経営管理プラットフォーム「DIGGLE」の開発・提供を行うDIGGLE株式会社は、 2022年9月7日(水)に総額約4億円の資金調達をシリーズAラウンドにおいて実施したことを発表 しました。
今回は、プロダクトができる前から多くの助言をくださったDNX Venturesからマネージングパートナー&日本代表の倉林 陽さんをお招きし、代表取締役 山本と対談いたしました。今回の資金調達の裏側と、投資家からみたDIGGLEの可能性や魅力、また今後の期待や課題まで。出会いから6年というふたりに、和やかな雰囲気の中で語っていただきました。
販売モデルの転換など、試行錯誤を見守った6年間 ーーまずは初めて出会ったときに話したことや、お互いの第一印象を教えてください。
倉林:投資している株式会社マツリカの黒佐社長にご紹介いただきました。そのときは、経営管理・予実管理領域は米国ではもう事業として市場形成されているという話や、具体的な事例をお話しました。
山本:2016年の末ごろで「DIGGLE」のβ版をリリースした時期でした。倉林さんはSaaSの投資家としてすごく有名な方なので、お話できるのが光栄だなと思いつつ少し緊張していたのですが、当時からとても気さくな方でした。焼肉弁当を食べながらのランチミーティングでしたよね。
当時はスモールマーケットのお客さまに向けて、フリーミアムモデルで事業をやりたいと思っていたのですが、「業務アプリケーション領域でフリーミアムでうまくいく例はあまり聞かないよ」と事例も交えながらアドバイスをいただきました。「ただ、山本さんがやりたいんだったら応援はするよ」と言ってもらったことが印象に残っています。
実際その後、仰る通りの結果で、セールス・レッド・グロース(セールスがプロダクトを売る)モデルに転換しました。あれだけアドバイスをもらったのに、聞かなかったんですよね笑。
倉林:いえいえ、やっぱり起業家に最後は判断する余地があるべきだと思うので。プロダクトが今の形になって軌道にのるまで、山本さんは本当に大変だったと思いますが、試行錯誤したことが良い経験になっていると思います。
シリーズA出資のポイントは顧客エンゲージメントの高さ ーー倉林さんにはシード期からご出資いただいていますが、過去の出資と、今回のシリーズAの出資で、それぞれ評価していただいた点を教えてください。
倉林:DIGGLEが挑戦しているのは、簡単な領域ではないと思うんです。経営情報という企業の機密情報を扱う事業ですし、かつ経営企画部門の方など比較的SaaSの利用慣れしていない方がお客さんという面もありますし。そのため最初の出資から約6年と、プロダクトのマチュリティ(成熟度)を上げていくのに一定時間はかかってしまったとは思いますが、着実にプロダクトを成長させてくれました。山本さんは、もちろんこの事業のために全てのキャリアを捧げて取り組んでくれていますし、創業メンバーでCTOの水上さんも、この期間ずっと事業の可能性にかけて逃げずに取り組んできたという点は非常に評価させていただいてきました。 経営者のテナシティ (粘り強さ、不屈の精神)ですね。
シリーズAに関しては、特に 顧客のエンゲージメントの高さ を重視しました。エンゲージメントが高くないと追加発注はしないはずなので、一度導入された企業の中で、その後アカウントの追加発注があるかは、資料も作成していただいてしっかり見ました。その結果、エンゲージメントが高いことが確認できましたし、最近は顧客企業の規模や業界も広がっているという成長もあったので、「もうシリーズAやろうよ!」と僕は即決でした。
あとは、DNXの運営するシェアオフィス「 SPROUND 」で一緒にお仕事ができたこともよかったです。DIGGLEの課題解決に共感して、大企業をはじめ様々な業界から優秀なメンバーが飛び込んできているのを近くで見て、何よりの プロダクトと市場に対する期待 だと実感しました。
「売上よりもプロダクトとカスタマーを見なさい」助言が成長の糧に ーー山本さん視点で、これまで倉林さんに投資いただいて良かったことはなんでしょう?
山本:倉林さんには、初期の頃から一貫してユーザーに愛されるプロダクトを作るよう、事業にとって本質的なことを大事にするようにとアドバイスをいただいてきました。もちろん 売上も大事だけれど、本質的な顧客価値を提供できていなければ成長は止まる ということです。苦しい時期はピンときていなかったのですが、「売上よりもまずプロダクトとカスタマーを見なさい」と言い続けてもらえたことが、これまでの成長のベースにあります。
倉林:これまでに私がご支援させて頂いた数多くの起業家の中にも、とにかく設立初期から売上を伸ばさなければと、考えて焦ってしまうケースもありました。
山本:僕も初期から売上を伸ばさなきゃという焦りはありました。でも倉林さんのアドバイス通り、新規獲得に焦るのではなく、しっかり導入いただいたお客さんのカスタマーサクセスに向き合うとMRRもついてきました。場当たり的なアドバイスではなく、 本質的なことをブレずにアドバイスし続けていただいて 本当にありがたかったです。
DIGGLEはチーム、マーケット、プロダクトがフィットした大人のスタートアップ ーー倉林さんはたくさんのスタートアップをご覧になってこられていますが、他のスタートアップと比べてDIGGLEの特徴はなんだと思われますか?
倉林:DIGGLEは、みなさん マチュリティが高い ですよね。大企業をご経験されてきた方も最近どんどん入ってきていて、スタートアップの中でも落ち着いてしっかり事業を伸ばしていける方々、事業内容とマッチしている方が多いと思います。経営管理領域にファウンダーマーケットフィットする、大人のスタートアップという印象です。一見派手ではないですが、企業価値が派手であればいいと思っているので笑。 よい環境で大人の多い中で、しっかり課題解決していきたい という方の目にとまってくれたら嬉しいです。
山本:僕も採用の時に「大人のスタートアップですよ」とよく言っているので、外から見ても同じ評価でほっとしました笑。
倉林:ぴったりだと思いますよ!特に上場前後でIRをしっかりしていかないといけない顧客も多く、大事な企業活動を担うプロダクトなので、大人なメンバーの丁寧で誠実なカスタマーサクセス力を信頼して導入いただいてるお客さんも多いと思います。チーム、マーケット、プロダクトがフィットしていますよね。
ーー山本さん個人についてはどうでしょう?
倉林:山本さんは僕より年上ですが、出会った当時からずっと丁寧に接していただいていています。僕はどんな時も変わらない人は信用できると思っていて、山本さんは出会って6年ずっと 誠実で、マチュリティが高くて、傾聴力がとても高い です。DIGGLEに素敵なメンバーが集まっていることも、その証明ではないでしょうか。優秀で魅力的な人たちをアトラクトできて、みなさんがエンゲージメント高く働いているのは、山本さんの力だと思います。
顧客に本質的な価値を届け続けた先に「DIGGLE」が経営管理のスタンダードになる未来がある ーー最後に、倉林さんがDIGGLEに対して、今後どんなことにご期待いただいているかをコメントいただけると嬉しいです。
倉林:実は投資しながら、DIGGLEの挑戦している領域は簡単じゃないなと思ってきました。正直「やっぱりエクセルには勝てないかな」と思った時期もありました笑。エクセルは業務アプリケーションとしてすごい位置にいるじゃないですか。DIGGLEはファイナンスというまさに高度な エクセルで計算するところを置き換えにいったこと、かつ実際に名だたる企業でエンゲージメント高く使われている ことは、他の SaaS と比べても大変なことを成し遂げられている。本当にすごい事実だと思います。
あとはこれを、スタンダードにしていくだけだと思います。着実にロイヤルカスタマーに長く使っていただける環境をつくっていけば、自ずと「昔は予実管理をエクセルでやってたの?」という世界になっていくはずです。そして、そこで勝つのは我々であると。
今後は、やっと掴んだ プレイブックをしっかり実践していって、顧客企業のカスタマーサクセスを実現して、それをさらに広げていく という基本を変わらずに実行していってください。
あとは、マルチプロダクトを早めに仕掛けることも、これからは必要になると思います。DIGGLEはまだこれから広がっていくフェーズではありますが、ARRが50億や100億になってから次の一手を考えては遅いので。例えば、事業のグロースは別のメンバーに任せて、山本さんはその次のプロダクトや海外展開など、 大きくなった後の成長ストラテジーを考えていくこと を見据えても良いかもしれないですね。これまで苦労した経験をノウハウとして社内に共有して、再現性を高くしていければ競争力になります。
「組織の距離を縮め、企業の未来の質を上げる。」ビジョンの実現に向けて ーー山本さんからも、今後目指すところを教えてください。
山本:事業としては、お客様の声を元に定めたプロダクトビジョン「 組織の距離を縮め、企業の未来の質を上げる。 」の実現を目指していきます。DIGGLEは経営管理の効率化という一面的な価値だけではなく、 組織内のコラボレーション促進 、それによる 顧客企業の価値の最大化 を目指していきます。そのため、事業部側含め全社でご利用いただけるようにしていきたいですし、さらに社内コミュニケーションを円滑にする機能開発も予定しています。
こうしたプロダクトの成長を実現し、中長期目標としては、 2024年12月までに導入社数300社およびグロース市場上場企業の25%利用シェア獲得 を目指していきます。組織としても、 2023年12月までに社員数を今の約2倍の60名規模とさらなる拡大 を目指したいと考えています。
そして、「DIGGLE」が導入されることで、「組織間の壁がなくなった」「みんなが自分で情報にアクセスできるようになり、自走できる組織になった」と言っていただけるようなサービスに成長させていきたいです。
また、そのためには引き続き カスタマーサクセスによる手厚いサポート も重要です。倉林さんも仰っていただいたように、予実管理はIRにもつながる難しい業務で、単にツールを渡すだけだと運用が軌道にのり、お客様が成功に至るのは難しいです。現在「DIGGLE」がJR九州様のようなエンタープライズ企業様でもご活用いただけるようになったのは、カスタマーサクセスの力だと思うので、そうした 予実管理コンサルティング領域も社内でナレッジシェア をして磨き込んでいきたいです。
倉林:素晴らしいですね!単なる効率化だけじゃないエコノミックバリューが相当あるなと感じています。あとは、コミュニケーションチャネルとの連携なども強化していけるといいですね。
山本:組織カルチャーとしては、先ほども言いましたが「大人のスタートアップ」というのがDIGGLEのカラーだと思っています。働き方に関しても、地方に住んでリモートワークが基本のメンバーもいたり、創業メンバーの水上も育休を1ヶ月とるなどして小さいお子さんを育てながら働いていたり、それぞれのライフスタイルに合わせて自律して柔軟に働いているメンバーが多いです。制度などはこれから整えていく部分も多いですが、柔軟で自律した組織文化を築いていきたいです。
これからの組織や事業を共につくっていく仲間に向けて ーー最後に山本さんから、読者に向けてメッセージをお願いします。
山本:DIGGLEは素敵な投資家さんに恵まれて、そこに恥じない成長をしていけるポテンシャルがあると思っています。また、倉林さんも言ってくださったように、続々と優秀なメンバーが集まってきています。そして、僕自身も入社いただく方には、DIGGLEに入って成長したと思ってもらえるような会社にしていきたいと思っています。オンボーディングや勉強機会の提供など、入社した後の成長にも力をいれて取り組んでいます。
自律した組織で成長したい方、クライアントの課題解決に真摯に取り組みたい方はぜひご応募いただけると嬉しいです。
■DNX Ventures マネージングパートナー/日本代表 倉林 陽(Akira KURABAYASHI) 富士通、三井物産にて日米のITテクノロジー分野でのベンチャー投資、事業開発を担当。MBA留学後はGlobespan Capital Partners、Salesforce Venturesで日本代表を歴任。2015年にDNX Venturesに参画。主な投資先はSansan、マネーフォワード、データX、アンドパッド等。同志社大学博士(学術)、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営大学院修了(MBA)
■DIGGLE株式会社 代表取締役 山本 清貴(Kiyotaka YAMAMOTO) 11年間にわたって米系ERPベンダーPeopleSoft、Oracle、Inforにて、会計・CRM・SCMなど業務系アプリケーションのセールスに従事。その後、デジタルマーケティングスタートアップにてセールスを率い予実管理に苦しむ。その経験から経営管理プラットフォームDIGGLEを創業。
DIGGLEでは、これからの組織や事業を一緒につくっていく仲間を様々なポジションで積極的に募集しています!今回の資金調達にあたり、採用ページを刷新したのでぜひ下記よりご覧ください。
また、まずはメンバーとお話してみたいという方はぜひカジュアル面談にご参加ください。お話できることを楽しみにしています。
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