【部長インタビュー】「紹介会社」を脱却する。技術とマーケティングを経営視点で統合し、次世代HRの基盤を創る挑戦
労働集約的なモデルが根強く残る人材紹介業界において、テクノロジーとマーケティングによる「仕組みの構築」で非連続な成長を狙う──。この高い志を具現化すべく、デジタル戦略部を率いるのが部長のTさんです。
不動産営業のトップセールスからエンジニアへ転身し、ASEAN市場でのSaaS立ち上げや外資系人材企業のDX推進、さらには経営層の壁打ち役までを歴任。多角的な視点を一つの身体に宿す彼が、なぜ今キッカケクリエイションを選び、どのような「次の一手」を描いているのか。
業界の巨頭であるレバテック社やギークリー社をベンチマークに見据えつつ、その先にある「真の独自性」を追求するリーダーの哲学と戦略に迫りました。
Y.T / デジタル戦略部 部長
早稲田大学卒業後、大手不動産会社に入社し、賃貸仲介営業で店舗トップの成績を収める。エンジニアへの転身を志し、ワークスアプリケーションズへ。シンガポール支社にてSaaS化プロジェクトを主導。その後、エグゼクティブ層に特化した人材紹介会社にて社内DXとデータ基盤構築を完遂し、売上増に大きく貢献。2023年1月、キッカケクリエイションにジョイン。現在はデジタル戦略部の責任者として、開発とマーケティングの双方を統括する。
「電話の音が鳴る前に取る」──泥臭い現場体験が、システムの本質を定義した
ーー不動産営業からエンジニアへ。一見すると対極にあるキャリアですが、原点はどこにあるのでしょうか。
私のキャリアの根底にあるのは、「成果を出すための執着心」です。新卒で入った不動産営業の現場には、「電話に出た者が担当になる」というルールがありました。
新人だった私は、電話が鳴る直前、受話器のランプがわずかに点滅する瞬間に誰よりも早く反応することを徹底しました。まずは打席に立つ権利を自ら取る。そして、得たチャンスを逃さないために、お客様を動かす「言い回し」の一言一句にまで思考を巡らせる。
この「人を動かすための最適解を探る」というプロセスは、現在のマーケティングにも、またユーザーの行動を設計するシステム開発にも、つながっていると感じます。
ーーその後、エンジニアに転身されたと伺いました。
はい。そうした現場での「人を動かす力」に加え、もともとITに強い興味を持っていたこともあり、より本質的にビジネスを加速させる「仕組み」を作る側に回りたいと考えるようになりました。キャリアチェンジを模索していたタイミングで、未経験からエンジニアを育成するワークスアプリケーションズの求人に出会い、挑戦を決意したんです。
技術をビジネスの「価値」へ翻訳する。ASEAN市場のクラウド化を独力で切り拓いた日々
ーー入社後の研修時代のエピソードを教えてください。
「未経験から世界に通用するエンジニアを育てる」という、シンガポール研修付きの5名限定枠で採用されたのですが、文字通りゼロからのスタートでした。
研修の内容は、全8種の高度なミッションをクリアしていく形式です。コーディングスキルだけでなく、複雑な業務要件をどう論理的にシステムへ落とし込むかという「論理的思考力」や「思考の耐久力」が求められました。毎日、深夜1時頃まで自主的にカリキュラムを受けていたことは記憶に新しいです。
ーーその圧倒的な学習量を支えたものは何だったのでしょうか?
負けず嫌いな性格もありますが、それ以上に「パズルのピースがカチッとはまるような論理的な快感」に目覚めてしまったんです。営業時代の「感覚を研ぎ澄ませて人を動かす」世界から、コードという「嘘をつかない積み上げ」で仕組みが動く世界への転換は、私にとって革命的でした。
結果として、別枠で採用された研修時期が同じ40名の中で、全ミッションを一番早くクリアすることができました。この時に得た「本気で向き合えば、どんな未知の領域でも最短で攻略できる」という万能感に似た自信は、今でも私の血肉になっています。
ーー研修後のシンガポール赴任では、どのような難題に直面したのですか?
現地では、ローカル環境で稼働していた基幹システムをクラウド / SaaSへ移行するという、ASEAN市場の命運を分けるプロジェクトの立ち上げを任されました。わずか3名のチームで、文化も商業習慣も異なる現地の4社を同時に支援しなければなりませんでした。
ここで試されたのが、単なるコーディング能力ではなく「技術をビジネスの価値に翻訳する力」です。現地スタッフや経営層と膝を突き合わせ、「なぜ今、旧来のシステムを捨ててクラウドへ移行すべきなのか」を、コスト削減や将来の拡張性といった経営的視点から説得し続けました。営業時代の「言葉へのこだわり」と、必死で手に入れた「技術」が、初めて強力な両輪として機能し始めた瞬間でした。
経営の壁打ち役として完遂した「データによる意思決定」の自動化
ーー前職の外資系人材紹介会社では、一人目のエンジニアとして劇的な変革を起こされたそうですね。
一言で言えば、「属人性の排除」と「投資対効果の可視化」を完遂しました。私が入社した当初、30名規模の組織でありながら、あらゆる業務が手入力のアナログ管理。情報が属人化し、誰がどこで何をしているか、なぜ成約したのかが見えないブラックボックス化した状況でした。
そこでまず、LinkedInの情報とCRMを自動連携させ、コンサルタントの手間を削ぎ落としました。これだけで月間194時間、全社工数の約5%にあたる時間を生み出すことができました。
ーー大幅な工数削減を実現されたのですね、、、。
工数の削減だけではなく、データの「意味」を定義し、経営やメンバーの意思決定の精度を変えることにも寄与できたと感じています。応募から面談、内定、承諾に至る各フェーズの歩留まりや、候補者の詳細な見送り理由をすべてデータ化し、ボタン一つで「どこにリソースを割くべきか」を最終的に可視化できるようにしました。
この可視化によって、会議から「感覚的な議論」が消え、売上は前年比200%へ。最後の一年は、CEOの「経営の壁打ち役」として、データを基にした中長期戦略の策定に関わるようになりました。システムはコストセンターではなく、利益を生むための最強の「成長インフラ」でなければならない。この確信が、今のキッカケクリエイションでの私の動きの根幹にあります。
「言われたものは作らない」──目的から逆算するプロフェッショナル集団
ーー2023年にキッカケクリエイションへ参画。代表の川島さんからは「開発だけでなくマーケティングも」と打診されたそうですが、戸惑いはありませんでしたか?
全くありません。むしろ、これこそが合理的だと即答しました。マーケティング実務は未経験でしたが、「データで人を動かす」という本質は、営業やエンジニア時代の経験から導き出される「論理の延長線」にあると確信していたからです。開発とマーケティングを一人の責任者が一貫して見ることで、意思決定のスピードと施策の純度が飛躍的に高まると確信しました。ですので、この提案をしてくれた代表の川島には今でも感謝をしています。
ーー現在、Tさんが率いる「デジタル戦略部」が最も大切にしている「こだわり」は何でしょうか。
「言われたものをそのまま作らない」という、徹底した目的志向です。
現場のコンサルタントから「マイページに履歴書のアップロード機能がほしい」という要望が上がってくる。多くの会社では、ここで仕様書を書き始めますが、私たちは違います。「その機能で、何を解決したいのか?」を執拗に問い直します。深掘りした結果、真の目的が「書類回収の遅延による選考離脱を防ぐこと」であれば、開発期間に数ヶ月かける必要はなく、他の手法で解決できることがあるということが往々にしてあるためです。
ーー「開発すること」自体を目的化しない、ということですね。
その通りです。私たちの仕事はコードを書くことでも、広告を回すことでもありません。「キッカケクリエイションという会社や事業を伸ばすこと」です。
デジタル戦略部では、マーケターがシステムのデータ構造を語り、エンジニアがCPA(顧客獲得単価)を気にしながら実装を行います。この「事業家視点」を持ったメンバーが、手段に溺れず最短距離で成果を出す。この文化こそが、私たちの組織の強さそのものだと考えています。
変化の渦中で「仕組みを創る」興奮を、共に。
ーー最後に、どのような方と一緒にこの挑戦をしたいか、メッセージをお願いします。
キッカケクリエイションは、まさに今、IPOを見据える「最もカオスで面白いフェーズ」にあります。ここで得られるのは、決まりきったレールの上を走る体験ではありません。自らの知略でレールそのものを敷き、その仕組みが会社の売上というダイレクトな数字として跳ね返ってくる。その手触り感こそが最大の醍醐味です。
私たちの組織の強みは、エンジニアとマーケターの間に「分断」が一切ないこと。私が双方の責任者を兼務し、領域を横断して統括しているからこそ、マーケターはシステムのデータ構造を深く理解して要件を語り、エンジニアは顧客獲得単価(CPA)やLTVといったマーケティング指標を自分ごととして捉えて実装に臨みます。この相互理解に基づいたシームレスな連携があるからこそ、無駄なコミュニケーションコストを排除し、圧倒的なスピードでプロジェクトを完遂できるのです。
職種の壁に閉じこもるのではなく、ビジネスの全体像を俯瞰しながら技術やマーケを武器にしたい方にとって、ここは最高の場になるはずです。
ーー今しかない醍醐味があるのですね。
そうですね。そしてまだHR業界には、テクノロジーとマーケティングの力で解決できる不合理が山ほど残っています。この難易度の高い課題を、野心を持った仲間と共に鮮やかに解き明かし、業界の歴史を塗り替えていく。そんな日々を心から楽しみにしています。