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「この世界にセオリーはない」D2Cマーケティングで再認識した〝プロダクトに熱狂する価値〟

GREEN SPOONでは〝食のセルフケア文化〟をつくることを目標に、パーソナルスムージーの製造・販売を行っています。私たちがこだわり抜いた商品が、いかにユーザーに認知され、購入・体験までつながっているのか、今回はGreenspoonのマーケティング本部長である三原さんにお話をお伺いし、仕事の内容や醍醐味についてお聞きしました。

三原 壮太郎(みはら・そうたろう)
株式会社Greenspoon マーケティング本部長
2012年にサイバーエージェントへ新卒入社
2020年にGreenspoonへ参画しマーケティング領域の全般を担務

D2Cのマーケティングは可能性に満ち溢れている

◆デジタル活用は大前提。でも突破するのはセオリーと真逆の施策かもしれない

GREEN SPOONでは、web広告からオフラインのポップアップストアでの販売まで様々な施策を行ってきた三原さん。これまでのクライアントワークの働き方から事業側へ移る中で、何か意識していることや気付きなどはありますか?

「結論からいうと、“モノ”を売ることにセオリーはないということが、一番の気付きです。実際に他社のスムージーと「GREEN SPOON」のスムージーの売り方の戦略は、全く異なります。
オセロで例えるなら、角を押さえればOKというような定石はないし、一般的に信じられていることでも、実態は異なるという発見が多いです。特にweb広告は、施策が購入に繋がったかどうかが可視化される世界のため、合理的な判断のもと意思決定がなされていきます。
それゆえに施策や手法は、ある程度パターン化されていくのですが、実はそこにマーケターが思考停止に陥るワナがあり、気を付ける必要があると感じています。GREEN SPOONのような、思想や新しいライフスタイルを標榜しているブランドにとっては、価値の体験こそが最重要であり、販売効率だけで見ると非効率に見えるような施策(例えば対面のセールスなど)を行うことも、LTVの観点では、費用対効率が良かったりもします。
そしてそういった潜在顧客ほど、web広告ではメッセージが届きにくく、購入まで引き上げることが困難だったりします。いかに購入数を規模化できるかは大前提で意識しながらも、ユーザーから愛され、LTVが高まるような購入体験をつくることには気を遣うようにしています。」

「もちろん前職のサイバーエージェントにいた頃から、デジタルマーケティングのポテンシャルは物凄く感じています。純粋に購入件数だけ見ると現在のGREEN SPOONの主戦場はデジタルにあると言っても過言ではないでしょう。そんな中で、特に気を付けたいのは『ユーザーはどういう状態なのか』『ブランドへの理解度や熱量の高い状態で購入をしてもらえたのか』などの感情の部分です。僕たちがブランドや商品に込めている想いや思想をいかに高解像度で伝えられるか、という点はこれからのD2Cブランドの生命線だと考えています。一方で、こうした感情論は答え合わせがしにくいため、売上至上や効率化の世界では、思考から抜け落ちやすい部分です。セオリーや効率化の先にある業界の常識のようなものに対して疑いを持つこと、そこにブランドマーケティングで突破するヒントがあるとGreenspoonに入ってからは良く考えるようになりました。」

◆人は感情でモノを買う

大学卒業後、広告・マーケティングの世界でキャリアを重ねてきた三原さんは、若手時代から業界のトップマーケターと呼ばれるような方たちと共に仕事をする中で、ぼんやりと感じていたことが最近改めて腹落ちできるようになったと話します。当時のことから振り返ってもらいました。

「新卒時の頃からお話をすると元々は媒体営業からキャリアをスタートしました。そこで広告主の課題に耳を傾け、提案を重ねていく中で、より上位概念の戦略立案の工程に興味を持つようになり、広告主のマーケティング活動における広告戦略立案を担うチームへ異動を希望するようになりました。成果が出ていたタイミングで、社内から信頼の厚い上司の後押しもあったため、実力不足ながら憧れのチームに異動をすることができました。
異動初期は、目標の先輩マーケターたちの思考の流れや、ロジックの立て方、フレームワークをしつこく聞いては頭に叩き込み、反復作業を行いながら、提案の機会がある度に、手を上げ自分の考えを当てにいくという、とにかく打席に立つ回数を増やす日々でした。MBAにも興味を持ち、仕事終わりに経営大学院に通ったりもしていましたね。そうしてキャリアを重ねるうちに『結局マーケティングは感情だよ』なんて言うことをよく耳にするようになります。」

「当時、徹底的に準備したコンペ提案では本当にどこの競合代理店にも負けていなかったと思います。ただ、やられたなと感じるシーンはあって、それは決まって広告主の感情を握られたな、という提案をされた時でした。この辺は言語化が難しいのですが、提案する側の〝熱量〟が物凄く高かったりすると、多少ロジックが詰まっていなくても人のココロは動く、そんな現場を目の当たりにしてきました。人は結局、感情で意思決定を行うんだと強烈に意識するようになったのもこの頃です。これはtoCのビジネス領域も同じで、売り手の想いの強さはユーザーの心を動かします。モノを買うとは、理屈を超えて感情で最後は決めるのだなと。冷静に状況を分析する力は当然大事なのですが、まず最初に自分自身が商品に熱狂している状態をつくる、この重要性とそれを再現し続けることの難しさに直面した代理店時代でした。」

本気で価値を信じているモノをマーケティングする

◆心から熱狂したプロダクトに出会った

代理店で忙しい毎日を送っていた三原さんですが、転職のきっかけは、GREEN SPOONを注文したことから始まったのだといいます。

「僕にとってGREEN SPOONとの出会いは衝撃でした。サイバーエージェントで同期だった田邊の立ち上げた〝パーソナルスムージー〟をリリースしてすぐに注文したのですが、届いてからの体験やカップを開けたときのワクワク感、そしてブランドが掲げる理想に触れた瞬間に、一人のユーザーとして純粋にGREEN SPOONに熱狂していたんです。」

「GREEN SPOONが掲げる〝自分を大切にすること=自己肯定感〟については多忙な日々を送っていた自分にとっても思い当たることの多いテーマでした。『自分を認めて、好きになることは、幸せの出発点なんじゃないかな』と当時からよく考えていたところに、そんな世界観を食で実現しようとするサービスの誕生を知って心から熱狂しました。Greenspoonには、以前からメンバーとして誘ってもらっていたのですが、熱量が湧き上がってくるプロダクトに出会えたこと、そしてそれを作り上げた創業メンバーたちと働きたいとという思いから参加することを決めました。」

◆D2Cブランドにとってのオフライン

三原さんはGreenspoonへ入社後、デジタルを中心とした広告展開を担務しながら、8月には新宿伊勢丹でのポップアップイベントのディレクションも行っていました。デジタルでも十分に獲得件数が取れている中、D2Cブランドにとってリアルの場というのはどんな価値を持つのでしょうか?

「そうですね、大きく2つあったかなと思います。1つは普段ユーザーと接触する機会がないため、実店舗に立ってみることで初めて得られる情報がたくさんあったことです。例えば、購入に至るときの具体的な動機や表情・リアクション、また、購入に至らなかったお客様が何を考えていたのか、など数値だけでは見えない思考のプロセスに直接立ち会うことができたことは大きな収穫だったと思います。D2Cブランドとして、コアなファンを獲得していくためにも、こうしたリアルでの施策は定期的に行いたいなと思いますね。」

「また2つ目は、サービスを認知しているユーザーに対して、ブランドのメッセージを正しく伝え直して納得をしてもらう場所としての価値があったのでは?と考えています。これは当初想定していなかったことなのですが、イベントがいざ始まってみると、SNSなどを通じてGREEN SPOONを知っている状態(購入までは至っていない)の人が多く来客していました。そして、GREEN SPOONをなんとなくのイメージとして捉えていた人が、私たちの掲げるセルフケアの概念やパーソナルスムージーがいかにして誕生したのかなどを知ってもらい、ブランドを改めて解釈し直す場所として機能していたように思います。」

「現場には管理栄養士が常駐し、個々の体質や生活習慣から最適な野菜やフルーツをその場で提案する形でパーソナルスムージーの販売を行っていました。普段は広告クリエイティブによって半ば衝動的に購入したお客さんも少なくないと思うのですが、こうした実店舗でのコミュニケーションを通じ、サービス理解が進んだ状態で商品を使ってもらったか否かは、ユーザーのブランド体験やその後の行動に大きな違いが生じていくかもしれないと考えてます。データとしてはこれから計測していくところですが、ブランド認知が進んだユーザーのLTVやSNSでの発信はよりポジティブなものになっているのでは予想できます。こうしたサービス理解度や購入体験の設計は、デジタル上だけではなかなか留意されにくいですが、D2Cブランドのマーケティングでは欠かせないポイントだと考えています。」

Greenspoonで働くということ

◆D2Cのマーケターに向いている人とは?

「とにかく常識に囚われないことだと思います!もっと言うなら今まで身につけてきたセオリーや勝ちパターンを状況次第で〝アンラーニング〟できるような柔軟な発想力を持っていることが大事なのでは、と。価値の本質を突き詰めていくと希少性に向かっていくと思うのですが、だからこそマーケティングや事業開発において〝絶対〟はありません。時には直感を信じて行動ができたり、(戦略も大事ですが)大きな構想や物語を描くことができたりする人と一緒に働きたいなと思っています。」

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