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「医療×デザイン」で課題解決を加速する。医師兼デザイナーの挑戦とは

現役の精神科医師でありながら、CureAppでUIデザイナーとして働く小林。そのきっかけは大学院で医療スライドデザイン講座を立ち上げたことでした。

医療の課題解決のために、「医療とデザイン」をつなぐ役割を担いたいと、2021年4月CureAppに入社。現在は新しい治療用アプリの立ち上げに奔走しています。

入社当時はデザインの経験不足から悩むことも多くあったという小林ですが、チームの厚いサポートと前向きな精神で、壁を乗り越えてきました。そんな小林に、医療者でありながらもデザイナーとして働くことの意義や仕事の喜びについて聞いてみました。


小林 啓(こばやし けい)/UI/UXデザイナー

京都府立医科大学医学部医学科卒業。精神科医として病院勤務後、2016年京都大学大学院医学研究科脳病態生理学講座 博士課程に入学。大学院で医療者向けのスライドデザイン講座を開講した事をきっかけに、デザインの道へ。2021年4月にCureApp入社しUI/UXデザインを担当。京都府からフルリモートで勤務しながら、週1日は医師としても働く。

スライドデザイン講座を立ち上げたことをきっかけに

――小林さんは医師兼デザイナーという大変珍しい経歴ですが、デザインの道に進んだきっかけを教えていただけますか。

元々、趣味で友人と音楽をやっていました。音楽活動のために、イベントのフライヤーを作ったり、グラフィックソフトで絵を描いたりするうちに、自然にグラフィックデザインにも興味を持つようになりました。

デザインの道を強く意識するようになったのは、精神科医として数年間勤務した後に大学院に入学したときのことです。医療者向けに学会発表のためのスライドデザイン講座を立ち上げました。

プレゼンテーションは医療の世界でも大事なスキルの一つですが、スライドデザインを理論だって学ぶ機会はあまりありません。周りを見渡しても、昔から受け継がれたスライド作りのお作法も多く、きちんとデザインの視点で考えられてはいませんでした。

そこで、医療者もデザインを学べば、発表スライドをもっと伝わりやすいものにできるのではないか?と考えたのです。

これをきっかけに、より本格的にデザインについて学ぶようになり、デザインへの興味がさらに高まっていきました。最初は大学内での勉強会だけだったのが、オンライン上で活動の場を広げることになり、多くのかたに興味をもってもらうようになりました。そしてその活動の中でCureAppに出会うことになったのです。

「医療×デザイン」に可能性を感じて

――CureAppに入社したきっかけについて教えてください。

スライドデザインの活動をする中でデザインへの関心が高まり、いつしか24時間デザインに関わっていたいと思うようになりました。それと同時にデザインのリテラシーが医療の世界に浸透していけば、より良い医療につながっていくのではないだろうか、と考えるようにもなりました。

例えば、医療の課題は小さいものから大きなレベルのものまでたくさんありますが、その解決手段の多くは主に臨床や基礎研究の現場で培われた思考をベースにしたものです。

一方で世の中を広く見ると、デザインの手法に基づいた社会的課題の解決は常識として広まってきています。

医療の世界でもデザインの力をもっと有効活用することで、より多彩な課題解決に繋がるのではと思っていました。

とはいえ医療現場にすぐにデザインの知識や技術が実装できるわけではありません。そこで、医療者自身がデザインの力を使って何か新しい挑戦をしてみたいと思ったときに、僕自身が医療とデザインをつなげる役割を担ってみたいと思うようにもなりました。そんなタイミングでお声がけをいただき、CureAppへの入社を決めたのです。

仮説が覆り、仲間と改善を重ねる過程に喜び

――現在のお仕事について教えていただけますか。仕事の中で、やりがいを感じるのはどんなときですか。

現在はUXとUIデザインの担当者として、新しい治療用アプリの開発に企画から携わっています。それまでは高血圧やアルコール依存症治療のための医師向けアプリを、医療者としての経験を活かしながら担当してきました。

これまで医療の現場で働きながら『もっと自分でデザインがしたい!』という思いを強く抱えており、実際に今、仕事としてそれを実現できていることは大きな喜びです。CureAppではデザインに対して向き合う姿勢の真剣さがまるで違いますし、クリエイティブな経験を豊富に積んだチームメンバーから的確な意見がもらえることに、何よりやりがいを感じています。

それに実際に物を作り、ユーザーに触ってもらうことでフィードバックをもらう過程そのものが、医師としては働くだけでは絶対に得られなかった貴重な経験です。

フィードバックという点では、いつも大きな発見の喜びがあります。例えば、アルコール依存症治療のための医師向けアプリを作ったときのことです。

当初のゴールとして医師にとってできるだけ効率のよい診療ができるアプリを目指し、実際にその課題が解決できるデザインを作りました。しかし、いざ医師役として僕がテストをしてみると、簡潔すぎるデザインがゆえに患者さんとのコミュニケーションが極端に希薄になってしまい、診療の質が極端に落ちてしまいました。

これが良いはずだと思って作り上げたデザインでも、いざテストしてみるとうまくいかないことはよくあります。僕にとっては、そのフィードバックの一つ一つが大きな発見です。仮説が思いっきり覆ったとき、おもしろいなと思うんです。その後、工夫を重ねて改善をしていく過程にも喜びを感じます。

多くの人と力を合わせて一つのものをつくり、実際に試してみて改善を重ねていくという経験は、僕1人では決してできないことで、やりがいを感じています。

――逆にお仕事をされる上で苦労されている点はありますか。

正直これをメインで語りたいくらい沢山あるんです。というのも入社して、プロのデザイナーさんの実力を目の当たりにし、自分がただのデザインが好きな人だったんだということを痛感することになりました。

それまで独学で、それなりにデザインを勉強してきたつもりだったので、何かしら役に立てるだろうと期待していたのです。それが、仕事としては全く歯が立たないと分かりました。

すごく悔しかったし、打ちひしがれていた時期も、入社当初はありました。

それでも、周りのメンバーは医師だから仕方がないというふうに僕のことを見ませんでした。なんとかデザイナーとして1人で立てるようにと、育てる視点で僕に関わってくれたことが何よりありがたかったですね。

今でも上司にフィードバックをもらいながら、体当たりでデザインを学ぶ日々です。

――現在は、週4日デザイナーとして働き、週1日は医師として臨床の現場で働いていらっしゃいます。デザイナーと医師業を兼務することのメリットはどのようなところにありますか。

デザインの仕事をメインにしつつも、精神科の医師として働き続けることには、得るものが多くあると感じています。

例えばCureAppの治療用アプリは、主に患者さんの生活習慣の改善にフォーカスをあてていますが、アプリのデザインを通して生活習慣を変えることの難しさが再認識できます。そしてこの認識を持って患者さんと接することで、新たな課題や治療のアプローチが見えてきます。また逆に、医師としてさまざまな方の診察を行う中で、診療の機能をどうアプリで表現するか、診療では手が届かない日常ケアをどうアプリに機能させるかなど、新たなデザインの着想を得ることができます。

そういったデザイナーと医師の仕事を行き来する中で、気づかされることは多いですね。

モチベーションが高く、全く妥協しないチーム

――デザイナーチームは、どのようなチームですか。

チームのメンバーそれぞれが持つスキルのレベルが高く、尊敬できるメンバーばかりです。仕事に対するモチベーションが高く、自分の仕事さえ出来ていればいいと思っている人は1人もいません。必要があれば率先して周りを助けてくれるメンバーばかりですね。


また、それぞれのメンバーの持つ個性が多様で、僕にわからないことがあれば、本当に色々な角度からアドバイスをもらえるので、とても頼りになります。

僕は、この会社の仕事自体が社会的に大きなチャレンジだと思っています。それに対して、どうすれば良い形で貢献できるのか、常に考えている全く妥協しないメンバーです。

このチームに入れてよかったと心から思っていますね。

――今後の目標について教えてください。

一番の目標は、これからの医療の世界に浸透する優れたデザインのアプリを生み出すことです。

いかにコンセプトや治療法が優れたものであっても、ユーザビリティーなどの細かい部分までデザインされているかで、医療の世界での広がり方が全く違ってくるでしょう。長期的なサービスの浸透に、デザインは大きく影響すると考えていて、デザイナーとしての責任を強く感じています。

また医療の現場を経験している人間として、医療にデザインを落とし込む際に悩んだときの良き相談相手でありたいです。デザインのスキルももっとあげていきたいですし、医療者や患者さんの体験を徹底的に理解できている上に、デザインとしても形にできる人になれたら嬉しいですね。

アプローチは模索中ですが、医療者にデザインの視点を持つことの意義を啓発していく人にもなっていきたいです。

――CureAppで働く魅力について教えてください

既存の医療行為をベースに、それをより良くしていくという発想のサービスが多い中、CureAppは今、現場にないものを生み出し届けることができるのが一番の魅力だと思います。

もちろん多くの高いハードルがありますが、挑戦すること自体に価値を感じます。そして、それが実現できれば、患者さんと医師、どちらにも利益の大きい未来を作れるはずです。

そんな難しいチャレンジに魅力を感じる人には、とても向いている環境だと思います。


(取材ライティング/柳澤聖子)

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