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教えて吉田先生!これからの健康経営を考える!17.新しいテクノロジー

全20回シリーズでお伝えしています「教えて吉田先生!これからの健康経営を考える」。前回は「エビデンスに基づく健康施策とは?」でした。今回は「新しいテクノロジー」をお送りします。

インタビューは2020年4月6日に都内にて行われました。

―――注目している新しいテクノロジーにはどんなものがありますか?

はい、第15回でも触れましたが、カジュアルなカウンセリングやコーチングの初期対応をおこなうチャットボットには非常に期待しています。国内の事例には触れましたので今回は米国との比較を。

もともと特に米国では、日本に比べてカウンセリングのマーケットが大きい、具体的には、利用者も多ければ1セッションあたりの単価もずっと高い状況です。ですのでチャットボットがそのマーケットを狙うのは自然な流れで、かつ英語の方が自然言語処理の技術蓄積もあるとされ、投資家からの資金調達もずいぶん進んでいるようです。

翻って日本の場合、確かにこれまでは心理的・経済的な敷居が高かったカウンセリングやコーチングも、初期対応をチャットボットが担うことで徐々に浸透していくのではないかと見ています。

ロボットが話し相手になる、というのは日本のアニメでは定番ですし、相手が生身の人間ではなく、悩み相談や認知行動療法に特化したプログラムである方が、深い悩みを打ち明けてもその後の対人関係、もとい対ロボ関係には影響しませんので(笑)。あとはUI/UXのブレークスルーがあれば、この分野は一気に進むのではないでしょうか。

―――ウェアラブルはどうでしょう?

特に意識せずとも自分の心拍や運動量、そしておそらく今後は業務集中度などが計測できるウェアラブルデバイスには非常に期待しています。例えば日本のメガネメーカーのJINSは、まさにメガネそのものをウェアラブルデバイスとして活用する可能性を探っていますし、靴の底にIoTデバイスを組み込むようなアイデアや、肌着へのセンサー装着、など様々な形がありますが、今のところはなんと言っても、メール受信や電話での会話までこなせる、腕時計型のウェアラブルが先行しています。

自分でも5年ほど前にFitbitを買って試してみたのですが、当時は電池の持ちも良くなく、今ほど多機能ではなかったので数ヶ月で飽きて装着しなくなってしまいました。その後しばらくは普通の腕時計を使っていたものの、Apple Watch4が発売されてからは再びウェアラブルへの期待が高まり、購入して、以後は1日23時間ほど、充電時間以外はほぼずっとApple Watchをつけて生活しています。

対するFitbitは、Googleの親会社であるアルファベットに21億ドルでの買収が報道されましたが、あまりに巨大なマーケットを寡占する可能性があるため、アメリカでもヨーロッパでも独占禁止法に抵触しないかどうか、審査されているようですね。

期待と警戒の入り混じった対応がなされている、と言うことだと思いますが、Appleとは公正な競争があり、ユーザーにとって価値ある商品となりそうなら、私ももう一度Fitbit派に戻るかも知れません。あ、でもそのときはスマホもアンドロイドに戻さなくては(笑)。

―――最後に1つ挙げるとしたら?

私たちは病院に行くと、医者が処方箋を書いてくれて、その用紙を薬局に持参して薬を処方してもらう、というサイクルにすっかり慣れていますが、これからは診察室で「このアプリをダウンロードしてください」と指示されたり、「次の診察までにこのゲームの第1章をクリアしておいてね」とロールプレイングゲームアプリのダウンロードを促される日がやってくるでしょう。

各国で、治療用アプリが医薬品や医療機器として認可されることが相次いでいます。日本でも禁煙アプリの認可は知られていますが、そのうち認知行動療法アプリや、発達障害患者さんを支援するようなゲームアプリ、大人用には職場人間関係や対人関係のシミュレーションを行うようなアプリが出てくるのではないでしょうか。

おそらくほんの数年後には、治療用アプリへのログイン頻度や、処方されたゲームの進捗履歴が電子カルテに自動で共有されて診察場面に活用され、診察室外では、患者さん同士のバーチャルな交流や、ゲーミフィケーションの要素を取り込んだ新しい治療スキルが発展しているものと思われます。

これまでとは全く異なる、斬新な発想から生まれた治療スキルで、私たちの生活が改善されていくのかと思うと、この分野の発展をウォッチしていくのも非常に楽しみであります。

(聞き手:株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介)

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