることは、大きな魅力だと思います。英語が苦でなく、グローバルな視点で仕事をしたい人にとっては、面白い環境だと思います。

また、「プロフェッショナルとして責任を果たすためには、各自が情熱を持てる好きなことや得意なことをやった方がいい。責任感のある人たちが、自由な環境で働くのであれば、結果はあとから付いてくる」というスタンスです。プロフェッショナルとしての成果を求める一方で、その過程で失敗することは当たり前だと思ってます。価値創造のために試行錯誤して、失敗して、そこから学んで、最後に圧倒的な成果を出すというプロセスが好きな人には、仕事がしやすい環境だと思います。逆に、「そこそこの仕事のそこそこのクオリティで」とか「失敗しないで無難にいきたい」と考える人は、その発想自体が評価されないので居心地が悪いと思います。

――アイリーニ・ユニバーシティに入社するメリットは何でしょうか?

成果がちゃんと出るのであれば、いつどこで働くかは自由な組織です。休暇も自己申告制なので、ちょっと休みがほしければ今日から2週間休んでも大丈夫です。「プロフェッショナルなのだから仕事の方法は本人に任せるほうがいい。よくわかってない会社側が規定したら逆にパフォーマンスが下がる」という考え方です。フレキシビリティはすごく高いと思いますね。逆に、どうやって成果を出すのかについて自分なりの考え方を持ってない人には、きつい環境です。意見が欲しいときにお互い話し合うことはありますが、「で、担当者のあなたはどうしたいの?なぜその方法がいいと思ったの?」という流れで話が進むからです。

また、組織として守るべき規範やルールはありますが、不要だと思えばいつでも疑問を唱えることが奨励されているので、常に適切な状態に組織を変えていきたいと思っている人にはストレスが少ない環境ではないでしょうか。

他には、業務に関連していることを学ぶ場合の支援制度として、学習費用の補助があります。セミナーに行ったり、本を買ったり、コーチを雇ったりと、使い方は本人の自由です。単に勉強がしたいだけの人は使えませんが、「社会に貢献するために自己成長したい」という思いを持った人であれば、どんどんお金を使って欲しいと思います。プロフェッショナルに積極的に投資することも、アイリーニでは大事にしたい考え方です。

――インプットとアウトプットの両面が強い方を必要としているということでしょうか?

そうですね。「お金を稼げるけれど自己成長できない仕事」はやる意味がないと私たちは考えています。成長するのは顧客や社会に価値を提供するためであり、世の中の役に立つ仕事を通じて人は成長すると考えています。両方のバランスを取りながら、自分のスタンダードを上げつつ社会のスタンダードも上げる、という感覚ですね。そういう感覚を持っている人は、アイリーニに合っていると感じています。

――では、これから入社する方には、どのようなマインドを望んでいますか?

繰り返しになりますが「勉強がすごく好きで、強みを伸ばして自己成長したい」「持っている知識や経験を活用して社会や顧客に貢献したい」という2つの意欲がある人を歓迎します。また、教育事業ですので、自分が目立ったり直接評価されることよりも「学生や受講生が世の中で活躍する様子」を見るほうが楽しく感じる人がいいですね。受講生が新聞や雑誌でインタビューされて、「実は、昔アイリーニ・マネジメント・スクールのプログラムを……」というストーリーを見かけると、やっぱり嬉しいですね。

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