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世代を超えて伝承されていくカルチャーづくりを目指すー ファミワン 石川勇介×コネヒト 高橋恭文対談

「子どもを願うすべての人によりそい、幸せな人生を歩める社会をつくる」をビジョンに掲げ、妊活サポートサービスを展開する株式会社ファミワンの代表取締役 石川勇介さんと、ママリを中心に、多様な家族像を実現するべく事業を展開するコネヒトの代表高橋恭文が、家族領域における事業展開の特徴、チャレンジ、楽しさについて話しました。

まずは2人の経歴をご紹介。

石川勇介(写真右):2006年3月慶應義塾大学経済学部卒業。飲食系ベンチャー企業、国内ERPパッケージベンダー企業、国内最大級の医師向け情報提供企業にて勤務後、2015年に自身の妊活で感じた課題を解決するため株式会社ファミワンを創業。

高橋恭文(写真左):株式会社アルバイトタイムスに新卒入社し、求人広告営業を経て、外食起業支援・定着支援事業を立ち上げ。2010年に株式会社カカクコムに入社し、『食べログ』のマネタイズ草創期から、チャネル責任者、ビジネスプロダクトマネージャーとして食べログの課金店舗を拡大。その後、2014年にRetty株式会社に入社し、執行役員、営業責任者として『Retty』のマネタイズに従事。2018年にコネヒトに入社し、営業部責任者、社会発信を担当し、2019年より執行役員として企画戦略室で社会性事業を立ち上げ、2022年4月より代表取締役に就任。

当事者ではないからこそ成し遂げられることもある家族向け事業

ー家族向けの事業の特徴はどのようなところにありますか。

高橋:特徴的だなと感じるのは、ママリを運営しているコネヒトに転職すると、「子どもでもできたの?」と聞かれることです。食べログやRettyで仕事をしていたときは「食に目覚めたの?」とは聞かれないですからね。「家族」という領域が、どこか当事者だけのもののように思われているような印象があります。

石川氏:それはありますよね。家族向けのサービスを運営していると、当事者であることと、想いの強さが価値のように感じられている場面に出会うことがあります。

当事者だからこそ得られる経験や抱ける感情はもちろんあると思います。ただ、当事者としての観点が強すぎると、最も辛い人や最も困っている人を救いたくなると感じてしまうこともあるのではないでしょうか。事業目線で考えると、それが必ずしも正解ということではない場合も多いです。そういった意味で、当事者ではあってもなくても、いい感じの距離感というか、課題に対してフラットになれる距離は大切だと思います。

高橋:そうですね。小さな局所的な課題に感情が向いてしまって、大きな絵が見えなくなることはありますよね。

僕は会社で「道徳と経済の両立」というようなことを話すことがあるのですが、この両立も家族領域だからこその難しさがあるなと感じることがあります。

石川氏:よくわかります。どうしても当事者のストーリーが重視されるので、そのストーリーにある辛さや悩みを解決することが最も大事だと思われてしまうんですよね。さらに、そこに絞って事業化しようとすると、お金儲けに走っているとネガティブに捉えられることが多い気がします。

ただ、どのようなサービスであっても、経済的に成り立たないと、長期的に維持できなくなりますからね。

高橋:そうですよね、両立が不可欠。でもお金稼ぎが大事だとだけ話しても伝わらないでしょうし、誤解されてしまうかもしれません。

それぞれの家族が在りたい姿にたどり着けるようサポートすることは道徳的に大事なのですが、家族が在りたい姿にたどり着くことが社会にどのようなインパクトを与えるかということを考える必要があるなと思います。

道徳に向き合うと経済が成長する、または家族を考えることが経済を成長させる、という実績づくりができたら考え方は変わっていくと思います。今まさに我々の領域に求められていることかなと考えています。

経済で捉えるマーケットサイズだけでなく、人としての本質的な課題をマーケットと捉えることが会社の未来に繋がる

ー石川さんは創業者であり代表取締役、高橋さんは3代目の代表取締役という少し異なる立場ではあるのですが、家族向けの事業にチャレンジしたいと思ったきっかけは何だったのでしょうか。

石川氏:この領域を選んだのは自身の妊活の実体験なのですが、起業しようと思った理由は、私がやらないと誰もやらないだろうなと感じたことです。

妊活領域の悩みは多いですし深いのですが、妊活を終えるとその悩みに触れることはなくなります。妊娠すれば妊娠出産の悩みに切り替わりますし、不妊治療をやめたとしたら辛かった思い出の不妊に関わらないようにする方がほとんです。つまり、悩みが継続しないというか、期間限定なのです。

そういう観点や事業化の難易度などもあり、大企業内の新規事業として進めることは難しいと考えていました。ひとつの会社の中の事業として成り立たせるには時間がかかりすぎるため、起業という道しかないなと思い、前職を退職し、起業に至りました。

高橋:経済的合理性の予想できる範囲で事業をやろうとすると難しいですよね。経済で捉えるマーケットサイズだけでなく、人としての本質的な課題をマーケットと捉え踏み込んだのだろうなと思って見ていました。起業家らしいロマンだなって思います。

私も同じようなことを考えていて、先ほどの道徳と経済の話に近いのですが、それぞれの家族が在りたい姿にたどり着けることは人としての本質的な課題ですし、そこを家族とともに伴走していくことは意義があること。一方で、経済の話は大事なので、既存のマーケット範囲だけではなく、家族という領域の中で新しいマーケットをつくっていくことを意識しています。

石川氏:私は起業という選択をしましたが、3代目の代表になるというプレッシャーはありましたか?

高橋:プレッシャーは感じていないかもしれません。会社のビジョンを実現したいという想いは強いので、それを前進させるために会社における自分の役割が変わっただけだとだと捉えています。僕が代表になったことは、ビジョンを実現するためのひとつのHOWなのかなと。

これまでもスタートアップを数社経験してきていますし、運よくコネヒトの創業者である大湯と、2代目代表の北吉とも仕事をしてきました。そういう経験も含めてうまく生かしていきたいです。

制度面を整えるだけでは不十分、それらが使いやすい環境づくりをサポートするのが我々の仕事

ー両社ともに家族を対象として事業を展開されていますが、C向けのサービスだけでなく、企業や自治体などを対象としたG・B向けのサービスも運営されています。

石川氏:そうですね。我々の自治体向けの事業展開は横須賀市からスタートしました。企業への展開もそうなのですが、妊活に悩んでいるユーザ個人だけでなく、もっと大きく世の中が変わらないと根本的には変わらないなと感じていたからです。

もちろん自治体にも電話相談窓口などはあるのですが、あまり利用されているイメージがないんです。なので電話窓口だけでは不十分で、我々が展開しているLINEを通じたサービスなど、他の方法でのコミュニケーション方法も必要だと思うんです。

高橋:我々も似たような課題を感じています。妊活は健康保険適応があっても、周りに言いやすいかどうかって別問題ですからね。「制度」と「使い勝手」の両方が社会に必要で、行政や企業の多くには子育て世帯をサポートするさまざまな制度があっても、利用することが歓迎されない雰囲気などが制度を使いにくくしていると思うんです。制度だけでは不十分で、使い勝手というか、使いやすい環境というか、そういったソフト面を我々が企業や行政に対してサポートしています。

石川氏:その通りですよね。もうちょっと言うと、我々のサービスは、実は相談される側のサポートにもなっているとも思っています。妊活領域は特にそうなのかもしれませんが、例えば会社で部下に妊活に関する相談を受けた上司は、なんと言ったらいいのかわからないと思うんです。センシティブな領域なので、間違ったことは言えませんし、専門的な知識がある訳でもないでしょうしね。そういう意味でも、我々が提供しているようなサービスを企業や自治体が利用してくださることで、相談される側のサポートにもなっていると思います。

高橋:同時に非当事者側に当事者の心境や状態が伝わっていくことも大事。

石川氏:そうなんです。自分が直接体験したことがなくても、直接当事者に聞かなくても、相手の状況をイメージできることはすごく大事ですよね。そうやって非当事者が想像できるようになると、世の中が変わっていくことに繋がっていくと思っています。

世代を超えて伝承されるカルチャーづくり

ー最後にこの領域で仕事をしている中で達成感を感じる場面を教えてください。

高橋:我々のサービスに接してくださった人の顔がチラつくような瞬間は好きです。ママリのユーザの多くは、妊活・妊娠中にママリを使い始め、出産したら「出産報告」という投稿をしてくれるんです。出産直前の不安から出産後の達成感や幸福感までをまるで日記のように綴ってくださるのですが、そういった感情を揺さぶられる人間味のある瞬間に出会えるのは嬉しいですね。

石川さんは、ユーザさんから直接感謝されるような場面ってありますか。

石川氏:ありますよ。感謝の言葉は毎日のように届きます。情報過多になっている環境の中で、ファミワンを通じて「必要な情報を整理できました」っていう言葉だったり、「妊娠しました」っていう言葉だったり。無事出産された方からは「あの時の赤ちゃんです」ってわざわざ連絡してくださったり。こういう瞬間は本当に宝物です。

高橋:ちょっと欲張ると、ママリを使っていた母親が出産した子どもたちから「お母さんが使っていたサービスを今は私が使っています」と言われたいです。子どもたちに感謝されたり、子どもたちからも評価されたりしたいですね。コネヒトがそこにたどり着くにはまだまだ若いのですが、2世代、3世代で利用されるようなサービスになると、カルチャーになるというか習慣になるというか。こういった喜びは特別だろうなと思います。

石川氏:時空を超えた喜びですね。そうなると、会社や事業を何十年と続けていくという我々の覚悟が大事ですね。

ーありがとうございました。


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