SORAJIMAの短期インターンは、単に漫画編集の仕事を体験する場ではありません。どんな思想で作品をつくるのか、どんな基準で企画を磨くのか、そしてどこまで本気で読者に届けようとするのか。SORAJIMAの編集という仕事の根幹に触れていただくための機会として企画しています。
そして今回のインターンの舞台となったのが、第一編集部。第一編集部は、「世界がときめく、縦読み漫画を。」を編集方針に掲げ、主にロマンス作品を手がけています。恋愛としてのときめきだけでなく、憧れや高揚感も含めた“広義のときめき”を、作品を通して読者に届けることを目指している編集部です。
今回の2026春インターンには、厳しい選考を通過した学生8名が参加。
第一編集部の編集者と同じように、”ときめき”に本気で向き合いながら、模擬連載会議での合格を目指して企画づくりに挑みました。
本記事では、SORAJIMAインターンに参加し、模擬連載会議で実際に合格を獲得したF.Nさんに、各プログラムを通して得た学びや気づきを語っていただきました。
目次
インターンに参加した理由
春インターンプログラムの体験談
DAY1:ヒット作品+漫画アプリの分析/企画立案
― 企画立案の前に、読者理解と媒体理解があると知った
DAY2:線画チェック/企画立案
― 細部への執着が、作品の完成度を左右するという気づき
DAY3:原稿チェック(クリエイター対応体験)/企画立案
― 編集者は“伝達役”ではなく、“作品価値を高める人”だった
DAY4:模擬連載会議
― 企画は発想力だけではなく、連載設計まで問われる
他の参加者から刺激を受けた経験
1. FBをもらって終わりにしない姿勢
2.プライドを捨て、既存のやり方を変えていく姿勢
SORAJIMA短期インターンを経て、今思うこと
「編集者を諦めることを諦めよう!」
「このインターンに参加して良かった!!!」
おわりに:インターン参加について
参加学生プロフィール
●大学/学部/学年:東京女子大学 現代教養学部 人文学科 4年(参加当時3年)
●名前:F.N
●創作経験:小説執筆、文芸部所属、同人イベント参加
●出版業界の志望理由:幼少期から物語に没入し、「好き」と創作が自分の核として育ってきた。一方で、身近な人から創作を否定された経験から、作品で自分の価値を証明したいという衝動が根付いている。だから"作る側"に立ち、才能や熱量を最大化できる環境を整え、作品の完成度を押し上げたい。"オタクの熱"が正当に肯定される社会を、ヒット作品で広げていきたい。
インターンに参加した理由
「ヒットする漫画の企画を本気で考え抜く4日間」「連載会議を通過するレベルの企画に必要な思考力・企画力・分析力を身に付けたい方」――この言葉に、自分の本気度を試される予感がして応募しました。
きっかけは、大手出版社の説明会を回るうちに芽生えた違和感でした。
話を聞けば聞くほど、自分のなかにある「編集者」という像が、想像以上に解像度の低い輪郭でしかないことに気づいたのです。「この仕事が本当に自分に向いているのか」――その問いに、自分の言葉で答えられない自分がいました。
編集の道に進む覚悟も、諦める覚悟も、どちらも持ちきれない。漠然と立ち止まっていたタイミングで飛び込んできたのが、SORAJIMAの春インターン募集の通知でした。
決め手は、プログラム内容の"本気度"です。連載会議を通過するレベルの企画作りに、4日間で向き合う。ぼんやりした「編集者」像を上げるのはここしかないと感じました。同時に、「未来の国民的ヒットを本気で目指す人たち」と同じテーブルに着いたとき、自分がどこまで通用するのかを確かめたかった。
ここで通用しないなら、自分の覚悟はその程度だったということ。ここで何かを掴めたなら、編集者として進むに足る根拠になる。
最初で最後のつもりで、「編集者」への挑戦を決めました。
春インターンプログラムの体験談
DAY1:ヒット作品+漫画アプリの分析/企画立案
課題図書(全14作品)を読んだ上で、「①ヒット作品の特徴分析」「②漫画アプリごとの”売れる作品”分析」を行うワーク。参加者の回答に対して、編集者がフィードバック(以下、FB)を行う。
― 企画立案の前に、読者理解と媒体理解があると知った
縦読み漫画はほぼ初読み、課題作品はいずれも私の趣味とは畑違いのロマンスファンタジー。「自分の"好き"の外側にある作品を、読者が何にときめいているのかという視点で読み解く」――この距離感が、最初の壁でした。
しかしこれは趣味ではなく仕事としての分析。「面白くない」と感じたなら、なぜそう感じたのかを言語化する。好き嫌いを判断基準にしている時点でスタートラインにも立てない――そう自分に言い聞かせ、全作品を読み切り、課題を提出しました。
読み込みと分析を重ねるうちに、見えてきた視点がありました。「漫画アプリごとに、読者層も求められる作品の輪郭もまったく違う」。そして、その違いを掴むには、各アプリでヒットしている作品を読み込み、媒体ごとの"勝ち筋"を構造として理解するしかない、ということ。
第一編集部が掲げるのは「世界がときめく、縦読み漫画を。」。表面的な展開のなぞりではなく、読者がどこで・なぜ心を動かされるのかを見極めることが、企画の出発点になっています。その「ときめきの構造」は、媒体ごとの読者理解なしには絶対に設計できない――FBを通して痛感したのは、その一点でした。
ヒットの型をコピーするのではなく、読者がときめく本質を掴みにいく。その覚悟を、最初のワークで突き付けられた感覚があります。
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【作品・アプリ分析のメモ。のちに企画を考える軸にもなった】
DAY2:線画チェック/企画立案
マンガの線画原稿を見て、校正すべき部分を指摘するワーク。
― 細部への執着が、作品の完成度を左右するという気づき
線画原稿を見て、校正すべき部分を指摘するワーク。事前知識は一切与えられません。
「自分はこの作品を担当し、ヒットさせる責任を持つ編集者である」――その前提を自分に課し、「わずかな見落としが読者の違和感を生み、作品からの離脱に直結するかもしれない」という緊張感で、1ページ1ページに向き合いました。
最後に、現役編集者が実際にどこへFBを入れるのかを答え合わせします。そこで思い知らされたのは、編集者の視点の鋭さと、自分の見え方との圧倒的な差でした。
身体の向き、視線の角度、アクセサリーの有無、コマ間のリズム――「ここまで見るのか」と思わずにいられないチェックポイントが、無数にありました。
作品の完成度は、細部への執着でしか決まらない。編集者の基準の高さを、自分の答え合わせとの"差分"として体感した瞬間でした。
DAY3:原稿チェック(クリエイター対応体験)/企画立案
脚本家とネーム担当の間に挟まって、編集者が両者の考えをつなぎ1つの作品に昇華するためにどのようなやり取りを行うのかを体験するワーク
― 編集者は“伝達役”ではなく、“作品価値を高める人”だった
このワークで得た一番の気づきは、「編集者は単なる伝達役ではなく、作品の解像度を上げ、判断を加え、作品価値を高める存在である」ということでした。
文字情報である脚本から、最初に絵へと落とし込まれるネームへの工程は分水嶺です。脚本の意図がネームに正確に乗らなければ、読者に届く印象は意図したものと別物になりかねません。その"翻訳のズレ"が起きないよう、作家さんの間に立って判断と問いを加えていくのが編集者の仕事です。
序盤の私は、「脚本家さんはこう言っていますが、ネームさんはどう思いますか?」と、会話のバトンを受け渡すだけの役に留まっていました。これでは介在価値はゼロに等しい。もう一度取り組めるなら、提示されたものに対して、自分なりの解釈と判断を必ず一枚乗せてから受け渡すことを徹底すると思います。
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「脚本家さんの意図は◯◯にあると私は読みました。だとすると、ネームでは◯◯の見せ方を強めた方が、読者のときめきが立つ気がします」
そうして自分の判断を載せて初めて、編集者という存在がそこに"いる"意味が生まれる。編集者として介在する意味と理由と意義は、誰かに与えられるものではなく、自分で生み出すしかない――この気づきは、4日間の中でも特に深く突き刺さりました。
DAY4:模擬連載会議
このインターンで最も大きな課題かつ、主役級のプログラムである「オリジナル漫画の企画作成」のワーク。最終日には「模擬連載会議」を行い、作成した企画が連載可能かどうか、編集長からの審査を受ける
― 企画は発想力だけではなく、連載設計まで問われる
暗中模索の1日目
「この4日間は、インターン生ではなくプロの編集者として扱います」――応募段階から繰り返し伝えられてきたこの言葉が、初日の朝、急にずっしりとした重みで戻ってきました。ワクワク1割、緊張9割。それが正直な内訳です。
事前に企画を仕込めなかった私は、ぼんやりとした大枠3案を手元に着手しました。「ここに芯がありそう」と感じた1案に絞り、ログライン、キャラ、世界観、話の構成――完成度より先に企画の輪郭を掴むため、まずは全項目を一気に埋めにいきました。完璧を目指して止まるより、形にしてFBを受けて磨く方が早い。そう判断しての動き方でした。
参加者の1人と企画を見せ合った瞬間、まず打ちのめされました。完成度もFBの解像度も、自分とは段違い。「……この企画で、連載会議は通らない」――漠然とした不安が形を取り始めます。
そのタイミングで、編集長のFBタイム。読者理解・主人公設計・連載設計を一気通貫で見る、編集者の視座の高さ。「読者は何を旨味にして読み進めるのか」「主人公の目的は何か」「無料話である4話で、主人公をどう好きになってもらうのか」――編集者が最初に握りにいく問いを、ひとつずつ言語化していただきました。
その視座を持って自分の企画に戻る。戻って、戻って――結論が出ました。この企画では、届かない。
そこで選んだのは、今ある企画を白紙に戻し、ゼロから組み立て直す判断でした。
白紙に戻したはいいものの、筆はまったく進まない。打っては消し、また打っては消す。視界の端には、編集者から手応えのあるFBを受けている参加者の姿。あの時の焦燥感は、今も身体に残っています。
帰路の電車1時間半、ネタを考えてはメモに残し、帰宅後は「全項目を、一言ずつでも埋め直して解像度を1ミリ上げる」と決め、夜を徹して練り続けました。
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企画作成の醍醐味を感じた2日目
2日目のFBタイムでは、編集者に「昨日の企画を全ボツして作り直したので、まずは主人公のキャラについて意見を聞きたい」と切り出しました。「世界観やあらすじ」ではなく「主人公のキャラ」を選んだのは、1日目の「読者に主人公を好きになってもらえるかで、企画の評価は大きく変わる」というFBが強く残っていたからです。
実際にキャラへのFBをもらうと、昨日とは違い「磨き込めば前に進めるかもしれない」という手応えが生まれました。
そこからは、FBに対する自分の言語化を必ず一枚乗せることを意識しました。「今のご指摘はこういう理解で合っていますか?」「つまり主人公の魅力はこう立てるべきということですか?」――そのやり取りを通して、FBはそのまま受け取るのではなく、自分の頭で解釈し、読者にどう主人公を好きになってもらうかまで落とし込むものなのだと実感しました。
FBをもらい、ブラッシュアップし、もう一度FBをもらいに行く。2日目はその繰り返しでした。創作の醍醐味を、初めて手の中に感じた一日でした。
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【FBをもとにキャラを考えていた時のメモ】
企画の完成度を一段高めた3日目
3日目は、「世界観」「物語構成」「オリジナリティの出し方」についてFBをもらうという明確な目標を立てて臨みました。
アクションは2日目と同じ。「何にFBを貰いたいかを明確にする」「貰ったFBを自分なりに言語化する」――この2つを徹底し、企画の空白を埋めていきました。
最後のFBの際、担当編集者から「あとは自分が納得できるところまで詰めればいい。ラスト1日頑張って」という一言をもらい、それを胸に3日目を終えました。
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集大成の4日目:模擬連載会議通過!!
最終日、模擬連載会議。
提出時間ギリギリまで企画書をいじっていましたが、最後の2〜3時間で加えた内容こそが、自分の思う「企画の核」に直結するものでした。特に意識したのは、連載序盤の4話までで、読者にどこで主人公を好きになってもらい、どこでときめいてもらうのかを具体的に設計すること。第一編集部の企画では、発想の面白さだけでなく、読者の感情がどう立ち上がるかまで設計できているかが問われるのだと、この4日間で学んでいました。
書き終えた瞬間、「これはやり切ったな……」というしみじみとした感慨。
通っても通らなくても、もらえるFBを胸にまた頑張ろう。素直に前を向けるアクションを4日間取り切れた自分を褒めよう。そう思えました。
凪いだ海のような心持ちで結果を待った、その瞬間――
「F.Nさんの企画ですが、通過です。おめでとうございます」
最初に口から出たのは、「エッ、アッ、……ありがとうございます……?」という困惑の声。「嬉しい!通過だ!」という感情は、その後にじわじわと湧いてきました。
そして、喜びよりも先にこみ上げてきたのは、「自分の企画の評価ポイントは?」「他の参加者との差は?」「この通過プロセスを再現性のあるものにするには?」という、次の企画づくりに向けた問いでした。
評価していただけたのは、「連載」というゴールから逆算して企画を組み立てた点と、読者がどこでときめくかを4話以内で立ち上げようとした点。あらすじの流れだけでなく、読者が食いつくポイントや作品を印象づける演出まで言語化し、企画の旨味を明確にしたことが評価につながりました。これらはすべて、3日目の夜から4日目の朝に書き加えた内容でした。「最後までやってて良かった」と、心から思いました。
結果に一喜一憂しながらも、参加者全員が最後には「やり切った」と言える行動をしていました。読者に届くときめきを本気で考え抜く――その基準に、参加者もまた本気で応えようとしていた4日間でした。
他の参加者から刺激を受けた経験
1. FBをもらって終わりにしない姿勢
参加者の方々は、編集者からのFBを「なるほど」で終わらせていませんでした。「つまりこういう理解で合っていますか?」「自分はこう考えたのですが、どう見えますか?」と、必ず自分の解釈や仮説をぶつけていた。
第一編集部がインターンという立場に関係なく求めていたのは、受け身の素直さではなく、より良い企画に近づくために思考を言語化し、企画を磨き上げる執念だったのだと思います。
2.プライドを捨て、既存のやり方を変えていく姿勢
印象的だったのは、参加者の多くが、配布された企画書フォーマットをそのまま使わず、自分の企画をより伝わる形に項目から書き換えていたこと。
私は最初、配布形式に沿って書いていました。でもFBを聞くうちに、企画の強みを伝えるには項目の立て方から見直す必要があると気づき、評価の高い企画書を参考に、必要な項目を足し、不要な項目を削りました。
失敗への恐怖やプライドに囚われず、本質的に取るべきアクションを取ること――SORAJIMAではこれを「No Pride」と呼んでいるそうです。型を守ることよりも、No Prideで企画をより良くすることを優先する。この姿勢が、企画の解像度を上げる上で決定的なのだと学びました。
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SORAJIMA短期インターンを経て、今思うこと
「編集者を諦めることを諦めよう!」
参加前の私には3つの目的がありました。「編集者の解像度を高める」「向き不向きを実感する」「無理そうなら潔く諦める」。
そんな私が4日間を経て出した結論は、「諦めることを諦めよう」です。
企画を磨き込む過程で知ったのは、企画づくりの楽しさだけではありません。読者がどこで心を動かし、主人公を好きになり、続きを読みたくなるのか――そこまで執拗に考え抜くのが第一編集部の編集者なのだと知りました。その基準の高さと熱量に触れたことで、「無理そうなら諦めよう」という発想そのものが、覆されたのです。
諦めることを諦めた今、「SORAJIMA第一編集部」という場所で、読者に"ときめき"を届けるヒット作品を本気で出してやる――そう心に決めることができました。
「このインターンに参加して良かった!!!」
参加して何よりも思っているのは、シンプルに「参加して良かった」ということ!
この感想を抱けたのは、4日間の中で「自分はヒットを出すために行動する一人の編集者である」という認識を、自分にかけ続けることができたからだと思います。この企画で本当に話が書けるのか、本当に連載開始できるのか――そういう"ガチ"の問いを、SORAJIMA第一編集部の皆さんは、インターン生にも本気で投げかけてきます。
過去の私と同じようにSORAJIMAインターンへの参加に悩んでいる方は、まずエントリーしてみてください。本気で編集者としてエンタメに向き合いたいのなら、これ以上の場所はないと思います。
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おわりに:インターン参加について
F.Nさんに、SORAJIMA短期インターンを通して感じたことを率直に語っていただきました。
印象的なのは、「絶対に模擬連載会議を通過させる」「いま自分はインターン生ではなく編集者である」という高い視座を、4日間ずっと持ち続けていたこと。そして、その視座に行動を伴わせ続けたことです。
最初の企画に違和感を覚えた時点で白紙に戻したこと。編集者のFBをそのまま受け取らず、自分の言葉で言語化し、再提案を重ねながら磨き込んだこと。「読者はどこに食いつくのか」「4話まででどう主人公を好きになってもらうか」という、連載を見据えた視点で最後まで詰め切ったこと。
短期インターンの中で成果を出そうと貪欲に動き続けた結果、参加者の中で唯一、模擬連載会議の通過を勝ち取る企画にたどり着けたのだと感じます。
SORAJIMAでは、インターン生か社員か、学生かどうかといった立場はまったく関係ありません。ヒットを本気で生み出す視点で考え、行動し、磨き込む人が評価される。 F.Nさんの体験は、そのことをまっすぐ示してくれました。
SORAJIMAインターンが、自分の可能性を試すきっかけになれば嬉しいです。
"編集者になりたい"だけでなく、"ヒットを生み出す側に立てるか"を本気で試したい次なる挑戦者を、お待ちしています。