出張帰りの新幹線。
香港のバイヤーが日本の乾し椎茸を箱買いしていくという話を人づてに聞きました。
残念ながらレンチナスの椎茸ではありませんが、その話を聞いてから、乾し椎茸の輸出について改めて調べてみたくなりました。
以前、世界のきのこ生産量では中国が圧倒的で、日本は量では太刀打ちできないという話を書きましたが、今回調べていて見えてきたのはそれとは少し違う角度の話です。
日本特用林産振興会の報告書によると、林産物輸出額のうち、きのこ類を中心とした特用林産物が約4割を占めているそうです。
木材やその他の林産物より、きのこ類の輸出の方が実は存在感が大きいということになります。
ただし、その中身を見ていくと、単純に「伸びている」という話でもありません。
国内の乾し椎茸の生産量はここ数年減少していて、原木栽培から菌床栽培への移行も進んでいます。
乾燥という手間のかかる工程を選ぶ生産者自体が減っているということです。
生産者の戸数で見ても、2010年の38,180戸から2020年には25,700戸まで減っていて、10年で3割以上減少している。
面白いのはここからで、輸出先国では「冬菇」と呼ばれる肉厚な高級品種の品不足が顕著になっているそうです。
国内生産が細っていく一方で、海外からの評価と需要はむしろ落ち着いていない。
作れる人が減っているのに、欲しい人は減っていない状態です。
主な輸出先は香港や台湾を中心としたアジア圏で、農林水産物・食品全体で見ても、香港と台湾はそれぞれ日本からの輸出額で常に上位に入る地域。
贈答文化が根づいている土地柄もあって、高品質な乾物への評価はもともと高いと言われています。
うちはまだ輸出にほとんど手をつけていません。
国内向けの黑椎茸や量販店向けのパック商品で手一杯というのが実情。
海外の商談に出た経験は数回ほどあるのですが、現在はほとんどないというのが現状です。
乾燥にしても、以前の記事で書いた通り、冷水でじっくり戻すと旨みが増す繊細な工程があって、作る側にもそれなりの技術と時間が要ります。
量販店向けの生椎茸とは、そもそも仕事の組み立て方が違います。
輸出には検疫や植物防疫の証明書、輸送中の品質保持など、国内販売にはない手続きも山ほど。
CAコンテナのような特殊な輸送手段を使う生鮮品の例もあるくらいで、乾物であっても湿度や温度の管理は簡単ではないんですよね。
うちにはまだこのあたりのノウハウがまったくありません。
誰かがゼロから商流を作らないと、始めることすらできない話です。
でも、品不足という状況は、後発でも入り込む余地があるということでもあります。
すでに強い産地が独占している市場に割って入るより、担い手が減っている領域に技術を持って入る方が、勝ち筋としては現実的なのかもしれません。
国内で規模を競う戦い方とは、まったく違う頭の使い方が必要になる仕事だと思います。語学力より先に、検疫の仕組みやバイヤーとの信頼関係の作り方を一から学ぶ必要がありそうで、社内でこの話をすると、面白そうだという反応と、今それどころじゃないという反応が半々です笑
輸出の話は、まだ絵に描いた餅に近い段階ですがこの先のレンチナスが取り組むべき一つとしては間違いない。
検疫や商流の作り方も、これまた椎茸特有の障壁があるのですがそれについてはまた別の機会に。
まずは以前からも投稿し続けているように、椎茸→廃菌床→再生→いちご栽培へ向けた取り組みを変わらず続けていきます。
国内で椎茸を作り続けるだけでなく、この先を見据えて動ける人がいたら、一緒に考えてみたいと思っています。
まずはカジュアルな場からお話ししてみませんか。