規格外の椎茸は、どこへ行くのか
収穫したばかりの椎茸を選別していると、はじかれるものが必ず出てきます。
傘が少し割れている。形がいびつ。大きすぎる、小さすぎる。
並べてみると、味は正規品と何も変わらない。
それでも、パックには入れられない椎茸があります。
選別台の横には、はじかれた椎茸が入ったカゴが並んでいくのですが、忙しい日はそのカゴがあっという間にいっぱいになる。
これをどうするか、というのは椎茸農家にとって毎日の小さな宿題みたいなものです。
規格は、味の基準ではない
スーパーに並ぶ椎茸は、大きさや形、傘の開き具合で細かく分けられています。
パックに詰めたときに見栄えがそろうこと。
店頭で選ばれやすいこと。
規格は、主に売り場の都合で決まっている基準です。
だから、規格から外れた椎茸が不味いわけではありません。
傘が割れていても、焼けばちゃんと出汁が出る。
むしろ大きすぎてパックに入らない椎茸のほうが、食べごたえがあったりします。
単なる見た目の違いだけなんです。
うちの規格外は、三つの道へ
レンチナスでは、規格外の椎茸はだいたい三つの行き先があります。
一つは、産直。
地元の直売所に並べると、見た目より値段と鮮度で選ぶお客さんがちゃんといて、手に取ってもらえます。
二つ目は、乾燥。
干し椎茸にしてしまえば、形の良し悪しはほとんど関係なくなる。
しかも干すことで旨みが増すので、生のときより価値が上がることもあります。
規格外という言葉の響きとは逆に、手間をかければ一段上の商品に変わる道でもある。
三つ目は、スライス加工。
切ってしまえば、割れも歪みも分かりません。料理に使う側からすると、むしろ手間が省けて便利だったりします。
伊勢社長が黑椎茸を作り始めたときの話を聞いたとき、こんなことを言っていました。
「ただ単純に、めっちゃ美味しいしいたけを作りたかった」
美味しさを追いかけて作った椎茸だからこそ、形が悪いだけで捨てるのは、やっぱりもったいない。
規格外をどう生かすかは、その延長にある話だと思っています。
見えていない部分
ただ、実際のところ、規格外がどの道にどれだけ流れているのか、きちんと数字で追えているわけではありません。
その日の収穫量や、産直の売れ行き、乾燥機の空き具合。
現場の判断で振り分けているのが今の実情です。
ベテランのスタッフは、カゴの中身を見ただけで「これは乾燥に回そう」と決められる。
その判断は正確なんですが、本人の頭の中にしかありません。
これは、たぶん多くの農家が同じだと思います。
正規品の出荷量は細かく管理していても、規格外は「なんとか売り切る」ものとして扱われがちです。
でも、ここを数字で見られるようになれば、どの加工にどれだけ回すと一番利益が残るのか、判断できるようになる。
パウダーや業務用の商品など、まだ試せていない行き先もあります。
たとえば、飲食店向けに形を問わない椎茸をまとめて卸す。
加工食品のメーカーに、スライスを原料として届ける。
考えられる道はいくつもあるのに、手が回っていないのが今の状態です。
形が悪いだけの椎茸を、ちゃんと値段のつく商品に変えていく。
それは、捨てるはずだった廃菌床をいちごの培地に変えようとしている今の挑戦と、根っこは同じ話です。
現場の感覚で回っている部分を、仕組みに変えていく。
そういう仕事を面白がれる人と、一緒にやれたらと思っています。