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【🚨】「受託開発は製造業」という危険な誤解
Photo by Kenny Eliason on Unsplash
株式会社クリエイティブテックスタジオがお届けする、【マネジメント虎の巻】シリーズ!
弊社はシステム開発領域のPMを生み出す会社として日本一といっても過言ではないほどのノウハウを持つ、プロジェクトマネジメントのプロフェッショナル集団です。
門外不出・社外秘のマネジメント方法論ですが、その一部をご紹介していきます!
今回のテーマは、『受託開発は製造業であるという危険な誤解』。
システム開発は業種でいうと「情報通信業」に分類されますが、日本標準産業分類については今回は置いておきましょう。
受託開発においてお客様から発注を受け、要件をヒアリングし、設計開発、ソースコードという有形のアウトプットを納品するという流れは確かに製造業に似ているかもしれません。
しかし、受託開発を製造業と考えてプロジェクトを進行させていくと、実は危険な落とし穴が隠れていることがあるのです。
今回はその危険な落とし穴について、更に落とし穴を回避するための考え方をご紹介します。ぜひ最後までご覧ください。
◆本コンテンツのゴール
・受託開発は製造業であるという考え方から陥りがちな状況を理解する
・受託開発における望ましいプロジェクト進行手法のひとつを学ぶ
◆こんな方にオススメ
・受託開発に携わる方
・受託開発プロジェクトのPMを務める方
◆受託開発は製造業であるという危険な誤解
モノづくりをするのですから、受託開発が製造業に近い側面を持っていることは確かです。それと同時にサービス業としての側面も非常に強く持っています。これは、SaaS(Software as a Service)や、ASP(Application Service Provider)といった単語からも見て取ることができます。
特にお客様と密接に関わることになるPMにとってはサービス業としての側面も重要なのです。
システム開発を製造業と捉えるか、サービス業と捉えるかで、どのような違いがあるのか見ていきましょう。
受託開発=製造業として捉える
システムを作り上げることを製造業として捉えると、高品質な成果物を迅速に、低コストで生み出すことが唯一の価値基準とされます。納品物に焦点を当てた考え方です。
例えば、スーパーマーケットの経営者がお客様となり、店舗に来店する顧客への施策を検討・実現するプロジェクトが発足しました。
既にチラシの配布などは実施していて、今後公式LINEアカウントを利用して登録時にクーポンを発行したり、登録者限定の特売情報を発信するなど、CRM施策を実施したいと考えていたとしましょう。
このようなプロジェクトの受注側担当者となる人は大抵アカウントの運用方法やマーケティング手法に精通しているプロフェッショナルですが、お客様にはそういった知識がないことも多いでしょう。
新規に発足したプロジェクトであるものの、LINEアカウントで実現可能なことや一般的なマーケティング手法にはいくつかのパターンがあり、全く新しい手法を生み出すということは稀です。
担当者は既にメジャーな施策を知っていて、お客様からヒアリングした内容をもとに適切な手法を選びすぐに実施していくことができます。しかし、その道のプロフェッショナルではないお客様からLINEアカウントでは実現できない機能を希望されたり、効果の見込めない施策を提案されたりすることもあります。
当たり前ですが、お客様の要望に応えるためだけに効果の見込めない施策を実施しても、ただコストがかかり費用対効果は低くなります。
見当違いの要望ばかりぶつけられ続けると担当者はフラストレーションを覚えます。信頼して全て任せてほしいと願うでしょうし、実際お客様に伝えるかもしれません。
この時、担当者が重視しているのは成果物の品質をできるだけ高め、コストを抑えてスピーディに納品することです。
お客様への説明にもコストがかかります。全ての要望に対する回答をお客様の納得いくまでやりとりするよりも、説明は割愛し、信頼して任せてもらった方がコストの削減になります。浮いた工数を品質の向上に注ぐこともできます。
結果として良い成果物を納品することでお客様に満足してもらうこと。これが製造業的な、アウトプット重視のプロジェクトの進め方です。
成果物へのこだわりに潜む落とし穴
この記事を読んでくださっている皆さんがプロジェクトを進める立場になったら(あるいは今進行中のプロジェクトの中で)どう考えるでしょう。
成果物が全てであると考えている方は少ないかもしれませんが、大事にしている部分がいくつか当てはまると感じる方は多いのではないでしょうか。
では、例えば、お客様から週次ミーティングをオフライン開催に変更したいという要望があった場合。自分のプロジェクトチームのメンバーはリモート前提で勤務しておりサッと集まることができない、更にそのミーティングはわざわざ顔を合わせて話す必要性を感じない内容だったとしたら、どう対応しますか?
多くの人が無駄な時間を避け、必要な作業に集中したいと考えると思います。もちろん、お客様が理解し、全ての判断をこちらに任せた上で納品物に満足してくれるのであれば全く問題ありません。しかし、そう上手くいくケースはかなり少ないはずです。
たとえお客様が全てを委ねてくれたとしても、それが納得の上であるかどうかには大きな隔たりがあります。少しでも納得のいかない感情が残っていれば、自分たちはもう要望を出せないのではないか、自分たちの要望は無視されるのではないかという考えが生まれます。発注した相手が果たして信頼できる業者だったのかという疑問がよぎり、不満を持たれる可能性が非常に高いのです。
専門分野ではないとはいえ、要望が一方的に却下されるのは気持ちの良いものではありません。最善を尽くそうとしたはずの行動によって逆に信頼が失われ、お客様との間に不和が生じる原因にさえなります。
一度心象が悪くなるとその後いかに正しいことを伝えても、良い提案をしても、端から懐疑的に見られたり交渉が円滑に行えなくなったりといった悪影響が出ます。
成果物にこだわるあまり他を疎かにすると、思いもよらない箇所から問題が生じる可能性があるのです。
受託開発=サービス業として捉える
一方、システム開発をサービス業として捉えるとお客様との向き合い方が変化します。
サービス業の観点では形のあるアウトプットにもこだわりつつ、お客様の利便性や満足度など、形として現れない部分にも気を配ることが重要になります。
つまりスーパーマーケットの施策の例で言えば、お客様から受け取る数々の要望に対してそれを採用しない理由をきちんと説明するという道をとる進め方です。
専門的な知識を持つ担当者からすれば、検討するまでもない要望であっても説明を怠らないこと。最終的な納品物に関係しない内容でも、モノづくりのプロセスに積極的に関与したいと考えるお客様の声を軽視しないようにするのです。
お客様に製造プロセスに参加している感覚を持ってもらえるような進め方をすると、満足度を高めることができます。自分の声に耳を傾けられている感じると、その関係性には信頼が芽生えます。
成果物だけでなく製造プロセスにも満足してもらうことで信頼が得られれば、プロジェクトにおける提案や交渉が円滑に進むようになります。お客様との関係はプロジェクトの雰囲気にも影響を及ぼすので、回りまわって成果物への満足度も向上するという結果に帰結します。
成果物へのこだわりと製造プロセスへのこだわり、双方のアプローチで全く同じ成果物が出来上がったとしても、プロジェクトをサービス業的な視点で進めた結果の成果物の方がお客様の満足度は高くなります。
これは、信頼と好感度が高いからという理由にほかなりません。
お客様の満足度を重視してサービスを提供することで、成果物に対する満足度も向上します。
成果物の品質やコスト削減、スピードにのみ注力すると、その成果物が十分な品質のものであったとしても製造プロセスにおいて既に評価を下げてしまっていることが多いのです。その結果、適切な評価を受けられない可能性があります。
週次ミーティングを対面で実施したいとお客様に言われたら、まずは検討しましょう。メンバー全員を集めるコストが割に合わないと感じるのであれば、PMだけでも直接会ってお客様の満足度を上げることが大事なのです。
要望を全て叶えることが満足度を上げるのではありません。いかにそれを検討し、叶えるために尽力したかが伝わることが重要です。
一見無駄なコストに思えるものでも、払っておいた方が良いものもあるのです。
まとめ
PMは形あるアウトプットにこだわるだけでなく、顧客満足度にも配慮してプロジェクトを進めることを意識する必要があります。
システム開発において、サービス業としての側面を重視することには以下の3つのメリットがあります。
1.良好な顧客関係の構築
サービス業的なアプローチを取ることで、お客様との関係を良好に築くことができます。
2.プロジェクト進行がスムーズになる
お客様との関係が良好であれば、プロジェクトの進行がスムーズになります。
3.有形のアウトプット部分に対する満足度向上
お客様が製造プロセスに関与しているという意識を持てるようにプロジェクトを進めることで、成果物に対する満足度につなげることができます。
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最後までご覧いただきありがとうございました。
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