こちらの記事はdotD公式noteの転載です。
執筆者は、onedog開発チームです。
ヘルスケアアプリとしてのonedogのリニューアルに伴い、獣医師の天野先生に愛犬のヘルスケアについて、お話をうかがいました!
「愛犬の健康のために飼い主様は何をすべきか」について前編・後編の2本に分け、本記事ではその後編をお届けします!
飼い主様にとってもお役に立てる内容になっていますので、最後までお読みいただけると幸いです。
▽前編はこちら
https://www.wantedly.com/companies/company_7005547/post_articles/372408
▽リニューアルnoteはこちら
https://note.com/onedog/n/n0996eed4c2bf
前編では「診断時や診断後の課題・飼い主様に実施してほしいこと」についてお届けしましたが、後編では、「わんちゃんの健康のために日頃から気を付けるべきこと」についてお届けします!
目次
- フードについて
- 日頃からチェックすべき愛犬の体調について
- 最後に
フードについて
栗岡:わんちゃんの健康のために日頃から気を付けるべきことはなんですか?
天野:人間でも医食同源(※)というように、わんちゃんの健康において食事はとても重要です。フードがそのわんちゃんに合っているかを日常的に確認しておくことが大切になります。
※医食同源とは、日頃からバランスの取れた美味しい食事をとることで病気を予防し、治療しようとする考え方。
栗岡:onedogのユーザーさんのお話を聞いていても、ほとんどの飼い主様が何をあげたら良いのか・最適なフード選びがよくわからず、ペットショップやブリーダーからおすすめされたものをそのまま与えている方が多くいらっしゃる印象です。「フードがそのわんちゃんに合っているか」というのはどのように判断したら良いでしょうか?
天野:まずはパピー、成犬、シニアといったライフステージに合わせたフードをあげることが一つの基準となります。成長期はカルシウムやたんぱく質など必要な栄養素が取れるもの、成犬は成長が止まり安定する時期なのでカロリーと運動量のバランスがよいもの、、中年期になあると逆に消費カロリーが減るのでカロリー制限ができるもの、高齢になると消化効率がよく、関節などの保護作用があるもの、などといったようにライフステージによって必要な栄養素も変わってくるのでフードもそれに合わせて選択する必要があります。
栗岡:ライフステージ別に必要な栄養素が違うんですね。ライフステージ別に応じたフードもありますが、オールステージ対応のドッグフードははどうなのでしょうか?
天野:オールステージ対応のドッグフードでも、わんちゃんが健康で体型を維持できているのであれば、特に問題はないと思います。
あとは、皮膚のかゆみが出る、太ってきた、腰や関節が痛そう、血流が悪くなるなど、歳を重ねるに連れて身体に変化があるので、体調を見ながらわんちゃんに合ったものを選んでいただくのが良いです。
栗岡:フードによってわんちゃんの身体って変化するものなのでしょうか?
天野:そうですね。フードによって毛・皮膚の状態、目ヤニや皮脂の量、便の状態などが変わってきます。逆にフードが原因で体調を崩すこともあります。
栗岡:いずれのケースでも、わんちゃんの体調とフードの関係性が分かると良さそうですね。いつどのフードに切り替えたのかしっかり把握しておいた方が良いと思ったのですがいかがでしょうか?
天野:そうですね。特に体調が悪くなってしまったときは病院での診断に役立ちます。例えば下痢になって動物病院にいった場合、獣医としてはフードを切り替えたことを把握してないので、感染や寄生虫、他の疾患など原因になりうるひと通りの可能性を考えて診察しますが、もしフードを切り替えていたという情報が分かっていれば可能性の高い原因の一つとして治療に進めます。ですので、いつどのフードに切り替えたのかという情報を飼い主様の方で把握しておき、何か症状が出たときには獣医師に伝えていただきたいです。
栗岡:ドッグフードを切り替えてからどのくらいの期間で体調に変化が現れるんでしょうか?
天野:アレルギーなどがある場合はすぐに変化がでることもありますが、被毛などの体調に変化が現れるのはフードを切り替えてから3週間程度経ってからのことが多いと思います。
栗岡:結構時間がかかるんですね。フードを変えたということを忘れてしまう飼い主さんも多そうなので、きちんと記録して管理した方が良さそうですね。onedogでもフード記録についても今後検討したいと思います。
話が少し変わるのですが、フードの中にも、無添加・グルテンフリーなど、いろいろとありますが、わんちゃんの健康のためにはどの程度気を付けるべきなのでしょうか?
天野:AAFCO(※)というアメリカで定められたペットフードの栄養基準があるのですが、タンパク質・ビタミンなどの栄養素の必要量が定められています。その栄養基準を満たしているフードには「総合栄養食」と表記されていて、その表記があれば栄養価としては基本的に問題ないです。
※AAFCOとは、The Association of American Feed Control Officialsの略で、アメリカの地方、州、連邦政府機関の任意の会員組織です。メンバーは、それぞれの地域、州、または連邦法によって、動物用飼料および動物用医薬品の販売と流通を規制する義務を負っています。https://www.aafco.org/
ただ、その栄養価を満たすためにペットフード会社は色んな材料を混ぜて作っています。栄養価を満たすために、人間も食べれるような良質なチキンを使うところもあれば、チキン加工工場で余った部位を使うようなところもあります。ヒューマングレードと言われるような人間が食べれるものを使っているフードだと値段は高くなりますが、人間用に加工した食品の余り物など使って栄養価を満たしているようなものだと値段は安くなります。
栗岡:たしかに、無添加やグルテンフリーなど素材にこだわっているペットフードは比較的値段が高いものが多いですよね。
天野:そこをどうとらえるかは飼い主さん次第だと思います。わんちゃんにも人間と同じようなものを食べさせてあげたいと考える方もいれば、安いしわんちゃんが元気だから良い、と考える飼い主様もいると思うので、飼い主様の価値観次第というところはあります。
ただ、品質がしっかりしてるものの方がおすすめはできますね。
栗岡:品質の良くないフードが、実際にわんちゃんの健康に害があるというデータはあるのでしょうか?
天野:ペットフード安全法を満たしたフードしか販売されていないので、明らかに健康に悪影響のあるフードは販売されていません。。わんちゃんの病気の原因が、遺伝的なものなのか、環境の影響なのか、フードなのかというところまではっきりさせるのは難しいです。ただ、ここ最近でわんちゃんの寿命が延びているのはフードの影響が大きいので、フードはとても大切だと思います。
栗岡:そうなんですね。人間と違ってわんちゃんは基本的には同じフードを食べ続けるということもありますし、品質にはこだわってあげたいですね。
日頃からチェックすべき愛犬の体調について
栗岡:フード以外にも、わんちゃんの健康のために日頃から気を付けるべきポイントはありますか?
天野:わんちゃんの体調の日常的な変化に気付いていただくことが大切です。元気にしていれば特に何もする必要はないのですが、病気の前には何かしらのシグナルを出すことが多いので、普段と様子が違う際にはチェックしていただきたいです。
病院に連れて行くほどではない場合でも、「この時期からこの症状が出ている」ということをメモしておくだけで、診察もスムーズに進むので非常に助かります。
栗岡:今回のリニューアルで、onedogでもうんち、おしっこ、おう吐等の記録が取れるようになったので、是非ユーザー様に活用していただきたいと思います。
具体的にどのような記録を取っておくと良いでしょうか?
天野:食べたものを吐いた、うんちの様子がおかしい、血尿が出た、食欲がない、咳をしているなど、普段見られない症状が出た場合は、その症状が出た時期や具体的な情報を記録しておいていただきたいですね。
また、食事の量が減った、おしっこの量が増えた、水を飲む量が増えた、おさんぽの量が減ったなど、少しずつ変化がある場合も病気の可能性があるので、経時的な変化を記録しておいていただくと良いと思います。
栗岡:経時的な変化については記録を毎日とっておく必要があるのでしょうか?
天野:手間もかかりますので飼い主さん次第ではありますが、毎日記録を取るのが難しい場合には気を付けて見ていただくくらいでも良いかもしれないです。ただ、本当はおしっこの量・水を飲む量などは毎日取っておいた方が良いです。
腎臓は75%が悪くならないと血液検査の結果に現れないのですが、血液検査より前に症状が現れるのがおしっこの量と水を飲む量です。血液検査で気づく前にその情報に気づいていれば早めに治療できるということもあります。
栗岡:血液検査よりもわんちゃんの日常的な変化の方が早く出ることがある事は初めて知りました!最近ではおしっこの量を測るIoTなども出てるので、それを使っていただくのが良さそうですね。
天野:そうですね。だた、水を飲む量であればコップに線をつけて1日1回計測するなど、少し工夫すれば簡単に測れますので水の量だけでも計測していただければ良いと思います。
栗岡:たしかに。それなら簡単に計測できそうですね!
最後に
栗岡:本日はいろいろとお話しを聞かせていただき、ありがとうございました。
天野:こちらこそありがとうございました。
栗岡:冒頭でもお伝えしたように、私たちは、愛犬の健康のためには愛犬に日々連れ添い家族としてお世話をしている飼い主様が、愛犬の病気や怪我の予防や早期発見、適切な治療をしてあげられるかどうかが重要だと考えています。
本日お伺いした内容をもとに、愛犬の「ヘルスケアアプリ」としての機能の充実や改善を行っていきたいと思いますので、引き続きonedogのアドバイザリーとしてご協力よろしくお願いいたします。
天野:是非お力になれると幸いです。飼い主さんが使いやすいアプリを作っていただき、その中で正確な知識やご自身のわんちゃんの体質についての気づきを飼い主さんが得られるようになれば、きっと健康で楽しく過ごせる時間が多く持てると期待しています。獣医師としてサポートできるよう様々な分野でアドバイスさせていただきます。引き続きよろしくお願いいたします。
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