半導体産業の成長促進や社会貢献活動で、広島に貢献する【会員企業紹介/マイクロンメモリジャパン株式会社】
中四国地域最大規模の"次世代型DXオープンイノベーションプラットフォーム”である『ひろしま好きじゃけんコンソーシアム』。デジタルコミュニケーションツール「Slack」を通して産学官金が連携し、簡単・迅速にお互いの課題を解決できるエコシステムです。2021年10月の発足から1周年を迎え、会員企業数は70社以上、会員数は200名を突破。これまでは難しかったようなイノベーションの創出と地域経済の活性化が日々進められています。
今回は『ひろしま好きじゃけんコンソーシアム』のゴールド会員であるマイクロンメモリジャパン株式会社にインタビューを行いました。参画の背景や、現在手がけているプロジェクト、また今後の展望についてお聞きしています。
マイクロンメモリジャパン株式会社
マイクロンメモリジャパンは、革新的なメモリやストレージソリューションを手がけ、世界で情報の活用方法を変革している世界的な半導体メーカー。DRAM、NAND、NORメモリを製造する唯一の企業であり、業界で最も広範な製品群を提供している点が特徴です。多岐にわたるメモリソリューションにより、世界の人々の豊かな暮らしの実現と社会の発展に貢献しています。
<会社概要>
HP:https://jp.micron.com/in-japan
本社:広島県東広島市吉川工業団地7-10
設立:1999年12月 資本金:1億円 従業員数:4,000名
代表取締役
Joshua Lee (ジョシュア・リー)
シンガポール国立大学にて電気電子工学を学び、工学修士を取得。その後マイクロンテクノロジーに入社。半導体プロセスおよび装置のエンジニアリング、マネージャー、担当ディレクター、シニアディレクターを歴任する。2021年6月にマイクロンメモリジャパン株式会社のVPに就任。
中国地方の半導体産業を牽引し、東広島市の泥干潟改善にも尽力。
ーーマイクロンメモリジャパン株式会社では、さまざまな社会貢献活動を行っているそうですね。その内容を具体的に教えていただけますか?
大きく2つの取り組みをご紹介させていただきます。
1つは、広島の半導体産業の成長の促進です。もともと東広島市が「半導体関連産業の発展に資する施策を積極的に展開し、市内経済への波及効果を確実なものとする」という政策を掲げていて、そのためのさまざまな取り組みに当社も参画しています。
たとえば、100社ほどの企業・教育機関・行政機関が集まって半導体関連産業の基盤強化や人材育成の支援を行っている「中国地域半導体関連産業振興協議会」、半導体関連研究開発の高度化から人材育成まで幅広い活動を通して地域に新たな経済的価値を生み出すことが期待されている「せとうち半導体共創コンソーシアム」、地域の半導体関連産業に関わる人々のコミュニケーションの“場”を形成し、企業のビジネス機会を創出する「ひがしひろしま半導体フォーラム」など。これらの取り組みを通じて、マイクロンはすべての機関や団体、企業とともに「One team」となり、強いリーダーシップとサポートのもと、中国地方から半導体産業を牽引していくというビジョンの達成を目指しています。
2つめは、泥干潟改善プロジェクトです。東広島市の流域圏環境再生センター(CERBEE)に対して、干潟の底質と水質を改善するために90万ドル(約1億3000万円)を寄付しました。この再生事業は東広島市安芸津町の風早干潟において、2023年6月から2028年5月までの5年間で、底泥中の硫化水素の除去と水質改善を行うことを目的としています。
CERBEEの調査・研究によると、泥干潟改善の糸口になるのは「カキ殻」なのだそうです。カキ殻を粉砕し熱風乾燥させることで、この地域の漁獲量の低下や漁業不振の大きな原因の一つである硫化水素を効果的に抑制することが可能になります。そこで、約26,000㎡の干潟にカキ殻を敷き詰め、硫化水素の抑制に役立てる予定です。このプロジェクトでは、干潟の環境教育も行われます。環境団体の「広島湾さとうみネットワーク」の会員やマイクロンメモリジャパンの社員、一般市民などからも広く参加を募る予定です。最終的には、東広島市が目指す「豊かな自然環境の保全」「持続可能な社会の構築」「地域資源を活用した観光振興」の実現に貢献できればと期待しています。
コンソーシアムへの参画により、社内DXや人材育成が加速した。
ーー「ひろしま好きじゃけんコンソーシアム」に参画した理由を教えてください。
広島の地場産業や地域の大学などとの結びつきを強化したいと考えたためです。これにより地場産業とマイクロンの事業活動の強化を目指すだけでなく、マイクロン従業員の教育・育成にも役立てたいと考えています。
ーー「ひろしま好きじゃけんコンソーシアム」に参画しての成果はありますか?
一例として挙げられるのは、県内での部品調達を推進できたことです。地場産業との関係強化により、半導体装置のサポートを支援するサービスを受けられるようになりました。このサポート業務により、従来であれば人が施設を巡回し、目視で装置を確認していたのに対し、装置から稼働データを取り込み効率的な装置の確認が行えるようになり、マイクロンの業務のDXにも貢献しました。
さらにコンソーシアムの情報共有から発信されるさまざまなプロジェクトや活動報告に参加することで、従業員の教育機会を得ることができています。
コンソーシアムに入るまで、広島の地場産業や大学とは半導体分野でしか繋がれていなかったのですが、今は大学との連携や地場産業とのDX実現など、ネットワークがとても広がったように感じます。さらに従業員教育の観点からも、マイクロン社内ではなかった知識や経験が得られ、人材育成の機会としても良かったと感じています。
ーー「ひろしま好きじゃけんコンソーシアム」を活用して、今後取り組んでみたいことはありますか?
現在はまだ道半ばのため、これからも積極的にコンソーシアムと連携を図り、半導体以外の場面でも連携を強化していきたいと考えています。
たとえば、コンソーシアムに参画したことで、マイクロン従業員には工場の中では得られない体験を提供することができています。大崎上島への訪問や高校生マイプロジェクトのサポートなどがそうです。これらの活動によって、地域貢献の方法を拡大させることができました。今後もコンソーシアムで出会った会員企業の皆様との関係を尊重し、さまざまなプロジェクトに協力していきたいです。
多様性を尊重する社会をつくり、もっと広島に貢献したい。
ーー今後取り組んでみたいことや実現したいことはありますか?
マイクロンでは「DEI(ダイバーシティ・イコーリティ・インクルージョン)」をはじめ、多様性を受け入れ、それを会社の強みに変えることを推進しています。しかし日本では、その浸透に少し時間がかかると考えています。頭では良いと分かっていても、多様性や異質なものを受け入れることに尻込みをする人もおり、現実的に実行していくには工夫が必要でしょう。そこで、会社として「マイクロンを日本におけるDEIのモデル企業にする」という高いビジョンを掲げ、まずは部門長や管理職に対してDEIの重要性や必要性を教育することに注力しています。彼ら自身の体験談や成功例を交えたストーリーを各々作成し、彼らのチームメンバーに対して説明していくことで、働く社員全員の意識改革を促しています。
さらにマイクロンには、地域社会や社内でDEIの精神を具現化するための活動を行う「従業員リソースグループ(ERG)」という団体もいくつか存在します。グループリーダーは会社幹部が務め、一過性ではなく継続的に取り組んでいます。団体の種類はさまざまで、たとえば目に見える/見えない障害を認知・啓発する団体や、LGBTQ+を認知・啓発する団体、多国籍の文化や背景を理解促進する団体などがあります。
このERGが中心となり、フードドライブ、清掃活動、イベントサポート、異文化交流など地域社会に還元するための活動を一年通して行っています。ほどんどの社員が何らかのボランティア活動に参加しており、今後も積極的に取り組んでいく予定です。
他にも、先ほど紹介した東広島市の泥干潟改善プロジェクトをはじめ、マイクロンではサステナビリティへの取り組みも重視しています。私たちが働き、暮らし、遊ぶ街での環境維持活動は今後も力を入れて推進していきたいと考えています。
そして人材開発も、力を入れて取り組んでいきたい社会貢献活動の一つです。
明日を担う若者たちを惹きつけられるように、学びながらテクノロジーと楽しみを融合することを目指して様々なプログラムを大学入学前の若い世代の人々(K-12)に提供しています。さらに地元の大学とのパートナーシップも強化して、学生が実際の企業担当者から講義を受けたり、奨学金を受けられるように協力しています。
「ひろしま好きじゃけんコンソーシアム」も活用しながら、広島地域への貢献活動にさらに注力していきたいですね。
『ひろしま好きじゃけんコンソーシアム』では、一緒に盛り上げてくれる会員企業を募集しています!!
産学官金が連携した、中四国地域最大規模の"次世代型DXオープンイノベーションプラットフォーム”で、貴社が抱える課題の解決や、新たな事業を創出してみませんか。
▼お問合せ先
広島大学 ひろしま好きじゃけんコンソーシアム事務局
HP:https://www.sukijyaken.jp/contact
Mail:sukijyaken@ml.hiroshima-u.ac.jp
TEL:070-1542-7123