「短期的に売上をハックする事業より、中長期で価値が積み上がる事業をやりたい」
いきなりですが、これが今の僕の事業観の根っこにあるものです。
もちろん、ビジネスにおいてスピードは命。世の中には、短期的に数字を立てる「売上ハック」的なやり方がたくさんあります。でも、短期間で成長した事業はそのままだとたいてい長くは続きません。すぐに追いつかれて、気づけば価格や物量の消耗戦になっていくんですよね。
一方で、時間をかけないと積み上がらない価値があります。ブランドのコンセプト、作り手の思想やストーリー、そしてそこに宿る情緒的な価値とナラティブ。「誰が、どういう思いで、どんな物語を背負ってそれを作ったか」は、簡単には模倣できません。だからこそ、時間が経つほど複利的に効いてきます。
僕は、時代の流れとして、これからの事業はますます後者——長期で価値をつくる側に寄せていくべきだと思っています。
そして、AIの進化は、この流れをさらに後押しすると見ています。短期のハックで作った差は、これからますます早く埋められていきます。だからこそ、人の思想や物語に根ざした、模倣されない価値の重みが、これから増していくと思うんです。
僕たちV inc.は、まさにそこに事業の軸を置いています。
ちょうど先日、Mehlography Lab.というブランドをローンチし、ローンチPOP UPを開催しました。(メログラフィーラボ、メロラボって呼んでください。)
ディレクターやチームが一丸となり、思いを持って作ったブランドです。
お越しいただいた皆様に改めて感謝申し上げます
今日は、僕たちがどういう設計思想でブランド事業を作っているのか、そして、その仕事を一緒にやりたいと思える人がどんな人なのかを、シェアさせてください。
同じような思いの人のヒントになれば幸いです。
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■「ディレクターブランド」——インフルエンサーブランドへの違和感と僕の答え
僕たちの中核はブランド事業ですが、直近ローンチしたMehlography Lab.というブランドは、少し成り立ちが特殊です。
正直に言うと、これは事業計画から逆算して生まれたブランドではありません。きっかけは、ブランドディレクターであるRinmaとの出会いからブランドの着想が始まりました。
彼女が手掛けた、ブランドのコンセプトを視覚化したアートポスターは、是非手にとって実物を見ていただきたい。彼女の世界観や表現は言わずもがな素晴らしいものがありました。
また、これからの生き方やありたい姿などを話していくうちに、その思想やアイデアを形にすることをしたほうが、人生がより豊かになるのではという話から、共にブランドを生み出すこととなりました。
まだまだローンチしたばかりですが、このブランドの世界観が世の中に広がるための縁の下の力持ちであり続けられるように尽力したいと思っています。
僕たちがブランド事業をつくる上で、大事にしていることがあります。
世の中によくある「インフルエンサービジネス」とは、明確に違うものを作る、
ということです。
インフルエンサーがただフォロワーやファンに向けて商品をPRする。いわゆるインフルエンサーマーケティングとほぼ同じで、開始して1年してフォロワーが飽きたらクローズするようなものとは、根本から決別したかったんです。そこで行き着いたのが、「ディレクターブランド」という考え方です。
よく勘違いされることが多いのですが、似て非なるもの
情熱や世界観だけでは事業は続きませんし、戦略や構造だけでは誰の心も動きません。クリエイターの情熱とビジネスの構造を1つのモデルとして組み合わせた設計が求められます。
もちろんこれは難易度が高く、バックグラウンドの異なる様々な能力を持った人材でチームが組まれる必要があります。そんな右脳と左脳の両輪を司るチームづくりに、僕たちは一番こだわっています。
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■ 過去の失敗経験を学びとして
「なぜそこまでインフルエンサービジネスと明確に線を引くのか」と思う方もいると思います。ポジショントークに聞こえるかも知れません。しかし実は、僕自身が過去の失敗から学んだことなんです。
昨年、1つブランドを作って、結果としてうまくいかなかった苦い経験があります。当時はインフルエンサーの方に入ってもらう座組みだったのですが、期待役割と責任が明確になりきらず、立ち上がってしまいました。
一言で言うと「ブランドディレクターとして事業を一緒につくる(=製品開発から始まり、ブランドクリエイティブ、EC/SNSのお客様へ触れるタッチポイントの表現責任とディレクション」のではなく、「インフルエンサーとしてPRしてもらう」だけの希薄な関わり方になってしまいました。
こうなってしまうと、熱量のこもったプロダクトが創れないし、ブランドの哲学がお客さまに伝わりきらない。
クリエイターにとっては、ブランドづくりにリソースをかけるより、PR案件をこなし続ける方が短期的には稼げてしまう。ブランド創りとは、泥臭いことの積み上げで成り立つものであるので、ただあるものをPRすることとは異なるスキルや熱量が必要となります。
ブランド事業は積み上げることが大事ですし、単利ではなく複利的に物事を考えることが大切です。だからこそ、Mehlography Lab.では、Rinmaに商品づくりやその見せ方、POP UP会場のレイアウトづくりまで、すべてを一貫して監修してもらう体制にしました。
Rinmaが手掛けたPOP UP会場は来場したお客様から大反響でした
彼女が「これは自分のブランドだ」と、心から言える状態を作る。単なる広告塔や1PR案件ではなく、役割と責任を明確にして、クリエイティブから物作りまでを一気通貫で行う。ブランドディレクターがクリエイティブに集中できる環境をチームが全力で作る。
過去の失敗から学んだからこそ、今回の反響が作れたと考えています。
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■ 感性と論理のあいだ——いちばん難しく、いちばん価値がある仕事
では、僕たちがどんなディレクターと手を組みたいと思うか。
重視しているのは、フォロワー数ではありません。
数より、どれだけ深く繋がっているか、(特定のコミュニティを持っているか、そのコミュニティに熱はあるか)また、ものづくりに対してこだわり、情熱を注げられるか。クリエイターのポリシーとして、なんでもかんでもPR案件を受ける人ではなく、「自分の世界観を大切に仕事を選べる人」であるか。
そして定性的ではありますが、インフルエンサー以上に世界観をクリエイトしているかどうか。
要するにデザインや感性を「ブランド」という形にまで翻訳できる人かどうかを見ているんです。
ただ、ここからが難しいポイントです。
感性が大切なクリエイターと、売上を立てなければいけないビジネス側を、どううまくバランスを取るか。クリエイターは、右脳力の高さがゆえに、感性で動く部分があります。時には、左脳だけを鍛えてきた優秀なビジネスパーソンは理解に苦しむことも多々あるでしょう。
でも僕は、クリエイターのそれを「直すべきもの」だとは全く思っていません。むしろ、その感性こそが価値の源泉だから、心からリスペクトするべきだと考えています。
一方で、事業として売上を立てなければ、そのブランドは続きません。続かないブランドに、世界観もクリエイティビティも何もないわけです。だから、クリエイターの感性を尊重しながら、事業としての合理的な判断をどう融合させるか。
このバランス感覚こそが、僕たちの仕事のいちばん難しいところであり、いちばん価値のあるところだと思っています。
この「バランス」について、友人でもありビジネスパートナーでもある、デザイナーのHARUNOBU MURATAとよくする会話があります。
イタリアでのデザイナー経験、また、JIL SANDERのwomen’sデザインチームでの経験を持っている彼。右脳と左脳のバランスが、僕は3:7、HARUNOBUは7:3くらい。足すとバランスが取れるから相性がいいんだろうね。
クリエイティブな能力——いわゆる右脳と、ビジネスのスキル——左脳。このバランスは、人によって本当に違います。大事なのは、お互いがお互いをリスペクトしながら、その比率を補完し合える関係を作ることだと思います。
組織として環境を作るというのは、この「右脳と左脳の比率を、チームとして柔軟に調整していくこと」なんだと思います。一人で完璧なバランスを持っている人なんて、ほぼいません。だからこそ、補完し合えるパートナーシップを設計することが、僕たちの仕事の鍵になります。
そして、なぜそんな難しいことをやるのか。
唯一無二のアイデアや表現力を持っている人が、資本主義の社会の中でちゃんと活きる形を設計する。これが僕たちの役割だと思っているからです。
世の中には、ものづくりへの深い熱量を持っているのに、ビジネスのスキルがないせいで埋もれてしまう才能が、本当にたくさんいます。すごいものを作れるのに、それを事業として成立させる方法を知らないから、世に出ないまま消えていく。
これって、社会にとって、ものすごくもったいないこと。
その才能を支援して、サステナブルな事業として成立させる。そうすれば、社会に対して大きなインパクトを与えられる。
だから僕たちV inc.は、単なるブランド経営会社ではなく
「才能を、事業に翻訳する会社」
なんだと思っています。
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■ 世界のトップLVMHも希少な「物語」を囲い込んでいる
ここまでの話は、実は冒頭の事業観と地続きです。これから10年、20年を見据えたとき、短期的なハックで作った優位性は、ますます早く消耗していきます。逆に、長く積み上がっていくのは、思想に根ざした情緒的価値とナラティブです。
この見立ては、僕の希望的観測ではありません。グローバルのリーディングカンパニーが、すでに同じ方向に動いているからです。
たとえば、LVMH系の投資ファンドが、岡山県のデニム生地メーカーのクロキとパートナーシップを締結したという話がありました。
岡山のデニムは、いわずとしれた最高峰の職人技術の1つ。世界のトッププレイヤーが「日本の専門性の高いものづくりのアセット」を、今まさに囲い込みに来ています。
さらに日本のアーティストがクロキとともに作品制作をする座組をつくるなど、技術だけでなくナラティブづくりにも長けています。
メディアアーティストの米澤柊さんとの取り組み
彼らは「機能」や「技術」ではなく「物語」と「文脈」を欲しているのです。この動きが、2026年以降の時代では、完主流になっていくと僕は見ています。だからこそ、僕たちは個々のディレクターの思想に基づいた、ナラティブなストーリー設計を事業の軸に置いています。
短期で消耗する優位性ではなく、長期で積み上がる、模倣されない価値を作る。これが、これからの時代を見据えた僕たちの結論です。
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■最後に:裏側の泥臭さまで背負える人と一緒にブランドをつくりたい
僕たちは、粘り強くこのような積み上がる事業を一緒に作っていく仲間を探しています。
求める人物像は、かなりはっきりしています。
業界に対して、表面的な憧れだけを持っている人は、正直なところあまり評価していません。
「ブランドってかっこいい」「クリエイティブな仕事って素敵」
——その憧れだけで来てしまう人とは、たぶん長く一緒には走れないと思っています。
僕たちが一緒に働きたいと思うのは、事業の裏側にある地道な作業、なんなら泥臭くて"臭い"作業まで含めて想像して、それでも自分の生き方とこの事業をブリッジできる人です。
僕自身もまさにそんな働き方をしていると思います。華やかな表側だけでなく、裏側の現実をちゃんと引き受けられるかどうか。
模倣されない事業を作りたい。誰かの唯一無二の才能を、ちゃんと世の中に届く形に翻訳したい。
そういう想いを持っている人と、僕たちは一緒に働きたいと思っています。
・圧倒的に成長したい。
・普通では出会えない人や仕事に触れたい。
・全体を見渡す視点を身につけたい。
・ブランド、事業を創りたい。
もしそんな想いがあるなら、今のV inc.は最高の環境になるでしょう。
そして2〜3年後、あなたには今想像している以上の景色が見えているはずです。
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この記事は、V inc.のnoteから転載しています。
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