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出産月データで顕在化していない母親の悩みを解消するー 野澤哲照×吉岡詩織対談

妊活、妊娠、出産、育児というライフステージに向き合う女性向けのコミュニティアプリ「ママリ」を運営するコネヒトで、アプリ内で蓄積されたデータがどのように活用され、どのようにユーザの生活に還元されているのか、エンジニアの野澤哲照とママリのPdM吉岡詩織に話してもらいました。

まずは2人の経歴をご紹介。

野澤哲照(写真右):大学で情報科学を学んだのち、新卒でSIerに就職。製造業向けのERPパッケージの開発・導入に5年ほど従事。その後趣味で勉強し始めた機械学習の面白さにハマり、1人目のMLエンジニアとして2019年にコネヒトへJOIN。コミュニティ検閲システムやレコメンドエンジンなどのMLプロダクト導入に携わる。

吉岡詩織(写真左):2018年に新卒で(株)LIFULLに入社。不動産情報サイトのWebディレクションや、社内新規事業立ち上げ・撤退などを経験。新規事業立ち上げの過程で、妊娠出産・子育て課題への関心が高まり、2021年PdMとしてコネヒトにJOIN。アプリ内ユーザ体験改善を中心に分析や企画を行っている。

ユーザの状況に合わせたアプリ環境を整える

ーお2人は現在コネヒトでどのようなお仕事をしているのですか。

野澤:私の所属するMLチームでは、データを用いたユーザ体験向上を目的として様々なことにチャレンジしています。直近では新規機械学習施策の推進や、昨年から力を入れて取り組んでいるレコメンドエンジンのアップデートを行っています。

吉岡:私は「ママリ」のMAUを指標として追っているプロダクトグロース部に所属しており、その中でもユーザであるプレママ・ママが長くサービスを使っていただけるような継続率向上を目的とした分析、施策検討、実装などを行っています。

野澤:現在は、ママリを初めてインストールしてくれたユーザの翌日継続率を上げるための施策に取り組んでいます。アイデアを吉岡がPdMという立場から考え、そのために活用できそうなデータを僕が提供し、2人で施策案を考え実装し、一緒に分析しながら翌日継続率にヒットする施策の取捨選択をしています。

吉岡:そうですね。ママリを初めてインストールしてくれたユーザの多くは、妊活中であったり、妊娠中であったり、出産間近であったり、産後直後であったりと、妊活から出産、育児までの間の様々な状況にいます。

もうちょっと言うと、ママリを使い始めたタイミングで里帰り出産をすべきかどうか悩んでいるユーザもいれば、離乳食に悩んでいるユーザもいますし、保育園・幼稚園選びに迷っているユーザもいれば、小学校への入学準備に悩んでいるユーザもいるんです。ユーザの状況によって求められる情報が異なるのはもちろんですし、得た情報を元にユーザが行うひとつひとつの意思決定がすごく大事なタイミングでママリに出会ってくれるんです。

だからこそ、ママリをインストールしてくれたユーザそれぞれの状況に合った環境をアプリ内で整えることが継続的に利用していただく上ですごく大切。そのために活用できるデータの表面化と活用方法を野澤と考えながら日々ベストフィットを模索しています。

出産月がコネヒトデータの最大の特徴

ーそういった日々のトライの中でコネヒトがアプリを通じて活用しているデータにはどのようなものがありますか。

野澤:大きく分けると属性データ、行動ログデータ、コンテンツデータの3種類があります。

ユーザの属性データはユーザの年齢や居住地、子どもの出産日などの基本データです。行動ログデータは、アプリ内で行われる検索やクリック、滞在時間などといったものですね。それらに加えて、アプリ内でユーザが投稿してくれる質問や回答などのコミュニケーションをベースとしたテキストデータ、そしてそれらを補足するために我々が制作している動画や記事などのコンテンツデータがあります。

吉岡:ママリに限った話ではないのですが、アプリで取れるユーザの行動ログデータは豊富です。そういったデータとユーザの属性をどう掛け合わせたら「ユーザの今」をサポートできるのかということを考えています。

産後直後など、精神的にも時間的にも余裕がない時期は必要な情報だけをできるだけアクセスしやすい環境を整えることがユーザにとって大きなメリットになるはずですしね。

ーコネヒトが扱っているデータの特徴はどのようなところにありますか。

野澤:大きな特徴は、出産予定日や出産日というユーザの子どものデータがあるということです。妊娠期や子どもの月齢データとユーザの行動ログデータを紐づけることでサポートできる領域は大きく広がるんですよね。

例えば、離乳食について悩んで質問するユーザの行動データとユーザの属性データを紐付けると、いつ離乳食について悩むのかがわかります。もっと言うと子どもの離乳食期によって変化していく悩みが追えるので、適切なサポートができるんです。

吉岡:そうですよね。妊娠月や子どもの月齢データを持っているとなにがいいかって言うと、ユーザに適切なコンテンツのレコメンドを適切なタイミングでできるということなんです。

野澤:ユーザの属性データを分析した上であえて見せないという意思決定をした方が良い場面もありますよね。

吉岡:そう。例えば、ママリには妊活中の方もいらっしゃるのですが、そういった方は「無事元気な赤ちゃん産まれました!」といった投稿を見て反対につらい気持ちになったりもするんです。不必要にネガティブな気持ちにさせないためにも、ユーザの妊娠月のデータや行動データは役立っています。

求めている情報に最短距離で辿り着ける環境が大切

ーデータを活用して現在どのようなことに取り組んでいますか。

吉岡:色々あるのですが、わかりやすい部分でいうと新規ユーザのサポートです。私は初めてママリをインストールしてくださったユーザの翌日起動率を上げたいと思い試行錯誤しているのですが、ママリに触れた初日にユーザにとって価値があるアプリだと感じてもらうことが大切だと感じています。

ありがたいことにママ友を通じた口コミやアプリストア内での評価から、妊娠したらママリをインストールするという人や、出産したらママリをインストールする人がたくさんいらっしゃいます。

そういった人たちが求めている情報に最短距離で辿り着けるようにデータを活用することに注力しています。

野澤:最近導入中の具体的な施策でいうと、初めてママリを立ち上げたときに、興味があるトピックを選んでもらうことで、そのユーザが得たい情報をレコメンドできるようにしています。

興味のあるトピックをユーザに選んでもらい、視界に入る情報を絞ることは他社のアプリでもよくあるのですが、ママリの場合は選んでもらったトピックに加え、妊娠月や子どもの月齢に合わせた情報を提供できることが特徴です。

ユーザが認知している本人の興味領域はトピック選びで拾い、ユーザが気づいていないけれど必要であろう情報は属性データやログデータから計算して提供しています。ママリを使うことで、少し先の悩みが想像できることはユーザにとってメリットがあるのではないかと思います。

不安が多い妊娠中もそうですが、眠る時間も確保できない産後の忙しさなどを日々のユーザの投稿から把握している僕らからすると、本当に必要な情報をできるだけスムーズに提供することは非常に大切なことです。

吉岡:本当にそう。ひとつのアプリでできることが増えてきていることも影響しているなと思います。ママリにも専門家相談機能があったり、動画や漫画や記事などのコンテンツを楽しめたり、お得なクーポン情報が閲覧できたりと、たくさんの機能と情報がアプリ内にあります。

利用できる情報や機能が増えることはすごくよいことなのですが、同時に1人のユーザが求めている情報や機能にたどり着くための導線は複雑になり続けている。

せめてママリの中では、私たちが持っているデータを使ってノイズを排除し、適切なレコメンドを適切なタイミングで出すことでユーザの日々の生活にインパクトを与えたいと思っています。

質問投稿者のニーズに合った回答者をマッチング

ー今後コネヒトはどのようなデータを活用し、どのようにユーザの生活をサポートしていきたいと考えていますか。

吉岡:やりたいことはたくさんあるのですが、やはりママリのコア体験は「質問とそこに対する素早くあたたかい回答」なので、ユーザの質問と回答のマッチングにデータを活用できるといいなと思います。

投稿される内容には具体的な解決策を求めているものもあれば、共感を求めるような内容もあります。例えばベビーカーの購入を検討している方が先輩ママたちからの口コミ情報を求めているものもあれば、子どもへの声がけで後悔しているというような共感を求めるものもあります。投稿内容によって求められている回答が異なるので、適切な対応が得意そうな方に回答してもらえるような仕様にできるといいなと思っています。

野澤:そうですよね。過去に投稿されたデータと投稿者の属性データがあれば、どういった回答が投稿者にとって受け入れやすかったか、または受け入れにくかったかがわかります。投稿される内容に合わせて、過去に評価の高かった回答をしてくれたユーザをマッチングすることでアプリ内のユーザ体験を向上できるだろうと思っています。

ーコネヒトが持っているデータの先にはどのような未来がありますか。

野澤:「子どもの月齢 x 母親の行動データ」みたいなことを話してきましたが、このデータを蓄積し続けた後にある社会を想像することはあります。

例えば、3世帯家庭で育った子ども、一軒家で育った子ども、車がある家庭で育った子ども、習い事に注力した家庭で育った子どもなど、育った環境によって子どもが求める未来の生活モデルができるかもしれないですよね。

ジャストアイデアですが、車がある家庭で育った子どもは大人になったら車の購入を検討する可能性が高いというデータがとれたとすると、そういったニーズに対する情報提供ができそうですよね。ママリが蓄積してきたデータを元に、子どもたちにアプローチできるような世界が広がりそうでワクワクしています。

吉岡:確かに母親の行動データから家族を想像し、子どもの未来の行動データに結びつけることができたらいいですよね。もちろんモデルづくりにはデータの蓄積がまだまだ足りていないのでこれからなのですが、そういった未来の可能性にも一緒にワクワクしながら一緒に仕事ができているのはすごくポジティブに捉えています。

ありがとうございました。


データサイエンティストが語るコネヒトの「データ優位性」ー エルデシュ 岩永二郎×コネヒト 高橋恭文対談 | コネヒト株式会社
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