循環型社会に向けた不要品の回収・選別・再流通のインフラを構築するECOMMIT(本社: 鹿児島県薩摩川内市、代表取締役CEO:川野 輝之、以下「ECOMMIT」)は、この度、「IMPACT PROGRESS REPORT」(インパクトプログレスレポート、以下「IMPACT PROGRESS REPORT」)を初めて公開します。
「IMPACT PROGRESS REPORT」レポートURL:
https://www.ecommit.jp/assets/images/pdf/ECOMMIT_IMPACT_PROGRESS_REPORT_Final2.pdf
「IMPACT PROGRESS REPORT」公開の背景
ECOMMITは資源循環のインフラを構築することをミッションとした「循環商社」です。ECOMMITが運営する資源循環サービス「PASSTO(パスト)」をはじめ、 暮らしの身近な動線上で不要になったものを“捨てる”のではなく、次の人につなげるために“パストする”選択肢を提供しています。また、ECOMMITは全国7箇所にあるサーキュラーセンターで、回収した不要品の選別と再流通を行っています。
ECOMMITの事業の特徴は、廃棄される可能性のある衣類や雑貨等を救い、一点一点の丁寧な選別と多様な再流通先とのマッチングにより、リユースを優先に、リユースが難しいものはリサイクルへと循環することで廃棄を最小限にまで抑えている点です。さらに、"ものの流れ"をデータ化する自社開発のトレーサビリティシステムにより、リユース・リサイクル率の算出や、CO2削減量のレポーティングを行っています。これらの取り組みにより、衣類においては98%以上の循環率を実現し、廃棄は約1%に留まります。
日本で廃棄されている衣類は約47万トン (※1)であり、ECOMMITが年間に回収し再流通できている量と比べると、まだ目指す社会のためには十分ではありませんが、着実に一歩ずつそのあゆみを進めていることを広く共有し、さらに多くの仲間を増やすことで取り組みを加速していくために、ECOMMITの現在地を「IMPACT PROGRESS REPORT」として、公開いたします。
※1 環境省 “サステナブルファッション”(2022年度調査)
「IMPACT PROGRESS REPORT」で初公開する、ECOMMITが目指す社会に向けた「インパクトストーリー」について
日本の生活水準で世界中の人が暮らすと、地球2.9個分の資源が必要と試算されています。ECOMMITは、私たちの唯一無二の地球「1個分」の資源で暮らすこと、それができる社会の仕組みを実現していきたいと考えています。そして、「地球1個分の資源で豊かに暮らせる社会」を実現するために、バリューチェーンにおける「廃棄の回避」「投下資源におけるリサイクル資源の割合増加」「投下資源の絶対量の削減」という3つの変革が必要だと考えています。
そのためにまずは、ECOMMITは不要と判断されたものの「廃棄」の割合を減らし、リユースやリサイクルとして循環するものを増やしていくことからはじめ、最終的にものづくりのあり方やバリューチェーン全体の変革を起こすことに取り組んでいます。
「IMPACT PROGRESS REPORT」では、これらの目指す社会への道のりを示した「インパクトストーリー」を初公開しています。
ECOMMITが描くインパクトストーリー:リユース
ECOMMITが描くインパクトストーリー:リサイクル
環境インパクトについて
ECOMMITが回収した衣類を単純焼却した際に生じるCO2排出量と、ECOMMITで選別し資源循環した際に生じるCO2排出量の比較では、76.1%のCO2排出量を削減できています。具体的には、単純焼却では約5,722トンのCO2が排出される一方で、ECOMMITで資源循環した場合には約1,369トンにとどまります。
さらに、ECOMMITが回収・選別した衣類を資源循環した際に発生するCO2に、ECOMMITの事業活動により生じるscope1及びscope2 (※2)に関連するCO2を加えたCO2排出量は約 1,591トンとなり、単純焼却のCO2排出量(約5,722トン)と比較して、72.2%のCO2排出量を削減できています。
ECOMMITは今後も、地球1個分の資源で豊かに暮らせる社会を目指し、事業活動を通じて取り組んでまいります。
※2 scope1:直接排出(自社での燃料の燃焼等)、scope2:エネルギー起源の間接排出(他者から供給された電気、熱の使用)
※算出条件:
・当社における、衣類の年間取扱量過去最大値の6940.7トン(2020年1月〜12月実績)を基に計算。
・当社2024年の衣類選別基準の最新データに沿った分別結果(衣類について、リユース88.3%、リサイクル10.5%、廃棄1.3%)を適用。
・scope1及びscope2に関連するCO2を加えて計算。
・衣類の輸送に係るCO2排出量も含む。また、海外出荷分の衣類は海外輸送(タイ国港までの輸送)における、CO2排出量を加えて計算している。
・単純焼却した場合のCO2 排出量計算は環境省による繊維焼却時の化学繊維割合と原単位を使用。
IMPACT PROGRESS REPORT発行にあたって
上席執行役員 CSO(Chief Sustainability Officer)兼 ESG推進室長 坂野晶
唯一無二の地球上で、私たちが未来も暮らし続けるために、必要な変化の量の多さと、大きな「社会のしくみ」という壁の前に、日々無力感を禁じ得ません。
ECOMMITは小さな会社です。私たちが今、救えている資源の量もたかが知れています。今回このレポートを発行するにあたり、ECOMMITとして目指す社会像、そこまでの道のりとなるインパクトストーリー(一般的には「ロジックモデル」や「Theory of Change」と呼ばれます)をまとめ、すでに取り組み始めていること、これから取り組む必要があることを整理しました。まだまだ、目指す道のりは遠く長く、インパクトを出しているとは言い切れない。進む速度も、もどかしいほど速くない。でも、そこへ向けて着実に今も一歩を歩んでいる。そんな、重たい一歩で大地を踏み締める思いを込めて、「IMPACT “PROGRESS” REPORT」としました。
目指す未来に向かって、今の私たちの現在地をみなさまと共有し、仲間と一緒に歩みを早めることでしか、実現しない未来がある。2050年カーボンニュートラルは不可能だという科学者の見解も出ています。私たちが生きている間に、人間社会のあり方を自主的に転換していくことは奇跡に近いことなのかもしれません。そんな中、資源循環の「インフラ」となろうとするECOMMITの挑戦は、きっと他にも手法がある中で、あえてなぜそこで勝負をするのかと言いたくなるほど茨の道です。人も、トラックも、設備も、場所も、インフラになろうと思うと必要なものばかり。足りないものを超えて実現していくには、きっと、このレポートで表現したインパクトストーリーの「まだ白い」部分に、みなさまのインプットが加わり、さらにストーリーの具体性が増していく、そんなプロセスなのだと思います。この地球に共に暮らす一人として、ぜひ同じ挑戦に加わってください。