現場の誰もが感じている「なんとなく手間がかかっている気がする」を、データで裏づける。トリノ・ガーデンの分析担当が向き合うのは、まさにそういう仕事です。今回は、ワタミ株式会社が展開する「から揚げの天才」業態で実施したオペレーション分析プロジェクトについて、クライアント側の責任者・分部さん(執行役員)へのインタビューと、担当した当社アナリスト・鈴木大輔の視点の両面からお届けします。
「から揚げの天才」業態で、商品開発・オペレーション・設備設計など事業の中枢を担う執行役員の分部さん。1弾目のプロジェクトを終えてすぐ2弾目をご依頼いただいた背景を伺いました。
「機会損失は、そんなに多くないはず」── その思い込みが覆った
── 当社のサービスを使って、最初に驚いたことは何でしたか?
分部さん:から揚げの天才に購入意欲のあったお客さまが、なんらかの理由で購入を諦めて帰ってしまう。その「機会損失の可視化」がプロジェクトのスタートでした。我々としては、機会損失自体はそこまで多くはないだろうと考えていたのですが、実際に店頭にカメラをつけて回数をカウントしてもらうと、思ったより多くて驚きました。
分部さん:その回数は、額にするとこのぐらいになる。そしてこれを防ぐにはどうアプローチすればよいか。そこまでしっかり可視化して教えていただいたことが、ありがたかったですね。
【担当アナリスト・鈴木大輔より】
この「ひたすら回数を数える」工程、地味なんですが、僕はいつも一番気合いが入る場面です。なぜなら、現場の感覚と実際の数字がずれている瞬間こそ、改善の余地が一番大きいから。今回もまさにそうでした。
そして大事なのは、数えて終わりにしないこと。「年間でこれだけの回数」を「金額にするとこれくらいの損失」に翻訳して、「ならどこをどう変えるか」という打ち手までセットで出す。回数 → 金額 → 打ち手。この3段階に変換して初めて、現場も経営も動き出すんです。
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メニュー1品ごとの「動作秒数」から、適正価格を割り出す
── 特に印象に残っている分析はありますか?
分部さん:全体のオペレーションだけでなく、メニュー1品1品の細かな調理動作まで計測してもらったことです。道具や食材の移動距離をもとに標準作業時間を割り出し、1品ごとの動作秒数のデータから「この商品は売価に対して作業に時間がかかりすぎているため、価格の見直しが必要だ」と説明できるようになりました。
【担当アナリスト・鈴木大輔より】
「適正価格を割り出す」と言うと格好よく聞こえますが、裏側でやっているのは一つひとつの動作の積み上げです。最初は手元の動画を何度も見返しながら、1動作ずつ秒数を拾っていく根気のいる作業。
でも、この秒数データが揃った瞬間に景色が変わります。「なんとなく手間がかかる商品」が「売価に対して作業時間が長すぎる商品」という、誰も反論できない事実に変わる。泥くさい計測の先に、経営判断を変えるだけの説得力が生まれる。この“積み上げが武器になる瞬間”が、僕がこの仕事を続けている理由です。
分析が、社内の「説得材料」に変わっていく
── 社内の反応はいかがでしたか?
分部さん:上層部に報告や承認をもらう際に、定期的にまとめていただいた分析資料をもとに発言するようになって、納得を得やすくなりました。メニュー変更や価格改定を提案するときも、現場を実際に調査・計測したデータがあるので、説得力のある提案ができるようになったんです。
クライアントが集めた数字ではなく、第三者が現場に入って計測したデータ。だからこそ社内で「事実」として通用する。分析担当の立場から見れば、自分たちが拾い集めた数字がクライアントの言葉になり、組織の意思決定を後押ししていく。レポートを納品して終わりではなく、それが「使われる」ところまで伴走できるのが、この仕事の醍醐味です。
1弾で終わらず、すぐ2弾目へ
── 当社と取引を始めた頃のご自身に、
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何か助言するとしたら?
分部さん:「とにかく、あれこれ考えずにまずやってみて」と言いたいですね。そうすると次のステップを用意してくれて、自然といい方向に走っていける。あとは、なんでも相談したほうがいい。どんな問いに対しても課題解決に導くアドバイスをくれますから。
【担当アナリスト・鈴木大輔より】
このプロジェクトが動いていたのは、から揚げ市場が成長期から成熟期へ移る転換点でした。出店が一段落し、競合が増えて1店舗あたりの売上が下がりはじめる時期。市場が成熟するほど、感覚ではなく数値でオペレーションを磨く必要が出てきます。
1弾目を終えてすぐ2弾目のご依頼をいただけたのは、僕らの分析を“一度きりの調査”ではなく“継続的な経営の相棒”として使っていただけたからだと思っています。一度きりで終わらない関係をつくれることが、この仕事の何よりの手応えです。
こんな方と、一緒に働きたい
最後に、僕(鈴木)がこの仕事を通じて感じている面白さと、こんな力を持つ方・伸ばしたい方に来てほしい、という思いをお伝えします。
● 現場の「なんとなく」を、観察と計測で“動かせない事実”に変えること。思い込みと実態のずれを見つけた瞬間の興奮を、一緒に味わえる方。
● 動作・移動距離・秒数といった地味な計測を、機会損失額や適正価格という経営の言葉に翻訳すること。細かい数字の積み上げを、面倒ではなく武器だと思える方。
● 分析を「資料」で終わらせず、クライアントの意思決定を動かす“説得材料”に仕立てること。データで人を動かすところまでやり切りたい方。
● 成長期から成熟期へ移る業態の課題を読み解き、一度きりでない継続的な改善提案として設計すること。長く伴走する関係をつくりたい方。
地道な計測の一つひとつが、経営を動かす一行に変わる。その手応えを味わいたい方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています。
▶ この仕事に興味を持った方へ
トリノ・ガーデンでは、こうしたオペレーション分析を担う「分析リーダー候補」を募集しています。詳しい仕事内容・募集要項はこちらの求人ページをご覧ください。
クライアント: ワタミ株式会社(から揚げの天才業態)/プロジェクトテーマ: 収益・生産性の改善、再現性の担保・事業モデル化/実施期間: 2プロジェクト・約1年
文: 樋口