今回はゴーレムの管理部・部長の山本龍平さんにお話を聞いてきました。
会計事務所を出発点に、出版社、ソフトウェア開発会社、通信技術会社、バイオベンチャー、そして自ら興した不動産会社と、業種を問わず「上場準備」を軸にキャリアを重ねてきた山本さん。
これまで複数社で上場準備に携わり、そのうち2社では実際の上場も経験しています。
そんな山本さんが、社員20人ほどのベンチャーであるゴーレムで今何を作ろうとしているのか、じっくり伺いました。
会計事務所から、自ら興した不動産会社まで——七つの会社を渡り歩いたキャリア
── ゴーレムに入る前は、どんなキャリアを歩んでこられたんですか?
会計事務所出身で、専門はどちらかというと税務ですね。
そこから出版社に入って、経理・財務を専門的に手がけるようになりました。
その出版社が上場したタイミングで、経理の責任者として上場準備にも携わることになって、そこから経理・財務・上場準備をセットにした形で転職を重ねてきました。
業種自体には特にこだわりがなくて、ソフトウェアの開発会社にいたこともありますし、通信技術専門の会社に行ったこともあります。
あとはバイオ系のベンチャーですね。そこも上場を実現することができました。
── バイオベンチャーの上場を経験されたあと、しばらくして自ら不動産会社を興されたそうですね。
そのバイオベンチャーで役員をやっていたんですが、上場を実現したところで、50歳を節目に一度会社員を離れて自分で事業をやってみようと思ったんです。
とはいえずっと遊んでいるわけにもいかないなと思っていたところ、知り合いに不動産屋をやっている友人が結構いて、「だったら不動産屋をやってみたら」と言われまして。
自分自身は不動産に特別興味があったわけではなかったんですが、それならばと宅地建物取引士の資格を一発で取って、宅地建物取引業の免許も取得して会社を興しました。
── 不動産会社を4年ほど続けたあと、また会社員に戻られたのはなぜですか?
ちょうどそのころ、知り合いの証券会社の人間から「上場準備で人が足りない会社があるから手伝ってくれ」と声をかけられたんです。
ちょうどタイミングも良かったので、また日本に拠点を戻して上場準備の仕事に戻ろうと思って、その会社に入りました。
── 会社の立ち上げや上場準備に、繰り返し関わってこられていますよね。そこにやりがいを感じる理由はどこにあるんですか?
基本的にお世話好きなんでしょうね、きっと。
自分の経験が一番生かせるところというのはもちろんあるんですが、それ以上に、先回りしていろいろなことをやってあげたいという気持ちが強いんです。
上場準備の仕事は会計士や弁護士といった専門家の力が欠かせないんですが、自分自身は会計士でも弁護士でもありません。
そうした専門家やいろいろなプレイヤーとうまく協力しながら会社を整えていく、というところに一番のやりがいを感じているんだと思います。
「役に立ててこそ、意味がある」——代表・野村との縁が導いた入社
── ゴーレムに入社されるまでの流れを教えてください。
もともとゴーレム代表の野村とは前職で同じ会社にいたんです。
野村が独立してゴーレムを作ろうとしていた時期、事業計画や株主総会まわりなど、いろいろな事務的なことの相談に乗っていました。
そうやって手伝っているうちに、「そのうち俺も入るよ」という話も自然と出るようになっていたんですが、僕がいた前職も上場準備をやっていて、すぐには抜けられない状況だったんです。
なので、野村がゴーレムを立ち上げてから1年半ほど経ってから、ようやくジョインさせてもらったという感じですね。
── 代表の野村さんに誘われたんですか?
いえ、そんなに誘われたというわけではないんです。
どちらかというと、僕の方から「これまでの経験が役に立つなら、自分がやろう」というくらいの気持ちだったので、僕が押しかけた側かもしれません。
── 当時、野村さんがやろうとしていたことに、どんな印象を持っていましたか?
前職には、大学と組んで実証実験を進めるような事業もあったんですが、そういう場で野村がよく言っていたのが、実証実験の成果を出すだけで終わらせず、実際に事業として社会に届けるところまでやり切ることが重要だ、ということでした。
会議の中でそれをはっきり主張しているのを聞いて、「なかなかまっとうなことを言うな」と思ったのを覚えています。
── その考え方に、そこまで惹かれた理由はどこにあったんですか?
実は、以前バイオベンチャーの上場に携わっていたとき、東京大学で研究されていた再生医療の技術を、実際に民間の医療機関に提供できるところまで持っていった経験がありました。
研究を論文で終わらせず、実際に社会に届けるところまでやり切る、というのがそのバイオベンチャーの一番良いところだったので、野村の考え方にはすごく重なるものを感じました。
研究開発をしてスポンサーからお金をもらうだけでなく、実際に社会の役に立てるところまで持っていく。
そこに自分が求めているものがあるんじゃないかと思って、ゴーレムに入ることを決めました。
シェアオフィスの一室から始まった、管理部門ゼロからの立ち上げ
── ゴーレムの管理部門は、具体的にどんな仕事を担当しているんですか?
管理部門はもともと幅広い業務を扱う部署なんですが、なおかつゴーレムはベンチャーなので、大きな会社なら別々の部署に分かれるような機能も、まとめて管理部が担っています。
具体的に言うと、総務・経理・財務・法務、それに人事ですね。
人事についてはこれまで比較的他のメンバーに任せている部分が多かったんですが、上場を見据えてきちんと統制を入れていこうということで、最近は僕自身も人事のミーティングにきちんと出るようになりました。
── 入社直後、まず何から手をつけられたんですか?
管理系は僕1人だったので、それまで野村がやっていた事務的な作業を、まず全部引き受けました。
社会保険労務士や顧問税理士とは連携していたんですが、給与計算まわりの業務も含めて、管理業務を一通り引き継ぐというのが最初の仕事でした。
僕は入社番号でいうと4番目だったんですが、その頃は他に2人ほどしかいなくて、まさに何でも屋という状態でしたね。
オフィスも当時は個室のないシェアオフィスで、フリーアドレスの席を2つ借りて、僕だけがそこに出勤してやっていました。
打ち合わせがしづらいということで個室に移り、その後事務所を借りて、そこから2年後に今のオフィスに移ってきました。
── そこから今の体制になるまでには、どんな変化があったんですか?
最初は本当に1人で全部を抱えていましたが、少しずつ専門性を持ったメンバーが増えていって、今では管理部は正社員が5人、そこに経理の派遣さんと営業事務の派遣さんが2人加わって、全体では7人という体制になっています。
管理部長という立場自体はずっと変わっていないんですが、メンバーがそれぞれ専門性を身につけてきているので、自分が持っていた仕事を少しずつ渡せるようになってきたなという感覚はあります。
事業成長を優先するフェーズでは、管理部門も限られた人数で幅広い業務を担う必要もあり、忙しくなる時期も当然ありました。
そこは徐々に解消されてきていますが、上場準備に向けて質を上げるためにも、財務・人事・情報システムの3領域は近いうちに増員したいと考えています。
── 管理部のメンバーはこれまで山本さんご自身が採用されてきたそうですが、どんな軸で採用してきたんですか?
専門的に伸びていきそうな人、というのが一番の軸ですね。
総務でも経理でも労務でも、まだまだ伸び代があるだろうなと思える人を積極的に採用してきました。
あとは、明るい人かどうかも大事にしています。
管理業務はどうしても下を向いてやる仕事になりがちなので、伸び代と同じくらい明るさも意識して見てきましたね。
上場に向けた基盤を、今まさに作り上げている
── 上場に向けて、具体的に今どんなことに取り組んでいるんですか?
一番大事なのは内部統制をきちんと入れることです。
具体的に言うと、規程類をきちんと作成して、その規程通りに会社を運営していくということですね。
上場を目指すのであれば、例えば支払い一つとっても、誰が依頼をして、誰が処理をして、誰が承認するのか、というところまで業務プロセスや承認権限を明確にし、継続的に運用できる状態にしていく必要があります。
あわせて、中期経営計画や単年度の予算を作り、実績との差異を分析して経営に役立てていく予実管理も欠かせません。
この予実管理と内部統制の2つを、今は僕が統括してやっている状況です。
── 「上場基準を満たす」というのは、具体的にはどういうことなんですか?
「誰かが分かっている」ではなく「誰が見ても分かる状態にする」、それが上場準備だと思っています。
上場していない会社だと、そもそも基準や規程自体がないことが結構多いんです。
でも上場というのは、結局のところ他人から審査を受け入れてやっていくことなので、お金が基準に沿ってきちんと使われているか、業務も基準に沿ってできているか、というのが厳しく問われます。
あるべき統制をきちんと入れて、それを監査法人にチェックしてもらう——今もまさに、監査法人にそのあたりを見てもらいながら、基準を満たせる業務を回していきたいと思っているところです。
── 上場企業としての業務基盤という面では、どんな管理部を目指しているんですか?
上場会社の管理部としてきちんと仕事ができる知識は、社員それぞれにつけてもらいたいと思っています。
業務フローについても、上場基準を満たせるものを社内できちんと作っていかないといけないので、そこはある意味厳しくやらないといけない部分もあります。
自己研鑽もしっかりやってもらいながら、上場企業にふさわしい業務フローを導入していく、というのが今の目標ですね。
自分がこれまで経験してきた上場準備の知見は、できるだけチームに共有していきたいと思っています。
── 一方で、日々のチームの雰囲気やコミュニケーションという面では、どんなことを大切にしていますか?
意見がたくさん出ることはすごくいいことなので、建設的な意見はどんどん戦わせてほしいと思っています。
意見が違うこと自体はまったく問題ありません。むしろ、いろいろな意見が出て、建設的に議論できるチームであってほしいと思っています。
ですので、会社を一緒に作り上げていきたいという想いを持っている人だと、なおいいなと思っています。
紙文化が残る建設業界で、DXの意義を実感する
── 会計事務所から不動産まで多様な業界を渡り歩いてこられましたが、建設業界は今までと勝手が違いましたか?
経理財務という実務の面で言うと、正直どこの業界でもそこまで変わらないんです。
出版、ソフトウェア、通信、バイオ、不動産といろいろな業界を見てきましたが、お金の管理や上場準備の進め方自体に大きな違いはありませんでした。
ただ、建設業は僕自身も初めてで、業界独特の文化の部分はまだまだ把握しきれていないところもあります。
── これまでの経験と比べて、建設業界特有の難しさはどんなところにありますか?
建設業は伝統がある業種なので、割と奥ゆかしい商習慣が残っているんですよね。
今でも契約書は紙でなければだめという会社が多いですし。
契約を電子化すれば印紙税もかからなくなるので、本来ならもっと積極的にデジタル化が進んでもいいはずなんですが、そこがなかなか進まないんです。
大手企業であれば、電子契約化によるコスト削減効果も決して小さくありません。
── そうした業界だからこそ、ゴーレムが果たせる役割があるということですね。
そうです。
そういう長い歴史の中で培われてきた商習慣が残っている業界に対してDXを推進していくというところに、うちのゴーレムが活躍できる道、生かしてもらえる道があるんだろうなと考えています。
「会社の歴史を作っていける」——これからゴーレムに来る人へ
── 今のゴーレムは、山本さんの目にはどんな会社に見えていますか?
まだ統制を入れている段階で、これから作っていくものが非常に多い会社だと思います。
上場を目指す以上、何でも自由にできるわけではなくて一定の基準はあるのですが、それでも仕組みや文化を含めて、これから作り上げていく余地がたくさん残っている、そんなフェーズですね。
メンバーに対しても、なるべく知見を共有したり、外部のセミナーに積極的に参加してもらったりしながら、それぞれ専門職としてもっと伸びていってもらいたいと思っています。
会社も結局は人次第なので、そこは大事にしているところです。
── そのフェーズだからこその面白みは、どんなところにあると思いますか?
規程を一つひとつ作り、それに沿った業務フローを整えていく——そういう、会社の骨格そのものを作っていく作業に自分が携われるのが、今一番の面白みじゃないかなと思います。
会社の歴史を作っていけるところ、と言えばいいんですかね。
自分が責任を持って作っていけるというのは、社会人としてやりがいがあると思いますね。
バタバタして忙しいんですけど、一番楽しい時期だと思いますよ。
── 最後に、ゴーレムへの入社を検討している方にメッセージをお願いします。
小さいベンチャーなので、自分自身を出せるのは今すごくいい時期なんじゃないかなと思うんです。
積極的に意見を出しながら、前向きに事業を作っていく、ということができる状況なので。
バタバタ忙しいんですが、それを楽しめる人にとっては、すごくいい環境だと思います。
おわりに
スタートアップというと、プロダクトや事業内容の話に注目が集まりがちですが、今回話を聞いて、その裏側で規程や業務フローをひとつずつ整え、会社としての基盤をコツコツと作り上げている管理部、そして山本さんの存在があってこそ、ゴーレムという会社が前に進んでいけるのだと実感させられました。
そんなゴーレムの環境に興味を持った方は、ぜひ一度話を聞きに来てみてください。