「人材紹介会社」と聞くと、求職者と企業をつなぐビジネスを思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、キッカケクリエイションが目指しているのは、その先にある「HR系事業会社」です。
スカウトの乱発やCPAの高騰により、競争が激化しているIT人材市場。数多くの人材紹介会社が存在するなかで、当社は事業開始4年でIT専業系エージェントとして国内上位クラスへと成長しました。メディア運営、1億円以上を投じた内製システムの開発、さらには公共領域(GovTech)への展開まで見据え、事業同士が相互に価値を生み出す「Media Driven × Tech Enabled」のビジネスモデルを展開しています。
従業員数100名規模となった今、私たちは「人材紹介会社」の枠を超え、採用の仕組みそのものをアップデートするHRプラットフォームへと進化を続けています。本記事では、その事業構造と成長戦略、そして私たちが目指す未来についてご紹介します。
IT業界の構造課題と、HRコンサルティング事業の全体像
まずは、日本経済にも影響を及ぼすIT人材市場の大きな構造課題と、それに対してキッカケクリエイションがどのような戦略をもって市場を変革しようとしているのか、その全体像をお伝えします。
▍背景にあるIT業界の構造課題
現在、日本のIT市場は国の成長を左右する深刻な課題に直面しています。一つは「IT人材不足」です。経済産業省が2019年に公表した調査によると、デジタル投資の加速に伴い、2030年には最大約79万人規模の不足に達すると試算されています。(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」)
もう一つは、1次請けから何段階もの下請けへと業務が流れていくなかで、エンジニアの適正評価や成長を阻む「多重下請け構造」です。
「もっとデジタル化が身近になり、エンジニアが正当に評価される世の中にしなければ、日本の未来はない」という課題意識が、すべての出発点となっています。
▍メディアとテクノロジーを掛け合わせた事業スキーム
では、この日本の未来を脅かす課題にどう立ち向かうのか。その答えが、当社の「HRコンサルティング事業」です。これは、単なる「人手不足の穴埋め」ではなく、データと仕組みによって企業の採用力そのものを変革する次世代のHRソリューションです。
中核となる人材紹介サービス(キッカケエージェント)から得られる収益と、日々の運用で蓄積されるデータを「再投資原資」と定義。これらを企業向けプロダクト(KIKKAKE Talent OS)の展開や、自社内製テクノロジーの開発へと循環させる、独自の仕組みを確立しています。
『キッカケエージェント』── 4年で国内上位クラスへ、大手企業に選ばれる理由と組織体制
それでは、当社の基盤事業である「キッカケエージェント」に焦点を当て、一般的なエージェントとの違いや、それを支える組織体制について解説します。
▍事業の概要:DX人材特化型の転職エージェント
キッカケエージェントは、IT業界の課題解決を目指すエンジニア特化の人材紹介サービスです。事業スタートから4年で、IT専業系エージェントとして国内上位クラスへ到達し、契約社数は1,000社を突破。年間100名以上を採用する大手企業が取引先の約80%を占めています。
▍属人性を抑え、質を担保する仕組み
組織として一貫した質を維持するために、当社ではテクノロジー・組織設計・教育の3つの軸から徹底した仕組み化を行っています。
【内製システム「KIKKAKE Revops」の活用】
十数名の内製エンジニアを抱え、業務基盤となる顧客管理システムをゼロから開発。データの網羅性と自動化を進めることで、個人の勘に頼らない科学的なアプローチを再現しています。
【「The Model」に基づく完全分業制】
マーケティング、CS、RA、CA、アシスタントの役割を明確に分業化。日程調整や応募対応、CSチームによる履歴書作成といったノンコア業務はシステムと専任アシスタントがカバーするため、コンサルタントが求職者や企業との対話に集中できる環境を整えています。
【面談動画のデータ化と教育基盤】
在籍メンバーの90%が人材紹介未経験ですが、副社長の毛呂による勉強会や1万本以上の商談録画データを資産化し、内製システムと組み合わせて活用することで高い質を維持しています。個人の属人的なスキルではなく、組織の設計力で成果を生み出しています。
▍生産性と労働環境の定量実績
仕組み化の徹底とテクノロジーへの投資は、以下のような実績として現れています。
【生産性の向上】
「書類通過後の一次面接設定率90%」に加え「上場人材会社の平均の約1.5倍の一人あたり生産性」という成果を得られており、質の高い選考プロセスを実現しています。
【労働環境の効率化】
事務作業の自動化やAI活用により、長時間労働になりがちな人材業界のなかで、「平均残業時間:約33時間」の働き方を実証しています(フロント部門は38時間前後)。
『KIKKAKE TALENT OS』── 採用力を引き上げるBtoB向けプロダクト
本セクションでは、自社で培った潜在層へのアプローチノウハウをBtoB向けにパッケージ化したプロダクト「KIKKAKE TALENT OS」の概要と、それを支える3つのコア機能、そして持続性の高いビジネスモデルについてお伝えします。
▍プロダクトの概要
企業の採用活動を「認知」から「ファン化」まで一気通貫で支援するために開発したのが、BtoB向けの統合プラットフォーム「KIKKAKE TALENT OS」です。
既存の採用活動は、市場の約1割とされる「顕在層」を巡り、外部媒体で競合と競い合う形になりがちです。一方、本プロダクトは既存の枠組みに依存せず、残り9割の「転職潜在層」へアプローチし、中長期的な関係性を築く役割として機能します。
▍採用を最適化する「3つのコア機能」
①【Media:認知獲得】
登録者3.4万人超の自社YouTube「IT菩薩モロー」などの発信力を活用し、一般的な求人媒体だけではリーチが難しい層との認知を創出。インハウスを中心とした30種類以上のデジタルマーケティング施策を行っています。
IT菩薩モロー【ITエンジニア転職・キャリア発信系YouTuber】
② 【Technology:関係性構築】
開発費1億円の自社内製システムと連動させ、LINEや専用ポータルサイトを通じて、候補者の興味に合わせたキャリアノウハウやトレンドを継続的に提供。データに基づきながらも、人の温度感を残した関係性を築きます。
③【Content:現場のリアルを伝えるコンテンツ】
求人票の文字情報だけでは伝わりにくい、企業の技術的な挑戦や現場の熱量を第三者視点の動画やインタビュー記事として可視化し、エンジニアの関心を高めます。
▍データ分析を絡めた、持続性の高い収益構造
採用プロセスの改善まで踏み込める点が本プロダクトの価値です。選考の過程で発生した候補者の「選考辞退理由」を情報として蓄積・分析し、採用フローのどこを修正すべきかを提案するコンサルティングまでを包括して実施します。
すでに伊藤忠テクノソリューションズ社や東京エレクトロンデバイス社をはじめとする大手企業にも複数導入されており、短期的なマッチングで終わらせず、候補者との中長期的な関係構築を前提とした新しい採用のあり方を提供している点が特徴です。
収益面では、月額数十万円〜の「Talent OS利用料(SaaS)」を基盤としながら、マッチング成立時に紹介手数料が発生するハイブリッドな構造となっています。

伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)金融事業グループが、キッカケクリエイションと協業し「採用活動のエンタメ化」へ挑戦
『KIKKAKE Talent OS for Gov』── 民間のノウハウを公共セクターへ応用し、官民の人材流動化を促すDX採用支援
前述の採用の仕組みを公的機関へ展開していくのが「KIKKAKE Talent OS for Gov事業」です。その概要や社会的意義、そして参入障壁をビジネス上の優位性に変える戦略的背景について紹介します。
▍事業の概要
民間市場で実証してきた「データの可視化」と「中長期的なナーチャリング(候補者育成)」の観点を、政府や公共セクター(中央省庁・自治体など)向けに応用・展開するDX人材採用支援システムです。 サイバーセキュリティ領域をはじめとして「官民の人材流動化」を促すインフラの構築を目指しています。
▍当事業の意義について
この事業を推進する背景には、国全体の課題解決を目指す社会的側面と、競争優位性を確立する戦略的側面の2つの意義があります。
【社会的意義】
行政組織のデジタル化は内部リソースだけでは対応が難しく、民間とのスピード感の差が課題です。当社のメディアやシステムを活用して官民の人材流動化を促すことで、国全体のIT基盤を底上げすることにつながります。
【戦略的意義】
公共セクターは情報開示ルールが厳格であり、民間の人材会社が参入するハードルが極めて高い領域です。しかし、この厳しいハードルをクリアすること自体が、競合他社が追随できない参入障壁を市場に築けるというビジネス上のメリットに直結します。
▍公的機関での導入実績と戦略顧問の参画
全国省庁統一資格を取得し、政府の入札案件に参加。すでに公的金融機関等でのエンジニア採用支援が決定しており、今後は各種行政機関への展開を視野に入れています。
事業推進にあたっては、石川 和男 氏(政策統括顧問 / 元内閣官房企画官)、棚瀬 誠 氏(サイバーセキュリティ特別顧問 / 元警察庁サイバー警察局サイバー捜査課長)といった、行政の中枢を歩んできたエキスパートが戦略顧問として参画しています。
【対談】「人材紹介会社」の枠を超え、国家のインフラへ──元内閣官房企画官とZ世代社員が語る、公共DXのリアルと官民人材流動化の未来 | 株式会社キッカケクリエイション
【対談】IT技術を「国を支える力」に変える──元警察庁サイバー捜査課長と若手社員が語る、国家スケールで勝負する醍醐味 | 株式会社キッカケクリエイション
事業を足元から下支えする、メディア・システム・組織設計
ここからは、これまでご紹介した各事業の成長を支える、独自のメディアや内製システム、そして組織体制についてご紹介します。
▍『KIKKAKE ITREND』転職潜在層向けライフスタイルメディア
20代〜40代のITエンジニアを対象に運営されているライフスタイルWebメディアです。技術、働き方、健康などエンジニアの生活全般をサポートする多角的なコンテンツと、ユーザーのエンゲージメントを高めるポイントシステムを掛け合わせている点が特徴です。
1億件超のデータベースを活用した連携体制により、転職市場に現れる前の段階からユーザーへの認知を広げ、独自のつながりを築いています。

ITエンジニアのためのライフスタイルメディア KIKKAKE ITREND
▍『KIKKAKE Revops』自社開発の分析基盤
1億円以上を投じて自社開発したCRM・分析システムであり、当社の業務効率化とデータ蓄積を支える基盤となっています。
求人確認、書類作成、日程調整、KPI分析をシステム上で一元管理し、煩雑な作業や分析をスムーズに行い、誰もが同じ精度で動ける仕組みを整備。「平均残業時間30時間強」の働き方を実現するとともに、蓄積された選考データから企業の採用課題に対する改善提案を行っています。
▍完全分業が生み出す専門性と、非フロント職まで包括する組織設計
当社では、RA、CA、マーケティング、CS、専任アシスタントに役割を明確化した完全分業体制を敷いています。各プロセスを切り分けることで、各々が自身の領域で専門性を発揮できる環境を整えています。
この体制により、事務や日程調整などの業務をシステムと専任チームがカバー。CAが求職者対応に集中し、10回以上の丁寧な面談を重ねる体制を作っています。またRA側でも、経営課題に踏み込んだ+αの提案ができる点が強みです。選考会のプロデュース、アライアンススキームの構築など、幅広い施策を自社の内製リソースで実行できる体制を整えています。
こうした多角的な支援を可能にしているのは、一般的な人材紹介会社とは異なり、フロント職だけでなく、マーケターやエンジニアといった「顧客の前に出ない職種」に対しても組織として同等に注力している点にあります。
【代表インタビュー】成長のための投資戦略と、事業に込める経営思想
ここからは、当社が展開する事業の根底にある思いや、年間数億円にのぼる投資を行う背景について、川島代表にインタビューしました。
ーー積極的な投資を続けられている理由を教えてください。
会社を安定して存続させるための「プラットフォームとしての規模」を早期に確立するためです。ITの人材紹介市場はいずれ間違いなく過当競争になり、成熟・縮小期に入ると予測しています。その局面を生き抜くには、一定以上の規模を持つ存在になっておくことが絶対条件です。
現在、集客と開発を合わせて年間数億円規模の投資を行っています。この規模のベンチャーとしては珍しいと言われることもありますが、決して無理な背伸びをしているわけではありません。
事実、すでに投資した分は十分に回収できており、むしろそれ以上の確かな成果となって返ってきています。再現性の高い費用対効果の試算に基づいた、経営として極めて合理的な意思決定だと捉えています。
ーー自社メディアを通じたアプローチにこだわるのはなぜですか?
自分たちの力でユーザーと信頼関係を築けるルートを持ちたいと考えているからです。
外部データベースに依存し続けると、将来求職者が枯渇したときに他社との消耗戦になってしまう。そう創業時から予測していたからこそ、私たちはユーザーと深い信頼関係を築きやすいYouTubeチャンネルを、早い段階から内製で育ててきました。
また最近は、新たにショートドラマも展開しています。私の中に「人はドラマというストーリーを通じて、その職業に憧れを抱く」という仮説があるんです。医者や弁護士、教師、警察官などをテーマにしたドラマが頻繁に制作される背景には、社会に必要な職業の担い手を増やすためのアプローチ手法だと捉えています。
であれば、これからの日本を支えるエンジニアという職業も、同じように次の世代や子どもたちが憧れる存在にしていかなければならない。その想いから、エンジニアのリアルな課題をテーマにしたショートドラマの制作をスタートしました。
実際に動画の切り抜きを広告として運用してみたところ、各種数値が数倍に跳ね上がるなど、成果としても大きく当たっています。他社には真似できない認知・獲得経路として、確かな手応えを感じていますね。
『2030年「IT人材79万人不足」に、エンタテイメントで挑む。- キッカケクリエイションが「HRエンタテイメント事業」を始動』 | 株式会社キッカケクリエイション
ーー内製システム開発において、重視していることは何でしょうか?
構築したシステムが現場でしっかりと運用され、そこでの気づきをもとに日々改善され続ける「組織づくり」ですね。
社内で使用するシステムは、単に予算をかければ成果が出るというものではありません。RAやCA、アシスタントといった現場のメンバー全員が改善に関わり、不便をテクノロジーで解決していくマインドがカルチャーとして根づくことこそが、資金力だけでは真似のできない私たちの競争優位性になると考えています。
求める人物像──既存の仕組みをこなすのではなく、自ら「創り上げる側」へ。
ーー今後、どのような仲間と一緒に新しい組織を創り上げていきたいですか?
大切にしている要件は大きく分けて3つあって、1つ目は「正しい目的意識」を持っていることです。目の前の作業、たとえば「求職者のエントリーを獲得する」ということ自体を目的にしてほしくはありません。
常に「クライアントの採用成功のために、今自分がすべき最適な手段は何か」を逆算して考え、必要であれば自分の職域を越えて動けるようなマインドの方と一緒に働きたいですね。
ーー単に目の前の求人を動かすエージェントでは物足りない、ということでしょうか?
まさにそうですね。それが2つ目の要件である「事業・ビジネス目線」に繋がります。人材紹介の営業という枠に閉じこもらず、私たちが展開しているテクノロジーやメディアを掛け合わせたビジネスモデル全体を捉える視座の高さを持ってほしいと考えています。
その上で、日々周囲から刺激を受けながら試行錯誤していくための土台となるのが、3つ目の「柔軟性と問題解決能力」です。
当社の環境は変化のスピードが早く、常に仕組み自体も進化を続けています。だからこそ、その変化や「自分たちで創り上げる余白」をポジティブに楽しめるかどうかが大切です。マニュアルに依存せず、自らの手で組織をブラッシュアップしていくことに面白みを見出せる方であれば、十分に力を発揮していただけます。
ーー大企業で経験を積まれた方がキッカケクリエイションに転職した場合、どのような強みを活かせるでしょうか?
大企業で培われる「構造化して意思決定する力」「複数の利害関係者を調整する力」は、当社のようにメディア・システム・人材紹介が複雑に絡み合う事業ではむしろ標準以上に求められます。
能力面はそのまま活きる一方で、大きく異なるのがその意思決定の結果が反映されるスピードです。大企業では提案から実行まで四半期単位だったものが、当社では週単位で市場に出せる。裁量の大きさと構造的思考の両方が活きる環境です。
ーー最後に、キッカケクリエイションに興味を持っている方へ向けてメッセージをお願いします。
弊社は現在、前年比150%〜200%の成長率を維持しており、この急拡大に伴って新規事業やマネジメントポジションが次々と生まれている状況です。
既存の仕組みを「消費する側」ではなく、自ら仕組みを「創り上げる側」として、この変化の大きい成長フェーズを一緒に楽しめる仲間を求めています。
対象となるのはビジネス職からエンジニア、バックオフィスにいたるまで、職種を問わず当社のビジョンや挑戦に共感していただける方。そんな皆さまとお話しできる機会を、心より楽しみにしています。
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