健康日本21
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全20回シリーズでお伝えしています「教えて吉田先生!これからの健康経営を考える」。前回は「健康投資はもうかるの?」でした。今回は「厚生労働省の取組みについて教えてください」をお送りします。
インタビューは2020年4月6日に都内にて行われました。
―――健康経営に関する厚生労働省の取り組みを教えてください。
2015年から選定が始まった「健康経営銘柄」や、現在ガイドライン策定中の「健康投資」は主に経済産業省の管轄ですが、当然ながら厚生労働省ではそれよりはるか前の約20年前から、急速な高齢化や疾病構造の変化に対応した健康施策が求めらる、として様々な施策を打ってきました。
本日お話しする「データヘルス」の概念は保険団体だけでなく企業側の注目も集めやすかったため、のちに経済産業省主導で健康経営の概念が普及する際の下地となり、さらに現在の「コラボヘルス」政策へと繋げやすくなった、と考えると良いのではないでしょうか。
今では経済産業省と厚生労働省の間での人事交流も行われつつありますので、今後、更に両省のコラボレーションが推進されていくと思われます。
健康日本21
21世紀を見据え、国民の健康維持・増進の重要性が高まる中、厚生労働省の主導で「健康日本21」の策定(2000年)や健康増進法の施行(2002年)、特定健診・特定保健指導の導入(2008年)、「健康日本21(第二次)」(2013年)のスタートなど、国民の一人ひとりの健康づくりを視点に据えた、様々な取組みが段階的に進められていました。
日本再興戦略とデータヘルス計画
第2次安倍内閣において、2013年6月に閣議決定された成長戦略「日本再興戦略」では、国内約1400の、全ての健康保険組合に対してレセプト(診療報酬明細書)や健診データの分析に基づくデータヘルス計画の作成・公表、事業実施、評価などの取組みが求められました。
さらに上記方針を踏まえ、厚生労働省は2014年3月に保健事業の実施指針を改正し、また2015年度からは、第1期データヘルス計画が始まり、各保険者が実際にPDCAサイクルを回しながら保健事業を実施してきました。
データヘルス計画とは、健康保険組合等が保有するレセプトや特定健診・特定保健指導など、加入者の健康データを活用・分析し、個々の状況に応じた保健指導や効果的な予防・健康づくりを通じて疾病予防、重症化予防につなげるものです。
これら厚生労働省の政策と歩調を合わせるように、経済産業省は2014年4月に企業の「健康経営ガイドブック」を公表しています(第11回コラムへ)。
また、2018年度からは第2期データヘルス計画が始まっています。「データヘルス・ポータルサイト」を活用した計画の作成など、第1期からの変更点があり、これらを反映した「データヘルス計画 作成の手引き(改訂版)」も公表されています。
健康保険組合と企業の一体取組が「コラボヘルス」
厚生労働省は「データヘルス」の取組みを、2015 年度当初から、経済産業省が推進する「健康経営」と、省庁の垣根を越えて"車の両輪" として推進してきました。
2016年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2016(骨太方針2016)」において「企業による健康経営の取組とデータヘルスとの更なる連携を図る」ことが推進されていたように、健康保険組合等が実施する「データヘルス」と、企業が取り組む「健康経営」は、当初から健康保険組合等と企業が一体で取り組むこと(コラボヘルス)が重要視されていたのです。
健康経営の実効性を高め、積極的な健康経営とウェルネス投資®※ を推進していくためには、企業と健康保険組合など保険者が連携し、データヘルスと一体的に推進することが重要で、相乗効果が期待されるところです。
※「ウェルネス投資®」は株式会社フェアワーク・ソリューションズの登録商標です
(聞き手:株式会社スーツ 代表取締役 小松 裕介)