安藤の経歴
大学を卒業後、大手損害保険会社に入社しました。そこでは営業拠点に配属され、3年半だけいわゆるソリシターとして保険代理店のサポート業務にあたり、その後外資系生命保険会社の専属保険代理店として独立しました。
損保社員だったときは「どうやって保険を売ってもらうか」を考え、生保代理店になってからは「どうやって保険を売るか」をひたすら考え、ガムシャラに動き回ったことを覚えています。
飛び込みをする勇気も行動力もないし、人脈もないし、強烈に惹きつけるキャラクターでもなく、特筆すべきスキルもない。そんな人間ですので、最初はそこそこの成績が出てもすぐに下降線をたどり始めました。MDRTに入会している先輩とか、法人・ドクターなどの富裕層マーケットでガンガン稼いでいる人への憧れもありましたが、「俺はもっと世の中に貢献して成功するんだ」という思いがありました。
「1つの保険会社の商品だけでは顧客のニーズに応えられない。乗合代理店ならもっと成績が上がるはず!」と広域乗合代理店に移りましたが、結局それも中途半端。「いかに保険を売るか」「売ったものが評価される」空気もなんとなく嫌で、自分でやろうと思い乗合代理店を立ち上げました。
さらに、父が司法書士だったので士業との提携を模索したり、自分も行政書士の資格をとって相続ビジネスを始めてみたり、とにかくいろいろ試しましたが、全て中途半端。
「もう保険はやめようかな」と思いました。
でも、「まだやりきっていない」気がしました。
「成長したい、世の中の役に立ちたい、行動力は負けない!」その思いは強くありましたが、「でもやり方が分からない」そんな状態でした。
セミナー講師として活動をスタートしたきっかけ
営業が苦手な自分にできることはなにか…
考えに考え抜いたあげく、行き着いたキーワードが「セミナー」です。
元々、人前で喋るのは嫌いではなかったですし、最初の会社で代理店研修の講師はしていたし、結婚式のスピーチやイベント司会の経験も多少はありました。
なんとなく、「セミナー営業ならいける!」と思ったのです。
そこで、某保険会社の研修に参加したときに「確定拠出年金を切口としたビジネス」をテーマにされている方がいらしたので、いろいろ教えを乞いにいきました。
さらに、大先輩からの初回で保険のセミナーセリングで大活躍されている方のグループに混ぜてもらいました。
で、どうなったかといえば、全然すぐには成果に繋がりませんでした。
そもそも、前述のグループで受ける入門試験で「ダメ講師」の烙印を押される始末。(かなり練習して臨んだのですが…)
実は、その方の「煽って保険販売にもっていくスタイル」はどうも僕の肌に合わず、それが出てしまっていたのだと思います。
(あくまで僕の主観です。批判するつもりはありません。ある程度不安を煽って商品加入を促すことで、結果的にお客様の資産形成に繋がる場合も多いと思います。)
向いていないのかなと思いつつ、「俺は煽って保険にもっていくのは絶対やりたくない!違うやり方で成果を出してみせる!」という反骨心がわいてきました。
そんな中、またしても某保険会社の研修で素晴らしいご縁をいただきました。
“半値になっても儲かる「つみたて投資」”の著者、星野泰平さんです。
彼の講義をきいて、つみたて投資(ドルコスト平均法)の威力に衝撃を受けました。
すぐに著書をいくつか購入し、再度衝撃を受けたので「お会いしたい」とお願いしたところ、快諾してくださり、いろいろとご指導いただきました。
(後にプロ向けの講師で登壇する機会も設けてくださり、本当にありがたかったです。)
保険のセミナーセリングを実践した成果
これらのご縁をふまえ、「煽るのではなく、投資の必要性・基礎知識・実践方法をお伝えして、そこからお客さんになってもらう」つまり、「金融教育スタイル」のセミナーに挑戦しました。
前述のとおり、人脈も経験も何もないので、とにかく知り合いに声をかけまくり、少人数セミナーをひたすら開催しました。
すると、少しずつですが次第に保険の成績にも表れはじめ、自信もついていき、保険会社や代理店からのタイアップ依頼も来るようになっていきました。
段々と保険の成績も安定してくるようになると、プロ向けの講師依頼も来るようになりました。
ただ、そのまま順調だったかというとそうではなく、様々な壁にぶち当たりました。
思うようにセミナーから個別相談に繋がらなかったり、繋がっても「お勉強さん」のような方ばかり来てビジネスにならなかったり、とにかく売上を増やす欲が出て安易に富裕層マーケットを狙おうかと考えてみたり、、、
「面談移行率や保険の売上が落ちれば誰からも評価されなくなる」
「もっと稼げるやり方はないか、いま、でもそんなの他の金融機関や代理店と一緒じゃないか」
「もっと高いレベルを目指したい。世の中に貢献したい。でも理想だけ追求する訳にはいかない」
そんな自問自答を繰り返す日々が続きました。(正直、今もそうです)
しかしそれも、他のエリアでセミナー講師として成功されている方や、同業の先輩、保険会社側、異業種の経営者、途中から仲間として加わってくれた福永(現弊社取締役)など、様々な意見・アドバイスを取りいれ、ブラッシュアップいくことで少しずつ乗り越えていくことができました。
たった一つのマインドセット、ほんの1カ所のコンテンツ修正でも、成果は見違えるように違ったのです。
その後、ご縁をいただいて開催したのが、セミナーセリングマスター講座「安藤塾」。
プロ向けにセミナーセリングのノウハウ・講師のプレゼンスキルについて研修させていただきました。
僕自身、何もないところからのスタートでしたし、富裕層マーケットを狙う金融機関やスーパーセールスの方々とは一線を画した内容です。
ここでは塾生のみなさんが非常に意識の高い方々だったので、講義をする僕の方がむしろ成長の機会をいただいたと実感しました。
手探りの「顧客本位の業務運営」へ
こうしてセミナーセリングによる保険販売で業績は向上していき、セミナー講師としても少しずつ評価をいただけるようになっていったのですが、まだなんとなく引っかかるものがありました。
「売上に占める商品販売の割合も、集客も、保険会社に依存しすぎている」
「結局、保険セールスにもっていくためにセミナー講師をやっているし、プロ向けも間接的に同じことだよな」
「金融相談や講師では十分な収入を得られず、食べていけないんだ」
言葉では「長期分散投資の啓蒙だ!」と言いながら、この潜在意識はとれませんでした。
すごく惨めな思いというか、自分を卑下していました。
それを少しでも払拭するべく、事業として3つの柱を立てました。
① お客様にとって分かりやすく実践的で、かつ継続性のある「金融教育」
② お客様一人ひとりの生活環境・マネープラン・金融リテラシー等に合わせ、丁寧かつ長期継続的にサポートしていく「総合金融コンサルティング」
③ 保険に偏ることなく、投資信託や確定拠出年金などバランス良く提案する「金融商品販売」
この3つを高いレベルで実行し、長期継続的にお客様に寄り添っていく「真に顧客本位の業務運営」を目指すことにしたのです。
でも、ジレンマはありました。
「金融教育に力をいれても、見た目は良いがセールスには繋がらないのではないか」
「投資信託を提案したら、保険の売上が落ちてしまうのではないか」
「確定拠出年金の話を全面に出したら、みんなそっちに流れてしまう」
保険商品の方が遥かに収益性が高いので、多くの方がそこで悩まれますが、僕もその一人でした。
でも、「変化していかない限り、淘汰される」という危機感から、IFA(金融商品仲介業)に力を入れ、お客様が確定拠出年金相談や資産分析表の作成、フォローアップセミナー開催等の継続的な金融教育サービスを受けられる会員制度も導入しました。
すると、売り上げは減るどころか伸びていったのです。
それも、保険だけでなく、投資信託の手数料、会員費、セミナー講師料、全てがです。
収益面での「保険依存」状態は変わらず。。。
しかし、どうしても保険以外の収益性は低く、売上に占める保険のウェイトが大き過ぎる状態が続きました。
前述のIFA事業はお客様の運用資産の一部からいただく信託報酬によるものが大きく、積立中心のためどうしても時間がかかります。
また、金融アドバイスに対する報酬は十分でなく、「正当な対価は得られていない」状態でした。
僕も含めあしたばのスタッフ陣が食べていくためには保険を売らなければいけない、でもそれでビジネスモデルは変わるのか?本当に「真に顧客本位の業務運営」を実現できるのか?
葛藤の日々が続きました。
そんな中、ある転機によってビジネスモデルが抜本的に変わっていくことになります。
そう、コロナです。
コロナ後のエピソードは別のストーリーで綴りますので、ぜひご覧ください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。